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経済停滞招く消費増税:トッテン

新年早々、野田首相は消費税の増税にあわせて社会保障の改革を推し進めることを国民に発表した。社会保障の改革とは、国民の福祉削減にほかならない。
(ビル・トッテン)

経済停滞招く消費増税

昨年末から日本を含め欧米の先進国といわれる政府の政策をみていると、各国の政府は1929年に始まった経済不況が広まり世界恐慌となったのと同じ状況を招こうとしているかのように思える。

29年の株式市場大暴落で始まった大不況で政府がとったのは緊縮財政であった。政府予算を均衡させるために、政府の支出を削減することである。緊縮財政は失業率の増加をもたらし、失業手当を受ける人は増え、税収は減少する。

今、日本政府は税収を増やすために消費税を10%にしようとしている。しかし所得に占める消費の割合は、高額所得者よりも低額所得者の方がはるかに高く、貧しい人々は所得のほとんどを衣食住にまわしていると言ってもよい。したがって消費税が増税になれば、多くの国民はますます消費を切り詰め、それはさらに経済を停滞させるのだ。企業は新規投資をやめ、職を失う労働者が増え、銀行は貸し渋りをし、政府の緊縮財政により福祉手当が削減される。こうした悪循環により、経済はますます悪化していく。

さらに、消費税を増税しても見込まれる歳入は12.5兆円にしかならないが、昨年、日本政府は円高を是正し、円の対ドル為替レートを下げるために14.3兆円を費やした。日本の99%の経済を犠牲にして1%の輸出企業を助けるために、国家予算の15%に相当する金額を使ったのである。

国民には痛みを押し付けながら日本政府は企業には寛大だ。原子力産業には相変わらず多額の補助金を出している。原発事故の被害者に補償をするのなら、避難を命じられて家や仕事を失った国民に、直接、今すぐに支援をするべきであろう。

また昨年、日系企業が多く進出しているタイを襲った洪水では、日本政府は10億円の支援を行い、操業ができなくなった日系工場のタイ人従業員には、期間限定で特別に日本で就労できるビザを発給したという。生産コストを下げるために拠点をタイに移し、日本人の雇用を減らした企業を支援する一方で、原発事故によって避難し職を失った自国民には救済の手を差し伸べない。

昨年末、政府は米ロッキード・マーチン社製の戦闘機を42機も購入すると発表した。1機当たり99億円で、維持費も入れると総額は1.6兆円になるという。次の大地震がくればどうなるかわからない崩壊寸前の原子炉がある日本で、なぜこのような価値のないものに巨額の国家予算を投じるのか。アメリカ政府と兵器産業を救済するという理由以外に、なにがあるだろう。

1930年代に始まった世界恐慌は、その後、第2次世界大戦へと進んでいった。戦争こそ、経済を復興させるもっとも効率のよい政策だったからだ。原発事故で放射性物質に汚染された土地で放射能と戦いながら多くの日本人が暮らしている。この地を、これ以上の戦場にしてはならない。
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