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ガンダーセン:インタビュー(3)被曝と汚染

ガンダーセン:インタビュー(2)からの続き
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アーニー・ガンダーセン独占インタビュー:事態が悪化したら自分の身は自分で守ろう

マ:まずお伺いしたいのは、放射線による外部被曝の危険性と放射性粒子による内部被曝の危険性の違いです。これについてはかなりの混乱が見られ、メディアもあまり役に立ちません。ご説明いただけますか?

ガ:放射性物質には3種類あります。1つはガンマ線。原子炉が爆発した時、まずキセノンとクリプトンのガスの雲が大量に放出されました。どちらも希ガスで、皮膚などと反応することはありませんが、ガンマ線を放出します。
ガイガーカウンターを持ち歩いて線量を測っていた人たちが得た数値は、基本的にガンマ線の雲を体の外から浴びている線量を示していました。ガンマ線も怖いですが、体全体に拡散します。
私がもっと怖いと思うのは、放射性物質が崩壊するときに出るもう2種類の粒子、アルファ粒子とベータ粒子です。どちらも遠くまでは移動しませんが、ガンマ線よりはるかに多量のエネルギーをもっています。これらが皮膚に付着しているだけなら問題はありません。洗い流して今までどおり暮らしていけばいいのです。
ですが、体内に取り込まれると特定の臓器に向かい、非常に小さな範囲の組織に大量の放射線を浴びせるので、がんを引き起こす可能性があります。これを私たちは高放射能粒子と呼んでいます。

これらの粒子はすべて放射性ですが、人体への影響の話をするときは、これらの粒子のどれかが臓器に付着してその臓器を攻撃し始めることを指す場合がほとんどです。

マ:つまり放射線には3種類あるわけですね? まずはアルファ粒子でこれは粒子、次にベータ粒子があってこれも粒子、そしてガンマ線がある。ただ単に「放射線の話をしよう」と言うのは、「車の話をしよう」というのと同じ、というわけでしょうか。
一口に車といってもランボルギーニやVWやムスタングなど色々な種類がある。だから放射線についても種類があることや、放射線のレベルについて、私たちも理解しておく必要がありますね。放射線レベルというのは、全身に何レム浴びるかを示したものだと理解しています。アルファ粒子が何レム、ベータ粒子が何レム、ガンマ線が何レムというのは、それだけの量を全身で浴びますよということですね。
レントゲンを撮ってX線――これもまた別種類の放射線ですが――を浴びるようなもの。それがひとつ。けれども、放射性粒子が人体の組織内で放射線を出してしまうと問題がおきる。たとえば10ミクロンの粒子を吸い込んだとして、それがたまたま放射性粒子だとしたら、それは肺の絨毛に入り込み、そこに付着する可能性がある。そして粒子のまわりのごくごく狭い領域を攻撃し、その攻撃は放射性が失われるまで、または何らかの方法で体外に排出されるまで続く。

つまり、外側からの外部被曝で亡くなるケースは非常に稀だということですね。
外部被曝で死亡させるには、膨大な量を全身に浴びせる必要がある。
ところが人体に入る内部被曝の場合は話がまったく違ってくる。内部被曝の場合は、放射線量で言えば非常に低いレベルでも命取りになりうる。毒殺されたレトビネンコのことを思い出しますね。彼はロシアの反体制活動家で、2006年にロンドンでごく少量のポロニウム210を投与され殺害されました。この物質はアルファ粒子を出します。
彼が食べた物の中に何らかの方法でポロニウムが入っていて、最終的には彼を殺してしまった。
たしか非常に短い期間で死に至ったと思います。9日か10日。ですから皆さんに本当に考えていただきたいのは、放射能を出す物質を体内に入れてはいけないということです。

そのためにはどうすればいいのでしょうか。もしもアーニー、あなたが今東京かその近郊に住んでいるとしたら、あなたはどういう行動を取りますか?

ガ:東京に限らず、アメリカの西海岸も含めたほうがいいでしょうね。同じ粒子が検出されていますから。
さて東京についてのあなたのご質問ですが、東京にお住まいの方にアドバイスをするとしたら、玄関で靴を脱いで、ほこりは濡らして取ることです。ほこりを払ってはいけません。
私たちの最近の調査からは、家の中の汚染レベルのほうが家の外より高いことがわかっています。過去2ヶ月のあいだに放射性物質が屋内に運ばれ続け、そのまま留まっているからです。
ほこりを払ってしまったら、ほこりに付いている放射性物質をぜんぶ空中に撒き散らすことになります。
それからHEPAフィルターのついた空気清浄機を買って、フィルターを頻繁に交換することをお勧めします。HEPAフィルターは粒子をとらえる能力が高いのです。
それから、部屋のエアコンやカーエアコンのフィルターを新しいのと交換するといいでしょう。過去数ヶ月分の粒子が溜まっていますし、季節的にも交換にはちょうどいい時期です。
あとは、解体作業は絶対に行なわないこと。家の本体から張り出した部分を取り壊すなどもってのほかです。中に何が入っているかもわからないままにほこりを舞い上げてしまい、吸い込んで内部被曝するおそれがあります。

