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もうすぐ北風が強くなる

ガンダーセン:インタビュー(2)4号機の危険

 ガンダーセン:インタビュー(1)からの続き
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マ:3号機が爆発したときに「おや?」と思ったのは、1号機の爆発のときとはまったく違ったからです。3号機のときは、強力なエネルギーが集中して上に向かったように見えました。あれがあなたのおっしゃる「即発臨界」というものですか?

ガ:はい、私はあれが「即発臨界」だったと考えています。即発臨界による爆発は、専門用語で「デトネーション(爆轟)」と呼ばれて区別されています。いずれにしても大きな爆発です。
3号機の爆発は激しいものであり、私は放射性粒子が飛び散った距離から見て爆発の炎がどれくらいの速度だったはずかを計算してみましたが、爆発による衝撃波の速度は時速1,000マイル[時速約1,600km]を超えていなくてはなりません。
それがデトネーションです。デトネーションでは衝撃波自体が途方もない破壊力をもっています。
もしも3号機の原子炉の底に溜まった燃料が下に落ちて水蒸気爆発を起こせば、同じようなデトネーションが再び繰り返されるわけです。

マ:どう考えても良い話ではありませんね。もしもそういう懸念があるのだとしたら、何か打つ手はあるんでしょうか。非常に難しいんじゃないかと思うんです。再臨界の「呼吸」が続いているために余分な熱が発生している、まあどういう理由にせよ炉心が非常に高温になっているとしたら、注水を続けて運を天に任せる以外に何ができるんでしょうか。

ガ:その2つ以外にやるべきことがもう1つあります。水で覆い尽くすことです。圧力釜の外側も内側も水で満たせば、今よりもっと冷却することができ、圧力容器の大事故を防ぐことができます。
ですが、現時点では、十分に水を満たすことは希望にすぎません。それに1つ心配なのが、これは4号機にも関係してくるんですが、余震の問題です。原子炉に水を入れすぎると重くなりますが、原子炉というのは重い状態で、余分な水が何十トンも入った状態で揺れるようなつくりになっていません。
ですから、もしも大きな余震が来たら、3号機と4号機は非常に危険な状態になります。スマトラ大地震を思い出してください。3、4年前にマグニチュード9を超える地震があり、その最大の余震が来たのは3ヶ月後でした。余震のマグニチュードは8.6です。
ということは、3.11の地震からすでに2ヶ月以上が過ぎているとはいえ、スマトラの例に照らせば、まだ大きな余震が起きる可能性はあるわけです。

マ:なるほど。では4号機も同じ危険にさらされているわけですね? 4号機では燃料棒は取り出されていてプールの水に浸かっていたと記憶しています。現時点での4号機の問題とは何でしょうか。

ガ:おっしゃる通り、4号機では原子炉は運転されていませんでした。燃料はすべて取り出され、使用済み燃料プールに入れられていました。
つまり、燃料が格納されていなかった、ということです。使用済み燃料プールは外側から丸見えの状態です。上空にヘリコプターを飛ばした確認では、吹き飛んだ建屋の隙間から使用済み燃料プールに入っている燃料が見えます。
4号機が停止したのは昨年の11月だったので、使用済み燃料はまだかなり高い温度を保っています。プールにはまだ多量の崩壊熱が残っているのです。
ニューヨーク州にあるブルックヘブン国立研究所が1997年に行った研究によれば、燃料プールの水が蒸発して火がつくと、187,000人の死者が出るおそれがあります。これは非常に憂慮すべき事態であり、もしかしたら福島第一原発で一番恐れなければならない問題かもしれません。
最近、NRCの委員長が語ったところによれば、彼が事故後に在日アメリカ人に対して原発から50マイル[約80km]以上離れるように指示したのは、4号機に火がついて、むき出しの燃料プールからプルトニウムやウラン、セシウム、ストロンチウムが気化するのを恐れたからです。
ブルックヘブンの研究を信じるなら、10万人以上の死者が出てもおかしくないからです。

マ:死者というのは被曝によって将来的にがんを発症するということですか?それともすぐに死に至る?

