核の墓場計画
2011-05-24
4/3に明月氏の「核の墓場計画」論を紹介しました。「不合理な原発推進、日本を核の墓場にする計画か」。
資本は利益の拡大と際限なき富の膨張を求めて、経済合理性を追求する。
ところがなんとも、この経済合理性を外れている原子力発電の推進は何故なのだろう。
火山と地震の国に山のように原発を作れば、いつかは取り返しのつかない大事故になるのは目にみえている。
ババをどこがひくか、あるいはロシアン・ルーレットか。
アメリカの動きなのだろうが、原発「推進」の動機はそれだけか。疑問が残る。
「核の墓場計画」は頷けるのである。
被曝区域からの意図的な住民避難と土地接収、核の墓場にする思惑は長周新聞の記者座談会にも現れた。「ショック・ドクトリンと言う火事場泥棒」
アメリカを主導する新自由主義の政策ショック・ドクトリンについては、三橋貴明氏から引用した「ショック・ドクトリン」を御覧ください。
原子炉停止、廃炉、反原発、脱原発の声を。
みんなが声を挙げて行かなければならない。
「反戦な家づくり」明月氏から
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2011-05-21(Sat)
「フクシマを核処分場にする計画」を改めて検証してみる
福島第一原発から半径20kmは、実質的に国に召し上げられてしまった。
おそらく、こういうシナリオになるだろうと、4月1日の時点で予想し、「原発推進の正体は『日本列島を核の墓場にする計画』だったのではないか」を書いた。
多くの人から 「なるほど」とか「怖い」という感想をいただいた。
その一方で、「いくらなんでも それはないだろう」という意見も多い。
多いと言うより、多数派だ。
あの岩上安身さんと孫崎享さんにも、大阪ディープナイトの懇親会でぶつけてみたが、まったく否定的だった。
■■ 最終処分場探しは、本気の本気で進められている
しかし国の方針として、最終処分場は2020年には候補地を確定して、2035年ごろには操業開始 ということになっている。

(原子力研究開発機構)
2020年に候補地を確定させるとなると、もう今頃はいくつかに候補を絞って、技術的な検討と地元説明に全力をあげなくてはならない時期だ。
しかし、これまで、高知県東洋町をはじめ、多くの町が手を上げたが、ほとんどは地元の反対でつぶれている。
詳しくは、「環境と原子力の話 」というホームページの中の、こちらに詳しくまとめられている。
こんなに多くの動きがあったのかと、驚くばかりだ。
処分場誘致の動き http://homepage3.nifty.com/ksueda/waste0305.html
なかなか表沙汰にならない動きを、丹念にまとめられており、とても貴重な資料。
この中で、注目すべきは、福島県楢葉町と、青森県東通村だ。
楢葉町は言うまでもなく福島第2原発のある場所。東通村は東通り原発のある場所。
いわば、毒を食らわば皿まで、ということ。なにせ、原発の地元は、極端に反対をしにくい場所だ。
どんなことであれ、原発に歯向かうことは村八分になる。少なくとも、3月11日までは。
だから、多くの場所は何やかんや言いつつ、とりあえずは撤回や拒否という結論が出ているのに、この2箇所は拒否という結論になっていない。つまり、現役の候補地なのである。
この点を見ても、原発直下が最終処分場という考えは、荒唐無稽でも陰謀論でもなく、もっとも確率の高い候補地として進められてきたことがわかる。
そうは言っても、やはり簡単にOKとはならない。
原発は大賛成の福島県知事や青森県知事も、さすがに高レベルの最終処分場に、ホイホイと諸手を挙げて賛成というわけには行かず、難航してきた。
しかし、そう言っている間にも、各原発の敷地内と、六ヶ所村に使用済み核燃料はたまり続けている。
もし3月11日以前のペースで原発を運転し続けると、候補地を決めるという2020年には、使用済み燃料が8000立米、廃液などが26300立米 たまることになるという。
特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律の改正について
50mプールで20杯近い高レベルの放射性廃棄物が、行き場をなくして日本中をさまようことになる。
なんとしても、どうしても処分場を確保しなければならない、というのが原発鬼たちの至上命題なのだ。
