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もうすぐ北風が強くなる

イラン経済封鎖で政府転覆を狙う米国

 イランを先制攻撃したいイスラエル。ホメイニ革命以来、イランのイスラム政権転覆を果たしたい米国。
 イスラエル単独攻撃は、人造シオニスト国家の自滅につながるだけだろう。
 世界のユダヤ人にとって好ましいことではない。

 リビアで味をしめた米英仏は、イスラム政権の転覆を図っているが、強力なイスラム革命の防衛隊が組織された「大国イラン」は、そう簡単に転覆できるとは思われない。
 ホルムズ海峡危機を煽る状態で緊張を持続させる可能性が強い。
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原油の大動脈「ホルムズ海峡」封鎖はあるか?世界を引き裂くイラン核疑惑の帰趨 2/2 山田厚史 ダイヤモンド・オンライン

 ユーロ分裂の危機を抱える欧州の隣で、「イランの核開発疑惑」が世界秩序を根底から揺さぶっている。背景にイスラエルとパレスチナの対立があり、底流には大国による核独占体制の瓦解、キリスト教国による世界支配の終焉という歴史的な潮流がある。

 イランも米国も戦争は望んではいないが、互いに手詰まりで、解決の糸口は見えない。切り札のように言われるのが「イスラエルによるイラン核施設への空爆」だが、強行すれば、ホルムズ海峡に機雷がバラ撒かれることを覚悟しなければならない。力による解決は、世界を深刻な危機に突き落とす。

 原油の輸送が途絶え、日本経済は想定外の混乱に曝されるだろう。遠くにあるイランは、「深刻な事態」とされても実感が伴わない。考えたくもない話だが、われわれの暮らしを直撃するリスクを秘めている。

  「米国の都合」優先がもたらす矛盾

 昨年9月、イラン南部のブシェールで100万kWの原発が運転を始めた。中東のイスラム国で初めての商業運転だ。イラン政府はさらに2基をここに増設する。「核の平和利用」とされているが、米国などは「核の濃縮を進めようとしている」という疑惑の眼差しを注いでいる。

 原発で核燃料を燃やせばプルトニウムが出来る。原爆の原料だ。狭い日本に54基もの原発を立地しプルトニウムを作り続けている裏には、いつでも核兵器を造れるという潜在的核保有という力を維持する狙いがあった、とも言われている。被爆国の日本は「核兵器開発」を否定し、他国も納得していた。

 イランが「核兵器への転用は考えていない」と言っても、日本と同列に見る国はないだろう。米国の核の傘にある日本と違い、イスラエルと対峙するイランには「核武装」が軍事・外交に直結する事情がある。

 核が手が届かないハイテク技術でなくなったことが事態を複雑にした。広島・長崎で米国が原爆を使ってから、紛争を抱える国家は核兵器に頼るようになった。ソ連、英国、フランスが後を追い、途上国だった中国までも核を持つようになった。そこで始まったのが「核拡散防止条約(NPT)」による抑制だった。「大国の核保有」を既得権にし、新興国の保有を認めないこの条約は、インド・パキスタンによって有名無実化した。

 米国は経済発展著しいインド市場への野心と、アフガニスタンを押さえる要衝としてのパキスタンへの配慮から、両国の核武装を黙認した。現状の核保有体制は「米国の都合」が優先することが明確になった。親米国の核は許されるが、反米国の核は許されない。こうした色分けが米国と関係がこじれた国家に、「なにがなんでも核を」という衝動を呼び起こした。北朝鮮もイランもこの文脈から「核保有国」になろうとしている。

 イランから見れば「好戦的」に映る米国が3万発を超える核爆弾を持ちながら、他国の核を認めないのは理不尽だろう。核保有が確実視されるイスラエルが、査察も制裁も受けていない不平等な現実がある。パレスチナ国家が現実味を帯び一触即発の中東情勢で、イスラエルに対抗する核開発は、イランにとって避けて通れない課題になっている。

 国際原子力機関(IAEA)によるイランの査察が近く始まるが、イランは表向きはともかくとして協力はしないだろう。イランから見ればIAEAは大国の核独占体制を補完する機関で米国の手先である。米国もIAEAでイランを止められるとは考えていない。

  強攻策に出たオバマ大統領の事情

 対イラン経済制裁はそんな事情から始まった。イラン経済の背骨である原油を国際市場から閉め出す。「兵糧責め」である。制裁は他国に呼びかけて包囲網を広げるものだが、今回のやり方は次のようなもので極めて強引だ。

 イランの石油収入はイラン中央銀行が管理している。したがってイラン中央銀行と取引のある銀行は米国内での営業を認めない。自国の銀行が米国内で営業したければ、イランとの原油取引を停止せよ――。

イラン貿易のファイナンスをすれば、イラン中央銀行に口座を持つのは当たり前です。経済がグローバル化しているのにイランと取引のある銀行は米国から閉め出す、と言っているのに等しい」と、メガバンクの担当者は呆れる。WTOが定める公正な市場参入を歪めるような制裁だが、米国が言えば通ってしまうのが今の世界秩序だ。

