これからの生活と放射能汚染
2012-04-05
昨年の7月初めに「半年後、一年後に放射能と生活はどうなるのか」を書きました。
今、2011年3月11日の原発事故から一年を過ぎ、上記の記事とその後の今に至る経過を振り返りつつ、これからの成り行きを考えてみたいと思います。
予断は許しませんが、いままでのみえる範囲で今後の放射能汚染と生活がどうなるのか、を書いてみます。
原発の現状
2号機はもちろん、多分1、3号機も津波の以前に地震によって、配管破断し、放射線量が上昇している。
従って、津波により全電源喪失しなくても、冷却機能は失われて、メルトダウンに至っていた。
1、2、3号機はメルトダウンした核燃料が、地下に達しているのは確実と考える。
3号機は単なる水素爆発ではなく、水素爆発による即発臨界爆発と考えるのが妥当。
現在の水による冷却は、既に地下まで達した核燃料の、容器内に残ったごく一部を冷やしているに過ぎない。水はほとんど地下に漏出している。
放射性物質の放出量が減らない点からも、地下で間欠的に再臨界を起こしていると見るのが妥当だろう。
ボロボロになった4号機の核燃料プールが、今後の地震に耐えられるとは思えない。
4号機のプールに亀裂が入り、水が漏出すると温度が上がり、燃料棒皮膜のジルコニウムが発火する。この場合隔離密閉のない大気中での核燃料火災となり、同時に1~6号機の全てにまた原発敷地内に人間が立ち入れなくなり、撤退放棄せざるを得なくなり、現実的には日本列島は北と西が分断される。つまり関東東北は人が住めなくなり、地球規模の汚染となる。「ガンダーセン、広瀬隆:4号機にひびが入ったら」
原発の現状への政府の対応
上記のすべての項目について、政府は事故の当初から隠蔽し、今も姑息な言葉の言い換えなど隠蔽はまったく変わっていない。
1年以上にわたって隠蔽の態度が改まらない政府であることが、今後の対策に重大な影を落としている。
つまり、嘘の取り繕いにまた嘘を重ねる状態が続いているので、大胆な対策は米国に言われない限りはとらない。
このことが、4号機についても極めて大きなリスクをもたらしている。
放射能汚染
依然として原発から放射能が出ているため空中の放射線量が下がらないが、現在は土壌等に蓄積された放射性物質が風で舞い上がり、雨で染みこむ循環汚染が主体となっている。
地上に降った放射能の総量は変わらないので、人と物の移動、交通と輻輳する循環によって、既に沖縄を除く全国で濃縮された高汚染のスポットが出現している。
大気の観測フィルター、掃除機のフィルターなどは熊本、長崎などでも放射性物質が確認されている。
牧草は札幌でも確認されている。
関東地方、仙台など比較的汚染の少ないところでは、今後は山地からの流下浸透が予想されるだろう。
福島市渡利地区の除染の結果ははかばかしくない、近くの山からいくらでも飛び、流れて、浸透してくるからである。広範囲の汚染地域に除染は効果がない。
関東、仙台なら風の日は近くの畑に注意だ。
放射能汚染と政府
除染のためにと剥がした表土の保管を政府は放置している。そのために福島県内の自治体、公共機関などはこっそりと山に捨てているところさえある。あるいはグランドの放置されている。
避難区域の設定から子どもの20mSv/yと言い、食品の暫定基準と言い、政府は世界も驚く規制値の大幅緩和を行なってきた。
これらが内部被曝増量と放射能の拡散を進めてしまっている。
一応食品の新基準が設定されたが、これは「世界が驚く」まではいかないが、世界が困惑する程の緩い基準である。
「給食の放射能と食品の新基準:岡山」
本来いくら微量でも放射能に汚染されたものは、食品ではなく「汚染物」である。
だが、現実的にはこの国の食品は、完全に放射能のない食品を求めることが不可能になってしまった。
そこで厚生労働省が仮に「国民の健康を守る」官庁ならば、こんな新基準ではなく、せめてチェリノブイリの教訓を踏まえて欧州とウクライナ、ベラルーシなどの基準を考慮すべきだろう。