最後にもうひとつ。4号機から目を離さないこと。
もしも地震が起きて4号機が倒れたら、政府が何を言おうと信じてはいけません。それはもう科学が想像すらしたことのない領域なのです。
飛行機に乗って東京を出るときです。

マ:あれこれ悩むな、すぐに動け、ですね。食べ物についてはどうでしょう。これは大きな問題ですし、アメリカ西海岸の人たちにも問題になってくる可能性があります。放射性粒子が食物連鎖に入り込む可能性はあるんでしょうか。たとえば牛乳を通じて。牛は大量の草を食べて、それがごく少量の乳になります。その過程で、草や葉野菜に含まれていたものはぜんぶ濃縮されます。
草や葉野菜には放射性同位体が付着しやすいんですよね。セシウムが入り込む可能性がありますし、ヨウ素がまだ漂っていれば間違いなく入るでしょう。ヨウ素はもう出ていないはずなのに、どうやらそうはなっていないようです。食べ物に対してはどう対処したらいいでしょうか。何かを体内に一番取り込みやすいのは、物を食べることですからね。

ガ:牛乳に多く入り込むとしたらヨウ素ですね。すでに事故から80日が経過していますから、ほとんどのヨウ素はもう消えていていいはずです。
放射性ヨウ素の半減期は8日ですし、大ざっぱに言って半減期を10倍した期間がたてばほぼなくなりますから。でもヨウ素は検出され続けています。これは奇妙なことであり、先ほどの再臨界の話とつながってきます。
ですから日本の友人には、6月中旬までは牛乳や乳製品を避けるように勧めています。野菜をよく洗うのはとても大事なことです。
それから太平洋で獲れた魚は避けること。福島から相当離れたところで獲れたと確実にわかっているなら話は別ですが。福島から100マイル[約160km]程度の沖合いだとしたら、食べようなどと考えるのもだめです。
この状況は時間がたつにつれてひどくなっていくと思います。グリーンピースが独自に測定した数字を見れば、時間とともに悪くなっているのがわかります。
日本海は別です。日本海の魚であれば安心して食べていいでしょう。でも、太平洋側で獲れたとわかっているなら、食べないことです。

[これはひょっとしたら実際には難しいかもしれません。東北近海で捕獲された魚でも中部、西日本の漁港で水揚げされれば中部、西日本産の魚に「化ける」かもしれませんし。訳者]

海の場合、重要な放射性同位体は2つです。
1つはセシウム。これは筋肉に溜まる性質があり、魚肉はもちろん筋肉ですから、魚を食べればセシウムが体内に溜まるおそれがあります。
もう1つはストロンチウムです。ストロンチウムは魚の骨に溜まります。ですから魚の骨を使った珍味を味わわないかぎり、魚を通じてストロンチウムに被曝するとは考えられません。
ですが、生物濃縮というプロセスを通じて、最終的には食物連鎖の頂点にいるマグロやサケといった魚にこうした物質が入り込みます。大きな魚になればなるほど、放射性物質は濃縮されています。
私が気がかりなのは、米食品医薬品局(FDA)がアメリカにやって来る魚のモニタリングを行なっていないことです。遅かれ早かれマグロがどこかにやって来て放射能警報を鳴らし、みんながマグロをダーティ・ボム(いわば、放射能汚染爆弾)扱いする日が来るからです。
今はまだマグロは太平洋を越えていませんが、2013年までには西海岸で水の汚染と、食物連鎖の頂点にいる魚の汚染が問題になると私は考えています。

マ:太平洋は広大な海なので、汚染は拡散して薄まるという話をよく聞きます。でも、その話は今あなたがおっしゃった生物濃縮の問題を考慮していませんね。放射性同位元素の多くは体にとって必須の元素と似ているために、私たちの体はそれらを選択的に取り込んでしまいます。それは微生物も同じで、その微生物がもっと大きな生物に食べられ、それがまたさらに大きな生物に、と続いていくわけです。
これは私たちにとっても初耳の話ではありません。水銀が生物濃縮しやすいのは知られていますし、いろいろな中毒も生物濃縮を通じて起きます。これを放射性粒子の濃度に置き換えて考えればいいわけですね。
先ほど、チェルノブイリ事故時の黒海より太平洋のほうが放射能汚染がひどいという話をされていましたが、どれくらいの汚染物質が太平洋に流れ込んだとお考えですか?

