鍋を持ったヘッジファンドがうごめくか
2012-02-02
ギリシャとユーロの危機もこの世にヘッジファンドと言う者たちがいなくて、売り浴びせも、相場づくりもしないなら、大した危機には発展せずに単なる「不況」で終わるのです。
ところが、この国際金融資本の使用人たちは莫大な資金(ペーパーマネー=電子マネー)を元手にデリバティブ市場でレバレッジを最大に効かせて、インサイダー情報で相場形成をするわけです。
ファンダメンタルス(種々の経済統計指標)の数十倍のショックを信用に与えるわけです。
世界的な大金融資本である、モルガン・スタンレーが不二家の不正情報を掴み、発覚前に売り浴びせをかけていたのは有名です。強欲巨大資本は本気で子ねずみまで食べるのです。これが「強欲」というもの。
過去に書きましたが、政府のいわゆる「為替介入」は米国への財政支援金であると同時に、為替相場を数円下げて1.2週間程度で戻ると言った「定期便」ですので、ヘッジファンドに巨額の利益をもたらしていることが明らかです。
「先行きが自明」な上げ下げこそ、彼らにとっては巨額の「カモネギ」が自分で鍋に入ってきたようなものです。
このところの消費税論議の中でも、政府は不用意な発言、表明が多すぎます。
ヘッジファンドは鍋を用意して待っていることでしょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ヘッジファンドが蠢(うごめ)く 1/31 「闇株新聞」から
本日(1月29日)発売の「日経ヴェリタス」に、あるヘッジファンド代表が「日本国債バブルが崩壊する。それに勝負をかける」と語っているインタビュー記事が出ています。
要するに、「日本の財政赤字が膨らみ経常収支も近く赤字になり、日本国債バブルが18か月以内に崩壊する」というものです。別にその「見立て」に感心したわけでもなく、あまり有名でもない新興ヘッジファンド(著名ヘッジファンドは決して自分の考えを外部に言いません)の「ご託宣」を有難がって掲載している日経新聞を批判するつもりもないのですが、「全く別の危機」を感じました。
まずヘッジファンドの戦略はタイプによってもちろん違うのですが、巨額ファンドの多いグローバルマクロ型とかイベントドリブン型のポジションは驚くほど単純で、誰でも思いつくようなものです。
じゃあ、その「誰でも」と何処が違うのかと言いますと、ポイントで積み上げるポジション金額が尋常ではなく、強靭な精神力でこれを維持し(つまり反対に行った時にオタオタするとか、逆に少し利益が出たらすぐに利食ってしまうとかがありません)、しかし「間違った」と判断すればこれも一気に損切る思い切りの良さなどです。
ただ、これらのファンドにほぼ共通していることは、最大の拠り所が「当局の意向を見透かす」ことなのです。
「見透かす」の意味はいろいろあるのですが、「発表していない情報」や「公式見解と違う本音」などを知ることは当然で、さらに「誰が実質的に仕切っているのか?」や「どの程度、腹が据わっているのか?」や「責任者の失脚の可能性」などまで調査します(そしてこれらの「情報源」はほとんど「当局そのもの」です。おしゃべりが多いようですね)。
有名な例が1992年9月のジョージ・ソロスのポンド売りです。当時、欧州各国はERM(欧州為替相場メカニズム)によって自国の為替相場を一定の範囲に維持することが求められていたのですが、英国はポンドを維持できる経済状況ではなく、早晩ERM離脱(つまりポンドの切り下げ)に追い込まれることは誰にでもわかっていました。
ソロスが尋常でなかったことは、このポンド売りを100億ポンド(1兆数千億円)も仕掛けたことで、そのきっかけはラモント蔵相(当時)の「英国は投機に屈しない。100億ポンドの予算を使ってでも対抗する」との発言でした。どこまで(ポンドを)売れば白旗が上がると敵に教えてしまった致命的ミスでした。
いろいろ前置きが長くなったのですが、今回感じた「全く別の危機」とは、この無名ヘッジファンドの「ご託宣」ではなく、もっともっと巨大な世界の著名ヘッジファンドに「とんでもないヒントを与えてしまっている」ことなのです。
その「ヒント」とは、財政赤字額でもなく国債発行残高でもなく貿易統計でもなく、「当局が増税のために国民に財政危機を喧噪している」ことなのです。
