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旧・内務省の亡霊が支配する日本

 「いくらなんでも」と思われるかも知れない。
 だが、現在この国を支配する官僚機構が少なくとも明治以来の組織的な蓄積であること。政党政治を打倒して中国侵略に突き進み、さらに戦時総動員体制を固めてきたこと。敗戦後はGHQ米国がその機構、特質を利用してマスコミと共に温存し、支配に活用されてきたものであることを考慮すると、疑い得ないものがある。

 2009年の政権交代からこの大震災と原発事故を経て、今に至る官僚機構(省庁官僚と大手マスコミ、経団連、電力などを含む)の対応は、まさしく政党政治を潰して官僚統制を進め、そのことで米国のかいらい自治政権の役割を完遂しようとしている。

 つまり、この官僚機構という権力構造は明治以来の組織力量を蓄積した存在であり、その旧軍なき現在の中心勢力は、旧・内務省から枝分かれした省庁ではないか。彼らの関心事はもちろん国民ではなく。この省庁間の権力利害に他ならないのではないだろうか。
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  旧・内務省の亡霊が支配する日本   3/22  「闇株新聞」から

 本誌では何度も、いろんな事件(経済事件だけとは限りません)の背景を考える時には官僚組織の理解が不可欠であると書いてきました。

 官僚組織とは、701年に藤原不比等(注)によって制定された大宝律令でその原型が作られ、以来1300年以上にもわたって生き続けているのです。日本に議会政治が導入されてから122年目、自由民主党政権が出来てから57年目、現在の民主党政権はわずかに3年目で、全く「ケタ」が違うのです。しかし、この辺から書くと長くなるので省略します。

(注)教科書では編集責任者が皇族の刑部親王となっています。「権威」を借りる体質はそのころからあったのです。藤原不比等については昨年5月16日付け「書き換えられた歴史・藤原氏の正体 その1」、5月17日付け「同、その2」、5月18日付け「同、その3」に書いてあります。

 別に今の官僚組織まで藤原氏が牛耳っているわけではないのですが、その体質・考え方・生き方などは見事に1300年以上受け継がれてきているのです。

 現在の最強の官僚組織とは、国家の資金を扱う旧・大蔵省と、独立した公訴権を持つ検察庁(法務省)であることは間違いなく、経済事件を考える時には常に頭に入れておかなければなりません。また、この両者の「関係」が常に微妙に変化していることも重要です。昨年9月6日付け「旧・日債銀の経営陣への無罪判決とその背景 その2」にその一端を書いてあります。

 オリンパス事件は、この両者の関係だけでほぼ説明がつきました。つまり旧・大蔵省の意向により傘下のメガバンク(特に三井住友銀行)の貸付債権の保全を最優先としたのです。事件は「一部経営陣と外部の指南役」の仕組んだ事件として、オリンパスの経営権は見事に銀行出身者を中心とした社外取締役が握りました。検察庁も「海外の報道によって発覚した」責任を追及されることもなくメンツを保てたのです。

 さて、ここからが本題です。

 AIJ投資顧問事件では、事件そのものは非常に単純なのですが、事件化して1ヶ月もたつのに「関係者」は自由に歩き回り、「近々、強制捜査」と「予告」だけが出てくる異常な状態が続いています。

 これについては3月14日付け「AIJ投資顧問へやっと強制捜査の意味するもの」でも書いたように、証券取引等監視委員会から「登録取り消し」の行政処分の勧告を待って(3月23日予定)登録を取り消し、金融庁の「直接監督下」から外してから「刑事事件化」するためなのですが、実はそれだけでも全部は説明できません。

 ここは、旧・大蔵省と検察庁以外に厚生省(現在は厚生労働省)を考慮に入れて考えなければならないのです。

 厚生省は、戦前まで「官庁の中の官庁」と言われて絶大的な権力を保持していた旧・内務省の「本流」なのです。普通、旧・大蔵省である財務省や金融庁、あるいは検察庁と比べると、厚生省(厚生労働省)の力は落ちると考えられています。

 ところが、そうでもないのです。だから旧・内務省について理解しておく必要が出てくるのです。

 旧・内務省の詳しい解説は次回にするとして、非常に象徴的な現在進行形の「事件」を1つだけ挙げておきます。

 昨日(3月19日)、政治資金規正法違反で検察審査会の起訴決議により強制起訴されていた小沢一郎・元民主党代表の裁判が結審しました(判決は4月26日)。

 これについては、ちょっとした事情があるためコメントしませんが、そもそも強制起訴を決めた検察審査会へ提出した捜査報告書に明らかな虚偽が含まれていたことが明らかになってきています。しかしこれに対する検察庁の対応が、2010年9月の郵便不正事件で証拠を改竄した担当検事を逮捕した時の「迅速さ」「深刻さ」と全く違い、問題視する気配すら見えないのです。

 どちらもその背景(どこまでが了承していたかなど)は絶対に明らかにされないとしても、問題の重要性・悪質性は全く同質のものであるはずです。

 その対応の違いは、郵便不正事件はターゲットが厚生労働省(繰り返しますが厚生省は旧・内務省の本流なのです)の高級官僚であったのに対し、小沢一郎氏は高級官僚ではないところから来ているのです。

 確かに小沢氏は有力政治家で、官僚組織が「仮想敵」とみなしていることも重要なのですが、そもそも郵便不正事件では検察庁が「高級官僚」を「被害者」にしてしまい、さらにその高級官僚が厚生労働省であったことが検察庁の「迅速に」かつ「全面的に非を認めた」ことの根本的理由だと思うのです。

 「全面的に非を認めた」といっても実行者の元・担当検事と元上司(2人)だけを切り捨てて組織としての検察庁を守っただけなのですが、高級官僚ではない小沢氏に関しては「全く同質の改竄事件」であるにもかかわらず、全く気にしていないのです。

 「いくらなんでもそんな」と考えられると思いますが、もっと旧・内務省について考えてみる必要がありそうです。

 内務省とはどういう官庁だったのでしょうか?

