うつ病ではない、「原爆ぶらぶら病」の存在
2012-03-30
放射能安全派の言い分は、「放射能恐怖症のストレスでうつ病が増えている」という代物だ。
これは、「うつ病の診断」が増えている事実を前にした、彼らなりの説明らしいが、現場の医師は患者を治療していけばわかるはずだ。
ただそれでは非常に時間がかかる。放射能の危険を「妄想」と片付ける連中が上にいるならなおさらなのだ。
原爆ぶらぶら病は、特段の原因がないと「うつ病」と診断され、抗うつ剤を投与されるが、それでは治らず悪化する。
低線量内部被曝によって全身の免疫力が非常に低下しているために起きる症状である。放置して無理していると心停止、突然死、出血死などに至る。
放射能の少ないところで、できれば放射能の無いところで、休養し、栄養をとり、回復したら軽い運動で体力と免疫力を回復する。
これ以外、今のところ有効な治療はない。おかしな抗うつ剤投与などは全身状態を悪化させる。
初期症状が感じられたら、決して無理せず、自分の身を守ることです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
東北でぶらぶら病出現か 3/28 院長の独り言から
福島でうつ病などと診断、原発事故と関連3割超
東京電力福島第一原発事故後に福島県内の医療機関の精神科や心療内科外来を受診し、うつ病などと診断された患者の3割以上が、原発事故と関連があるとみられることが26日、福島県立医大(福島市)の調査で分かった。
入院患者も、放射線被曝(ひばく)への恐怖が入院と関連しているとみられる割合が全体の4分の1に上った。
県内77施設を対象に、事故直後の昨年3月12日から約3か月間に、毎週1日を抽出し、受診患者の状況を調査。回答のあった57施設で診断された410人を分析した。
医師が原発事故との「関連あり」と診断したのは19・0%(78人)、「関連があるかもしれない」は13・4%(55人)で、合わせて3割以上が事故との関連を示す結果となった。
(2012年3月26日11時52分 読売新聞)
これは、放射能への恐怖から、病気になったという記事です。「放射線恐怖症として」。
原因が思い当たらないのに、何もできない・・・「ぶらぶら病」を私は思い浮かべます。
保険医新聞から
-開業医の先生方にとって被ばくを治療する知識は、どういうものがあるのでしょうか。
肥田 一番マークしなければならない症状は、「非常にだるい」「仕事ができない」「家事ができない」という、原爆症の中で一番つらかった『ぶらぶら病』だ。
-避難者の中でそういう症状が現れれば原爆病・・・。
肥田「ぶらぶら病」という概念にあたる、原因の分からない後遺症。治療法は分からない。命が危険になる病気ではない。周期的にくる。大部分はその人特有の現れ方をする。ぜんそく発作のように、始まると4,5日止まらないとか、何週間、何ヶ月も続くとか、その出方も症状もみんな違う。
いろんな検査をして、広島ではぶらぶら病の患者に対して「病気じゃない。原爆にあったショックの精神障害だからだんだんよくなる」と言うと、他の医療機関を受診し、同じことの繰り返しになる。これが特徴だ。
1989年にアメリカ、ニューイングランド地方を遊説して歩いたとき、私はボストン近郊のボードマン宅をたずね、被爆者医療について話し合った。私は広島・長崎原爆の被爆者の多くに起こったぶらぶら病症候群を話し、彼は病名のつかない不定愁訴を訴える多くの被曝米兵がいることを話した。
彼は「未完だが、アメリカの若い医師に読ませる低線量放射線被害者の手引き書にする」と、タイプで打った"Radiation Impact"を差し出し、私はぶらぶら病の記載のある民医連の国連への報告書を差し出した。
かれはそれを持って部屋を出て行って、しばらく帰ってこなかった。私は疲れが出てうとうとしていた。
突然、わーっと言う大声に驚いて目を開くと、ボードマンが私の渡した報告書を高く掲げて、「ここあった!私の欲しいものが広島にあった!」と声を出しながら部屋に入ってくると、いきなり私に激しく抱きついた。
彼は報告書の「原爆ぶらぶら病」の項を指さし、今までの医学書に記載のなかった「ブ、ラ、ブ、ラ、シンドローム(症候群)」がはっきり書かれている。私はこれが欲しかった」となかなか興奮が収まらなかった。参考の為、報告書のその部分を抜粋しておく。
『広島・長崎の原爆被害とその後遺-国連事務総長への報告』
II-2 被害の医学的実態
(2)後障害
(g)原爆ぶらぶら病(当時はまだ症候群とは読んでいなかった)
原爆症の後障害のうちで、とくに重要と思われるものに「原爆ぶらぶら病」がある。