ガ:高放射能粒子によって将来的にがんを発症するということです。

マ:つまり4つのユニットがあって、いずれもそれぞれの危機に直面しており、すべてから放射線が出て環境が汚染された。まずお聞きしたいのは、本当のところどれくらいの放射性物質が放出されたのでしょうか。それから、かなりの量が海に流れ出ていると思うのですが、どれくらいの量が出て、それらは今どこにあるのでしょう。現時点で原発施設の周囲にどれくらいの汚染物質が存在するのか。そして台風シーズンが来たらどんなことが起き、どんな困難が予想されるのか。

ガ:私はこれまで、今回の福島の事故はチェルノブイリよりひどいと言い続けてきましたし、その考えは今後も変わりません。事故後の2、3週間で膨大な量の放射性物質が放出されました。
もしも風が内陸に向かって吹いていたら、日本は滅びていたかもしれません。
それくらい大量の放射性物質が出たわけですが、幸運にも太平洋のほうに流れていきました。もしも日本を横断する形に流れていたら、日本はふたつに分断されていたでしょう。ですが、
今では風向きが変わって南に向かっています。東京の方角です。今私が心配しているのは大きな余震が起きて4号機が倒れること。
もしそうなったら、日本の友人の皆さん、逃げなさい。
そんな事態になったらこれまでの科学はいっさい通用しません。
核燃料が地面に落ちて放射能を出している状態など、誰も分析したことはないのです。

原発からは蒸気が立ち上っているのが見えますが、夏になってしだいに熱くなると蒸気が減ったように見えるはずです。でもそれは蒸気が出ていないわけではなく、見えないだけです。
事故が起きたのは3月でまだ寒かったために、蒸気が見やすかったのです。原発からはまだ大量の放射性物質が出ています。最初の2週間ほどではありませんが、それでもかなりの量です。
おもにセシウムとストロンチウムが南に向かっていきます。台風が来ても来なくても同じこと。風向きによって今は南に流れていきます。
これから気をつけなければならないのは、ガイガーカウンターで測れるような総被曝量ではなく、高放射能粒子です。

マ:すでに東京でも放射能汚染を示すデータが得られているという記事を読んで驚きました。私にはかなり高いように思える数値です。土壌から3,000~4,000ベクレルとか、汚泥の焼却灰から170,000ベクレルとか。でもこの高いほうの数値は焼却灰の数値ですから、焼却炉なり、何らかの焼却プロセスを経ているわけですよね。これは相当ショッキングなレベルだと思います。
風向きが南に変わり、こんなに高い数値が出るほどの汚染物質がこれほど離れたところまで達するなんて、ぜんぜん知りませんでした。
どれくらいの量が、どうやって、いつ東京まで行ったのか、自分がよくわかっていなかったことに戸惑いました。こうした数値は3月には出ていたのに、4月下旬になるまで公表されなかった。この種の情報は把握していらっしゃいましたか? この数値をどう解釈されますか?

ガ:情報は把握していました。私もあなたと同じくらい戸惑っています。個人の方々からフェアウィンズ宛に、東京を走る車のエアフィルターが送られてきたんですが、それは放射線量を測るのにうってつけの方法だとわかりました。
フィルターは高放射能粒子をたくさんつかまえているからです。自動車の車体工場か何かを経営している方からフィルターが7個送られてきて、そのうち5つには問題がありませんでしたが、2つは信じがたいほど放射能に汚染されていました。
このことからわかるのは、放射能の雲は均一に広がるのではないということです。あまり溜まらない場所もあれば、たくさん溜まる場所もある。福島より北の地域についても同じです。
しかし東京の場合、公表されている公式な測定結果がなんであれ、放射能の雲の最悪の状況を反映していないように思います。
私はスリーマイル島でも同じ経験をしました。放射能の雲は曲がりくねって流れたり、雲が大きな放射線計の数百メートル脇を通ったために検知されなかったりということはあるものです。
意外ではありません。数値に現れないから存在しないのではなく、ただ単に検知されなかっただけなのです。

マ:たしかに流体力学とはそういうものですね。コップの水に染料を一滴垂らして、その染料が渦を巻きながら動いていくのを見ていると、染料が濃い場所と薄い場所ができます。それと同じです。
それにチェルノブイリ事故のあとでベラーシやウクライナなどがどう汚染されたかを見た人なら知っているように、チェルノブイリを中心に大きな円ができるわけではないんです。放射能の溜まる場所があちこちに現れるという、非常に非常に複雑な地図ができます。
たぶん私が驚いたのは、それほど大量の放射能がそんな南で溜まる可能性があるという危険信号をどこからも聞いていなかったからでしょう。でも実際はそうだったわけです。じつに興味深いですね。

