世界通貨戦争(4)日本
2010-10-27


裏付けのない現代の通貨は金利のつかない株券に似ている。投機の対象となる。
前回「世界通貨戦争(3)では、勝手な予想として、国際金融資本が向かう方角について、文字どおり勝手な予想を書きましたが、では日本は何処へ向かうのか。
これも、筆者の勝手な予想です。
経済的に最も密接で、かつ欧米と様相の異なる日本と中国の比較がポイントかと考える。
先ず、中国はいわゆる資本主義国家ではないこと。「民主的」な選挙制度でなく、党による「社会主義の市場経済」であること。従って、物価統制、投機規制、為替、金融など全てにわたって強権的な統制が可能な「市場経済圏」をなしている事実。
これが、まさしく「社会主義の市場経済」の中身であり、北欧型「社会民主主義」とも、また、ロシア型「官僚統制国家」とも異なる、いつでも臨機の統制可能な市場経済である。
現実に、人民元はアメリカが手本とするほどに統制され、物価統制し、内需拡大の資金に不自由さえ無い。
つまり、たとえ上海派が党内勝利しても、国際間の経済戦略さえ間違えなければ、資産収奪は最低限に収めるだろう。
日本。
植民地宗主国たるアメリカの財布であり、常に資産の対米移転を義務とする。ために、日本の社会制度は中国とは異なる事情で欧米と乖離するだろう。
米国債購入と民間資金の対米流出を持続するため、円高はさらに進む。円キャリーはない。
窮地のアメリカのために、下落するだけ、さらに多くのドルと米国債に資金投入させるためである。
つまり、円高、ゼロ金利、デフレはさらに進行する。
「社会主義の市場経済」と異なり、植民地である日本は、65年をかけて強固に作り上げられた一体化した5大マスコミを中心とする「メディア官僚統制の資本主義」と言って良いだろう。
中国とは方向の違う、さら強力な国民統制である。国内矛盾は常に根底から抑えこむ。
方向は、アメリカの社会安定のためであり、この統制機構はそのためにのみ臨機にフルに発動されている。
国際金融資本の植民地別働隊として金融市場の波を作りだす。
政治主導で思い切った財政出動と言うラインもあり得るし、私も主張する。
しかし、2009年9月の政権交代後のアメリカと国内メディア官僚統制権力の強襲を考えると、たとえ政治主導が盛り返しても、「思い切った財政出動」とか「思い切った賃金高騰策」までは、経済予想としては入れる可能性は小さいだろう。
円高、ゼロ金利、デフレはそのまま進行するが。
進行する分はなお収奪される。
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