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もうすぐ北風が強くなる

労働分配率の強制修正

 賃金が下がり、物価も下がるが、そんな循環がいつまでも続いたら...................そのうち社会崩壊かも。

 勤労者の賃金総額は、1998年からほぼ連続で下降して、今年で13年目である。最終需要である消費者物価は、1999年からこれもほぼ連続の下降で12年目である。
 賃金総額は額の下降もさることながら、不安定雇用の増大と言う「雇用の質の悪化」と「貧困の増加」を兼ねている。
 
 賃金減少+将来不安=消費抑制->需要減少->需給ギャップ->物価と賃金の更なる下降のスパイラルである。
 
 いくら円安で外需とは言っても、いつも円安な訳も無いし、総生産の主体は消費需要に他ならないので、この限りでは、無限に続くデフレスパイラルの様相を見せている。賃金と物価の下向きマッチポンプが(当面)無限に続くなら社会は崩壊する。既に崩壊し始めていると言う人も少なくない。

 20年に及ぶ不況と言うが、このうち13年間賃金が下がり続ける事態は「不況」ではなく、「大不況」である。しかも、この間に欧米、途上国共に日本の様な賃金と物価の下降は無い。2008年以降の欧米も例外的に下がった「瞬間」はあったが「二つの下降」には至っていない。

 賃金と物価の循環は、直接にはあくまで賃金が親で物価に影響すること。物価が総賃金に影響するのは、多くの迂回を通ってである。従って、縮小循環の原因は労働賃金の縮小である。
 
 欧米は時期的に少ないときもあるが、いわゆる賃金率は常に上昇している。下降は無い。従って消費物価も下降には至らず僅かな上昇が続いている。故にまた賃金は僅かだが上昇する。縮小循環はしない。

 「賃金の下方硬直性」が当てはまらない、不思議の国、日本なのである。
 
 市場経済は欧米も日本と多くは変わらず、個別企業は利益のため労働分配率を下げるか生産性を上げるかの選択肢である。
 
 日本の労働市場の特殊性を考える。
 
 職業紹介、職業訓練、労使監督規制等はあまり変わらないが、非常に特殊なのは、労働組合である。職業別組合、産業別労組が実体を持たず、基本組織が個別企業内労組である。これは基本的には、労使が個別企業の利潤追求に協力し合うことに結果するだろう。
 
 労使対等な交渉、争議が極めて成立しにくくなったのは当然であり、「賃金の下方硬直性」が当てはまらなくなってしまったのだ。
 労働組合が産別主体に変わるか、経営者団体が個別利益からマクロ経済に転換するか、やはり政府権力が実質的な分配率規制するか。
 
 大手企業の巨額の社内留保、役員報酬のいくらかでも賃金上昇に廻すことが出来れば、デフレスパイラルの解消は意外と早いと考えるのです。



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