4号機崩壊の予感、滅亡:広瀬隆
2012-03-02
福島第1と浜岡末期的事故の予感 広瀬隆 週刊朝日3月9日号 3/1 「杉並からの情報発信です」から
以下に書くことが”万一”であれば書かないが、フィフテイフィフテイと言われるほど、相当に確立が高い事なので、筆をとることにした。どうも、気 が気ではないことがある。
私は2月初めにフクシマ大事故の連続講演会をした折に、会場の人に向かって、本心からこうお願いした。
[福島第一原発の内部で何か”異常”が起こっているような気がします。皆さん、逃げる用意をしておいてください。ただ逃げるという漠然とした考え ではなく、どのような交通手段をつかって、どこに向かって移動するのかを、きちんと家族で話し合っておいてください。
普通のマスクではなく、放射 性物質の粒子を吸い込まないしっかりとした防塵マスクを、家族全員一人ひとりが常にポケットに入れて生活してください]と。
自分自身、ストレステストの愚かさを、書いたり語ったりしている時ではない様な気がしてならないからである。ひょっとすると、そんな事を議論して いる時間がないかも知れない。その前に、もうすぐ日本が終わるのではないか、という世にも恐ろしい日が目の前に近づいてはいないかと、胸騒ぎがす る。
それは、昨年に爆発した福島第1原子力発電所の4基の原発が、1年経つうちに次第に内部から弱ってきて、大崩壊する可能性があるからだ。
また同時 に、日々の余震を見ていると、静岡県を直撃する東海大震災が、明日にも起こって、浜岡原発の3基が大爆発する日が迫ってきているかも知れないと、 悪夢が頭をよぎるからである。
それは、昨年の3月12日から15日にかけて連続爆発が起こって、日本全土を襲った恐怖よりも、はるかにケタ違いの 放射性物質が放出される”人生最後の事態”である。
本誌の連載45回[揺れる日本列島 数十年続く激動期]で、この余震は何時まで続くかということを解説したたとおり、われわれ日本人は、誠にまずい 時期に生まれあわせてしまったのだ。[地震・雷・火事・親爺]の諺は、まず、一番に地震がこわいという教えである。
福島第1原発は、4基とも危ないが、とりわけ4号機の原子炉建屋は、昨年のプールから生じた水素の大爆発で、ほとんど骨組みしか残らないほど大崩 壊してしまった。
東京電力は、傾いて倒壊寸前のこの建屋のプールを補強するため、応急処置の工事をしたが、それは、何本かのつっかい棒を入れただ けである。その支柱の下は、補強できないまま、実は脆弱な基盤の上に、つっかい棒が立っ
ているという、いい加減な状態のままである可能性が高い。
なぜ完全な修繕にすぐとりかからないのか、東電の判断が、われわれには分からない。
この大気中に向きだしのプールには、不幸にして通常運転で原子炉が抱える[数個分]の使用済み核燃料が入っているとされる。
その量は、10-15年分の運転期間に相当するウラン・プルトニューム燃料が入っているということになる。元日に東北地方・関東地方を襲った地震 のあと、このプールの隣にあるタンクの水位が急激に低下したので、プールに異常が起こったことは容易に類推できる。
さらにその後、1月12日と 23日に、たて続けに、福島第一原発のある浜通りを激震が襲ったので、私は生きた心地がしなかった。
私が福島県内の講演会で語った[逃げる準備をしておきなさい]という危惧は、建屋の屋上階にあるプールが、大型の余震で崩壊してドサッと崩れ落 ち、これらの大量の燃料がむき出しとなって、原発の敷地に転がり出す末期的な事態をおそれててきたからである。
その時、現場には人間がいられなく なる。作業員も東電社員も全員が逃げ出さなければならない。それは1-6号機のすべての事故処理を放り出してしまう事態だから、次々と新たな爆発 を誘発する恐れが多い。
大量の燃料がも燃え出す可能性
ところが東京に帰宅後に読んだのが、先週号で紹介したアーニー・ガンダーセン氏の著書[福島第一原発ー真相と展望](集英社新書)である。
そこに は、明日にでも”日本滅亡”が起こっても不思議ではないことを裏付けるように、この4号機が抱えるトテツモナイ危険性が警告されていたので、ます ます自分の胸騒ぎが本物であると感じるようになった。
私の危惧は杞憂どころではなかった。それより恐ろしいことが起こる可能性があるというのだ。
ガンダーセン氏によれば、大型の余震でプールに亀裂が入り、水が漏れて沸騰してゆけば、燃料棒の金属そのものが燃え出し、この大量の燃料が一挙に 大気中で燃えるという世にも恐ろしい事態になれば、人類史上に経験したことのない事故であり、一切の対策がとれないまま、日本列島が壊滅すること について、論理的な解説がされていた。