ガ:何が起きたかというと、放射能の雲は海に出たあと、南向きに曲がって、それからさらに西向きに曲がったのです。
ちょうどフックのような形ですね。
放射能の雲は海に出てから、沖の風で南に運ばれ、それから西に運ばれて東京に達した。その雲に含まれていた粒子が車のエアフィルターに詰まっていました。ストロンチウム、セシウム、そしてアメリシウムです。燃料が損傷した証拠です。

マ:それはたしか韓国にまで達したのと同じ雲ですね。そのとき韓国では一部の学校を休校にしました。ちょうど雨だったので、多量の放射性物質が降ってきていたからです。たしかにフックのように大きく南に曲がってから西に曲がらないと、韓国には届きません。一連の流れのなかでそうなったわけですね。しかもその雲には非常に高い放射性を帯びた粒子が含まれていた。
そういえば最初のうち、私が一番怖かったのは2号機です。妙に落ち着いて見えるのがかえって怖かった。横に小さな穴が開いていて、そこから四六時中、絶え間なく蒸気が出ていました。でも蒸気に何が入っているかわかっていたので、これは相当に放射線量が高くなるぞと思ったものです。

ガ:2号機はこれ以上悪くなりようがないところまできています。燃料が格納容器の底に落ちていて、その格納容器には穴があいているからです。
悪い状況であることに変わりはありませんが、これ以上は悪くなりようがないのです。目下の懸念は、原子炉を冷やすのに使われている毎時何十トンという大量の水です。当初の計画では、熱交換器を取り付けて水を冷却しながら、原子炉内の水を循環させるはずでした。こういうやり方なら新たな水が発生することはありません。
ところが実際は、放射能に汚染された水が何十万トンと発生してしまいました。低濃度の放射能ならいいのですが、そうではないのが問題です。

汚染水の脱塩やろ過をしようとすると、フィルターや脱塩装置の放射能濃度が高くなりすぎて、フィルターが溶けるおそれがあります。フィルターはプラスチック素材でできていますし、フィルターを交換したくても人が近づけないからです。
ですからこれは非常に難しい問題です。高度に汚染された水が大量にあるために、水を除去する作業が非常に困難なものになっています。

マ:作業上のほかの難題についても考えてみたいと思います。その大量の水を彼らがどうするつもりなのかはわかりませんし、たぶん彼ら自身にもわからないんじゃないかと思うんですが、ともあれ今は水を巨大な貯蔵タンクに移しています。最近読んだ記事によると、そのタンクが漏れているか、少なくとも水の一部がタンクの外に出たとか。[これは、集中廃棄物処理施設に移送していた水が建屋内の通路に漏れ出した話の誤認でしょう。]だとしたら水漏れしているんでしょうね。技術者や除染作業員はこれからどんな難題に直面するのでしょう。今、作業環境はどういう状態なのでしょうか。

ガ:どうみても、危機を脱したとはとうてい言えません。屋外で作業をする人は、完全に密閉された防護服を着ています。顔のところに隙間ができないようにテープでふさぎ、ガスマスクを装着します。ガスマスクには活性炭フィルターがついていますが、そうはいってもガスマスク越しに外の空気を吸って肺に取り込むわけです。
防護服を着ていると暑く、汗でベタベタします。しかも絶えず放射線計に目を配ってなければなりません。
でもこれは、不快ではありますが命にかかわるものではありません。建屋の中で作業をする人には別の問題が生じます。
中に入るとき、作業員は基本的にバブルスーツを着て、消火作業中の消防士のように酸素ボンベを背負います。スコット・エアパックと呼ばれるものです。酸素ボンベを背負って真っ暗闇の中に入っていきます。至る所に水がたまっていて。黒々と瓦礫が散らばっています。何より放射線量が非常に高いうえ、たぶん15kg前後の装備で作業をしなければならない。放射能で汚染されていなくても、そのような環境の中で時間を過ごすのは厳しいものです。
暑く、湿気が多く、1時間かそこら作業をしたらいやになってしまうでしょう。でも放射線レベルが非常に高いので、作業員はおよそ15分で外に出されます。
たったそれだけでも、アメリカ人の作業員が5年間で浴びる最悪の放射能と同程度の被曝をしてしまうのです。今では彼らは作業を急いで10分以内で切り上げるようにしています。[アメリカの放射線作業員の年間被曝許容量は、50ミリシーベルトです。]