被曝後30年を超えた今日まで、長期にわたって被爆者を苦しめてきた、「原爆ぶらぶら病」の実態は、次のようなものである。
i. 被曝前は全く健康で病気一つしたことがなかったのに、被爆後はいろいろな病気が重なり、今までもいくつかのない造形慢性疾患を合併した状態で、わずかなストレスによっても症状の増悪を表す人びとがある(中・高年齢層に多い)(中略)
ii.簡単な一般健診では以上が発見されないが、体力・抵抗力が弱くて「疲れやすい」「体がだるい」「根気がない」などの訴えがつづき、人並みに働けない為にまともな職業に就けず、家事も十分にやってゆけない人びとがある(若年層・中年層が多い)
iii.平素、意識してストレスを避けている間は症状が固定しているが、何らかの原因で一度症状が増悪に転ずると、回復しない人びとがある。
iv.病気にかかりやすく、かかると重症化する率が高い人びとがある。
以上に示すように「原爆ぶらぶら病は」その様態が明らかでなく、「被爆者の訴える自覚症状」は、頑固で、ルーチンの検査で異常を発見できない場合が多い。(後略)
原爆症の中で、特に辛かったのをあげるならば、それは「原爆ぶらぶら病」ではないだろうか。
極度の倦怠感である。私の場合四六時中、何十年も続いた。あまりのつらさに、私は夜寝るときに神に祈ったこともある、「明日の朝、めが覚めませんように」。
医師に懇願したこともある、「一日でも一時間でもいいから、さわやかで軽い身体にしてください」。
それが放射能の内部被曝によるモノだと知ったのは、ずっと後になってからであった。
もし発病初期に体の怠さを感じたら、何よりもまず休養して栄養をとることが肝腎である。無理を押して仕事をするものは、へたな植木屋が移植した松の木のように、次第に気力を失って生命を絶っていく。小畠村の隣村でもその隣の村でも、被曝を免れたつもりで広島から至極元気で帰郷して、一ヶ月か二ヶ月ぐらい根を詰めて働いていたものは、一週間か十日ぐらい床について死んでしまった。発病が身体の一局部に現れると、この病気特有の痛みを感じ、肩や腰の痛みも他の病気とは比較しがたい症状である
この症状は、慢性疲労症候群(CFS)、湾岸戦争症候群とも重なります。
単なる鬱病としてしまって良いのでしょうか。
◆関連ブログ
放射能と人体(8)ブラブラ病以外の被曝症状とは?2011年12月22日
われわれは原発事故にどう対処すればよいか(肥田舜太郎氏)2011年06月26日
放射能と人体(3)核の本質-内部被曝2011年11月14日
これは、「うつ病の診断」が増えている事実を前にした、彼らなりの説明らしいが、現場の医師は患者を治療していけばわかるはずだ。
ただそれでは非常に時間がかかる。放射能の危険を「妄想」と片付ける連中が上にいるならなおさらなのだ。
原爆ぶらぶら病は、特段の原因がないと「うつ病」と診断され、抗うつ剤を投与されるが、それでは治らず悪化する。
低線量内部被曝によって全身の免疫力が非常に低下しているために起きる症状である。放置して無理していると心停止、突然死、出血死などに至る。
放射能の少ないところで、できれば放射能の無いところで、休養し、栄養をとり、回復したら軽い運動で体力と免疫力を回復する。
これ以外、今のところ有効な治療はない。おかしな抗うつ剤投与などは全身状態を悪化させる。
初期症状が感じられたら、決して無理せず、自分の身を守ることです。
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東北でぶらぶら病出現か 3/28 院長の独り言から
福島でうつ病などと診断、原発事故と関連3割超
東京電力福島第一原発事故後に福島県内の医療機関の精神科や心療内科外来を受診し、うつ病などと診断された患者の3割以上が、原発事故と関連があるとみられることが26日、福島県立医大(福島市)の調査で分かった。
入院患者も、放射線被曝(ひばく)への恐怖が入院と関連しているとみられる割合が全体の4分の1に上った。
県内77施設を対象に、事故直後の昨年3月12日から約3か月間に、毎週1日を抽出し、受診患者の状況を調査。回答のあった57施設で診断された410人を分析した。
医師が原発事故との「関連あり」と診断したのは19・0%(78人)、「関連があるかもしれない」は13・4%(55人)で、合わせて3割以上が事故との関連を示す結果となった。
(2012年3月26日11時52分 読売新聞)
これは、放射能への恐怖から、病気になったという記事です。「放射線恐怖症として」。
原因が思い当たらないのに、何もできない・・・「ぶらぶら病」を私は思い浮かべます。
保険医新聞から
