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もうすぐ北風が強くなる

奇怪なストレステスト:武田

 中部大・武田氏からの引用。
 なお、武田氏は元来いわゆる反原発の立場ではありません。
 従って、下記のタイトルにある「誤魔化されるようなら日本はダメだろう」とあるのは武田氏の原子力を否定しない安全第一の立場からのものです。
 つまり、この怪しげなストレステストによって騙されるような社会なら、その社会で原子力を利用するの危険では不可能だ。と言う意味と思います。
 武田氏は観念的には反原発ではありませんが、今、被曝が日に日に拡大しつつある現在、いつも貴重な発言と思っています。

ストレス・テストの怪・・・

原発再開のために政府は突如として「ストレス・テスト」というのを出してきた。
内容を聞くと「震度6の地震がきた」とか「10メートルの津波が来た」というように「危険なことが起こる想定」をして、その時に原発がどうなるかをシミュレーションで調べると言う。
・・・・・・
実にバカらしいことだ。このようなことで、もし日本国民が納得したら、やはり「日本では原発はできない」ということになるだろう。

この方法の欠陥は3つ。

(1) 従来からの方法と変わらない、
(2) コンピュータは「現在想定していることしか分からない」、
(3) 想定外のことが起こった福島原発の教訓が生きない。

原子力発電所の大事故については、多くの研究や検討があり、普通は[シビア-・アクシデント]と呼ばれていた。
つまり、臨界事故や今回のような冷却が出来なくなる事故などは、大事故として予想されていた典型的なものだ。
それなのになぜ、今回のような大事故になったのだろうか?
・・・・・・・・・
沸騰水型の原子炉では、冷却水の循環は比較的、単純で原子炉の熱で直接、水を沸騰させて高圧の蒸気にして、それでタービンを回し、その後、熱交換機(復水器)を使って海水で冷却して、また原子炉の戻す.

この場合、たとえば次のようなことが起これば冷却ができなくなる。

1) 原子炉への配管が割れたり、外れたりする、
2) タービンに異常が起こり、タービンからの蒸気を復水器に回せなくなる、
3) 復水器につまりが起こり、そこで冷却が停滞する、
4) 海水の推移が急激に下がり、取水口から海水を取水出来なくなる、
5) 循環ポンプが故障する、
6) 循環ポンプや電磁弁への電気が来なくなる、
7) 温度や圧力を測定する計装系に異常が起こり、たとえば冷却水が止まっているのに、冷却していると誤認して循環を止める、
8) 人間が非常時を誤って判断して、冷却を止める、もしくは冷却を止めるつもりはないが、スイッチを間違える。
・・・・・・
このような非常時の想定は幾らでもあって、どの異常は起こるが、どの異常までは起こらないという「想定」が必要である。

今回は、「3つの電源を一度に失うことはない」という前提(想定)があった。それは主電源、予備電源、非常用発電(ディーゼル発電)の3つを一度に失う「確率」がきわめて小さいと見られたからである。
ところが現実には電気は止まった。

原因は、2つ考えられる。
一つは:震度6の地震で配管が破壊された。もしくは冷却系に異常が起きた。
二つは:津波で電源が水をかぶった。

今のところ、どちらであるか分かっていない。事故が起こったことから考えると、どちらでも良いが、それが「想定外」だったからだ。

たとえば主電源、予備電源、非常用発電のいずれもが建屋の地下にあり、津波の水をかぶったということが原因と言われている.
もし、これが本当なら、なぜ「大雨」、「洪水」、「津波」など普通の災害を考えなかったのか?ということになる。

この「想定」をすれば「ストレス・テスト」ではなくても、普通の「安全性検討」で安全に疑問が生じるはずである.しかし、安全については東電内部の検討、保安院の審査、それに一般的な考え方についての安全委員会の了承は得られている.
これまでの「シビア-・アクシデント」の研究で、「洪水」が想定されていなかったとすると、ストレス・テストでも想定しないだろう。
・・・・・・・・・
実は「安全」というのを守るためには「程度問題」との戦いであることが分かる。
「北朝鮮が原発を爆撃してくる」・・「そんなことは起こらない」
「大雨の時に従業員が建物の戸を閉めるのを忘れる」・・「水浸しになるまで誰かが気が付く」
など、

「こういうことが起こる」・・「そんなこと、起こらない」
というのとのせめぎ合いである。楽観的な人は途中でバカらしくなってくるし、悲観的な人は普通にはあり得ないところまで考える.だから、なかなかケリがつかない。
・・・・・・・・・
なにしろ、現在は東日本の原発は、青森の東通、宮城の女川、福島の福島第一、第二、茨城の東海の各原発が2011年の震度6で壊れ、新潟の柏崎、石川の志賀が2007年の震度6で壊れ、静岡の浜岡が自主的に停止している。

つまり、「震度6」の地震を乗り切った東日本の原発は皆無であるという現実もある。
一方、震度6以上の地震はここ10年で13回あったから、西日本に地震が起こるとほぼ間違い無く原発は壊れる。

震度6の想定もしていなかった。
それでも、「玄海原発の安全宣言」が出たぐらいだから、適切で今までの事故例を参考にしたストレス・テストの前提を作れるはずもない。

私は「ストレス・テスト」というのは今までもやっていることを、名前を変えてハードルを上げたように見せかける卑劣な提案と思う。
もう少し誠意を持って欲しい。もし、政府が「原発は危ないけれど
電気がいるから動かす」というなら、そのように言って、住民をあらかじめ退避させるとか、救命ボート(バス、マスク、風向計)を準備するとかして、誠意を見せたらどうか。
(平成23年7月12日 午後4時 執筆)
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

汚染牛肉を「安全」という専門家

また、基準値以上の牛肉を食べても「健康に影響がない」という専門家が現れました。
2011年7月12日、朝7時のNHKニュースに登場した何とか研究の権威の先生で、彼は、
「1日500グラムの牛肉を200日食べたら1ミリシーベルトになるので、汚染牛肉食べても健康に影響はない」
と言っていました。
放送するNHKもNHKですが、こんなことを言う専門家も専門家です。
・・・・・・・・・
問題点の1
この計算は「足し算が出来ない専門家」の計算です.

人間は、空間、水、主食、副食、おやつ、ホコリ、運動などから被曝するので、それぞれの基準は合計した1年1ミリシーベルトの10分の1ぐらい(0.1ミリシーベルト)にしなければなりません
また、副食と言っても、牛肉、豚肉、鶏肉、卵、ほうれん草、小松菜、にんじん、タマネギ、ゴボウ、ジャガイモ、ネギ・・・など少なくとも10種類はありますから、一つ一つの被曝はさらに10分の1が一つの目安です(0.01ミリシーベルト)。
このような考え方はすでに食品安全の領域では普通です。そうすると、

「1年に500グラムを200日」
というのが、
「1年に50グラムを20日」
となり、これは現実に食べる量より少ないので、危険な牛肉になります


つまり、被曝計算をするときには、生産者側から(牛肉だけ)ではなく、消費者側から(一日に食べる量全体と外部被曝など)計算しなければなりません。
専門家やNHKが被曝側にたって計算してくれるのはいったい、何時になるのでしょうか?
福島原発事故が起こってから、日本政府は終始、事故を小さく見せることに力を注いできました。
でも、報道の自由をもっている報道機関、学問の自由で守られている研究者が、なぜ政府に追従して、国民を被曝させようとするのでしょうか?
(平成23年7月12日 午後4時 執筆)
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