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もうすぐ北風が強くなる

世界の死を招く超緊縮財政

 オバマ政権は債務上限の承認と引換に、超緊縮財政を承認させられた。
 そして、格付け機関S&Pが格下げすると共に財政削減が予定通り進めばAAAへの復活が有りうるし、削減できなければ更に格下げも有りうるとした。
 これは、国際金融資本の利害調整機関による、財政出動への恫喝に他ならない。
 「通貨戦争(36)米国の経済悪化は必至、沸騰する世界」、「実体経済を破壊して焼け太りを狙う国際金融資本」。

 過剰流動性のなかで超緊縮財政が進むなら、実体経済は更に悪化し、倒産・失業は増大し、医療。福祉は後退し、国民はさらに窮乏化しする。
 そして、格差はさらに拡大し、需要のない過剰流動性は投機市場にさらに廻って、途上国、新興国の実体経済を破壊する方向へ向かう。
 「資本主義のイデオロギー危機:スティグリッツ」、「莫大な量的緩和によって金融資本家だけが焼け太り」。

 今回の世界同時株安は、このまま連続して奈落に落ちるわけでは無いだろうが、そうした世界恐慌の予兆を示している。
 半年後が危険ゾーンだ。

 植草一秀氏から
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格付機関が誘導する超緊縮財政政策が死を招く 8/9

世界連鎖株安が止まらない。米国の債務上限引上げ法可決に向けての混迷は米国国債のデフォルト警戒感を強めた。米国の債務上限引上げ法も日本の赤字国債発行根拠法も、成立させざるを得ないことは皆分かっている。
 
 法律が通らなければパニックが生じる。このことが、政局に使われることになる。時の政権を追い込もうとする野党は、相手の足もとを見て嫌がらせをするのである。どうしても通さないわけにはいかない法律を人質に取って、政府から譲歩を引き出そうとする。
 
 米国共和党の場合、政府支出削減を財務上限引上げ法可決の条件に用いた。大統領・民主党は共和党提案をある程度、受け入れざるを得ない。
 
 日本では赤字国債発行根拠法が通らなければ、政府機能がマヒし、日本国債がデフォルトに陥る。これも通さざるを得ない法律だ。それを十分に認識したうえで、この法律を人質にとって、民主党の譲歩を引き出そうとしている。
 
 自民党は方針を転換した。菅首相辞任を求めていたのが、菅首相の辞任要求を取り下げ、民主党マニフェストの取り下げを求め始めたのだ。
 
 菅首相が辞任すれば民主党代表選が行われる。小沢-鳩山両グループが結束を固めれば、民主党を実質支配することが可能になるだろう。民主党はもう一度、小沢-鳩山指導体制に戻ることになる。
 
 何よりも小沢氏の影響力復活を警戒しているのが、民主党現執行部と自民党である。そこで、自民党は菅首相退陣を求めるのをやめて、小沢-鳩山民主党のマニフェストをズタズタにすることに主力を置き始めた。
 
 菅氏を筆頭とする民主党内の守旧派勢力=悪徳民主党と自民党は利害を共有している。日本の政治構造を刷新し、自主独立、官僚利権根絶、政治と大資本の癒着排除を実現しかねない小沢-鳩山勢力を一掃して、守旧派勢力による大連立を指向しているように見える。
 
 この勢力は同時に財政再建原理主義を中心に据えている。復興増税、消費税増税の大増税を実現させようとしているのだ。

世界連鎖株安が進行しているのは、経済に強い下方圧力がかかる局面で、主要国が足並みを揃えて超緊縮財政の方向に舵を切り始めたことに原因がある。世界経済には巨大リスクが存在する。それは、デリバティブ金融商品600兆ドルの損失処理がまだ終わっていないことにある。
 
 2008-2009年に、この金融火山が大爆発を起こした背景は、住宅不動産価格の下落だった。米国の住宅価格指数は2006年6月から2009年4月にかけて急落した。これがサブプライム金融危機の引き金を引いた。
 