-開業医の先生方にとって被ばくを治療する知識は、どういうものがあるのでしょうか。
肥田 一番マークしなければならない症状は、「非常にだるい」「仕事ができない」「家事ができない」という、原爆症の中で一番つらかった『ぶらぶら病』だ。
-避難者の中でそういう症状が現れれば原爆病・・・。
肥田「ぶらぶら病」という概念にあたる、原因の分からない後遺症。治療法は分からない。命が危険になる病気ではない。周期的にくる。大部分はその人特有の現れ方をする。ぜんそく発作のように、始まると4,5日止まらないとか、何週間、何ヶ月も続くとか、その出方も症状もみんな違う。
いろんな検査をして、広島ではぶらぶら病の患者に対して「病気じゃない。原爆にあったショックの精神障害だからだんだんよくなる」と言うと、他の医療機関を受診し、同じことの繰り返しになる。これが特徴だ。
1989年にアメリカ、ニューイングランド地方を遊説して歩いたとき、私はボストン近郊のボードマン宅をたずね、被爆者医療について話し合った。私は広島・長崎原爆の被爆者の多くに起こったぶらぶら病症候群を話し、彼は病名のつかない不定愁訴を訴える多くの被曝米兵がいることを話した。
彼は「未完だが、アメリカの若い医師に読ませる低線量放射線被害者の手引き書にする」と、タイプで打った"Radiation Impact"を差し出し、私はぶらぶら病の記載のある民医連の国連への報告書を差し出した。
かれはそれを持って部屋を出て行って、しばらく帰ってこなかった。私は疲れが出てうとうとしていた。
突然、わーっと言う大声に驚いて目を開くと、ボードマンが私の渡した報告書を高く掲げて、「ここあった!私の欲しいものが広島にあった!」と声を出しながら部屋に入ってくると、いきなり私に激しく抱きついた。
彼は報告書の「原爆ぶらぶら病」の項を指さし、今までの医学書に記載のなかった「ブ、ラ、ブ、ラ、シンドローム(症候群)」がはっきり書かれている。私はこれが欲しかった」となかなか興奮が収まらなかった。参考の為、報告書のその部分を抜粋しておく。
『広島・長崎の原爆被害とその後遺-国連事務総長への報告』
II-2 被害の医学的実態
(2)後障害
(g)原爆ぶらぶら病(当時はまだ症候群とは読んでいなかった)
原爆症の後障害のうちで、とくに重要と思われるものに「原爆ぶらぶら病」がある。
被曝後30年を超えた今日まで、長期にわたって被爆者を苦しめてきた、「原爆ぶらぶら病」の実態は、次のようなものである。
i. 被曝前は全く健康で病気一つしたことがなかったのに、被爆後はいろいろな病気が重なり、今までもいくつかのない造形慢性疾患を合併した状態で、わずかなストレスによっても症状の増悪を表す人びとがある(中・高年齢層に多い)(中略)
ii.簡単な一般健診では以上が発見されないが、体力・抵抗力が弱くて「疲れやすい」「体がだるい」「根気がない」などの訴えがつづき、人並みに働けない為にまともな職業に就けず、家事も十分にやってゆけない人びとがある(若年層・中年層が多い)
iii.平素、意識してストレスを避けている間は症状が固定しているが、何らかの原因で一度症状が増悪に転ずると、回復しない人びとがある。
iv.病気にかかりやすく、かかると重症化する率が高い人びとがある。
以上に示すように「原爆ぶらぶら病は」その様態が明らかでなく、「被爆者の訴える自覚症状」は、頑固で、ルーチンの検査で異常を発見できない場合が多い。(後略)
原爆症の中で、特に辛かったのをあげるならば、それは「原爆ぶらぶら病」ではないだろうか。
極度の倦怠感である。私の場合四六時中、何十年も続いた。あまりのつらさに、私は夜寝るときに神に祈ったこともある、「明日の朝、めが覚めませんように」。
医師に懇願したこともある、「一日でも一時間でもいいから、さわやかで軽い身体にしてください」。
それが放射能の内部被曝によるモノだと知ったのは、ずっと後になってからであった。
もし発病初期に体の怠さを感じたら、何よりもまず休養して栄養をとることが肝腎である。無理を押して仕事をするものは、へたな植木屋が移植した松の木のように、次第に気力を失って生命を絶っていく。小畠村の隣村でもその隣の村でも、被曝を免れたつもりで広島から至極元気で帰郷して、一ヶ月か二ヶ月ぐらい根を詰めて働いていたものは、一週間か十日ぐらい床について死んでしまった。発病が身体の一局部に現れると、この病気特有の痛みを感じ、肩や腰の痛みも他の病気とは比較しがたい症状である
この症状は、慢性疲労症候群(CFS)、湾岸戦争症候群とも重なります。
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