マ:日本は作業員の年間被曝許容量を250mSvに引き上げたんですよね。では、その上限に達した労働者はどうなるんでしょうか。

ガ:希望的には、いかなる理由があっても彼らはそれ以上の被曝を許されない。
1ヶ月や1年間隔をあけるだけではなく、それ以上は絶対に被曝させるべきではありません。
これは経験則ですが、250レムを浴びたら人は死にます。10人の人が25レムの被曝をすれば、そのうち1人はがんを発症します。100人の人が2.5レムを浴びたら、そのうち1人ががんになります。
ですから、被曝量が少なくても絶対にがんにならないわけではないのです。
今作業員がやっていることは、がんになる確率を高めているのと同じことです。ちなみに250ミリシーベルトは25レムです。がんになる確率を10%高めているわけです。

マ:そうなんですか。私が見た数値は恐ろしいレベルで、一部のエリアでは1Sv台に達していたり、それよりさらに高いところがあったり。壊れた建屋の中に人々を送り込んでいる。私が気になっているのは、ああいう特殊な施設で作業する訓練を受けている人は数にかぎりがありますよね。作業員は施設についても、システムや部品についても熟知していなければならないし、それこそ廊下をどう進んでいけばいいかということもわかっていないといけません。
でも、彼らに割り当てられた被曝許容量を使い切ってしまったら、彼らはもう働けないわけですよね?また中で作業できる人を新たに訓練するんでしょうか。チェルノブイリの事故のとき、ロシアは何十万人もの作業員を投入して、一人当たり少しずつの時間で除染作業に当たらせました。
今回の日本の対応はそれとはまったく違っています。もっと慎重で、作業チームの人数もかなり少ないように私には思えます。衛星写真を見ても、何十万人もの作業員が群がっている様子は確認できません。ターゲットを絞った対応をしているように思えます。そうしたやり方で仕事を終えるには、どれくらいの期間かかると思われますか?

ガ:ロシアが大人数を動員しなければなかったのは、周辺の農地に核燃料の大きな破片が飛び散ったからです。作業員は文字通り破片を拾って手押し車に乗せ、原子炉があった場所に走って戻り、原子炉ピットに破片を捨てたらお役御免です。それでも一生分の放射能を浴びました。
福島の場合、放射能は封じ込められてはいないのですが、拾えるような固形の破片から出ているわけではありません。放射能は汚染水から出ています。ウッズホール海洋生物学研究所によれば、福島の海はチェルノブイリ事故時の黒海の10倍も放射能に汚染されています。チェルノブイリの事故で人海戦術を取ったのは原子炉が爆発して飛び散ったからであり、福島の場合は爆発が起きたのはたしかですが、放射能の大部分は下に行き[建屋地下の汚染水など]、その処理に手をつけ始めたばかりという状況です。
すでに福島ではアメリカからの作業員受け入れていますし、この先もまた受け入れるんじゃないかと思います。
私はとある会社の副社長としてそういう仕事にかかわったことがあります。放射能レベルが非常に高いエリアで働く作業員を雇い、実物大の模型を使って2、3週間かけて訓練します。作業員は高レベルエリアで3分間の作業を行なって、1年分の被曝を受けます。私たちは彼らに報酬を支払い、どうもありがとう、来年また会いましょう、と言います。福島でもそういう状況になるでしょう。

マ:現実的な話をすると、この先何ヶ月か何年かはわかりませんが、とにかく長い時間がかかるということですよね。福島では今何が行なわれているんでしょうか。これからまわりを何かで覆って封じ込めるのか、原子炉が最終的に冷却されるまで注水を続けながら、その過程で発生した水を回収していくのか。それとも、もうお手上げだと諦めて、ただ大量のコンクリートを流し込んで作業を終えるのか。

ガ:最終的には諦めてコンクリートを流し込むときが来るかもしれません。でも今はまだできません。炉心の温度が高すぎるからです。ですからあと1年くらいして炉心が冷えるまでは、今と同じ様な作業が続くでしょう。
炉心が冷えれば、現時点とは比べ物にならないくらいわずかな崩壊熱しか出ませんので、コンクリートで固めてそのまま放置するという選択肢を検討できるようになります。チェルノブイリのときのように巨大な墓をつくるわけです。1号機、2号機、3号機はこれでうまくいきます。
ですが、4号機には問題が残ります。使用済み燃料プールが建屋の最上部にあるからです。最上部にコンクリートを流したら建屋は崩壊します。しかも放射能レベルが非常に高いので、核燃料を取り出すこともできません。私は昔、こういうことをして暮らしを立てていたわけですが、この4号機にはお手上げです。

マ:では彼らはどうすると思いますか?