核廃棄物の最終処分場を探すのは、原子力発電環境整備機構(NUMO)という、候補地探しの専門組織で、電力会社からの拠出金で、年間1000億近い予算を持っている。
そのほとんどは候補が決まったときのための積立金で、なんと1兆円近い資金をプールしている。
年間の原子力関係の国家予算が全部で5000億円と言われているから、処分場にかける金額が、いかに巨額かが分かる。
と、こうやって核廃棄物の最終処分場さがしの実情を見てくると、福島第一原発の惨状の裏で、あの場所を処分場にしようとする動きがあっても、全然おかしくないということが、分かっていただけるだろう。
「原発推進の正体は『日本列島を核の墓場にする計画』だったのではないか」で書いたように、そもそも日本の原発というのが、事故→処分場 というシナリオを想定して作られていたかどうかはともかく、実質的に国に奪われてしまった福島第一原発の半径20キロが、高レベル核廃棄物の処分場にされようとしている、ということには、非常にリアリティがある。
「いくら何でも」 なんて優しいことを考えるのは普通の人の側であって、原発鬼どもにそんな優しい心根はない。
断じてない。一片もない。
■■ アメリカは自国で核廃棄物を処分する気はない
アメリカにももちろん、多くの原発がある。というか、世界で一番多い。104基もある。
これらを、どこかで処分しなくちゃいけないので、2009年まではネバダ州のユッカマウンテンサイトという場所に処分場を作ろうと、強引に進めてきた。
州の反対を押し切って、ブッシュ政権は作ろうとしていた。
それが、オバマになって一転。
計画を白紙にして、予算もゼロ。世界一の核のゴミを抱えながら、自国で処分する気は、まったくない。
米国における高レベル放射性廃棄物処分
ちなみに、アメリカには原発だけじゃなくて、核弾頭もある。核軍縮で、あまってしまった大量の核弾頭。
ソ連崩壊後から、急速に進んだ核軍縮で、現在兵器級のプルトニウムが250トンくらい在庫されているらしい。
兵器級のプルトニウムは、プルサーマルと称して原発のMOX燃料に加工されている。
兵器級のウランとプルトニウムをMOXに加工すると、100万kWの軽水炉50基を100年運転できるらしい。
((財)高度情報科学技術研究機構)
ところが、MOX燃料は、アメリカ国内では使用禁止。
じゃあどうするのかというと、国内では危険すぎるので、日本に売り込んで燃やしている というわけ。
日本でも、最初に使用したのは、東電でも関電でもなく、四国電力の伊方原発。
巨大な東電や関電は逃げをうった。
アメリカの中では、先住民族が住むネバダ州。それでも危険ならば、属国の日本。日本の中でも、大都市は田舎に押しつける。
核の問題は、かように差別に貫かれている。
その観点から考えたときに、アメリカの104基の使用済み核燃料を、どこへ捨てようとしているか、自ずと見えてくるのではないだろうか。
フクシマのあの事故を目の当たりにしながら、巨万のデモが起きない国。
遠く離れたドイツですら、何十万というデモが起きているのに、日本国内ではおとなし~く耐えている国。
首相官邸に謎のアメリカ人が居座っても、だれも追究しない国。
それどころか、各官庁に網の目のようにアメリカの手下が配置されて忠誠を誓っている国。
しかも、万が一のことがあっても、アメリカ本土には影響ないくらい遠くにある国。
さらに加えて、経済的にはアメリカに負担をかけずに自前で処分場を作る国。
こんな国が目の前にあるのに、なんで捨てに行かないのか そっちのほうが不思議。
外の目で見れば、そう見える。
見えざるを得ない。
■■ 技術的な問題
ただ、岩上さんも言っていた疑問は、原発の敷地では、津波の心配もあって無理ではないか、ということだった。
なにせ、最低でも10万年、本当に無害化するには100万年は核物質を保管し続けなくてはならない。
いくらデタラメな原発鬼たちといえども、津波のくる海岸線では説明がつかないだろう という疑問だ。
しかし、20キロというのは海岸線だけではない。
半径20kmというのが、どういう地域なのか、観念的にはよく分からないので、3D風に見るとこんな感じだ。

平地と山の境に南北に走っている県道35号線と、ちょど西へ20キロのあたりにある南北の谷は、活断層(赤い点線)。
