小出:「直ちに影響はない」という言い方
2011-05-31
「小出裕章非公式まとめ」から
2011年5月30日【月】
MBS(毎日放送)ラジオの番組「たね蒔きジャーナル」
要約
・(飯舘村で積算放射線量が20ミリを超えた。これはどういう値か?)日本の普通の人は年間1ミリと決まっている。ごく特殊な職業についている私のような人は20ミリまで我慢するというのが日本の法律。
福島事故がおこり、普通の人も年間1ミリでは済まない状況。そこで日本の国は普通の人も20ミリまで我慢させると言い出している。
飯舘村のような猛烈な汚染地域の人は、それすら超える被曝をしているということ。
・(チェルノブイリと比較すると?)チェルノブイリ事故で40万人が避難した強制避難地域を上回る汚染だ。
・( 二ヶ月半でこの積算数値。この地域で生活は無理か?)家に戻りたいという人がいるのは理解できるし、そういう人がいるのであれば支援しなければいけない。が、あまりにひどい汚染であり、被曝を避けるために避難するしかないと思う。
・(いま出来ることはあるか?)土壌をはぎとるのは有効。学校の校庭を削ることは出来る。が、酪農や農業にとって土をはぎとることは生きる手段を奪うこと。実質的には出来ない。被曝覚悟で住み続けるか、移住するかどちらかの選択しか無い。
・(東電作業員二人が数百ミリシーベルトの放射線を浴びた恐れがあると発表があった。どういう数字か?)普通は年間1ミリという決まり。私のような特殊な人でも年間20ミリ。
福島の事故を収束させるためには20ミリの基準は守れないということで、この作業に限っては250ミリまで許すと特別に決めた。
これ自体が途方もない基準だが、それを超えるほどの被曝だ。
・(癌発症のリスクは100ミリを超えると少し高まると言っているが?)違う。100ミリを超えると確実に高まることは既に証明されているということ。
それ以下の被曝だと疫学的には証明できないが、100ミリ以下でも癌が出ると考えるべきというのが現在までの学問の知識を総合して考えたときの到達点。
10ミリでも1ミリでも癌は増えると考えないといけない。
・(ただちに健康に影響はないと東電は言うが?)事態が過酷だということは3月11日の時点で気づいており、すべての作業員にマスクをさせるべきだった。又はさせていなかったのであれば、すぐに内部被曝を調べるべきだった。
すぐには影響が出ないというのは当たり前のこと。心配なのは何年、何十年かして癌の発生率が増えること。
枝野さんは直ちに影響はないというが、被曝というのはそういうものではない。
・(内部被曝のほうが外部被曝より多い可能性が高いというが、内部はすぐには分からない?)内部の評価は難しい。今日の発表はホールボディカウンターで計測した結果。あとは、身体の中に取り込んだ放射能からどれだけ被曝するかを計算するしかない。
外部被曝はすぐに測定できるが、内部被曝は測定自体に時間がかかるし、計算で評価しないといけない。
・(内部を測定するのはどんなことで時間がかかる?)外部は身体の外に測定器をつけておけば分かる。取り込んでしまった放射能を測るには、全身測定器という特殊な測定器を使って身体から飛び出してくる放射線を測定する。かなり手間ひまがかかる。
・(全身用測定機はどこにでもあるわけではない?)ない。特殊な目的に限って使う装置であり、数が間に合わない為にここまで来たのだろう。
・(厚労省が復旧作業の作業員の被曝線量の上限を撤廃することを決めたというが?)報道で混乱がある。放射線業務従事者は5年間で100ミリという基準。1年に限れば50ミリまでという基準。5年で100ミリはこの状況では守れないから250ミリにするとなった。だから厚労省は既に変えている。
それを更に緩めるのではないかと私は危惧していた。
・(ある程度の歯止めさえなくそうということ?)そうだ。
・(それはどういうリスクを引き起こす?)作業員が癌で死ぬ可能性がどんどん増えてしまう。
・(厚労省は本来それを食い止めるところであるはずだが?)そんなことを言っていられないほどひどい現場になっている。事故の進行がひどいものになるということを、東電と国ははっきりと言わないといけない。
・(5号機は停止していたから安心と思っていたが、安心できない?)もちろん。4号機も停止していたが、ポンプが停止したために燃料プールで水素爆発が起こった。5号機も6号機も同じことだ。
・(こういうことはよくある?)よくある。ポンプ停止は年がら年中ある。
・(よくあることだから公表が半日遅れた?)特別なことではなく、ありうること。次々とそういうことが起こっている。
