信用創造と言えば聞こえは良いが
2010-11-10

横行する帳簿上・電子上の「通貨」は最初からデリバティブ、レバレッジと言う投機の性質をもつ。
やはり、この問題は避けては通れない。
金融資本主義の最も要の道具である。
市場経済(資本主義と言っても良い)は無記名有価証券である「通貨」によって飛躍的に流通を拡大し、「金利」によって産業は爆発的な成長を図り、帝国主義に至り、遂に基軸通貨の金兌換を廃止して金融が通貨を大増産するに現実になった。
この過程の中で「与信」が通貨の重大な特徴として、「金融」を創り上げてきた。
信用創造といえば聞こえは良いかも知れないが、10人から預かった10円を金庫に入れておき、一度に引き出しに来ないことを良いことに、10000人に100円の貸出証文を発行することである。そしてこれを世間に流通させることである。
運用とは言い方を変えるなら、預かり資産の横領で100倍に通貨を増やす手品でもある。
「世界通貨戦争(3)」「国際金融資本の成立」を参照されたい。
?アシスト代表:ビル・トッテン著「アングロサクソン資本主義の正体」から一部抜粋します。
(引用開始)
(1)多くの人はマネーお金は政府、あるいは中央銀行がつくっているものだと思っていることだろう。
しかしそれは大きな勘違いなのだ。マネーは民 間銀行によってつくられ、市中にばらまかれている。
マネーサプライを決定するのは政府や中央銀行ではなく民間銀行なのだ。
(2)ほとんどの国の政府が政府自身の手ですべての貨幣をつくるのではなく貨幣の創出(そして破壊)を民間銀行に行わせている。
それは金融システムの大きな欠陥と言ってよい。もちろん、銀行の信用創造が経済の発展に大きく寄与してきたことを理解しないわけではない。
銀行が企業に資金を提供してきたおかげで経済は成長し社会は発展してきた。
しかし信用創造を与えるのが民間銀行でなくてはならないという理由がどこにあるのだろうか?
(3)むしろ現在では銀行にマネーの創出と破壊を委ねていることによる弊害が顕著になっている。
1930年の世界大恐慌も日本のバブル経済の派生とその崩壊もアメリカのITバブルもそして今回のリーマン・ショックも銀行がマネーを創出権を握っていることが根本的な問題だ。
そして経済サイクル(バブルと不 況)、多くの場合インフレとでデフレ大部分の公的債務、持続性不可能な成長を追い求めること、そして貧富の格差の拡大(富める債権者と貧しい債権者)の原因でもある。
さらに世界を駆け巡り一国の経済さえ破綻に導く巨大な投機マネーが跋扈するようになったのも銀行がマネーを握っていることが最大の原因である。
(4)この金融システムの欠陥は私たちの暮らしに重大な影響を与えている。景気の動向によって勤める企業の業績が左右され、収入が増減するのはもちろんのこと、カジノ経済の甘い誘惑によって人生の歯車を狂わされた人は決して少なくない。
また、近頃さかんい増税論議が沸上がっているが、これも国の借金が危機的状況まで膨らんだからである。
極言すればもし私たちが十数パーセントもの消費税をはらわなければいけなくなるとしたらそれは金融システムの欠陥がもたらすものである。
(5)「信用創造」とは何か?
ある人が銀行に100万円を預金した。銀行は預かったお金を貸し出すわけだが、預金者が預金の引き出しをする時のためにある程度のお金は プールしておかねばならない。
その割合は決められているのが法定準備金というもので、この法定準備金が仮に10%だとすると、10万円を取っておいて残り90万円を貸し出せる。
そこで銀行は90万円をA社に貸し出し、A社の口座に90万円を振り込む(ここで振り込むというのは、前述したようにコンピューターの端末を叩いて90万円と記入するだけだ。)銀行は90万円の預金のうち10%の9万円を残し、81万円をB社に貸しだし、B社の口座に81万円を振り込む。
さらに、81万円の預金のうち90%にあたる72万9000円を貸し出しに回し・・・ということを繰り返していくと、およそ1000万円の通帳マネーを生み出すことができる計算になるのである。
(6)経済学の信用創造では、銀行が預金と貸出を連鎖的に繰り返すことによりマネーサプライが増加し経済の発展的循環につながると説明される。
この仕組みにそうした効果があることを否定するつもりはないが、世界大恐慌のメカニズムでお話ししたように、マネーサプライを拡大させることができると同時に、 縮小させて経済に大きなダメージを与える危険性もある事を教科書は教えていないしほとんどのエコノミストも指摘してない。
(7) さらに言うなら、信用創造と言えば聞こえはいいが、銀行に入ってきた現金は最初の100万円のみで、増えていった預金残高は銀行が通帳 にと帳簿に記載しだけだ。
銀行は100万円の現金から1000万円を生み出したことになる。そして、無から生み出したお金に利子をつけて貸しているのである。
(8) 預金は近代の銀行券(現金)に等しい。しかし銀行券は実際に印刷して作り出し、消去するには焼却しなければならないが、預金は目に見えることなくつくったり壊したりできる。
もし80億ドルの紙幣が1929年から33年の間に焼却されたら、アメリカの人々はその事実を身過ごさないかっただろう。
だが、実際のマネーの消去は預金の帳簿上で、ひっそりと行われ、一般の人々が気付くことはなかった。
(9) 信用創造というシステム、または帳簿マネーというには、主に貸出しベースであり、最初は数か国だけで行われていたが、今では全世界で行われている。
その結果、通帳マネーの増減が好景気や不景気に及ぼす影響の大きさは過去にないほど大きくなり、世界的に悲惨なものになる可能性がある。
このシステムを変えない限りそれは計り知れない脅威を私たちにもたらすことになるであろう。
(引用終り)
- 関連記事
-
- 勤労大衆の生活破壊が恐慌の特徴 (2011/02/02)
- 信用創造(3)無政府的な過剰通貨 (2010/12/07)
- 通貨、金利と信用創造の特殊な性質 (2010/11/20)
- 公務員叩きとデフレ政策 (2010/11/10)
- 信用創造とは (2010/11/10)
- 信用創造と言えば聞こえは良いが (2010/11/10)
- 日本の為替介入はトリック (2010/10/13)
- 日銀の金融緩和は誰のためか (2010/10/08)
- 9/15為替介入はトリックの可能性? (2010/10/08)
- デフレ脱却には賃金上昇が不可欠 (2010/09/10)
- 世界で日本のみデフレ (2010/08/24)
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事へのトラックバックURL
http://bator.blog14.fc2.com/tb.php/65-05942d6e