私は昨年来、家族には[本気で日本から逃げることを考えておくよう]常々いっているが、彼もまた、[東京の 友人には4号機が崩れれば即座に逃げるよう助言しています]と述べている。
彼は、そのようなカタストロフィーを招く震度7の最大の揺れが起こる確率は低
いとしているが、おそらく昨年来われわれが体験してきた、浜通りを 襲ってき
た震度5や6の続発については、あまり知らないだろう。
こうした中地震の続発がプールのコンクリーに与えてきた疲労は、相当なものに達し ている。したがって彼の知識と、日本人の知識を突き合わせると、大地震でなくとも、コンクリートの亀裂から水が漏れる可能性は高い。
たった今、内部の温度も、中性子も水素もまともに測定できずに、現場を管理している東電ばかりではない。日本のあらゆる原子力関係者は、昨年に4 基まとめて水素爆発が起こるままに放置していた人間ばかりである。
日本人の生命を守るために、こうした事故を未然に防ぐ能力という点で、おそろし く頭が悪いとしか言いようがない。
4号機に何かあれば、私の事故シナリオであれガンダーセン氏の事故シナリオであれ、もう手がつけられない。致死 量を浴びる急性放射性障害によって、バタバタ人間が倒れてゆく事態である。
東電も、真っ青になって震えながら、こんどこそ[直ちに健康に影響が出ますからすぐに早く遠くに逃げてください]と記者会見するはずだ。
一方、国は当面のパニックを避けるために、それを隠そうとするだろう。
富士山周辺の余震が続発している今、浜岡原発を直撃する東海大地震が起こって、3基が一瞬で大爆発する可能性も、昨年の大震災前日、3月10日よ りはるかに高くなっている。
電源喪失を論じているヒマはまったくないほど、バタバタと人間が倒れてゆく”日本滅亡”の事態である。今度こそ、どう あっても、私の最悪の予測は外れなければならない。
そのためには燃料棒を取り出し、冷却機能を備えた容器(キャスク)に移し替えて、地震の影響の 少ない場所に保管するしかない。政府はただちに、この国家プロジェクトに取り組むべきだ。
以下に書くことが”万一”であれば書かないが、フィフテイフィフテイと言われるほど、相当に確立が高い事なので、筆をとることにした。どうも、気 が気ではないことがある。
私は2月初めにフクシマ大事故の連続講演会をした折に、会場の人に向かって、本心からこうお願いした。
[福島第一原発の内部で何か”異常”が起こっているような気がします。皆さん、逃げる用意をしておいてください。ただ逃げるという漠然とした考え ではなく、どのような交通手段をつかって、どこに向かって移動するのかを、きちんと家族で話し合っておいてください。
普通のマスクではなく、放射 性物質の粒子を吸い込まないしっかりとした防塵マスクを、家族全員一人ひとりが常にポケットに入れて生活してください]と。
自分自身、ストレステストの愚かさを、書いたり語ったりしている時ではない様な気がしてならないからである。ひょっとすると、そんな事を議論して いる時間がないかも知れない。その前に、もうすぐ日本が終わるのではないか、という世にも恐ろしい日が目の前に近づいてはいないかと、胸騒ぎがす る。
それは、昨年に爆発した福島第1原子力発電所の4基の原発が、1年経つうちに次第に内部から弱ってきて、大崩壊する可能性があるからだ。
また同時 に、日々の余震を見ていると、静岡県を直撃する東海大震災が、明日にも起こって、浜岡原発の3基が大爆発する日が迫ってきているかも知れないと、 悪夢が頭をよぎるからである。
それは、昨年の3月12日から15日にかけて連続爆発が起こって、日本全土を襲った恐怖よりも、はるかにケタ違いの 放射性物質が放出される”人生最後の事態”である。
本誌の連載45回[揺れる日本列島 数十年続く激動期]で、この余震は何時まで続くかということを解説したたとおり、われわれ日本人は、誠にまずい 時期に生まれあわせてしまったのだ。[地震・雷・火事・親爺]の諺は、まず、一番に地震がこわいという教えである。
福島第1原発は、4基とも危ないが、とりわけ4号機の原子炉建屋は、昨年のプールから生じた水素の大爆発で、ほとんど骨組みしか残らないほど大崩 壊してしまった。
東京電力は、傾いて倒壊寸前のこの建屋のプールを補強するため、応急処置の工事をしたが、それは、何本かのつっかい棒を入れただ けである。その支柱の下は、補強できないまま、実は脆弱な基盤の上に、つっかい棒が立っ
ているという、いい加減な状態のままである可能性が高い。
なぜ完全な修繕にすぐとりかからないのか、東電の判断が、われわれには分からない。