厚労省の「新基準」
一般食品 100Bq/kg
牛乳 50Bq/kg(原発の排水基準が90)
乳児用食品 50Bq/kg
飲料水 10Bq/kg
チェリノブイリの教訓を踏まえるなら
一般食品 20Bq/kg
牛乳 0.5Bq/kg
成長期の子ども食品 0.5Bq/kg
飲料水 0.5Bq/kg
外部被曝と呼吸被曝もあるので、最低でもこのくらいにすべきだろう。
(もちろん、ゼロが望ましいし、成長期の子どもは特にゼロにすべきだが検出限界もある)
放射能汚染について、政府はまったく無力どころか、汚染の拡大ばかりを図ってきている。
これからの展望は明るくない。
道を歩くのも物を食べるのも、すべてに注意が必要になる。
瓦礫の広域処理と放射能拡散
福島の瓦礫は当然だが、岩手の瓦礫も野積みされて、軽重はあれ放射の汚染を受けている瓦礫が混在してるとみなされる。
なぜなら、関東各地の一般ごみ焼却でさえ焼却灰に多大の放射性物質を含むことからも、当然なのだ。
これら瓦礫の焼却灰は現地で厳重に国家が管理するべきものである。
「放射性廃棄物は焼却せず正しい管理を:岡山」
原発が立地しているだけでも、微量の放射能は常に空中と海中に放出されている。ある程度の風評被害がある。
不思議なのは、TPPに猛反対しているJAなりの農業団体は、なぜ本格的に立ち上がらないのだろう。
各地に焼却排煙で放射能が拡散され、焼却灰の厳重保管が無理(小さな市町村で出来るとはとても思われない)で漏出があった場合、農林水産業は風評被害どころではないだろう。
瓦礫を全国に拡散して、誰の利益になるのか。
国内産廃利権もさることながら、米国等の一次産業が最大の利益となるのが確かな事実ではないだろうか。
巨大な米国、豪州の農水産業にとって、日本の農水産業が崩壊してくれれば巨額の利益となるはずである。
この瓦礫の拡散問題はTPPと連動していると考える。
今、2011年3月11日の原発事故から一年を過ぎ、上記の記事とその後の今に至る経過を振り返りつつ、これからの成り行きを考えてみたいと思います。
予断は許しませんが、いままでのみえる範囲で今後の放射能汚染と生活がどうなるのか、を書いてみます。
原発の現状
2号機はもちろん、多分1、3号機も津波の以前に地震によって、配管破断し、放射線量が上昇している。
従って、津波により全電源喪失しなくても、冷却機能は失われて、メルトダウンに至っていた。
1、2、3号機はメルトダウンした核燃料が、地下に達しているのは確実と考える。
3号機は単なる水素爆発ではなく、水素爆発による即発臨界爆発と考えるのが妥当。
現在の水による冷却は、既に地下まで達した核燃料の、容器内に残ったごく一部を冷やしているに過ぎない。水はほとんど地下に漏出している。
放射性物質の放出量が減らない点からも、地下で間欠的に再臨界を起こしていると見るのが妥当だろう。
ボロボロになった4号機の核燃料プールが、今後の地震に耐えられるとは思えない。
4号機のプールに亀裂が入り、水が漏出すると温度が上がり、燃料棒皮膜のジルコニウムが発火する。この場合隔離密閉のない大気中での核燃料火災となり、同時に1~6号機の全てにまた原発敷地内に人間が立ち入れなくなり、撤退放棄せざるを得なくなり、現実的には日本列島は北と西が分断される。つまり関東東北は人が住めなくなり、地球規模の汚染となる。「ガンダーセン、広瀬隆:4号機にひびが入ったら」
原発の現状への政府の対応
上記のすべての項目について、政府は事故の当初から隠蔽し、今も姑息な言葉の言い換えなど隠蔽はまったく変わっていない。
1年以上にわたって隠蔽の態度が改まらない政府であることが、今後の対策に重大な影を落としている。
つまり、嘘の取り繕いにまた嘘を重ねる状態が続いているので、大胆な対策は米国に言われない限りはとらない。