 その後、財政金融政策と金融機関への資本増強策が総動員されて、米国経済の崩落は回避された。しかし、2011年になって、政策効果は出尽くしとなり、経済の息切れが鮮明になり始めた。
 
 2009年4月から2010年7月にかけて反発した米国不動産価格は2010年7月以降反落に転じ、2009年4月の安値を下回る寸前のところに来ている。
 
 この段階で超緊縮財政政策のブレーキを踏みこんだら何が起こるのか。経済の崩落が起こるに決まっている。しかし、その方向に事態が進行し始めたことを現在の株式市場が物語っているのだ。

橋本政権が消費税大増税を決定した1996年12月から1997年年初、株価が急落した。株価急落は橋本政権の増税政策が日本経済崩落を招くとの警告メッセージだった。
 
 ところが、1997年1月11日に株価急落を取り上げたNHK番組「クローズアップ現代」は株価急落の原因をまったく見当違いの方向に見出した。財政再建を最重視する緊縮予算を組んでいるなかで、新幹線予算に調査費が計上されたこと。財政再建に逆行する動きが表面化したために株価急落は起きたのだと主張する番組を放送したのだ。
 
 真実はまるで逆であった。経済を悪化させる超緊縮財政政策を決定したからこそ株価急落が起きたのだ。
 
 いままさに同じことが繰り返されようとしている。格付け会社は米国に大胆な財政赤字削減策を求めている。国債格付け引下げの理由は財政赤字に対する警戒にあるとしている。
 
 この格付け機関に振り回されて、米国、そして日本が超緊縮財政に突き進めば何が起こるか。答えは明白である。株価は急落し、間違いなく金融不安が再現することになる。景気も連動して急落する。世界同時不況、あるいはもっと深刻に世界恐慌が発生しかねない。

1937年、米国大統領ルーズベルトは超緊縮財政の方向に舵を切った。1929年以降の株価暴落で崩落した米国経済は、ルーズベルト大統領の「ニューディール政策」により一時的に改善を示していたが、37年緊縮策で反転し、世界経済は再び同時不況を拡大し、結局これが第二次世界大戦へと世界を導く原因になっていった。
 
 格付け機関に引きずられて、日米欧が同時に超緊縮財政=財政再建原理主義に進むなら、世界経済は金融恐慌を本気で警戒しなくてはならなくなるだろう。その延長上に第三次世界大戦が勃発してもおかしくはなくなるだろう。
 
 世界経済は依然として、サブプライム金融危機の負の遺産を引きずっているのである。ようやくリハビリに入る局面なのである。十分な睡眠と栄養が不可欠であるが、格付け会社に脅迫される日米欧の政策担当者は、この患者に断食とフルマラソンを命じかねない様相を示している。
 
 本当に断食とフルマラソンをやらせれば、世界経済は崩壊することになるだろう。そのような危機にあることを認識しなければならない。
 
 行き過ぎた超緊縮財政政策へのシフトが世界連鎖株安をもたらしていることを認識しなければ、混乱は益々拡大することになる。
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コメント

コメント有り難うございました

有り難うございます。「北風さん」の記事を拝読し、多くのことを学ばせていただきました。また、先鋭的な記事が掲載されることと、期待を膨らませております。それにしても、ここ数ヶ月の世界情勢には目を見張るものがありますね。私どもは、もしかすると、大変な時代に生きているのかもしれません。また訪問したいと思います。よろしくお願いします。

こちらこそ

> 私どもは、もしかすると、大変な時代に生きているのかもしれません。
まったく、戦後最大のデフレ不況に政権交代したら、米国傀儡にのっとられ。
そこに百年ぶりの大津波に原発事故と放射能。
正直言って、何やら訳のわからん混乱の時代が始まってしまいました。
つたないブログですが、よろしくお願いします。
互いに頑張りましょう。

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