ガ:先ほどの調査結果はウッズホール海洋生物学研究所のもので、もちろんここは信用ある科学研究機関です。彼らは10倍以上の汚染だと言っています。たしかに太平洋は広大です。でも10倍というのはまだ現時点での話であり、私たちがまだ危機を脱していないことを忘れないでください。
チェルノブイリが終わった時点より10倍多く、しかも福島からの放射能の放出にはまだ終わりが見えません。なのにすでに10倍なのですから、心配です。
50マイル[約80km]の沖合いで捕獲れた4~5インチ[約10~12cm]の小魚から、すでに許容量の10~50倍のセシウムが検出されています。もちろんその小魚はもっと大きな魚に食べられて、食物連鎖のはしごを上がっていくわけです。
これは憂慮すべき事態です。海草はヨウ素を吸収するようですが、私がつい最近知ったところによれば、セシウムも吸収するのです。
私はこれまで、90日たてばヨウ素はなくなるから海草は心配しなくていいと言ってきました。でもセシウムも吸収すると分かった今はそこまで確信がもてません。

マ:でも、幸い米環境保護局(EPA)は厳密な検査を実施しているんですよね?

ガ:政府の言うことに間違いはありません。

[ちなみに、EPAの検査はボランティアに頼る検査で、そのボランティアもEPAの下請け会社(ブッシュ大統領の下で働いていた人が設立した会社)に雇われているようです。5月の中旬から、食品の放射能検査などは元の通り、3ヶ月に1度の検査に戻されました。訳者]

マ:ああ、そうですね、あいにく信用できません。ともあれ海の汚染は福島の事故が残す環境への遺産のひとつですね。そうだ、言い忘れていました。色々調べているときに見つけた説なのですが、殻のある海の生物、とくにカニなどの甲殻類は殻に多量のセシウムを溜め込むそうです。セシウム汚染の件には甲殻類も付け加えたほうがいいかもしれません。

個人的な考えですが、もしも私が日本に住んでいたら、太平洋産の魚介類はすべて避けるでしょうね。あなたもおっしゃった通り、現時点ではそれが賢い判断のように思います。
本当に信頼できる徹底的な監視体制が整うまでは、私自身は何事も疑ってかかりたいと思います。
では、今原発の近くに住む住民や、原発の敷地内に居住する作業員は、どんな健康被害に直面するおそれがあるのかをお話いただけますか?

ガ:福島からは北と西に大きな放射能の雲が流れました。50マイル[約80km]も離れたところまでです。これだけの汚染を安価な方法できれいにするのは無理でしょう。原発から北西50マイルの地点では、セシウム濃度がチェルノブイリの立入禁止区域より高いのです。
事故当時、風がおもに海側に吹いていたのは本当に幸運でした。
煎じ詰めれば、日本政府がどれくらいの費用をかける気があるかの問題だと思います。半径20km圏内に住民が戻ってこられるとは思えません。とくに20km圏内の北西地域は無理でしょう。
農業や畜産業も問題を抱えます。牛はこの先何年もセシウムを取り込み続けるからです。ドイツを見てください。チェルノブイリの事故から30年近くたっているのに、キノコを食べるドイツのイノシシはいまだにセシウムに汚染されています。
一世代で消えてなくなる問題ではないのです。問題は相当長い期間居座り続けます。

費用については問題が2つあります。実際、結局はお金の話になるのです。原発の敷地を除染するにはたぶん300~500億ドル[約2兆4,000億円~4兆円]程度かかるでしょう。
1基のクリーンな原子炉を廃炉にするには通常10億ドル[約800億円]かかります。しかし福島の場合どの原子炉にも、融けた燃料の塊が底に落ちているわけです。そういう状況でどれくらい費用がかかるのか、試算した人は今までにいません。
しかもこれは原発の敷地だけの話です。東電に支払いきれるとは思えないので、この300~500億ドルは国の負担になります。
これに加えて、内陸部の除染に軽く1000億ドル[約8兆円]はかかるでしょうね。

この費用の問題を私のウェブサイトに掲載したところ、「まさか、そんなに高くつくはずがない」という声が寄せられました。
もちろんそれほどの金額になるには長い時間がかかりますし、津波被害からの復興費用も一部この試算に混じっているかもしれません。でも、
原発から20~30km圏内の除染に1000億ドル以上かかったとしても、私は少しも驚きませんね。現実にありうる数字です。

(ガンダーセン:インタビュー(4)へ続く)
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