このことが、4号機についても極めて大きなリスクをもたらしている。
放射能汚染
依然として原発から放射能が出ているため空中の放射線量が下がらないが、現在は土壌等に蓄積された放射性物質が風で舞い上がり、雨で染みこむ循環汚染が主体となっている。
地上に降った放射能の総量は変わらないので、人と物の移動、交通と輻輳する循環によって、既に沖縄を除く全国で濃縮された高汚染のスポットが出現している。
大気の観測フィルター、掃除機のフィルターなどは熊本、長崎などでも放射性物質が確認されている。
牧草は札幌でも確認されている。
関東地方、仙台など比較的汚染の少ないところでは、今後は山地からの流下浸透が予想されるだろう。
福島市渡利地区の除染の結果ははかばかしくない、近くの山からいくらでも飛び、流れて、浸透してくるからである。広範囲の汚染地域に除染は効果がない。
関東、仙台なら風の日は近くの畑に注意だ。
放射能汚染と政府
除染のためにと剥がした表土の保管を政府は放置している。そのために福島県内の自治体、公共機関などはこっそりと山に捨てているところさえある。あるいはグランドの放置されている。
避難区域の設定から子どもの20mSv/yと言い、食品の暫定基準と言い、政府は世界も驚く規制値の大幅緩和を行なってきた。
これらが内部被曝増量と放射能の拡散を進めてしまっている。
一応食品の新基準が設定されたが、これは「世界が驚く」まではいかないが、世界が困惑する程の緩い基準である。
「給食の放射能と食品の新基準:岡山」
本来いくら微量でも放射能に汚染されたものは、食品ではなく「汚染物」である。
だが、現実的にはこの国の食品は、完全に放射能のない食品を求めることが不可能になってしまった。
そこで厚生労働省が仮に「国民の健康を守る」官庁ならば、こんな新基準ではなく、せめてチェリノブイリの教訓を踏まえて欧州とウクライナ、ベラルーシなどの基準を考慮すべきだろう。
厚労省の「新基準」
一般食品 100Bq/kg
牛乳 50Bq/kg(原発の排水基準が90)
乳児用食品 50Bq/kg
飲料水 10Bq/kg
チェリノブイリの教訓を踏まえるなら
一般食品 20Bq/kg
牛乳 0.5Bq/kg
成長期の子ども食品 0.5Bq/kg
飲料水 0.5Bq/kg
外部被曝と呼吸被曝もあるので、最低でもこのくらいにすべきだろう。
(もちろん、ゼロが望ましいし、成長期の子どもは特にゼロにすべきだが検出限界もある)
放射能汚染について、政府はまったく無力どころか、汚染の拡大ばかりを図ってきている。
これからの展望は明るくない。
道を歩くのも物を食べるのも、すべてに注意が必要になる。
瓦礫の広域処理と放射能拡散
福島の瓦礫は当然だが、岩手の瓦礫も野積みされて、軽重はあれ放射の汚染を受けている瓦礫が混在してるとみなされる。
なぜなら、関東各地の一般ごみ焼却でさえ焼却灰に多大の放射性物質を含むことからも、当然なのだ。
これら瓦礫の焼却灰は現地で厳重に国家が管理するべきものである。
「放射性廃棄物は焼却せず正しい管理を:岡山」
原発が立地しているだけでも、微量の放射能は常に空中と海中に放出されている。ある程度の風評被害がある。
不思議なのは、TPPに猛反対しているJAなりの農業団体は、なぜ本格的に立ち上がらないのだろう。
各地に焼却排煙で放射能が拡散され、焼却灰の厳重保管が無理(小さな市町村で出来るとはとても思われない)で漏出があった場合、農林水産業は風評被害どころではないだろう。
瓦礫を全国に拡散して、誰の利益になるのか。
国内産廃利権もさることながら、米国等の一次産業が最大の利益となるのが確かな事実ではないだろうか。
巨大な米国、豪州の農水産業にとって、日本の農水産業が崩壊してくれれば巨額の利益となるはずである。
この瓦礫の拡散問題はTPPと連動していると考える。
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