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バンダジェフスキー3/16仙台講演質疑

   バンダジェフスキー氏仙台講演質疑  3/31  「すべては気づき」氏から   

バンダジェフスキー氏はチェルノブイリ事故後、汚染被害のひどかったベラルーシで医療に携わってきた医師。国から派遣されて赴任したが、はじめてチェルノブイリ入りした時の雰囲気と、仙台に降り立った時の雰囲気の類似をまず感じたとのこと。

ベラルーシ、ウクライナなどの旧ソ連西部はチェルノブイリ事故で甚大な被害を受けたが、その後の調査 で60年代頃から継続的に放射能汚染があったことが分かっている。社会主義国家の情報統制の下、隠されてきた原発事故、核実験の影響だといわれているが、 詳細は謎が多いままである。

ウクライナ北部-ベラルーシ南部においては、60年代後半の時点で既に、牛乳のセシウム汚染が深刻化しており、最大値で37000bq/lの汚染があったことが分かっている。これらのことはチェルノ事故後欧米の積極的な調査により明らかになったことである。

1950年代からの出生率と死亡率の推移を集めた統計によると、90年代に死亡率が出生率を上回り、どんどん増加しており、ベラルーシは人口が減少の一途をたどっている。

チェルノブイリ事故でもっとも被害が甚大だとされたベラルーシのゴメリ州・ベトカ地区 では1000人中死亡者が30人の現状。

その死因のうち52.7%は心血管疾患、次いで癌が13.8%、多臓器の不全等が以下に続く。

ベラルーシでの心血管疾患は現在も増加。虚血性心疾患発症率の調査では、10万人中もっとも発症率が多いのがベラルーシで、`93-`94の1年間で 145人。2位ロシア、3位エストニア、4位リトアニア、5位ウクライナ…となり、チェルノブイリ事故との関連性、因果関係が認められている。

北欧諸国やドイツは事故後すぐに非常に厳しい放射能対策をとってきたため、その結果が反映され、10万人中35人程度の発症となっている。事故後初め て放射性物質を観測し世界に発表したのも北欧で、国の対応による国民の健康への影響がいかに大きいかを見てとれる。

福島の事故については、世界的に情報量が不足しており、海外の専門家も詳しい実情を把握できていない状況。実際に現在原子炉の中で何が起きているのかがほとんど知られておらず、そのため予測的経験的な話になる。

現在ベラルーシでは10万人あたりの甲状腺癌の発症率は200人。当初癌の発生には数10年を要すると考えられていたが、実際には90年からぐっと増加し、99年にさらに急激に増加。現在ではその原因が放射能によるものであると、ヨーロッパでは認定されている。

現在の研究で、当初の予想より癌の発症が早かった理由として、チェルノブイリ事故以前から20年にわたり 同地域が汚染されつづけてきた、そのセシウム汚染が蓄積していた土台があり、そこにチェルノブイリ事故による放射性ヨウ素汚染が重なったことが原因ではないかと推測されている。

日本ではこのような汚染の実態がなかったとみられるため(福島以前)、癌の発生がここまで早くなるかどうかは疑問。(筆者註 福島では現在も放射能が放出しており、ヨウ素も検出されていることからチェルノとは事情が違うことは要注意)

臓器にたまったセシウムを計測したグラフでは、もっともたまりやすい器官から順に、甲状腺、心筋、骨格筋、小腸、膵臓、脳と続く。子供の臓器には大人の3倍-4倍ものセシウムが蓄積する。

チェルノ時に発覚したように、これまでに隠ぺいされてきた事故は必ずあるはずで、日本においてもその可能性は免れない。

したがって事故以前の汚染と事故以降の被ばくによる複合被曝の危険性はゼロとは言えず、体内にどのくらいの放射性物質が存在しているのか、定期的に検査しながら生き方を考えていく必要がある。

以下に45bq/kgの汚染を受けたラットの臓器データを挙げる。

45bq/kgでは、細胞中のミトコンドリアがほぼ原形をとどめないほどにダメージを受け、酵素活性が半分以下に落ちて体力の著しい低下がみられる。実際に同程度の汚染があった人間の臓器でも同様の事が起きている。その他、筋繊維断裂、筋肉間浮 腫、びまん性心筋細胞溶解などの症状。

