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もうすぐ北風が強くなる

増税、円高、デフレ恐慌を目指す政府

 マスコミの御用評論家は震災復興効果で景気回復などと、まるで根拠の無いキャンペーンで国民を騙している。
 2012年は失業と窮乏のデフレ恐慌になると言って良いだろう。
 増税、デフレ、円高の三点セットの強化で、国民経済に砲撃を続ける、財務省と日銀。
 一体、これはまともな人間の国家か。
 高橋洋一氏はマネタリストと思っているが、いつも極めて鋭い指摘をしている。
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  民主党マニフェストは総崩れ
  ツケは増税で国民に回る
       12/29  高橋洋一  ダイヤモンド・オンライン

 八ッ場ダム建設中止というマニフェストの目玉が崩れ、民主党から離党者がでた。これから、マニフェストに書かれていなかった消費税増税でも離党者がでるだろう。

 八ッ場ダム建設中止の他にも、予算の組み替え、子ども手当、高速道路無料化、後期高齢者医療制度廃止、ガソリン税暫定税率廃止、天下り廃止、公務員総人件費2割削減、議員定数削減、企業団体献金禁止、米軍普天間飛行場と、2009年の政権交代時に、民主党が掲げたマニフェストは完全に崩壊している。

 政治的にいえば、マニフェストを守れないのは、有権者との約束を守らないので悪いという単純な話である。ところが、経済的に考えると、マニフェストには無理筋とか不合理なものもあるので、守れなくて当然というものもある。

 詳しくは拙著『日本の大問題が面白いほど解ける本』(光文社新書)などを参照してもらいたいが、上に掲げたマニフェスト破りの中では、八ッ場ダム建設中止、高速道路無料化、後期高齢者医療制度廃止、ガソリン税暫定税率廃止は、合理性を欠いた政策であるので、守れなかったのは自業自得である。

 ただ、その他の予算の組み替え、子ども手当、天下り廃止、公務員総人件費2割削減、議員定数削減、企業団体献金禁止、米軍普天間飛行場は一定の合理性があり、やろうと思えばできたはずだ。民主党は国会対策などの技術的な言い訳を並べるが、民主党内の政策決定プロセスの稚拙さ、脱官僚から官僚依存への路線転換などの本質的な要因で崩壊している。

民主党はなぜ予算の
組み換えに失敗したか

 まず予算組み替え。これで20兆円捻出して民主党の新規施策を実行すると豪語した。もし予算組み替えができたのであれば、自公政権時代と基本的には一般歳出増額は同じはずだ。民主党政権も来年度で3回目の予算作成になる。

 そこで自公政権と民主党政権で比較してみよう。自公政権は2001年度から08年度間で小泉政権以降の自公政権から、リーマンショック時の麻生政権を除く決算ベース、民主党政権では2010年度は決算ベース、11年度は2次補正まで。12年度予算は政府案90.3兆円に年金交付国債2.6兆円を加えたものとする。こうすれば、本格的な震災復興経費が除かれて、自公政権と民主党政権の実力ベース比較ができる。

 自公政権の平均歳出総額は83.6兆円、民主党政権の平均94.3兆円で、その差は10.7兆円もある(グラフ1)。
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 その大きな原因は、政権移行時における不手際だ。民主党内人事優先で政権移行チームが作れなったことが敗因だが、特に、2008年8月の総選挙後に、各省から出ていた10年度予算要求を白紙に戻して、予算シーリング枠をかけて代要求させるべきだった。そうすれば、予算組み替えになったはずだ。

 ところが予算シーリングがなかったために、自公時代の施策の上に民主党の施策を上乗せする形になった。その後、行政刷新などで切り込みをトライしたが、実効性がなく頓挫した。翌年から予算シーリングは復活したが、10年度予算で嵩上げされた水準なので「ユルユル」の枠で役人にとっては痛くかゆくもないものだった。

 自公時代に比べて10兆円も緩い予算だったが、官僚が予算既得権を死守したので、民主党マニフェスト施策が次々と放棄されていった。その結果、マニフェストは崩壊したが、歳出総額の10兆円以上の嵩上げは残り、その後始末は増税ということになったのだ。消費税率5%アップで12兆円程度なので、今の消費税増税は、その穴埋めだ。

日銀の政策も
増税路線を後押し

 民主党の後見人は財務省であるが、自分たちの不始末を国民への増税で押しつけるとは情けない。その増税を後押ししているのが日銀である。リーマンショック以降、頑なに金融緩和を先進国中でただ一国拒み続けて、その結果の円高である。

 12月1日の本コラム「超党派議員が開いたシンポジウムで鳩山元総理がぶち上げた日銀法改正論」で明らかにしたように、為替レートと名目GDPにはかなりの相関があり、その結果、為替レートと一般会計税収にもかなりの相関がある。つまり、円安にすると輸出関連企業の収入が増して、一般会計税収が増えるのだ。

 為替レートについては、投資家のソロス・チャートや本コラム(最近では11月4日「為替介入効果が長続きしない理由 日米マネー量の相対比が円ドルレートを左右する」でも紹介してきたが、長期的には2国間のマネタリーベースの比になる。

 であれば、日銀の金融緩和によって、税収を増やせばいいものを、日銀は財務省の増税路線に協力して、決して円安になるほどの金融緩和を行わない。税収が上がると増税を言いづらくなるからだ。

 何より今は円高不況で企業倒産が増している。東京商工リサーチが8日発表した11月の全国企業倒産件数(負債総額1000万円以上)は、前年同月比3.2%増の1095件となり、今年に入り6月(1165件)に次ぐ3番目に多い水準になった。円高を要因とする倒産が月間10件と今年最多になったことを考えると、金融緩和して円安誘導するのが適切な経済政策だが、増税優先でそれを行わない。

財務省・日銀は「日銀引受」という
言葉を「日銀乗換」に言い換え

 その典型例が「日銀引受」だ。本コラムの読者なら、これまでと同様に今年度予算で30兆円も認められており、決して「禁じ手」でないことはご存じだろう。これを活用すれば、復興増税なぞ不要になったわけだが、政府・日銀は国会議決された予算を無視して、活用しなかった。10兆円程度の追加的な日銀引受で為替レートは5円程度上がるので、ドンドンやればいいと思う。

 ところが、予算とともに、来年度の国債発行計画も決まったが、「禁じ手」だと断言され、復興補正の時に使われなかった「日銀引受」が、来年度は16.7兆円になっている。財務省・日銀は「日銀引受」という言葉を嫌い、「日銀乗換」といい、その数字はマスコミでプレーアップされることはない。

 そもそも日銀の金融政策の理解はかなり怪しい。白川総裁はマネタリーベース対GDP比が高いと金融緩和だといい、日本のその水準が欧米より高いから、欧米より金融緩和していると主張している。この議論はデータを無視したお笑い種のレベルだ。日本と欧米を比べると、過去、数十年間も日本のほうが水準は高いままだ(グラフ2)。2000年まで1.5~2倍程度で安定している。
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 白川総裁の言うとおりなら、数十年間も日本が欧米より金融緩和してきたことになる。だが、日本は現金決済取引が多いので、小切手やカード決済などで現金をあまり使わない欧米より高かっただけなのだ。金融緩和かどうかは、マネタリーベース対GDP比の「水準」ではなく「変化」でみなければいけない(グラフ3)。
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 いずれにしても、日銀のデフレ継続・円高指向が財務省の増税路線をサポートして、2011年は終わった。来年は欧州危機が確実だ。増税・デフレ継続・円高指向というマクロ経済運営では、欧州ショックの波に日本経済は飲み込まれて沈没するだろう。
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