 内務省は明治維新直後の1873年に設置され、当初は大蔵省・司法省(現在の法務省)・文部省の所管事項を除く内政の全般を管轄していました。その後、農林省・運輸省・逓信省(後の郵政省)が分離していくのですが、ずっと地方行政・警察・土木・衛生などの重要な内政部門を管轄していました。

 当時は、各道府県知事は内務省が任命しており、内務官僚がそのまま任命されることが多かったようです。また警察部門では国家警察と首都警察である警視庁を内務省が直接管轄し、地方警察は各道府県知事を通じて間接的に管轄していました。また土木部門はもちろん公共事業関連で、衛生部門は医療・薬事関連と、多くの利権が集中していました。

 第二次世界大戦が近づくと防空・国土計画も管轄するようになり、国家総動員法や治安維持法の元締めとなり、悪名高い特別高等警察も管轄していました。つまり軍部と並ぶ(あるいはそれ以上の)強力な官庁だったのです。

 終戦後の1947年に、内務省はGHQによって解体されました。管轄していた地方行政は自治省(現在の総務省)に移管されたのですが、地方行政で最も重要なことは各道府県知事が公選によって選ばれるようになったことです。また警察は国家行政組織の警察庁と地方組織の警視庁(東京都)と道府県警察に分けられました。また土木部門は建設省を経て現在の国土交通省へ、衛生部門は厚生省(現在は厚生労働省)に移管されています。

 しかし非常に重要なことは旧・内務省が管轄していた数多くの利権は、分離されてもそのまま内務省系の各省庁に引き継がれているのです。

 年金制度は厚生労働省の管轄なのですが、そもそも国民年金制度が導入されたのは1940年代であり内務省が解体される直前のことでした。しかしその管轄は当然のように内務省から厚生省(現在の厚生労働省)に移管されて現在に至っているのです。

 現在の官僚組織において旧・内務省が優遇されている点として、官僚のトップである内閣官房副長官(事務担当)は歴代・旧内務省の警察庁、旧自治省、旧厚生省の次官経験者から選ばれていたのですが、阿部内閣では大蔵省出身の的場氏、現・野田内閣では旧建設省出身の武歳氏となっています。

 それから宮内庁長官も旧・内務省系省庁の事務次官か、それに準じる警視総監経験者が就いています。現任の羽毛田氏は元厚生事務次官です。

 宮内庁については多くを書くつもりはないのですが、天皇陛下および皇族の国事行為の調整を一元的に行い、さらに天皇陛下のご意見の代言すら行っているのです。これは「名誉を配分する権利」であり、考え方によっては強大な利権なのです。

 ここまで言うとこじつけかもしれませんが、小沢氏がかつて中国の習近平国家副主席の来日の際、天皇陛下との会見をゴリ押ししたことがあります。これも官僚(宮内庁も官僚組織です)を敵にまわした理由の1つなのかもしれません。

 つまり現在の官僚組織の中でも、旧・内務省の影響力(亡霊)は想像するよりはるかに強大なのです。

 それでもってAIJ投資顧問事件をもう一度考えてみましょう。つまり旧・内務省の厚生労働省が管轄する年金資産を、旧・大蔵省の金融庁が監督する投資顧問会社が「消滅」させてしまったのです。

 あまり論理的な比較ではありませんが、検察庁が旧・内務省の本流である厚生労働省の高級官僚を「間違って」逮捕して「証拠改竄」までバレてしまった時のような「狼狽ぶり」のはずなのです。官僚組織にとって怖いのは国民でも政治家でもなく、官僚組織の中で力を失うことなのです。

 ある省庁が、ある事件をきっかけに長期にわたって発言力が低下する(もっと分かり易く言うと天下り先を他の省庁に奪われる)ことが結構あり、それが一番怖いのです。何しろ官僚組織は1300年以上続いてきており、凡人の常識では計り知れないヒエラルキー(階層構造)が出来上がっているのです。

 AIJ投資顧問事件では、やはり3月23日の証券取引等監視委員会の勧告を受けて、同日に「登録取り消し」として、やはり同日に証券取引等監視委員会の特別調査課が「強制捜査」をするようです。しかし、この場合の最終目的はあくまでも金融商品取引法違反による逮捕・起訴であり、容疑まで「募集の偽計」と既に発表されています。

 金融庁の最大の関心事(心配事)は、(年金加入者に対してではなく)厚生労働省に対してどのように説明をするか(言い逃れをするか)であり、それによって今後の捜査の方向やルールの変更などが決まってくるのだと思うのです。
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