45bq/kgとは、ある程度の汚染地帯に住んでいる人にはよくみられる程度の汚染。一般に体内汚染が5bq/kgの場合、15%に心電図異常が生じてくる。12-25bq/kgでは60%に異常。30bq/kg以上になると代謝異常が生じ、心筋に顕著な影響が起こってくる。

100bq/kgではほぼ100%で心臓に異常が出る。放射能原因による死者のうち、99%に何らかの心筋障害があらわれる結果となっている。

体内が放射能に一定程度汚染されると、多臓器に影響が出るが、中でも腎臓への影響は看過できない。腎臓が汚染されることにより、体内から放射性物質を排出する力そのものが弱くなり、体内への放射性物質の蓄積が深刻化してくる。

長く汚染地帯に住み続けている人の多くは腎不全を発症するとされている。このように、セシウムが体内にとどまることで、全身に深刻な影響が出る。

放射能の影響と考えないと、説明できないような事象がおこってくる。そのほか、セシウムを取り込むことによって免疫力の低下、中枢神経の破壊、ホルモンバランスの崩れなどが起こり、また、同時多発的に臓器の不全が起こり、突然死として現れるケースも多い。

おおむね、体内のセシウム量が25-30bq/kg程度に達すると様々な症状が表面化してくる。50bq/kgになると重篤な症状になる。これは放射能対策を考える上で非常に重要で、特に内部被曝の脅威を甘く見ることだけは絶対に避けなければならない。

質疑応答

Q、ペクチンの効用について。

A、ペクチンは体内の必須栄養素まで排出する作用があるため、実際に使用できる期間は短く、根本的解決にはならない。また、排出作用は認められるものの、それに全てを頼るのは非常に危険が大きい。一番は身体に取り込まないこと。これを徹底すること。

Q、食品基準の妥当値は?

A、 ベラルーシでは子供で37bq/kgの基準値だが、これはあまりにも緩すぎる基準値と言わざるを得ない。セシウムは微量の摂取でも必ず体内に蓄積されるので(腎臓機能が弱り排出されない)、1bqといえども摂取しないことを強く勧める。

Q、1日当たりの摂取許容限界量は? 

A、全くのゼロがいいが、現実問題として難しい。大事なのは汚染地域(東日本)の食品を避け、料理方法を工夫するなどして出来る限り減らす努力をすること。(木下氏:キノコは全国的に汚染されやすい。そのほかイ ノシシ、シカ、ベリー系は避けて賢明)

Q、目に対する放射能の影響は?

A、ベラルーシベトカ地区の子供たちは、体内汚染50bq/kgの時点で30%が白内障に。そもそも老人病である白内障がこれだけ発症するのは、被曝により栄養の摂取が阻害されることにより体内の老化が急激に進むことによる。

この白内障の調査は’96-’97年にかけての調査であるが、この調査対象となった子供たちのうち、現在も生きている子供たちはほとんどいない。

ベラルーシの高汚染地区出身の若者の証言では、クラスメイトのうち生き残っているのは彼を含めて2人だけとのこと。欧州の医者間でもなかなか信じてもらえないほどの信じがたい事実である。

Q、甲状腺がんの前段階症状は?

A、非常に分かりにくい。甲状腺が腫れる、せきが出るなどの症状が報告されているが、必ずしも当てはまるものではない。3か月に一回程度、定期的なエコー検査を受け、 状態を把握することが一番。

木下黄太氏による質疑応答

現在宮城県は仙台市内で500bq/kg程度、高汚染地区の県南部を除いた地区で1000bq/kgの汚染が平均値として出ている。

現在ミンスクでは2-300bq/kg、キエフで500bq/kgの汚染状況であるが、この程度の汚染値でも深刻な健康被害が出ていることに留意されたい。

この宮城の汚染は東京23区西部、世田谷区等と同程度の汚染。他地域では、山形市や米沢は宮城以上に汚染されている。一関や奥州市、盛岡はこれをはるかに超える高汚染が報告されている。