この大気中に向きだしのプールには、不幸にして通常運転で原子炉が抱える[数個分]の使用済み核燃料が入っているとされる。
その量は、10-15年分の運転期間に相当するウラン・プルトニューム燃料が入っているということになる。元日に東北地方・関東地方を襲った地震 のあと、このプールの隣にあるタンクの水位が急激に低下したので、プールに異常が起こったことは容易に類推できる。
さらにその後、1月12日と 23日に、たて続けに、福島第一原発のある浜通りを激震が襲ったので、私は生きた心地がしなかった。
私が福島県内の講演会で語った[逃げる準備をしておきなさい]という危惧は、建屋の屋上階にあるプールが、大型の余震で崩壊してドサッと崩れ落 ち、これらの大量の燃料がむき出しとなって、原発の敷地に転がり出す末期的な事態をおそれててきたからである。
その時、現場には人間がいられなく なる。作業員も東電社員も全員が逃げ出さなければならない。それは1-6号機のすべての事故処理を放り出してしまう事態だから、次々と新たな爆発 を誘発する恐れが多い。
大量の燃料がも燃え出す可能性
ところが東京に帰宅後に読んだのが、先週号で紹介したアーニー・ガンダーセン氏の著書[福島第一原発ー真相と展望](集英社新書)である。
そこに は、明日にでも”日本滅亡”が起こっても不思議ではないことを裏付けるように、この4号機が抱えるトテツモナイ危険性が警告されていたので、ます ます自分の胸騒ぎが本物であると感じるようになった。
私の危惧は杞憂どころではなかった。それより恐ろしいことが起こる可能性があるというのだ。
ガンダーセン氏によれば、大型の余震でプールに亀裂が入り、水が漏れて沸騰してゆけば、燃料棒の金属そのものが燃え出し、この大量の燃料が一挙に 大気中で燃えるという世にも恐ろしい事態になれば、人類史上に経験したことのない事故であり、一切の対策がとれないまま、日本列島が壊滅すること について、論理的な解説がされていた。
私は昨年来、家族には[本気で日本から逃げることを考えておくよう]常々いっているが、彼もまた、[東京の 友人には4号機が崩れれば即座に逃げるよう助言しています]と述べている。
彼は、そのようなカタストロフィーを招く震度7の最大の揺れが起こる確率は低
いとしているが、おそらく昨年来われわれが体験してきた、浜通りを 襲ってき
た震度5や6の続発については、あまり知らないだろう。
こうした中地震の続発がプールのコンクリーに与えてきた疲労は、相当なものに達し ている。したがって彼の知識と、日本人の知識を突き合わせると、大地震でなくとも、コンクリートの亀裂から水が漏れる可能性は高い。
たった今、内部の温度も、中性子も水素もまともに測定できずに、現場を管理している東電ばかりではない。日本のあらゆる原子力関係者は、昨年に4 基まとめて水素爆発が起こるままに放置していた人間ばかりである。
日本人の生命を守るために、こうした事故を未然に防ぐ能力という点で、おそろし く頭が悪いとしか言いようがない。
4号機に何かあれば、私の事故シナリオであれガンダーセン氏の事故シナリオであれ、もう手がつけられない。致死 量を浴びる急性放射性障害によって、バタバタ人間が倒れてゆく事態である。
東電も、真っ青になって震えながら、こんどこそ[直ちに健康に影響が出ますからすぐに早く遠くに逃げてください]と記者会見するはずだ。
一方、国は当面のパニックを避けるために、それを隠そうとするだろう。
富士山周辺の余震が続発している今、浜岡原発を直撃する東海大地震が起こって、3基が一瞬で大爆発する可能性も、昨年の大震災前日、3月10日よ りはるかに高くなっている。
電源喪失を論じているヒマはまったくないほど、バタバタと人間が倒れてゆく”日本滅亡”の事態である。今度こそ、どう あっても、私の最悪の予測は外れなければならない。
そのためには燃料棒を取り出し、冷却機能を備えた容器(キャスク)に移し替えて、地震の影響の 少ない場所に保管するしかない。政府はただちに、この国家プロジェクトに取り組むべきだ。
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Re: 地震雲
広瀬隆氏も人間で、数十年にわたって原子力村と闘ってきて、彼らの隠蔽と狡猾さを熟知しているからこそ、恐怖を感じているのだと思います。
地震、火山、防災の研究者は原子力学会とは大違いに、危険を指摘する人が多いようです。
地震、火山、防災の研究者は原子力学会とは大違いに、危険を指摘する人が多いようです。
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