FC2ブログ

もうすぐ北風が強くなる

米国債デフォルトで何が変わるか

 米国議会の債務上限問題が、茶会党に引っ張られる共和党のかたくなな反対によって、決着していない。
 8/2までに決着しなければ、米国債の利払いに延滞の可能性がでるだろう。
 米国債のデフォルトが現実化してきている。

 しかし、米国のデフォルトと言っても、ロシアやアルゼンチンのデフォルトとはかなり様相の異なるものである。
 米国の場合は国家破綻の様相ではない。議会の対立が反映しての結果的なものであって、債券や通貨の信用崩壊ではないからだ。
 ドルの下落が加速するのは疑いない。米国債の金利上昇も疑いない。
 だが、短期的にはそれ以上ではないだろう。

 デフォルトしてもしなくても、この議会対立ではっきりしたのは、超緊縮財政を求める勢力の強力さである。
 「資本主義のイデオロギー危機:スティグリッツ
 いまの状況で財政削減が進行することは、実体経済が大不況に陥り自治体破綻が続出し雇用が悪化し、住宅は更に下がる。
 
 ここで、できることをと、金融緩和第三弾など行えば、さらに世界的インフレとドルの下落を招く。
 すでに米国の中流は下層難民化しており、さらに貧富格差が拡大すると、かつての失業と都市暴動に発展しかねない。
 今世紀のグローバル化した世界経済全体に波及しかねない。
 というよりも、基軸通貨なので波及すると言い切ってよいだろう。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
米国債デフォルトで何が変わるか? 山崎元 7/27 ダイヤモンド・オンラインから

  米国債「リスク・フリー神話」の消滅

 米政府の債務上限引き上げに関する米議会(特に共和党)と米政府の交渉が順調に進まず、米国債が一時的な利払いの遅延などの「デフォルト」(債務不履行)に陥る可能性が出てきた。

 デフォルトとは債務に関する契約を少しでも違えることであり、利払いの遅延は立派なデフォルト行為だ。

 政府債務の上限を巡る米議会と米政府の緊張したやりとりは過去に何度もあった。その度ごとに、ぎりぎりで上限が引き上げられて、問題がしばらく先送りされる解決を見てきたので、今回も何とかなるのではないかとも思えるが、今回は、来年の大統領選挙を巡る駆け引きもあって、共和党とオバマ政権・民主党との間の政治的な利害対立が先鋭化しているので、本当に問題が起こるところまで合意が形成できないかも知れない。この場合、米政府の資金繰りがつかなくなって、国債の利払いに遅延が起こる可能性が十分でてくる。

 この構造は、特例公債法案の可否を巡って与野党が駆け引きしている日本の政治状況とよく似ている。但し、日本の場合、政府のバランスシートが巨大なので、赤字国債を発行できなくても、しばらくの間資金繰りをつけることは可能と見られ、米国ほどの緊迫感はない。

 通俗的な金融論の解説では、国の債務、中でも強国且つ大国である米国の政府債務はリスクのない「リスク・フリー資産」と位置づけられて説明されることがしばしばある。これまでしばらくの間、米国債には、デフォルトに至るような「信用リスク」が想定されることは無かったのだが、現実にデフォルトが起こると、この米国債のリスク・フリー神話が大きく揺らぐことになる。

 主な格付け会社の米国債の格付けは「AAA」のままだが、今頃になって米国債の格付けを「ネガティブ・ウォッチ」(引き下げ方向での見直し中、という意味)の対象としたことを公表するような会社もある(あまりにも馬鹿馬鹿しいので個別の社名は挙げない)。相変わらず、「格付け会社」ではなく「後付け会社」と呼びたくなるような体たらくであり、格付けが信頼に足るものではないことをよく物語っている。

 とはいえ、米国債が現実にデフォルトを起こすような事態となったときに、何が起こるのかについては、適当な前例がないこともあり、不安を覚える向きも多いようだ。

  短期的に大問題は起こらない

 もちろん、先の事は、分からない。しかし、もし起こった場合に米国債のデフォルト自体は、たとえば金融危機の引き金を引いたリーマン・ショックのような大問題にはならないのではないかと筆者は考える。

 今回起こるかも知れないデフォルトは、米政府に必要な支払いを裏付ける資金調達能力が無くなって起こるデフォルトではない。債務を膨らませたあげくに、これ以上の資金調達が不可能になる「支払い能力」が問題なのではなく、資金を調達する上での「手続きの停滞」がその本質だ。かつてデフォルトを起こした新興国や現在のギリシアのような状況ではない。

 国債利払いの停止、あるいは行政サービスの停滞のようなことが起こった場合、共和党も民主党もその責任を負う悪者にはなりたいくない筈なので、何らかの合意が遠からず形成されるだろう。

 手続き上の障害を取り除いてしまえば米政府は資金調達能力が十分あるし、米国の長期金利は十分に低い水準にある。

 デフォルトに対する反応として、一時的に、日本円や金のような相対的な安全資産が買われて急騰する場面があるかもしれないが、外国の中央銀行や海外機関投資家にとって米国債の資産価値が急激に変わることはないので、米国債が投げ売りされるような事態にはならないだろう。

 仮に米国債の利回りが急上昇したとしても、その利回りでは資金需要が十分ないだろうし、実質金利が十分に高ければ投資家にとっては魅力的なものになる。

  中期的には歳出削減による不況が心配

 但し、心配が無いわけではない。

 現在、共和党と民主党は、債務上限の引き上げを巡って、歳出削減のパッケージを議論している。特に、共和党は強硬で、一切の増税に反対するのと同時に、大幅な歳出削減を主張している。

