莫大な量的緩和によって金融資本家だけが焼け太り
2011-07-20
巨万のカネをつくり供給してきたが、昨年の11/30「政策破綻で焼け太る金融資本家」に書いた状況から、実体の国民経済は何も回復していない。
欧米共にこれが事実である。
田村秀男氏から
ーーーーーーーーーーーーーー
バブル崩壊後もバブルーー量的緩和で焼け太る米金融業界
2011/07/13 10:14
バブル崩壊後もバブル、バブルなくして回復もなし、されどバブル、たかがバブル、やっぱりバブル、破裂の不安からは逃れられない、されど忘れ難い蜜の味、それでも、バブル崩壊しても金融業界だけは栄えるのだろうか。
あるいはそのドルの洪水を汲み上げる中国人のように今この機を逃さずバブル・マネーを精いっぱい金の延べ棒に替えて隠し持つか、海外の不動産に置き換えようと身内やコネを使って世界の主要都市を徘徊するのだろうか。
あるいは日本人のように、財務官僚・日銀官僚によるバブルとは対極のデフレ貧乏政策に甘んじ、漆黒の渕に沈むのだろうか。
さあ、あなたはどの道を選ぶ?
以下は、その参考材料
量的緩和で焼け太る米金融業界
2008年9月15日に勃発した「リーマン・ショック」は金融版「100年に1度の大津波」と称されただけあって、その後遺症はさながら断続的な大震災後の余震のように各地を不安に陥れる。
欧州ではギリシャなどの財政危機がおさまらないし、米国では失業率の改善は遅々として進まず、議会では財政赤字拡大でもめている。
だが、震源地のニューヨーク・ウォール街はどうかというと、金融界はリーマン前を上回る収益を上げている。言わば焼け太りである。なぜだろうか。

■ドル資金を大量発行
答は簡単である。金融業とは外部から資金を安く仕入れ、その資金をより高い利子を付けたり、手数料を徴収して外部に回すことで収益を上げられる。
つまり金融業はより多くの資金量を取り入れることができれば、よりたくさん儲けられる永久不滅のビジネス・モデルである。ウォール街やワシントンの金融マフィアたちはそのことを熟知し、リーマン・ショックが起きても打つ手を知っていた。
教条主義的な市場原理にこだわらず、さっさと当局は金融市場に介入し、米連邦準備制度理事会(FRB)がドル資金を大量発行して、金融機関に流し込んできた。
まず、バブル崩壊して紙くず同然になった住宅ローン担保証券を金融機関から2010年7月までに1兆1280億ドル分買い取った。これが量的緩和第1弾(QE1)と呼ばれる。
QE1に続いて米国債追加購入に踏み切り、現在までに8000億ドル以上買い増した。量的緩和第2弾(QE2)であり、この6月末で一応打ち切った。
この2段階にわたる量的緩和政策により、ことし7月6日時点でFRBの資産はリーマン前の3倍、2兆8700億ドルまで膨らんだ。
FRB資産という表現はわかりにくいかも知れないが、発券銀行である中央銀行がドル資金を発行して証券など金融資産を購入した、その残高である。
言い換えると、FRBはドル資金発行量を3倍に増やしたわけである。ドルの発行と言っても、FRBが「米連邦準備銀行券」すなわちドル紙幣の輪転機を回さなくても済む。コンピューター回線を通じて、電子マネーをそのまま対象となる金融機関の口座に送金するのだが、ドルの現金を振り込む操作と同じだから、一般にはドル札の印刷と表現することもある。
そもそもマネーすなわちおカネとは何だろうか。