地図の下の方に見える楢葉町が、2009年に「高ベル核廃棄物処分場」に立候補した町。
今でもその時の町長が現役のはず。
ところで、高レベル放射性廃棄物の最終処分というのは、どのようにするつもりなのか。
簡単に言うと、廃棄物をガラスで固めて、地下300mくらいの岩盤の隙間に埋める らしい。
津波と地震と火山の国で、どうやって地層処分などするのか、誰でも不安に思う。
これについて、(独)日本原子力研究開発機構 という研究の元締め組織は、こんな絵を示している。

ザックリ言うと、津波が来ない程度の内陸部で、火山から離れていて、活断層と活断層の中間部に、埋めるということらしい。
なにせ、活断層でも活断層じゃないと言い切り、活断層どころか、もっと親玉のプレート境界の上に原発を建ててしまう連中のやることだから、ちょっとやそっとのことでは「安全」ということになってしまう。
300mも埋めておけば、もし漏れても東京までは来ないだろう てなもんなのだろう。
それに、100万年先のことなんて、誰にもわかりはしない。
せいぜい、何十年か保ってくれれば、自分の責任は問われない ということだ。
ちなみに、他国ではもう少し深く埋める計画が多い。
フィンランドのオルキルオトに建設されているオンカロでも420mだ。
おそらくは、日本の場合あまり深く埋めると、斜めに走っている活断層にぶつかりやすくなり、なおさら地域が限定されるのだろう。
それと、日本人はおとなしい と見透かされていることもあるだろう。
まあ、とにかくこんな感じで、日本はヨーロッパのような安定した地盤じゃないと言うことを認めながら、それでも、可能な場所は広い、と前出の(独)原子力機構は言い切っているので、本気でやる気なのは間違いない。
「技術的な基準」など、候補地が決まってからその場所にあわせて決める くらいのことは、原発鬼どもは平気でやる。
そういう目で見ると、福島第一原発から20km圏内で、2本の活断層の間の山地は、原発鬼の目には、涎が出るほどオイシイ場所に見えるはずだ。
白河以北一山百文 とかつて差別された東北・福島が、いままた原発鬼どもの差別と利権と苦し紛れの妄動によって、恐るべき運命を強制されようとしている。
私にはそのように思えてならない。
■■ 政治的な問題
なぜ、メルトダウンを分かっていて放置したのか。
なぜ、ここまで情報を隠蔽し続けるのか。
なぜ、子どもに外部被曝だけで20mSvという殺人行為を国家が公然と行うのか。
なぜ、放射線量ではなく、20kmという距離で立入禁止にしたのか。
なぜ、情報を隠すことで実被害と風評被害を区別できなくして、風評被害を煽るのか
なぜ、外国から送ってもらった大量の線量計を成田に放置するのか
それらの疑問は、処分場計画と合わせて考えると、一つの方向へ進んでいるのが見えてくる。
国も東電も何とか機構も御用学者も、ぜんぶひっくるめて原発鬼は、一つの方向へ向かっている。
事情の分からない下っ端はともかく、菅をふくめて上層部は、およそ以下のような方向に向いているように思える。
・ まず、東京方面が汚染される水蒸気爆発や、大規模の再臨界による核爆発だけは避ける。
・ 周囲20キロを、合理的な理由なく危険だとして強制収容して、国有地にする。
・ 20キロ圏外には、ある程度の汚染は許容する。
・ ただし、100mSv以下は無害というデマで誤魔化せる程度でおさまることが望ましい。
・ 海への汚染も、無害というデマで言い逃れができる程度まではOK
・ したがって、民間での勝手な線量測定は極力許さない。グリーンピースなんてもっての他。
当面はそんな方針で、事故の収束へむけて何年かはジャージャーと水をかけ続け、燃料が尽きるのを待つのだろう。
原子炉にも格納容器にもダダ漏れの穴があいている以上、ダダ漏れで冷やし続けるか、外側に一回り大きな格納容器を作るしかない。が、そんなものは、作れるわけがない。
本来なら完全に水につかっていなければならない燃料棒を、上からジャージャーかけるだけで冷やせるのかどうか、冷温停止にできるのかどうか、これまた心許ない。
おそらく、崩壊熱がなくなるまでで、1年か2年か、ほとんど垂れ流しで水をかけ続けるしかないだろう。
ある程度は、冷却水の循環はできるようになるみたいだが、そもそもどこに穴があいているか分からないのだから、基本的にはダダ漏れ。