つまりヘッジファンドのポジション(もちろん日本国債のショート)は、日本の当局が自ら「推奨」していることで、かつ最大の国債保有者である銀行は当局の意向を真に受けており、実際に暴落を始めるとサラリーマンの集まりですぐにパニックになるなど、収益がいくらでも拡大する条件が揃っているのです。
「当局」の意向は、もちろん「増税」を国民に納得させるために危機感をあおっているわけで、(さすがに)本当に国債の暴落を望んでいるわけではないはずですが、その行為そのものがヘッジファンドに「有望なチャンス」を提供しているのです。「有望な」とは、リスクに比べて「最大収益」がとんでもなく大きくなる可能性があるものです。
「当局」なり「当局」の意向を受けた野田政権がいたずらに日本国債が暴落すると危機感をあおり、国民資産で問題なく消化されているなどの「主張すべき事実」を国内外に向けて「意識的に伏せている」ため、本来なら問題なく退治できるヘッジファンドに(今のところ僅かではあるもの)「勝算」を提供してしまっているのです。
もちろん、そうなった時に儲けるのは海外のヘッジファンドで、最大の被害者はいつものように日本国民です。つまり官僚による「省益」を「国策」に優先する行為が引き起こしてしまっている「危機」で、当然著名ヘッジファンにはこの辺も「見透されて」いるのです。
「当局」にとって「国民の利益を守る」と「海外から日本を守る」が、せめて「官僚の利権を拡大する」と同じくらい重要なことを認識してほしいのです。
ヘッジファンドが蠢(うごめ)く その2
昨日(1月30日)付け「ヘッジファンドが蠢く」で、増税のための「当局」の財政破綻・国債暴落論が、実はヘッジファンドをはじめとする海外投資家の「日本国債売り崩し」を推奨し、本来は何の問題もない日本国債市場に無用の混乱を与える可能性が出てきていることを書きました。
考えれば考えるほど重要なことなのでこの話題を続けます。海外投資家はヘッジファンドとは限らないのですが、ここではヘッジファンドの中でも特に巨大ファンドの多いグローバルマクロ型とイベントドリブン型を念頭に置いて書いていきます。
これらのヘッジファンドが狙う対象は、まず市場が大きいこと(つまり巨額のポジションが取れること)、ファンダメンタル分析で説明できること(やや分かりにくい表現ですが、例えば財政赤字の大きな日本の国債は空売りするか休むかの二択で、間違っても買いません)、予想最大リスクに比べて予想最大収益が格段に大きいこと(これは後述)、さらに昨日書いたように「当局」も巻き込んだ大掛かりな勝負が出来ることなどです。
例えば2007~8年のサブプライムローンを含むモーゲージ関連債券の大規模空売りは、まさにこのすべての条件に適うものでした。モーゲージ市場の巨人が実質国有のファニーメイやフレディマックで、「当局」へのダメージが膨らむことも予想できたのです。
そして「日本国債の空売り」も、すべての条件に適うのです。
だからヘッジファンドはかなり以前から「日本国債の空売り」を何度も仕掛け、実際はほとんど失敗しているのですが、このような理由で何度も仕掛けてくるのです。これもヘッジファンドの考え方で、仮に利益となる確率が高くなくても利益が上がれば非常に大きいものは何回も狙うのです。まさに勝率より利益の絶対額なのです。
その数少ない成功例が2003年夏のVAR(Value at Risk)ショックと言われる急落です。
2000年以降のITバブル崩壊や米国同時多発テロによる世界不況で、日本の銀行が国債を買い進めて10年債利回りが0.5%以下となり、さらに利回りを上げるためにもっと長期の国債を買い込んだところで利回りが反転(上昇)し、ALMの観点から利回りが上がれば上がるほど大量に売却しなければならず、短期間で10年債利回りが1.4%まで上昇した時です。
しかし銀行もその時の「学習効果」から、現在の保有国債の平均残存年数は4年以下となっており再来の危険性は少ないと言えます。
その代わりに要注意なのは、ヘッジファンドはかなり以前から日本国債の長期(3~5年?)プットオプションを日本の銀行から相対取引で買っています。金額は想像がつきません。
