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もうすぐ北風が強くなる

通貨戦争(40)デフレ、円高、増税政策の日本

 欧米に広がる反動的な緊縮財政派の盛り上がりによって、日米欧の実体経済ははかり知れない不況に向かっている。
 金融資本だけが焼け太りしている現状だが、先行して財政破綻神話が横行している日本は97年以来のデフレから脱却していない。
 世界通貨戦争の中で、日本政府のみがマネタリーベースを増やそうとさえしない。
 「なぜデフレなのか、なぜ放置するのか
 
 世界を変えたおカネ    9/11 田村秀男氏から ※は私

中国は膨張加速、増税日本沈む

 9・11米中枢同時テロから丸10年、世界の力関係はどう変わったか。如実に物語るのが、通貨である。
 中国はこの間人民元札の増刷に励み、2008年9月のリーマン・ショックからいち早く立ち直り、10年には日本を抜き世界第2位の経済大国に浮上した。
 対照的に、日銀はお札を刷らずに円高・デフレを助長し続け、財務官僚主導の政府は円高・デフレを加速しかねない増税にのめり込む。日本は自滅の道を歩む速度を速めている。

元-ドル相場連動制

 9・11は「カネ」と切っても切れない。当時の米ブッシュ政権は同時テロの数週間後に「愛国者法」を成立させ、ドル資金の流れを厳重監視し始めた。
 ウォール街で巨額の余剰資金を運用していたアラブ系などの投資家やヘッジファンドが身元を知られるのを嫌って、監視の緩いロンドンなどにカネを移した。米金融市場は不安定になった。
 そこでブッシュ政権が住宅需要を喚起する一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)は金融緩和で住宅関連金融商品を後押し、世界からカネを呼び戻した。住宅ブームは個人消費を大いに刺激した。

 この機に乗じたのが中国である。対米輸出を軸に経済成長にはずみをつけた。その秘密は人民元の対ドル相場連動制である。北京の通貨当局は輸出代金などで入ってくるドルを買い上げて人民元を増刷し、国内投資に振り向ける。

 「9・11」直前の01年9月10日、北京を訪問していた当時のオニール財務長官の回想録によると、長官は人民大会堂で江沢民国家主席(当時)らと会談した。中国側は人民元の大幅切り上げに難色を示し、オニール長官が「市場資本主義の力にまかせると中国は分裂してしまう」と容認。
 長官と江主席は「辛抱しましょう、そして一緒にやりましょう」と唱和したという。この合意が今なお生きている米中金融協調の基本である。

 中国側は溜まる外貨を米国債購入に当てる。その後、小刻みに人民元を切り上げてはいるが、ドルを買い上げて人民元相場を意図的に安く抑えると同時に、ドル資産の裏付けをもとに人民元を増刷する路線に変わりない。

増える各国の通貨

 グラフは、円、ドル、ユーロ、人民元を発行する各中央銀行による通貨発行量と円の対ドル相場の過去10年間の推移である。
 FRBは「リーマン」以降現在までに3倍以上もドル札を発行し、そのドルでバブル崩壊した住宅ローン担保証券や米国債を買い支えてきた。
 中国はドルの増刷に合わせて輪転機を加速させ、欧州中央銀行もギリシャなどユーロ加盟国の財政危機に直面しユーロ発行量を増やす。

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 日銀は01年3月、量的緩和(お札の継続的な増刷)政策を採用し、デフレの進行を食い止めようとしたが緩和規模は半端でデフレ基調から脱けられなかった。

資金は逆流し円高に

 それでも05年から07年半ばまでは円安になった。06年3月の量的緩和打ち止め後も超低金利の円資金が住宅関連などでブームに沸く米金融市場に流れ込んだためだ。しかし、07年夏の米国で低所得者向け高金利型住宅融資(サブプライムローン)危機が勃発して以降、日米間の資金は逆流し、円高に転じた。

 「リーマン」が起きても日銀はインフレを気にして米欧の金融緩和政策に同調しなかった。
 逆に韓国はウォン安政策をとり、中国は人民元を下落するドルに連動させる。競争条件が不利になった日本の輸出は激減し、景気の落ち込みぶりは米欧より激しかった。
 国内需要も減るので、デフレはさらに悪化していく。日銀は徐々に金融緩和に切り替えたが、タイミングは遅く、規模も小出しのままだ。

