fc2ブログ

もうすぐ北風が強くなる

復興増税で家計と企業は窮乏化し財政も破綻

 関連するページ、「なぜデフレなのか、なぜ放置するのか」、「勤労者の窮乏、化は恐慌への道づくり」、「増税の結果はデフレ恐慌、経済社会の自殺」も御覧ください。

 「復興増税」なる政策は家計の窮乏化、企業の減収破綻、そして財政の悪化破綻への導くものである。
 つまり、現在進行しているデフレスパイラル(賃金下降-需給ギャップ拡大の縮小循環)に財政も加える結果となる。
 財政の悪化循環となり、増税の拡大循環を作り出すだろう。

 喜ぶのは日本の資金をあてにする、欧米を支配する国際金融資本だけである。 

増税の意味すら知らない政治家たち   10/13  三橋貴明 Klugから
 (※なお、文中に報道から引用されている大和総研の試算はこちらのレポート(年収階層別の詳しい試算表がある):もうすぐ北風)

 民主党政権は東北大震災の復興予算(第三次補正予算)成立に際し、「復興増税」という人類史上空前の愚行に乗り出そうとしているわけだが、現実に増税が実施されたら国民経済(国民生活ではない)はどうなるだろうか。


『2011年10月6日 朝日新聞「2年後の手取り、60万円減も 増税案など前提に試算」

 東日本大震災の復興増税や厚生年金保険料の引き上げ、子ども手当の見直しなどでサラリーマンの手取り額は2年後に年13万~60万円減る――。そんな「負担増」の試算を大和総研がまとめた。

 2013年1月から10年間、所得税額を4%上乗せするなどとした復興増税の政府・与党案を前提に、夫婦と子ども2人世帯で試算した。厚生年金保険料率は04年の制度改正で、17年度まで毎年0.177%ずつ段階的に引き上げることが決まっており、年収1千万円以下では復興増税よりも負担増額が大きかった。

 子ども手当の見直しでは、来年6月から年収960万円程度を境に、全額支給の対象から外れる。与野党はこうした所得制限世帯への影響を和らげる対策を検討中だが、今回は年収1千万円以上は手当ゼロで試算。その影響で手取り額が大きく減り、11年と比べた合計の減少率は年収1千万円の世帯が最大だった。』


 野田首相をはじめとする現在の民主党首脳部は、増税や税金の意味すら理解していないとしか思えない。以前も掲載した図で恐縮だが、税金とはマクロ経済の視点からいえば、「GDP(名目GDP)から政府に分配された所得」という意味を持つ。

【図123-1 全ての源泉はGDPである】
20111011_01.png

 政府は国民の所得の合計であるGDPから(分配面のGDPで考えると分かりやすい)、まずは「生産・輸入品に課せられる税」として所得の分配を受ける。代表的なものは、いうまでもなく消費税だ。さらに、国民に分配された所得(雇用者報酬、営業余剰)から、所得税や法人税を徴収していくことになる。結果的に国民の手元に残されたお金が、可処分所得、別の表現をすると「手取り」となる。

 家計や企業は可処分所得の一部を貯蓄に回し、残りを新たな支出(消費や投資)に使うことになるわけだ。消費や投資として支出されたお金は、次の段階のGDPとして統計に積み上がっていく。

 いずれにしても、政府の税収の原資は名目GDP以外にはない。税率が同じと仮定すると、名目GDPが順調に成長している時期は、政府の税収は放っておいても増えていく。逆に、名目GDPが減っている時期には、政府はどのように足掻いても減収になってしまうのだ。

 政府の税収を式で表すと、以下になる。

 ◆税収=名目GDP × 税率 × 税収弾性率

税収弾性率とは、名目GDPが1%増えた際に、税収が何%増えるかを示す指標である。

 例えば、現在の日本において、名目GDPが成長をし始める、すなわち好景気になると、赤字を続けていた企業が法人税を払い始める(何しろ、現在は法人企業の七割が赤字であり、法人税をまともに払っていない)。

 あるいは、好景気で雇用環境が改善し、失業者が就職すると、所得税を払い始めることになる。結果、今の日本で名目GDPが成長を始めると、税収は経済成長率以上に伸びることになるわけだ。

 参考までに、現在の日本の税収弾性率は3~4と言われている。名目GDPが1%成長すると、政府の税収は3~4%増えることになるのである。

 税収弾性率3~4というのは、比較的高い数値だ。とはいえ、日本の税収弾性率が高いのは、深刻なデフレ不況で法人税を支払っている企業が少ないことや、所得税を払わない(払えない)国民が多いことに起因しているため、全く嬉しい話ではないのだが。

