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情報開示と国民の人権:アムネスティ声明

日本:東日本大震災から1年、問われる国の情報開示と国民の人権 3/15  アムネスティ・インターナショナル

国を巨大な災害が襲うとき、政府と国民の信頼関係が試される。一年前、日本を襲った大地震と巨大津波という2つの自然災害は、この国にその問いを突き付けている。

それにしても、日本政府がM9.0レベルの地震でも人命の損失や家屋の崩壊を最小限に抑えられるような建築基準や、それに関連した制度の実現を目指していたことは、記憶に新しい。2年前、多数の死亡者を出したハイチのM7.0大地震では、復旧が遅々として進まず、今も多くの国民が困窮生活を送っている。このハイチと、今回の東北地震が与えた影響を比較したとき、人権が尊重されている国ほど自然災害の被害は少ないということが言える。

しかしながら、東日本大地震から一年を迎えた今、政府と国民との間には重大な亀裂が生じている。政府と電力業界の異常なほどの緊密な関係により、業界に対する規制は弱体化し、運用は生ぬるくなった。国の監督は不十分であり、非常時のリスクを指摘した内部の者は窓際に追いやられた。実際に災難が降りかからない限り、政府も東京電力も「原発は安全である」という神話を押し通してきた。しかし、2011年3月11日、状況は一変した。

国や省庁と業界の癒着で損失を被るのは、国民である。日本の場合、福島第一原発が立地する地域に暮らす住民に対し、国と原子力業界は、原子力発電は安全であり、発電所はいかなる自然災害にも耐えられると太鼓判を押してきた。これは真実の隠ぺいによく使う、情報操作である。

短期的にも長期的にも大事故を引き起こすリスクを抱える事業には、厳格な規制が不可欠である。原発災害において、放射能拡散の対応に逡巡・遅滞があれば、原発周辺に暮らす人びとを危険にさらし、彼らの生活を脅かすことになる。

福島第一発電所の場合、情報の開示不足は、地震以前の施設の安全性のみならず、事故後の原子炉の状況についても言える。

政府は当初、同原発の6基の原子炉のうち3基がメルトダウンを起こしていることを発表しなかった。また、住民に対する政府の避難命令は遅れた。学校周辺地域の許容放射能レベルの発表には、一貫性がなかった。事態の重大さを推し量ることのできる専門家に、時宜を得た必要な情報を提供することを怠った。ようするに、政府の対応には、住民の安全と健康に対する優先意識がなかったのである。

「表現の自由」の根幹にあるものは、情報を得る権利である。政府は、国民が正確で、時宜にかなった情報を得られるようにしなければならない。災害直後、被災者がさまざまな試練を乗り越えていくには、正確な情報を迅速に得ることが必要不可欠である。しかし、政府の判断と情報の開示が遅れ、住民の生活は脅かされている。

避難民に関する損害賠償の手続きが遅れ、避難している人びとの不満は募るばかりである。政府は、事故から11ヵ月後にあたる今年2月になって、ようやく帰宅基準を発表した。東電には、大惨事となった事故を想定できなかったこと、十分な危機対応ができなかったこと、さらに、原発事故の被害者らに迅速な補償措置をしていないことについて、明らかに責任がある。

国民との信頼関係をどう再構築するのか。政府は、依然として問われている。とはいえ、現在、政府が取るべき行動は明白である。

まず、電力業界を含めた産業界の規制は、真に独立した、実行力のある機関が行うべきである。第二に、予測されうる事故が発生した場合に、地域住民や環境へ及ぼす影響の調査を、専門家からなる、独立した、中立的な委員会に諮問し、その結果を全面開示すべきだ。そして政府はこれらの調査研究に基づき、事態の悪化の防止に向けた行動をとらなければならない。

第三に、政府は危機に際して、国から自治体に、自治体から住民へ迅速な情報伝達が行えるよう、情報を共有できるシステムを構築する必要がある。最後に、政府は政府内で活発な議論を行い、政府や企業に物申したい人びとを含め、市民がその意思を自由に表明できる社会を実現しなければならない。

アムネスティ・インターナショナル
事務総長 サリル・シェティ

アムネスティ・インターナショナル公式声明
2012年3月15日
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