われわれの財布の中にある現金や銀行預金も、中央銀行が刷る資金も同じカネであり、区別はつかない。FRBや日銀が「刷る」カネもわれわれが働いて貯めるカネも変わりはしないのだが、まじめ一筋の日銀は日銀券を刷らない。半面で、米国や中国は大量に刷る。
カネとは、現金に交換できる資産、あるいは預金のような現金と同等の金融資産のことである。投資家が見向きもしなくても、FRBのような中央銀行が銀行資産を買い取れば、この資産はカネとなる。
バブル崩壊が起きると金融機関が保有する金融資産は大きく目減りしてしまう。そうなると、預金などの金融機関の債務に見合う資産が大きく減ってしまう「債務超過」に陥るので、その金融機関の信用がなくなる。預金者はその金融機関に殺到して預金を引き出そうとするし、他の金融機関Bは不安のある金融機関Aから資金を回収しようとする。
そこで連鎖反応が起きる。BにはCが、CにはDがというふうに資金引き揚げが続き、網の目のようにつながっている金融システムが機能麻痺に陥る。
これが金融恐慌、あるいは信用恐慌と呼ばれる事態である。これは1930年代の「大恐慌」や1990年代の日本のバブル崩壊期がそうだし、今のギリシャ危機もその導火線になる。
■カネは動き実体低迷
FRBのQE1は紙くずになりかけた住宅ローン担保証券に値札を付けて買い取った。
その結果、日本円換算で100兆円のドル資金が金融機関の資産に注入され、金融機関の信用は保たれた。
QE2はさらに金融機関が保有する米国債をドル資金に置き換えた。この結果、米国債相場は安定し、長期金利は低めに保たれるようになり、米政府は赤字国債を有利な条件で発行し、財政支出を増やせる。
金融機関は手にしたドル資金で株式を購入し、株価を引き上げる。さらに新興国などへの貸し出しを増やす。こうして金融市場でカネは動き回るようになり、米金融機関はグラフ通りV字型の回復を遂げるようになった。
それでも、現実の経済の回復速度は遅い。個人消費主導の米国経済は借金で成り立っている。借金できるのは担保があるからで、担保の大半は住宅の価値である。
08年に住宅バブルが崩壊して以来、住宅相場は今なお低迷が続いており、消費者は借金できない。他方、金融機関は消費者向けに貸し出さないが、株式や他の金融商品の取引で利益を稼ぐ。
こうしてモノやヒトが動くことでよくなる実体経済は低迷が続いたまま、カネだけが動く金融経済だけが栄える。
これがドル札の洪水のとりあえずの帰結であり、米国経済が活気を取り戻すためには住宅市場の回復を待たなければならないだろう。
欧米共にこれが事実である。
田村秀男氏から
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バブル崩壊後もバブルーー量的緩和で焼け太る米金融業界
2011/07/13 10:14
バブル崩壊後もバブル、バブルなくして回復もなし、されどバブル、たかがバブル、やっぱりバブル、破裂の不安からは逃れられない、されど忘れ難い蜜の味、それでも、バブル崩壊しても金融業界だけは栄えるのだろうか。
あるいはそのドルの洪水を汲み上げる中国人のように今この機を逃さずバブル・マネーを精いっぱい金の延べ棒に替えて隠し持つか、海外の不動産に置き換えようと身内やコネを使って世界の主要都市を徘徊するのだろうか。
あるいは日本人のように、財務官僚・日銀官僚によるバブルとは対極のデフレ貧乏政策に甘んじ、漆黒の渕に沈むのだろうか。
さあ、あなたはどの道を選ぶ?
