石油価格と通貨防衛のため内戦を仕掛ける欧米
2012-03-08

リビアへの攻撃と転覆で味をしめた欧米帝国主義は、シリア内戦を仕掛け、そしてイランを恐るべき緊張状態に追い込もうとしている。
欧米と湾岸産油国が、利害の一致で仕掛けている攻撃と緊張である。
原油高とドル価値の防衛行動であり、ユーロ防衛が加わっている。
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「アラブの春」と西側での「経済の冬」 3/2 ロシアの声
西側諸国、特に米国は、現在の高い石油価格を保つために、中近東諸国での政治的、軍事的緊張を高めようとしている。
一見そのような結論は驚くべきものに思えるが、今日の市場は非常に興味深い状態にある。普通、石油価格の高騰は、ドル安につながる。
しかし現在、ドルの主要な競合通貨であるユーロは、EU内の債務危機によって、大きな圧力に直面している。それゆえ、ドルは高い水準にとどまったままなのだ。
またドル高は普通、石油価格の高騰につながるが、今の石油価格は安定して100ドルを超えている。これはアラブ諸国およびイランをめぐる緊張した状況によるものだ。
それゆえ、石油の輸入国はその購入のために多額の資金を使っている。その結果、ドル安どころか、ドルの需要が伸びている。
そのような状況のなか、欧米、特に米国は、中東における不安定を維持しようとしているのだ。
政治学者のアンドレ・グロジン氏は次のような意見を示している。
―アラブ諸国は西側の経済発展モデルのなかで、重要な部分となっています。
アラブ諸国は、欧米市場への主要なエネルギー供給国であり、その市場の状況に依存しています。もし現在多くの専門家らが予測しているように、欧米での不況が長引けば、欧米におけるエネルギー需要低下につながります。
それは基本的に燃料価格の低下につながりますが、中東諸国での不安定な状況があるため、そうはなりません。
そしてユーロ安のため、ドル高が維持されます。それ以上ドル高になれば、米国製品が競争力を失うため、それ以上強いドルは米国は必要としていません。
結果的に、米国の連邦準備制度にとっても、湾岸諸国にとっても都合のよい状況が生まれ、石油からの高い収益によって、政治的影響力が高まるのです。
またグロジン氏は、「アラブの春」との関連性について、次のように述べている。
―現在、多くの人は、昨年のアラブ世界での大きな動きが、西側諸国によって利用されたことに気がついています。
米国といくつかの欧州諸国は、いくつかの組織およびインターネットを利用して、また軍事的な直接の圧力を通して、アラブ世界での感情を煽り立てました。
西側の目的は、純粋に政治的なものです。つまり、アラブ諸国民の機運を西側にとって有利な流れに誘導し、最も信頼できる同盟国を可能な限り安全にして、頑固な国々に打撃を与えるということです。
それらすべては達成されました。いまや、その経済的プラスを計算する時期になったわけです。
現在、シリアへの軍事侵攻およびイランへの攻撃が議論されているなか、誰も、ドルの真の価値について関心を持っていない。ドルがあれだけ大量に印刷されたことを忘れてしまっているのだ。
またユーロにとっても好都合だ。シリアでの戦争やチュニジア、リビア、エジプトでの政治危機は、ユーロの需要を高めるものだからだ。「欧州・地中海協力」とはまさにこのようなことだったのだろうか。
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