つまり銀行にとって(ヘッジファンドから)受け取るプレミアムは「日銭」となり、仮に利回りが上昇してプットオプションが行使されても、それはそれで良いくらいに考えているのです。
問題はVolatilityがかなり低く設定されていることです。つまり長期の国債オプション市場は参加者が少ないため、ヘッジファンドの「言い値」で売っている可能性があります。それでも受け取るプレミアムは銀行にとって貴重な「日銭」なのです。
しかし、ひとたび国債利回りが上昇(価格は下落)を始めるとVolatilityも上昇するため、銀行が「売っている」プットオプションの価格は急上昇し、そうなるとまたしても利回りが上昇すればするほどプットオプションが行使されることに備えて保有国債を売却しなければならなくなるのです。
ここで重要なことは、日本国債は銀行をはじめとする金融機関で「問題なく」消化されており、その金融機関の資金は日本国民の資産なのです。つまり万一にでも日本国債がヘッジファンドに「売り崩される」ことがあれば、銀行にとっては担当役員のクビくらいで済むのですが巨額の損失を被るのは日本国民なのです。
さらにご丁寧に「国債が暴落すれば預金が封鎖される」というとんでもない議論をするマスコミまでいます。だから早く増税して財政破綻を避けなければならないと言いたいのでしょうが、まったくお話になりません。
そもそも債務者である「当局」は、債権者である国民に向かって「国債は皆様のお陰で順調に消化されており、ご迷惑をおかけすることは全くありません」と本当のことを説明し、同時に債権者である国民のために「債務者の私どもは真剣にコストカットに努め、同時に景気が回復する方策に必死で取り組みます」と言わなければならないのです。
今の債務者「当局」は、債権者の国民に向かって「お前の債権を紙くずにしてほしくなかったら、もっともっと窮乏生活をして金を持ってこい」と言っているようなもので、同時にまたしてもヘッジファンドをはじめとする海外投資家には「巨額の収益チャンス」を提供しようとしているのです。
ここは「オール日本」でヘッジファンドに対抗しなければならないのです。「当局」も本当に国債が売り崩されたら「利権」どころではないことを理解しなければならないのです。
ところが、この国際金融資本の使用人たちは莫大な資金(ペーパーマネー=電子マネー)を元手にデリバティブ市場でレバレッジを最大に効かせて、インサイダー情報で相場形成をするわけです。
ファンダメンタルス(種々の経済統計指標)の数十倍のショックを信用に与えるわけです。
世界的な大金融資本である、モルガン・スタンレーが不二家の不正情報を掴み、発覚前に売り浴びせをかけていたのは有名です。強欲巨大資本は本気で子ねずみまで食べるのです。これが「強欲」というもの。
過去に書きましたが、政府のいわゆる「為替介入」は米国への財政支援金であると同時に、為替相場を数円下げて1.2週間程度で戻ると言った「定期便」ですので、ヘッジファンドに巨額の利益をもたらしていることが明らかです。
「先行きが自明」な上げ下げこそ、彼らにとっては巨額の「カモネギ」が自分で鍋に入ってきたようなものです。
このところの消費税論議の中でも、政府は不用意な発言、表明が多すぎます。
ヘッジファンドは鍋を用意して待っていることでしょう。
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ヘッジファンドが蠢(うごめ)く 1/31 「闇株新聞」から
本日(1月29日)発売の「日経ヴェリタス」に、あるヘッジファンド代表が「日本国債バブルが崩壊する。それに勝負をかける」と語っているインタビュー記事が出ています。
要するに、「日本の財政赤字が膨らみ経常収支も近く赤字になり、日本国債バブルが18か月以内に崩壊する」というものです。別にその「見立て」に感心したわけでもなく、あまり有名でもない新興ヘッジファンド(著名ヘッジファンドは決して自分の考えを外部に言いません)の「ご託宣」を有難がって掲載している日経新聞を批判するつもりもないのですが、「全く別の危機」を感じました。
まずヘッジファンドの戦略はタイプによってもちろん違うのですが、巨額ファンドの多いグローバルマクロ型とかイベントドリブン型のポジションは驚くほど単純で、誰でも思いつくようなものです。