 上記とは逆に、景気が悪くなる、すなわち名目GDPがマイナス成長になると、それまで法人税を払っていた企業が赤字になり、税金を払わなくなる。また、所得税を支払っていた国民が失業し、やはり税金を払わなくなるわけだ。結果、税収は名目GDPのマイナス以上の率で減ることになる。

 いずれにせよ、政府の税収は名目GDP次第であるということに代わりはない。

 図123-1の通り、国民(家計と企業)は可処分所得から消費や投資を行い、新たなGDPを形成することになる。その大元である可処分所得が減ってしまった場合、100%の確率で翌年の国民による消費や投資は減る。

 もっとも、高インフレ率やバブルで悩んでいる国は、国民の消費や投資を減らすためにこそ、増税をすべきなのだ。無論、現在の日本の環境はそうではない。

 また、可処分所得が減った国民は、「減った分の消費や投資を減らす」のみならず、将来不安を覚え、GDPと無関係な貯蓄の割合を増やす可能性すらあるのだ。貯蓄性向が上がると、可処分所得の減少率以上に、翌年の消費や投資が減ることになる。

 いずれにせよ、国民の消費や投資が減れば、名目GDPはマイナス成長になり、政府は減収になる。結果、東北大震災の復興国債の償還が、中期的には困難になっていくことになるだろう。

 すなわち、現時点の日本が増税を行い、国民の可処分所得を減少させると、

 1.名目GDPが減ることによる減収効果
 2.税収弾性率による減収効果

 と、二重の意味で政府は減収圧力に晒されることになるわけだ。

 すると、日本政府の財政は更なる悪化に見舞われ、増税至上主義である財務省は、再びマスコミを使い、
「政府の財政がこんなに悪いのです。将来世代にツケを残さないためにも、増税しましょう」
 とキャンペーンを仕掛けてくるため、まさしく我が国は「増税無間地獄」の中に放り込まれることになる(すでになっているわけだが)。

 ここで、過去の日本における名目GDPと税収の関係を見てみよう。

【図123-2 日本の名目GDP(左軸)と政府の租税収入の推移(単位:十億円)】
20111012_02.png
出典:内閣府、財務省

 97年の橋本緊縮財政によるデフレ深刻化以降、政府の租税収入が、ものの見事に名目GDPと同じ動きをしているのが分かるだろう。(95年以前に両者に乖離が見られるのは、バブル崩壊後に各種の減税措置が実施されたため)

 無論、日本の名目GDPが順調に拡大しているというのであれば、日本政府が復興を増税で成し遂げようとしても、筆者は批判する気はない。と言うよりも、名目GDPの拡大が激しすぎる環境下の政府は、積極的に増税を実施し、国民の消費意欲や投資意欲を冷まさなければならない。

 とはいえ、デフレが継続し、名目GDPが低成長どころか「マイナスにならなければ、マシな方」という悲惨な状況にある日本が増税をすると、100%の確率で翌年の名目GDPは減少する。結果、政府は減収になってしまう。

政府が増税をすると減収になる
 という話であり、一般人にはピンと来ないかもしれない。とはいえ、政府の税収が「名目GDPから政府に分配される所得」であることを理解すれば、ご納得頂けるだろう。デフレに悩む日本において、政府の増収を実現するには、名目GDPを成長させる以外に手はない。

 すなわち、財政政策と金融政策のパッケージという「正しいデフレ対策」のみが、政府の税収を増やしてくれるのだ。しかも、現在の日本は税収弾性率が高いため、名目GDPを成長させさえすれば、政府の税収は「予想以上に」増えることになる

 それにも関わらず、マクロ経済の知識がないのか、あるいは増税至上主義である財務省に篭絡されてしまっているのか、野田政権は「税収を増やす、唯一の方法」に見向きもしない。それどころか、わざわざ政府の税収を減らす増税に血眼になり、自ら泥沼に突っ込んでいっている。

 繰り返しになるが、現在の日本が政府の税収を増やすには、名目GDPを成長させなければならない。復興増税や「税と社会保障の一体改革」で名目GDPの成長を達成できるというのであれば、是非ともそのロジックを伺いたいところだが、さすがに「増税すれば、日本経済は成長する」などと強弁する人はほとんどいない。唯一、菅政権のブレーンであった小野善康氏(大阪大学教授)のみが、
「現在の日本は国民が消費をせず、貯蓄としてお金を眠らせているから不景気が続く。増税で国民の貯蓄を政府が吸収し、景気対策をすれば景気回復する」
 と、面白い理論を述べていたが、この種の暴論に賛成する経済学者は、さすがに皆無だ(前半は正しいのだが)。現在の日本に足りないのは投資であり、家計が消費をせずに貯蓄を増やしてしまうのは、経済成長率が低いためである。そして、経済成長を達成するためには、投資が増えなければならない。