 無茶を承知で強攻策に出たオバマ政権には切迫した事情がある。大統領選挙の年だからだ。経済の苦境で支持率が低下したオバマにとって、ユダヤ人票の動向は当落を左右する重みを持っている。米国のユダヤ系市民は約600万人といわれ、人口の3%にも満たないが、新聞社・放送局などメディアや金融や不動産などを手がける富裕層に確固たる地位を占めている。結束力を誇る全米ユダヤ協会の推薦は集票と資金に直結する。共和党で有力視される右派のギングリッチ候補がイスラエル支持を鮮明にしているだけに、オバマも親イスラエルを押し出さざるを得なくなった。

 政界を仕切るイスラエルロビーにとって、選挙の年は政策を前進させる好機だ。民主党政権は伝統的にイスラエルと近く、4年前の大統領選挙でユダヤ票はオバマの当選に貢献した。

 イランの核開発阻止はイスラエルの死活問題だけに、オバマも引きずり込まれ、イラン・米国の双方にとって「落としどころ」が見えない危険なゲームにはまってしまった。

  イスラエルによる空爆はあるか?

 そこで言われるのが「イスラエルによる空爆」だ。イスラエルは81年にイラクの原子力発電所を空爆し原子炉を破壊した。イラン・イラク戦争の最中で、イラクはどこから攻撃されたかさえ掴めなかったが、イスラエルが「隣国の核武装を阻止するため」と作戦を公表した。2007年にはシリアが建設中の原子炉を空爆。イスラエルの身勝手な軍事行動は国際的非難を浴びたが、米国が擁護し国連も非難決議だけで、制裁など実効ある措置は取られていない。

 今回も手詰まりを打開するのが「イスラエルの単独攻撃」なのか。それが出来るなら、これまでのように原発が稼働する前に攻撃していたはずだ。パレスチナ問題が国際的に注目され、「軍事的強者」であるイスラエルの振る舞いに、世界が冷ややかな目を向けるようになった今、イラクやシリアでやった離れ業はイラン相手に通用するだろうか。イランは「ペルシャ湾の入り口ホルムズ海峡封鎖」という世界を混乱に巻き込む作戦をほのめかし、イスラエルの武力行使を牽制している。

 イランとオマーンに挟まれたホルムズ海峡は幅30km。遠浅の海でタンカーが往き来できるのは、真ん中を掘った幅2~3kmの航路だけだ。ここに機雷をバラ撒けば原油の大動脈が閉塞される。中東に90%近い原油を依存している日本にとって他人事ではない。原発事故で火力に依存する日本の発電に深刻な影響が出る。価格は跳ね上がるだけでなく、世界は原油の取り合いになり必要量の確保さえ危うくなる。

 イランが原発を稼働しただけで、世界危機の瀬戸際になりかねない軍事行動に出ることは、米国やイスラエルにとっても好ましいことではない。事態は相手の出方を見ながら、膠着状態が続くのでははないか。

  海の時代から陸の時代へ

 辛いのはイランだろう。禁輸や銀行取引の停止で物資の流入が細り、通貨は急落、インフレが起きている。

 イラン中央銀行は1月25日、5年ものの預金金利を年16%を21%に引き上げた。物価上昇は年率20%とされている。庶民は音をあげ、政府も物価を上回る預金金利にしなければならなかった。だが高金利は国内経済を冷やし生産活動を萎縮させる。インフレは政権への不満を募らせる。

 インフレ率20%は公式発表だ。食料品など生活必需品はそれよりも高いだろう。不自由な政治体制への不満と結びつく可能性もあるだろう。強引に見えるイラン制裁で米国が狙っているのは「テヘランの春」である。経済を締め上げて庶民の不満を体制転換に結びつける。リビアでカダフィ政権を倒した手法である。

CIAと革命防衛隊の暗闘が始まった」という声も聞く。民衆の蜂起を演出するCIAの手先と、親米分子を摘発するイラン革命防衛隊がテヘランや地方都市で動き出した、というのだ。

 ジャスミン革命に席巻された「アラブの春」とイランは独裁・非民主という制度は共通しているが大きな違いがある。「政権の腐敗」だ。アラブ国家にありがちな世俗的なイスラム政権と一線を画すイランの原理主義的宗教支配は、確かに息苦しさはあるが、民衆の生活を包み込む強さを持っている。都市を離れればその影響力は決して小さくはない。

 中国・ロシア・途上国の支援もイランにとって心強い。米欧の制裁は海路でイランへの物資を締め上げるだろうが、陸でつながる中国やロシアからの輸送路が拡大するだろう。エコノミストである内閣府参与の水野和夫氏は、「近代は欧米が覇権を握る海の時代だったが、これが終わり、いま陸の時代が始まろうとしている」という。

 近代の総決算である第2次世界大戦後の世界はキリスト教、核兵器、ドルという通貨の三点セットが基軸となった。G7の時代が去り、G20が世界秩序に関与する今、キリスト教国の核と通貨の支配がほころびている。

 大西洋から太平洋に軸を移して延命しようとする海の時代が、ユーラシア大陸を中心とする陸の時代に取って代わるのか。

 未来はまだ見えないが、ユーラシアの真ん中にあるイランが引き裂く世界の混乱から、次のヒントが見えてくるかも知れない。
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