ガ:4号機の建屋を囲むようにもうひとつ建屋を立てるしかないと思います。
そして、150トンの重量を吊り上げることのできる巨大なクレーンを使用して、使用済み核燃料をキャニスタ[使用済み核燃料を封入する容器]に入れるのです。スリーマイル島では似たようなことが行なわれました。
スリーマイルの場合、核燃料は圧力容器の底に溜まっていたわけですが。ともあれスリーマイルでは3年、いや4年かけて溶けた燃料を取り出しました。
ただ福島の場合の問題は、その作業ができる巨大クレーンがすべて破壊されてしまったことです。少なくとも1号機、3号機、4号機のクレーンは破壊されています。しかもその作業は空気中では行なえません。水中でする必要があります。
ですから、たぶん彼らは建屋のまわりに建屋を立てて、遮蔽と水を十分に供給し、それから中に入って重いキャニスタに燃料を入れるのではないかと思います。

マ:なるほどそれは思いつきませんした。素晴らしいアイデアですね。

では、ここまでのところをまとめてみましょう。
4基の原子炉があって、うち3基は溶けて穴が開いている。うち1基、つまり4号機は、まわりに新たな建屋をつくるのに何年もかかることから考えて、たぶん危険性がほかの原子炉より高い。事態が本当の意味で収束するにはこれから何年もかかる。しかも4号機の場合は、新たな建屋をつくっているあいだに余震に襲われるかもしれない。また3号機では、余震が来たときに圧力容器に水が満たされていたら、また爆発が起きるおそれがある。まだまだ予期せぬ出来事が起きそうだと思うと、現状が安定しているとはいえませんね。
意外な場所から水が出てきたり。ほかにも建屋やどうなるか、システムがどうなるか、予断を許しません。あと何か付け足す点はありますか?

ガ:地下水です。私は非常に心配しています。地下水の汚染レベルを測定したという話をまったく聞きません。海の状態はわかっています。汚染水が海に漏れています。
建物の構造に亀裂が生じて、高汚染水が地下水に入り込んでいない保証はどこにもありません。私は日本の人たちにも話をしてきたのですが、原子炉のまわりに堀を巡らせるのがいいと考えています。
岩盤に達するまで20mくらいの深さに掘り、幅は1.5m程度。そして堀をゼオライトという物質で満たします。ゼオライトは放射性物質を吸着する能力が高いので、放射線が外部に放出されるのを防いでくれます。なぜまだそうしないのか、理解に苦しみます。

建屋の問題、冷却の問題、放射能の大気放出を止める問題を見てきましたが、問題はこれだけではありません。今現在、土壌には膨大な量の放射性物質が含まれています。福島に近い県では、下水の汚泥から放射能が検出されました。
ある下水会社の重役が私たちのサイトを見て教えてくれたのですが、地震のあとで地下水が下水システムに入り込むのは珍しくないそうです。それを聞いて私はとても怖くなりました。もしも周辺の県の地下水がすでに汚染されているとしたら、深刻な問題だからです。それなのに今は誰も注意を向けていません。

マ:一般に、地下水というのはどれくらいの速度で移動するものなのでしょう。たとえば原発から3マイル[約4.8km]離れたところまで行くのに10年かかるのか、10週間なのか。地下水の汚染がただちにどの程度の大問題につながるのでしょうか。

ガ:ただちにどうこうという問題ではないと思います。ですが、早く手を打たないと、切迫した問題に発展しかねません。地下水はゆっくり動きますが、すでに原発から出ているとなると厄介です。
より離れたところにより大掛かりな堀を掘らなくてはならなくなります。
私が目指しているのは、できるだけ発生源の近くで放射能をつかまえることです。

マ:どうもありがとうございました。では次に、今回の事故によって住民が具体的にどんな影響を受けるかを考えていきたいと思います。

(ガンダーセン:インタビュー(3)へ続く)
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