じゃあ、その「誰でも」と何処が違うのかと言いますと、ポイントで積み上げるポジション金額が尋常ではなく、強靭な精神力でこれを維持し(つまり反対に行った時にオタオタするとか、逆に少し利益が出たらすぐに利食ってしまうとかがありません)、しかし「間違った」と判断すればこれも一気に損切る思い切りの良さなどです。
ただ、これらのファンドにほぼ共通していることは、最大の拠り所が「当局の意向を見透かす」ことなのです。
「見透かす」の意味はいろいろあるのですが、「発表していない情報」や「公式見解と違う本音」などを知ることは当然で、さらに「誰が実質的に仕切っているのか?」や「どの程度、腹が据わっているのか?」や「責任者の失脚の可能性」などまで調査します(そしてこれらの「情報源」はほとんど「当局そのもの」です。おしゃべりが多いようですね)。
有名な例が1992年9月のジョージ・ソロスのポンド売りです。当時、欧州各国はERM(欧州為替相場メカニズム)によって自国の為替相場を一定の範囲に維持することが求められていたのですが、英国はポンドを維持できる経済状況ではなく、早晩ERM離脱(つまりポンドの切り下げ)に追い込まれることは誰にでもわかっていました。
ソロスが尋常でなかったことは、このポンド売りを100億ポンド(1兆数千億円)も仕掛けたことで、そのきっかけはラモント蔵相(当時)の「英国は投機に屈しない。100億ポンドの予算を使ってでも対抗する」との発言でした。どこまで(ポンドを)売れば白旗が上がると敵に教えてしまった致命的ミスでした。
いろいろ前置きが長くなったのですが、今回感じた「全く別の危機」とは、この無名ヘッジファンドの「ご託宣」ではなく、もっともっと巨大な世界の著名ヘッジファンドに「とんでもないヒントを与えてしまっている」ことなのです。
その「ヒント」とは、財政赤字額でもなく国債発行残高でもなく貿易統計でもなく、「当局が増税のために国民に財政危機を喧噪している」ことなのです。
つまりヘッジファンドのポジション(もちろん日本国債のショート)は、日本の当局が自ら「推奨」していることで、かつ最大の国債保有者である銀行は当局の意向を真に受けており、実際に暴落を始めるとサラリーマンの集まりですぐにパニックになるなど、収益がいくらでも拡大する条件が揃っているのです。
「当局」の意向は、もちろん「増税」を国民に納得させるために危機感をあおっているわけで、(さすがに)本当に国債の暴落を望んでいるわけではないはずですが、その行為そのものがヘッジファンドに「有望なチャンス」を提供しているのです。「有望な」とは、リスクに比べて「最大収益」がとんでもなく大きくなる可能性があるものです。
「当局」なり「当局」の意向を受けた野田政権がいたずらに日本国債が暴落すると危機感をあおり、国民資産で問題なく消化されているなどの「主張すべき事実」を国内外に向けて「意識的に伏せている」ため、本来なら問題なく退治できるヘッジファンドに(今のところ僅かではあるもの)「勝算」を提供してしまっているのです。
もちろん、そうなった時に儲けるのは海外のヘッジファンドで、最大の被害者はいつものように日本国民です。つまり官僚による「省益」を「国策」に優先する行為が引き起こしてしまっている「危機」で、当然著名ヘッジファンにはこの辺も「見透されて」いるのです。
「当局」にとって「国民の利益を守る」と「海外から日本を守る」が、せめて「官僚の利権を拡大する」と同じくらい重要なことを認識してほしいのです。
ヘッジファンドが蠢(うごめ)く その2
昨日(1月30日)付け「ヘッジファンドが蠢く」で、増税のための「当局」の財政破綻・国債暴落論が、実はヘッジファンドをはじめとする海外投資家の「日本国債売り崩し」を推奨し、本来は何の問題もない日本国債市場に無用の混乱を与える可能性が出てきていることを書きました。
考えれば考えるほど重要なことなのでこの話題を続けます。海外投資家はヘッジファンドとは限らないのですが、ここではヘッジファンドの中でも特に巨大ファンドの多いグローバルマクロ型とイベントドリブン型を念頭に置いて書いていきます。