 政府のほうは、東日本大震災後の復興財源を増税で賄うと公約している。
 増税は国が民間の所得を巻き上げる。家計や企業は消費や投資を切り詰めるのでデフレが進む。デフレで国のおカネや金融資産の値打ちは上がるので、海外の投機筋は円買いに走る。

 政府と日銀とも「円高を憂慮」と口にしながら、実際には円高促進政策をとっているわけである。9・11後10年の間に、膨張した通貨の海に無策日本は翻弄され、今や自沈しかけている。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 
 超円高の原因を考える  9/14 田村秀男氏から関連補足部分(実質金利差)を一部引用。

 日銀は9月7日の金融政策決定会合で、追加的な金融緩和の実施を見送ったのは、前回8月に実施した金融緩和が「思い切った」(白川方明総裁)円高対策を打ち出したからからだというが、これ以上だまされてはいけない。
 (略)

 まず第一に、日銀は金利を名目ゼロにするつもりはまったくない。

 ■当座預金に金利0.1%

 金融機関は日銀から供給される資金の多くをそのまま日銀に持つ当座預金として止め置く。われわれが利用する民間銀行の当座預金は利息ゼロなのだが、日銀は08年11月から、ご丁寧なことに日銀当座預金に最高で0.1%の利息を付けている。
 ということは、金融機関は日銀が保証する当座預金金利以下の金利では他に融通しないし、貸さない。この結果、短期金利は日銀当座預金利息以下には下がらない。短期市場金利は日銀が「ゼロ金利」を標榜(ひょうぼう)したあとも現在に至るまで0.07%弱から0.09%台で推移しているのは、そのせいである。

 それでも、と読者は問うかもしれない。ゼロ・コンマ・ゼロ台ならゼロも同然ではないかと。日銀はそんな世間の印象につけ込んでゼロ金利だと言い抜け、日経新聞などはうのみにして「ゼロ金利維持」と書き続ける。

 ここで気を付けてほしいのは、日銀は「実質ゼロ金利」と明言している点である。実質金利とは、インフレ分を加味した金利というのが、経済学上、国際的な常識である。お金というのは、預けたり貸すときに金利が付く。この金利はインフレ率より高くなければ、ばかばかしい。だから短期金利からインフレ率を差し引いた金利が実質金利である。

 インフレ率は国際比較ができる経済協力開発機構(OECD)の公表データを使用し、日本の実質金利をみる。米国の実質金利と比較すれば国際的な実質金利差が明らかになる。

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■「量的緩和政策」宣言を

 読者もご存じのように、日本はデフレであり、インフレ率はマイナスである。ということは日本の実質金利は名目の金利よりデフレの分だけ上乗せされて高くなる。
 日本の実質金利は09年で2%前後、10年には1%前後、ことしは0.5%前後と下がっている。
 だが、米国の場合、インフレ率が10年は2%台、ことしは3%台と高い。短期市場金利は日本とほとんど変わらないほどで、最近では0.1%を切っている。すると、実質金利は大幅なマイナスで、この数カ月間は実にマイナス3.5%前後で推移している。
 ということは、実質金利では日本は米国を4%前後も上回ることが、グラフからも見て取れる。

 他通貨に比べ実質金利が高い、ということは、その国の通貨の預金や国債などの金融資産の価値が高いことを意味する。
 だから、国内外の投資家はドルを売って円を買う。現在の超円高はこうして引き起こされる。グラフをみれば一目瞭然、円の対ドル相場は趨勢(すうせい)として日米の実質金利差に連動する「法則」が読み取れる。

 日銀はどうすべきか。日銀は少なくても、当座預金利息はまずゼロにして名目金利を文字通りゼロ金利に誘導すべきだろう。
 さらに、インフレ率をプラスにするまで、お札を継続的に増量する「量的緩和政策」をとると宣言する。
 すると、米国の投資ファンドなどは、日本はいよいよ脱デフレ策、つまりインフレ率をプラスに変えるつもりだと慌て出し、円買い投機の手を引っ込めるだろう。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 ※ 現実には野田増税政権のもと。財務省、日銀はサボタージュして、こうしたデフレ脱却政策をとらないだろう。
 この国は放置すれば、世界通貨戦争の中で、泥舟となって沈没する。
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