 仮に米国債がデフォルトを起こした場合、これを収束するために歳出削減に関して強硬な意見が債務上限引き上げの付帯条件として採用される可能性が強まるだろう。

 失業率が高止まりし、不動産価格が低迷する米国では、当面、民間消費は低調だろうし、民間の資金需要も盛り上がらない。こうした中で政府部門の支出を急激に縮小させると、近い将来、米国景気の本格的な後退が起こる可能性がある。

 この状況下では、米国の長期金利は一段と低下することになるだろう。米国債のデフォルトは、一時的に米国債の売り(長期金利上昇)につながるかも知れないが、やや中期的には却って米国債が買い進められるような(長期金利が低下する)状況をもたらすかも知れない。

 景気後退が深刻な場合、FRB(米連邦準備制度理事会)は、長期国債を含む資産の買い取りを行ってもう一段の金融緩和(「QE3」)を実施する可能性があるが、これも米長期金利の低下要因となりそうだ。

 債券投資家にとっては悪くない状況が到来するように思われるかも知れないが、これは、経済の全体像としては、長期的な経済停滞の中にある日本国債の状況を米国債が早足で追いかけてくるような状況を意味する。決して喜ばしい状況ではない。もちろん、日本の経済にとってもマイナス要因となる。

  長期的には米ドル離れ

 そもそも、一時的な「手続き要因」によるデフォルトが、「長期的」な米国債やドルを巡る状況に影響すると考えることは、経済的な思考として正しくないのかも知れない。しかし、絶対の安全資産と考えられていた米国債の「神話」がデフォルトによって否定されることには、長期的な影響もあるような気がするし、デフォルトが何らかの象徴的な意味を持つ可能性も考えてみたい。

 既に、日本以外の中央銀行は、外貨準備を米ドルから他通貨建ての資産に徐々にシフトする動きを見せているが、「デフォルトの実績あり」ということになると、米国債の保有を減らす動機と名目がもう一つ増えることになる。

 海外の年金基金のような機関投資家もデフォルトの実績があり、おそらくはAAAから滑り落ちる米国債の保有を減らすことはあっても、増やそうとはしないのではないか。

 とはいえ、これまで、米ドルは世界の準備通貨でもあると同時に決済通貨でもあった。軍事力を含めた国力、金融システムの発達、法的な制度の整備も含めて、米国の金融市場及び米ドルは、世界の金融取引にとって好都合であった。

 こうした前提条件が一度の手続き的なデフォルトで急に変化するとは思えないが、考えてみると、米国の金融システム自体は、決済通貨が米ドルでなくても、他の通貨あるいはSDRのようなものに変化しても問題なく利用することが出来る。米国の金融業にとって、取引が複雑になることは、参入障壁を作りやすくなったり、手数料を稼ぎやすくなったりするメリットもある。

 急激な変化があるとは思えないが、長期的には、世界の金融システムの米ドル離れが進行するのではないだろうか。この流れの中にあって、「米国債デフォルト」が起こると、本来絶対ではないはずの米国債の信用が絶対だと勘違いされてきた余計な神話のヴェールを一枚剥がすことに貢献したと振り返られるようなイベントになるのかも知れない。

  日本は若年層の雇用が心配

 起こりうるかも知れない米国債のデフォルトの、日本にとっての影響を考えて置こう。

 先ず、短期的にも、中期的にも、為替レートが円高方向に圧力が掛かりやすくなることを覚悟しておく必要がありそうだ。最初は、米ドルの信用の剥落から、次には、米国の不況に伴う金利低下(米国の「日本化」ともいえる)から、円高が進む可能性がある。

 この場合、日本の特に製造業企業の海外移転は加速することになりそうだ。

 加えて、現在、日本企業ではいわゆる「2013年問題」(年金支給開始年齢の引き上げに伴う問題)の影響もあり、高齢社員の定年が実質的に延長される方向にある。この場合、企業は、一時的に高齢社員向けの人件費の減少ペースが鈍るので、このしわ寄せが、若年者の雇用機会減少に回る可能性が大きい。

 さらに、本稿で想定したように、米国の不況入りが現実のものとなると、日本では、ただでさえ悪い若年者の雇用状況が更に一段と悪化する可能性があるということではないだろうか。

 米国債デフォルトだけによる問題ではないが、日本独自の政策でデフレを解消し、若年者の雇用状況を改善しなければ、若年者の大量失業がさらに大きな問題になるような「嫌な時代」がやって来るのではないかと心配だ。
関連記事

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://bator.blog14.fc2.com/tb.php/558-e897cc6f

 | HOME | 

 

プロフィール

もうすぐ北風

Author:もうすぐ北風
こんにちは。
いろんな旅を続けています。
ゆきさきを決めてないなら、しばらく一緒に歩きましょうか。

最新記事(引用転載フリー)

カテゴリ

経済一般 (118)
経済一般~2012冬まで (161)
日本の経済 (224)
通貨戦争 (70)
ショック・ドクトリン (12)
震災関係 (23)
原発事故発生 (112)
事故と放射能2011 (165)
放射能汚染2012 (192)
汚染列島2013-14 (146)
汚染列島2015-16 (13)
福島の声 (127)
チェリノブイリからの声 (27)
政治 (413)
沖縄 (93)
社会 (316)
小沢一郎と「生活の党」 (232)
健康と食 (88)
環境と地球の歴史 (28)
未分類 (175)
脳卒中と入院 (7)

カウンター

最新コメント

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

リンク

このブログをリンクに追加する

カレンダー

04 | 2021/05 | 06
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

最新トラックバック

月別アーカイブ

RSSリンクの表示

Template by たけやん