これらのヘッジファンドが狙う対象は、まず市場が大きいこと(つまり巨額のポジションが取れること)、ファンダメンタル分析で説明できること(やや分かりにくい表現ですが、例えば財政赤字の大きな日本の国債は空売りするか休むかの二択で、間違っても買いません)、予想最大リスクに比べて予想最大収益が格段に大きいこと(これは後述)、さらに昨日書いたように「当局」も巻き込んだ大掛かりな勝負が出来ることなどです。
例えば2007~8年のサブプライムローンを含むモーゲージ関連債券の大規模空売りは、まさにこのすべての条件に適うものでした。モーゲージ市場の巨人が実質国有のファニーメイやフレディマックで、「当局」へのダメージが膨らむことも予想できたのです。
そして「日本国債の空売り」も、すべての条件に適うのです。
だからヘッジファンドはかなり以前から「日本国債の空売り」を何度も仕掛け、実際はほとんど失敗しているのですが、このような理由で何度も仕掛けてくるのです。これもヘッジファンドの考え方で、仮に利益となる確率が高くなくても利益が上がれば非常に大きいものは何回も狙うのです。まさに勝率より利益の絶対額なのです。
その数少ない成功例が2003年夏のVAR(Value at Risk)ショックと言われる急落です。
2000年以降のITバブル崩壊や米国同時多発テロによる世界不況で、日本の銀行が国債を買い進めて10年債利回りが0.5%以下となり、さらに利回りを上げるためにもっと長期の国債を買い込んだところで利回りが反転(上昇)し、ALMの観点から利回りが上がれば上がるほど大量に売却しなければならず、短期間で10年債利回りが1.4%まで上昇した時です。
しかし銀行もその時の「学習効果」から、現在の保有国債の平均残存年数は4年以下となっており再来の危険性は少ないと言えます。
その代わりに要注意なのは、ヘッジファンドはかなり以前から日本国債の長期(3~5年?)プットオプションを日本の銀行から相対取引で買っています。金額は想像がつきません。
つまり銀行にとって(ヘッジファンドから)受け取るプレミアムは「日銭」となり、仮に利回りが上昇してプットオプションが行使されても、それはそれで良いくらいに考えているのです。
問題はVolatilityがかなり低く設定されていることです。つまり長期の国債オプション市場は参加者が少ないため、ヘッジファンドの「言い値」で売っている可能性があります。それでも受け取るプレミアムは銀行にとって貴重な「日銭」なのです。
しかし、ひとたび国債利回りが上昇(価格は下落)を始めるとVolatilityも上昇するため、銀行が「売っている」プットオプションの価格は急上昇し、そうなるとまたしても利回りが上昇すればするほどプットオプションが行使されることに備えて保有国債を売却しなければならなくなるのです。
ここで重要なことは、日本国債は銀行をはじめとする金融機関で「問題なく」消化されており、その金融機関の資金は日本国民の資産なのです。つまり万一にでも日本国債がヘッジファンドに「売り崩される」ことがあれば、銀行にとっては担当役員のクビくらいで済むのですが巨額の損失を被るのは日本国民なのです。
さらにご丁寧に「国債が暴落すれば預金が封鎖される」というとんでもない議論をするマスコミまでいます。だから早く増税して財政破綻を避けなければならないと言いたいのでしょうが、まったくお話になりません。
そもそも債務者である「当局」は、債権者である国民に向かって「国債は皆様のお陰で順調に消化されており、ご迷惑をおかけすることは全くありません」と本当のことを説明し、同時に債権者である国民のために「債務者の私どもは真剣にコストカットに努め、同時に景気が回復する方策に必死で取り組みます」と言わなければならないのです。
今の債務者「当局」は、債権者の国民に向かって「お前の債権を紙くずにしてほしくなかったら、もっともっと窮乏生活をして金を持ってこい」と言っているようなもので、同時にまたしてもヘッジファンドをはじめとする海外投資家には「巨額の収益チャンス」を提供しようとしているのです。
ここは「オール日本」でヘッジファンドに対抗しなければならないのです。「当局」も本当に国債が売り崩されたら「利権」どころではないことを理解しなければならないのです。
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