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もうすぐ北風が強くなる

世界経済を壊す財政再建原理主義者ども

 米国が債務上限額引き上げの議会承認と引換に、大幅な歳出削減に追い込まれたことが、米国政府の財政出動を縛りつける。
 そのため、ついに過剰流動性供給しかソフトランディングの手段は無く、世界通貨戦争をさらに激しいものにしてゆく。
 「通貨戦争(36)米国経済の悪化は必至、沸騰する世界」を御覧ください。

 このことを、経済政策からいえば植草氏のとおりとなる。
 参照:「資本主義のイデオロギー危機:スティグリッツ
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NY株価急落・危機主因は財政再建原理主義にあり 8/5  植草一秀

NYダウが前日比512ドル安の急落を示し、世界経済に暗雲が広がっている。と言うよりも、世界経済の暗雲を読み込んで株価が急落したと表現する方が適切かも知れない。
 
 世界経済には三つの大きな問題が存在する。欧州の財政危機、米国の債務残高上限引上げ、そして日本の増税問題である。
 
 欧州では南欧諸国を中心に財政赤字が拡大し、政府債務の履行について不安感が高まった。ギリシャの財政危機では、EUによる資金支援が決定されたが、民間金融機関にも負担を求めたため、ギリシャ国債の一部が債務不履行に陥ったとの評価が格付け機関からなされている。
 
 ギリシャ以外のスペイン、ポルトガル、イタリア、アイルランドなどの財政危機も深刻であり、これがユーロ不安をもたらすとともに、世界経済の不安要因のひとつになっている。
 
 日本では政府が大震災の復旧・復興対策の規模を今後5年間で19兆円とし、その財源のうち、10兆円を復興増税で賄う意向が示された。経済が危機に直面するなかでの10兆円増税問題が重くのしかかっている。
 
 米国の問題は二つに分けて考えることが必要だ。8月2日までの焦点は政府債務残高の引き上げが実現するのかどうかにあった。議会における債務上限引上げ法案の可決がなければ、米国政府は債務不履行に陥る。米国金融市場が大混乱に陥ることが警戒されていた。
 
 ぎりぎりの段階で債務不履行は回避された。これによって不安が払しょくされたのかと言うとそうではない。債務上限引き上げ法が成立したのに株価が急落し、米ドルも強い下落圧力を受けているのだ。
 
 その理由は、米国政府と議会が財政赤字大幅削減の方針を示したからだ。背後には2012年の大統領選をめぐる政局がある。2010年の中間選挙では共和党が大躍進した。上院、下院で過半数を制していた民主党が大敗し、下院の与野党勢力分布が逆転した。オバマ政権は共和党の主張を取り入れなければ政権を運営できない状況に追い込まれたのだ。
 
 共和党には、オバマ政権に失点をあげさせることが、大統領選に有利に働くとの計算が働く。つまり、政策運営のインセンティブが国民経済にとってマイナスの方向に設定されるという「不幸」な状況が生まれているのである。
 
 このことと、共和党の伝統的な政策主張があいまって、超緊縮財政政策が共和党から主張され、それが債務引上げ法案可決の条件に組み入れられたのである。
 
 結論から言えば、債務上限引上げ法案とともに、超緊縮財政政策が米国に強制されるとの図式が生まれたわけである。この超緊縮財政政策こそ、米国株価急落の主要原因である。
 
 米国では、今回の米国議会の政策決定を1937年の米国の経済政策と重ね合わせる論議が盛んに示されている。大恐慌時代の1937年にルーズベルト政権が増税や緊縮財政に舵を切り、米国の不況を深刻化させ、長期化させたことと、今回の米国政府・議会の対応が重なるというものである。
 
 大恐慌不況は深刻化、長期化して、これが第二次世界大戦の引き金になったことはよく知られている。

 米国経済、世界経済は2009年に危機に陥った。背景にあるのは600兆ドルにも膨れ上がった、デリバティブ金融商品の想定元本である。サブプライムローンと言う金融債権を原商品として、様々な派生金融商品が机上で創出され、その規模が制御不可能な規模に膨張した。
 
 600兆ドルを1ドル=100円で換算すると、6京円になる。日本のGDP規模の100倍を上回る規模だ。この想定元本のわずか1%が損失になるとしてもその金額は600兆円になる。この規模の損失が発生したと見て間違いない。
 
 この危機に対して米国政策当局は経済政策を総動員した。財政金融政策をフルスロットル状態に移行し、さらに金融機関の資本増強策を全面実施した。
 
 この政策対応が功を奏して、株価は反発、経済も一定の改善を示した。ただ、副作用として財政赤字が年間1兆ドルをはるかに上回る規模に拡大した。
 
 米国議会はこの財政赤字拡大に対して、超緊縮財政を強制し始めている。この超緊縮財政がもたらすものを予測して、まず株式市場、為替市場が動き始めたのである。

実は、この状況は日本にも先例がある。1996年に橋本政権が消費税増税を含む超緊縮財政政策の方針を打ち出してから日本株価は暴落に転じていった。97-98年と株価は暴落し、経済は急降下、その延長上に金融危機が発生した。
 
 この危機を打開したのは小渕政権だった。財政金融政策を総動員し、さらに金融機関の資本増強策を実行した。この積極政策が功を奏して日経平均株価は2000年に2万円を回復、経済・金融市場は明確な改善を示した。
 
 ところが、小渕元首相が脳梗塞で倒れられて、状況が急変した。後継政権となった森・小泉政権は財務省路線に完全に乗って、超緊縮財政運営を開始したのである。
 
 その結果、2万円の株価は7600円に暴落し、経済は急降下、金融不安が再び広がったのだ。

 米国の政策対応は、日本の11年遅れの対応である。2000年から2003年にかけての超緊縮財政政策が日本経済を破壊したように、このまま進めば、2011年から2014年までの超緊縮財政政策が米国経済を破壊し、世界の金融市場に大混乱を引き起こす可能性が高い。金融市場の地下には、デリバティブ金融商品残高6京円が生み出す損失という巨大マグマが蠢いていることを忘れてはならない。
 
 つまり、経済政策は積極から中立に戻す局面ではあっても、積極を超緊縮に転換する局面ではないのだ。1937年まで遡らなくとも、2000-2003年の日本に、反面教師の重要事例がある。これを踏まえて、米国は経済政策運営の基本スタンスを「超緊縮」から「中立」に直ちに切り替える必要がある。この政策対応が遅れれば、米国金融市場の混乱は、世界金融市場の大混乱を引き起こしてしまうに違いない。
 
 日本でも、大手術の輸血用血液を手術の患者からの献血で賄うような、狂気の治療を行うべきでない。復興債を発行することを決めているのだから、まずは全額を復興債で賄うべきだ。
 経済復興を増税で賄おうという財政再建原理主義が世界経済の最大のリスクであることを肝に銘じる必要がある。
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