ベルリンでは誰でも受けられるホールボディカウンタでの被ばく検査機関がある。木下氏の知人女性が受けた、一人はND、もう一人は微量検出(検出限界20bq/kg)。ほとんど気にしなくてよい程度の汚染だと言われたが、フランスのある機関では 念のため半年は妊娠を避けた方が良いと。

日本では尿検査で大体の汚染を調べる方法が現実的。尿検査で出た値×150÷体重 の計算式 で、1kgあたりの大体の汚染値が分かるとされている。現在様々な地区で子供を中心とした検査値が上がってきているが、宮城と山形の子供の汚染値が東京以 上に上がってきている。

原因として、全国各地、世界中の食物が手に入りやすい東京に比べ、地方に行けばいくほど地元以外の食料を 手に入れるのが困難になることが考えられる。尿検査をする人は放射能対策を気にかけている人が多い中、汚染値が上がってきているのはそのような地域的状況 があると考えられる。

先日の調査では、岩手県で尿検査値最大6-7bqの値が出た子供が2人いた(これをkg換算すると体重30kgと仮定したとき、6×150÷30=30bq/kgで、チェルノ時の研究ではすでに健康被害が目に見えて出てくる程度の汚染値に達している)

以上のことから、関東・南東北エリアに住み続けることは、健康を害する相当の蓋然性をはらん でいると言える。もちろん人それぞれの事情があるため全員の避難は不可能だが、住み続けるには、神経質なほどの対策をとって生活していく覚悟が必要。

生きていく上でのプライオリティは何か。そのことを考えずして、安易に汚染地区で生きていくことは、非常に不幸な結果を生むだろう。

特に妊婦、子供、妊娠可能な女性は可能な限り早くこの地を離れることをお勧めする。日本国内であれば、名古屋以西であればほぼ汚染の心配はない。

西に住んだ場合は、キノコや魚などの特に気をつけるべき食料にさえ気をつければ、普通に暮らしていける。病気の不安と闘いながら 不自由な暮らしを強いられるのと、どちらを選択するかの問題。

内部被ばくによる健康被害は、汚染地から少し離れた地域の方が深刻になる傾向にある。少し離れた都市部、仙台などはまさにそれに当てはまる。

少し離れていることで人々の意識が緩くなり、危機感に欠ける傾向にあるため。これを忘れず、ちょっとだけならいいか、という甘えを絶対にやめること。特に子供を持つ方はいくら用心してもやり過ぎることはない。

バンダジェフスキー氏からのメッセージ

皆さんが見舞われた大変な悲劇の中で一番大切なことは、その危険を出来る限り減らす努力をしていくこと。それには強い精神力とたゆまぬ努力が必要です。

まず何よりも、食品から放射能をなくすこと。これには多くの市民が立ち上がり、政府に強く働きかけていくことが必要。特に放射能に弱い子供の食品に関しては早急な対策を求めるべき。

また、大人も子供も定期的な健康診断を必ず行い、自らの汚染状況に応じて、住む場所を変えていく柔軟さをもつこと。日本でもこれから社会運動が 盛り上がって行くだろう。応援している。
 ーーーーーーーーーーーーーーーー
 以下は、このブログ内のC・バズビー氏およびバンダジェフスキー氏関係記事のリンク。

・ C・バズビー氏インタビュー
・ C・バズビー:7/18松戸市講演
・ C・バズビー:7/18質疑応答
・ C・バズビー:7/19岩上インタビュー
・ C・バズビー:7/20自由報道協会
・ 車のエアフィルターと呼吸による内部被曝
・ C・バズビー:平気で嘘をつく科学者に立ち向かおう
・ C・バズビー:御用学者は刑事裁判へ
・ バンダジェフスキー氏インタビュー
・ 米国のウラン弾:被曝が続くファルージャ
・ C・バズビー:臨界も被曝死も隠蔽する政府
・ バンダジェフスキー3/19講演質疑
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