 そもそも、日本の消費は統計上、投資もしくは純輸出に牽引されなければ増えない。すなわち「国民が消費をしないから、不景気」なのではない。「不景気だから、国民が消費をしない」が正しい理解なのである。

 いずれにせよ、現在の日本で政府が増税をし、自らに分配される所得(税収)を増やしてしまうと、国民の可処分所得は減る。国民の可処分所得が減ると、消費よりも先に投資の方が縮小することになる。理由は単純明快で、国民は生活する上での消費をゼロにすることはできないが、投資については「先延ばし」が可能であるためだ。

 例えば、住宅購入を検討していたサラリーマンの手取り(可処分所得)が減ったとしても、生活を営む上で、それなりの消費は行わなければならない。消費をゼロにしてしまうと、自給自足の生活を成り立たせていない限り、飢え死にしてしまう。

 それに対し、住宅購入は先延ばしが可能だ。
「マンションを購入しようと思っていたけど、増税で手取りが減ったわけだから、もう少し先延ばしにしよう」
 という判断をしてしまうわけである。結果、その年における彼の「住宅投資(GDP上の需要項目の一つ)」はゼロになってしまう。

 別に住宅投資に限らず、企業の設備投資も同様だ。デフレ深刻化に加え、増税で可処分所得(最終利益)が減った企業は、当然の話として設備投資の先送りという決断をすることになるだろう。

 結果、国民経済成長のために必須の投資が縮小し、名目GDPは成長しない。

 日本の名目GDPが減るということは、国民生活、安全保障、そして「財政」にとっても問題になる。まさに、財務省の大好きな「財政健全化」のためにも、現時点での増税は何としても阻止しなければならないのである。
関連記事

コメント

予算編成権を財務省から取り上げよ―【私の論評】というより、財務省からとりもどせ!!そうして、大手新聞社は、財務省の広報紙となれ!!国民は、さらなるデフレ泥沼から脱出せよ!!

こんにちは。最近、自民党時代に設置された、経済財政諮問会議が骨抜きになり、これにかわり、国家戦略会議という一見似たようなものが設置されます。これに対して、新聞などは、似たようなことをするということで、民主党の自民党化というような、筋違いの批判をおこなうものもあります。しかし、諮問会議と、戦略会議は質的に全く異なります。戦略会議は実質上予算には、全く関わりません。このままでは、史上最低、海外でも類もみない、デフレの時期の増税などという馬鹿げたことが、あまり議論も反対もされないまま、財務省主導で導入されてしまいそうです。そうして、来年になったら、また、財源不足で、増税論議、そのまた次の年も増税論議がまきおこり、その頃になって多くの人たちが、この馬鹿で愚かなからくりに気がつき、民主党は選挙で大敗北の憂き目にあうことでしょう。詳細は、是非私のブログを御覧になってください。

コメントをありがとうございます

ブログをあちらこちらと拝読させて頂きました。
ほぼ、そのとおりと思います。
経済論として、正しく貴重なご意見です。
いまの(前のもですが)政権幹部は経済については(他も同じですが)思考停止と言って良いのでは。
そもそも、増税論自体が昨年に、空き缶が「唐突」に言い出した。
彼らは「唐突に」TPPやら、浜岡停止やら、普段は思考停止なのに、時折「唐突に」表明する。
できても、できなくても、「唐突に」表明して、マスコミがよってたかってこれに梃子いれするパターンができている。
次のページのまえがきコメント=これら政権の意思決定プロセスをバックで操る力。
http://bator.blog14.fc2.com/blog-entry-526.html
そして、現在も米国にたいしての発言義務があると言わんばかりに、「唐突な」発言を繰り返している。
と、思うのですよ。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://bator.blog14.fc2.com/tb.php/711-1ba93f73

 | HOME | 

 

プロフィール

もうすぐ北風

Author:もうすぐ北風
こんにちは。
いろんな旅を続けています。
ゆきさきを決めてないなら、しばらく一緒に歩きましょうか。

最新記事(引用転載フリー)

カテゴリ

経済一般 (118)
経済一般~2012冬まで (161)
日本の経済 (224)
通貨戦争 (70)
ショック・ドクトリン (12)
震災関係 (23)
原発事故発生 (112)
事故と放射能2011 (165)
放射能汚染2012 (192)
汚染列島2013-14 (146)
汚染列島2015-16 (13)
福島の声 (127)
チェリノブイリからの声 (27)
政治 (413)
沖縄 (93)
社会 (316)
小沢一郎と「生活の党」 (232)
健康と食 (88)
環境と地球の歴史 (28)
未分類 (175)
脳卒中と入院 (7)

カウンター

最新コメント

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

リンク

このブログをリンクに追加する

カレンダー

02 | 2024/03 | 04
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -

最新トラックバック

月別アーカイブ

RSSリンクの表示

Template by たけやん