以下は、その参考材料
量的緩和で焼け太る米金融業界
2008年9月15日に勃発した「リーマン・ショック」は金融版「100年に1度の大津波」と称されただけあって、その後遺症はさながら断続的な大震災後の余震のように各地を不安に陥れる。
欧州ではギリシャなどの財政危機がおさまらないし、米国では失業率の改善は遅々として進まず、議会では財政赤字拡大でもめている。
だが、震源地のニューヨーク・ウォール街はどうかというと、金融界はリーマン前を上回る収益を上げている。言わば焼け太りである。なぜだろうか。

■ドル資金を大量発行
答は簡単である。金融業とは外部から資金を安く仕入れ、その資金をより高い利子を付けたり、手数料を徴収して外部に回すことで収益を上げられる。
つまり金融業はより多くの資金量を取り入れることができれば、よりたくさん儲けられる永久不滅のビジネス・モデルである。ウォール街やワシントンの金融マフィアたちはそのことを熟知し、リーマン・ショックが起きても打つ手を知っていた。
教条主義的な市場原理にこだわらず、さっさと当局は金融市場に介入し、米連邦準備制度理事会(FRB)がドル資金を大量発行して、金融機関に流し込んできた。
まず、バブル崩壊して紙くず同然になった住宅ローン担保証券を金融機関から2010年7月までに1兆1280億ドル分買い取った。これが量的緩和第1弾(QE1)と呼ばれる。
QE1に続いて米国債追加購入に踏み切り、現在までに8000億ドル以上買い増した。量的緩和第2弾(QE2)であり、この6月末で一応打ち切った。
この2段階にわたる量的緩和政策により、ことし7月6日時点でFRBの資産はリーマン前の3倍、2兆8700億ドルまで膨らんだ。
FRB資産という表現はわかりにくいかも知れないが、発券銀行である中央銀行がドル資金を発行して証券など金融資産を購入した、その残高である。
言い換えると、FRBはドル資金発行量を3倍に増やしたわけである。ドルの発行と言っても、FRBが「米連邦準備銀行券」すなわちドル紙幣の輪転機を回さなくても済む。コンピューター回線を通じて、電子マネーをそのまま対象となる金融機関の口座に送金するのだが、ドルの現金を振り込む操作と同じだから、一般にはドル札の印刷と表現することもある。
そもそもマネーすなわちおカネとは何だろうか。
われわれの財布の中にある現金や銀行預金も、中央銀行が刷る資金も同じカネであり、区別はつかない。FRBや日銀が「刷る」カネもわれわれが働いて貯めるカネも変わりはしないのだが、まじめ一筋の日銀は日銀券を刷らない。半面で、米国や中国は大量に刷る。
カネとは、現金に交換できる資産、あるいは預金のような現金と同等の金融資産のことである。投資家が見向きもしなくても、FRBのような中央銀行が銀行資産を買い取れば、この資産はカネとなる。
バブル崩壊が起きると金融機関が保有する金融資産は大きく目減りしてしまう。そうなると、預金などの金融機関の債務に見合う資産が大きく減ってしまう「債務超過」に陥るので、その金融機関の信用がなくなる。預金者はその金融機関に殺到して預金を引き出そうとするし、他の金融機関Bは不安のある金融機関Aから資金を回収しようとする。
そこで連鎖反応が起きる。BにはCが、CにはDがというふうに資金引き揚げが続き、網の目のようにつながっている金融システムが機能麻痺に陥る。
これが金融恐慌、あるいは信用恐慌と呼ばれる事態である。これは1930年代の「大恐慌」や1990年代の日本のバブル崩壊期がそうだし、今のギリシャ危機もその導火線になる。
■カネは動き実体低迷
FRBのQE1は紙くずになりかけた住宅ローン担保証券に値札を付けて買い取った。
その結果、日本円換算で100兆円のドル資金が金融機関の資産に注入され、金融機関の信用は保たれた。
QE2はさらに金融機関が保有する米国債をドル資金に置き換えた。この結果、米国債相場は安定し、長期金利は低めに保たれるようになり、米政府は赤字国債を有利な条件で発行し、財政支出を増やせる。
金融機関は手にしたドル資金で株式を購入し、株価を引き上げる。さらに新興国などへの貸し出しを増やす。こうして金融市場でカネは動き回るようになり、米金融機関はグラフ通りV字型の回復を遂げるようになった。
それでも、現実の経済の回復速度は遅い。個人消費主導の米国経済は借金で成り立っている。借金できるのは担保があるからで、担保の大半は住宅の価値である。
08年に住宅バブルが崩壊して以来、住宅相場は今なお低迷が続いており、消費者は借金できない。他方、金融機関は消費者向けに貸し出さないが、株式や他の金融商品の取引で利益を稼ぐ。
こうしてモノやヒトが動くことでよくなる実体経済は低迷が続いたまま、カネだけが動く金融経済だけが栄える。
これがドル札の洪水のとりあえずの帰結であり、米国経済が活気を取り戻すためには住宅市場の回復を待たなければならないだろう。
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