2011年5月30日【月】
MBS(毎日放送)ラジオの番組「たね蒔きジャーナル」
要約
・(飯舘村で積算放射線量が20ミリを超えた。これはどういう値か?)日本の普通の人は年間1ミリと決まっている。ごく特殊な職業についている私のような人は20ミリまで我慢するというのが日本の法律。
福島事故がおこり、普通の人も年間1ミリでは済まない状況。そこで日本の国は普通の人も20ミリまで我慢させると言い出している。
飯舘村のような猛烈な汚染地域の人は、それすら超える被曝をしているということ。
・(チェルノブイリと比較すると?)チェルノブイリ事故で40万人が避難した強制避難地域を上回る汚染だ。
・( 二ヶ月半でこの積算数値。この地域で生活は無理か?)家に戻りたいという人がいるのは理解できるし、そういう人がいるのであれば支援しなければいけない。が、あまりにひどい汚染であり、被曝を避けるために避難するしかないと思う。
・(いま出来ることはあるか?)土壌をはぎとるのは有効。学校の校庭を削ることは出来る。が、酪農や農業にとって土をはぎとることは生きる手段を奪うこと。実質的には出来ない。被曝覚悟で住み続けるか、移住するかどちらかの選択しか無い。
・(東電作業員二人が数百ミリシーベルトの放射線を浴びた恐れがあると発表があった。どういう数字か?)普通は年間1ミリという決まり。私のような特殊な人でも年間20ミリ。
福島の事故を収束させるためには20ミリの基準は守れないということで、この作業に限っては250ミリまで許すと特別に決めた。
これ自体が途方もない基準だが、それを超えるほどの被曝だ。
・(癌発症のリスクは100ミリを超えると少し高まると言っているが?)違う。100ミリを超えると確実に高まることは既に証明されているということ。
それ以下の被曝だと疫学的には証明できないが、100ミリ以下でも癌が出ると考えるべきというのが現在までの学問の知識を総合して考えたときの到達点。
10ミリでも1ミリでも癌は増えると考えないといけない。
・(ただちに健康に影響はないと東電は言うが?)事態が過酷だということは3月11日の時点で気づいており、すべての作業員にマスクをさせるべきだった。又はさせていなかったのであれば、すぐに内部被曝を調べるべきだった。
すぐには影響が出ないというのは当たり前のこと。心配なのは何年、何十年かして癌の発生率が増えること。
枝野さんは直ちに影響はないというが、被曝というのはそういうものではない。
・(内部被曝のほうが外部被曝より多い可能性が高いというが、内部はすぐには分からない?)内部の評価は難しい。今日の発表はホールボディカウンターで計測した結果。あとは、身体の中に取り込んだ放射能からどれだけ被曝するかを計算するしかない。
外部被曝はすぐに測定できるが、内部被曝は測定自体に時間がかかるし、計算で評価しないといけない。
・(内部を測定するのはどんなことで時間がかかる?)外部は身体の外に測定器をつけておけば分かる。取り込んでしまった放射能を測るには、全身測定器という特殊な測定器を使って身体から飛び出してくる放射線を測定する。かなり手間ひまがかかる。
・(全身用測定機はどこにでもあるわけではない?)ない。特殊な目的に限って使う装置であり、数が間に合わない為にここまで来たのだろう。
・(厚労省が復旧作業の作業員の被曝線量の上限を撤廃することを決めたというが?)報道で混乱がある。放射線業務従事者は5年間で100ミリという基準。1年に限れば50ミリまでという基準。5年で100ミリはこの状況では守れないから250ミリにするとなった。だから厚労省は既に変えている。
それを更に緩めるのではないかと私は危惧していた。
・(ある程度の歯止めさえなくそうということ?)そうだ。
・(それはどういうリスクを引き起こす?)作業員が癌で死ぬ可能性がどんどん増えてしまう。
・(厚労省は本来それを食い止めるところであるはずだが?)そんなことを言っていられないほどひどい現場になっている。事故の進行がひどいものになるということを、東電と国ははっきりと言わないといけない。
・(5号機は停止していたから安心と思っていたが、安心できない?)もちろん。4号機も停止していたが、ポンプが停止したために燃料プールで水素爆発が起こった。5号機も6号機も同じことだ。
・(こういうことはよくある?)よくある。ポンプ停止は年がら年中ある。
・(よくあることだから公表が半日遅れた?)特別なことではなく、ありうること。次々とそういうことが起こっている。
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