こうして、空中にも海中にも放射能は垂れ流しつつ、崩壊熱がおさまってくれるのを待つ。
その間に、20キロ圏より外には、補償しなくてすむことを、なんとか考える。
放出量を減らすこともするけれども、出てしまったものを「安全」ということにする、ことに全力をあげる。
海の汚染は、普通の人には測定しようがないから、大本営発表で誤魔化す。
たまに、グリーンピースなんかが調査をしに来たら、ナンクセつけて追い返す。
外部被曝の4~5倍もあるはずの内部被曝については、2%くらいということにして、誤魔化す。
なにせこれも、ホールボディカウンターなんてあまりないから、証明のしようがない。
できるだけ、ホールボディカウンターは使わせずに証拠を残さなければ、あとで甲状腺癌になっても、「因果関係が証明できない」と言える。
こうやって、意図的に危険を放置し、耐えられなくなった住民が「自主的に」いなくなってくれれば、好都合。
人払いをしておけば、数年後に処分場計画を進めるときに、反対がない。
つまり、子どもに20mSvはOKというのは、「出て行け」という意味。
それを理解できない住民のために、小佐古氏は泣いて辞任会見した。
小佐古氏には気の毒だが、あの会見は菅にとっては「想定内」
とにかく今は、放射能という実弾をぶっ放して、住民の追い出しを図る。
それに気がつかずに、弾に当たって死んでしまうよりも、早いこと「自費で」逃げ出して欲しい。
農漁業の補償だけ見ても、今年や来年のぶんはともかく、この先何十年の被害を補償することなんて、東電も国もまったく考えていない。
福島県だけでも農業生産は年に900億円以上ある。10年間マイナス50%で、被害額は4500億円にもなる。
漁業も年に180億。
しかし、東電や国は、最初の1年くらいはともかく、それ以降は、放射能を測定して基準値を超えた分しか補償しないだろう。
あとは、測定しきれない分もふくめて風評被害だ、と言って消費者に責任を押しつける。
そのためにも、風評被害を広めることは、国家の重大事。
枝野を筆頭に、せっせと情報隠しをして、実害と風評の境界線を見えなくし、風評被害の拡大に努めてきた。
とくに畜産農家には、放射能の濃縮が明らかになる前に、「自費で」出て行ってもらいたい。
こうやって、いま政治は、福島から、原発周辺から、できるだけカネを使わずに住人を追い出すことに、全力をあげている。
■■ 副島隆彦氏の主張について
最近になって、副島氏もこうした国の動きに注目し、処分場計画があるのではないかと言っている。
福島を棄民することへの抵抗を呼びかけてきた副島氏であるから、当然気がつかれるだろうと思ってはいた。
権力というものが、どんなに酷いことをするか、希望的観測によらずに分析する副島氏には、これまで多くのことを教えられてきたし、今もまた、他の論者にはない貴重な視点を提供していると思う。
が、しかし、彼の「安全だから帰っておいで」という呼びかけには、断じて同意できない。
生きる術をなくすよりは、ある程度の放射能は我慢するしかない、という理屈は、視点を限定すればあり得ることだと考える。
どういう限定かというと、権力者、為政者、加害当事者から発せられる言葉ではないということ。
同時に、安全圏にいる私たちの言葉でもない ということ。
つまり、被害当事者の人たちから出た言葉であるならば、否定しきることはできない。
それを副島氏も分かっているから、自分で原発の門まで出かけ、21キロ地点に事務所を構えて常駐するつもりなのだろう。
しかしそれでも、副島氏は被害当事者ではないし、その上、放射線量が「ある程度」という範囲を超えている。
特に、子どもにとっては。

(小出裕章氏 講演資料より)
私たちのような年齢になれば、生きる術と放射能を天秤にかけて考えることもあり得るかもしれないが、これから子どもを産む世代を含めて、子どもたちには浴びて欲しくない。
しかも、文科省が言う被ばく量は、放射性物質を吸い込んだり食べたりする内部被曝は、考えられていない。無視されている。
特殊なマスクをして、食べ物をよほど気をつけない限り、外部被ばく量の4~5倍は内部被曝がある。
同じ文科省が出しているSPEEDIの試算で、そのような計算をしているのに、例の20mSvは大丈夫と言うときには、内部被曝は無視。
つまり、外部被曝で20mSvも浴びているときには、内部も含めると100mSvになる ということ。
それが子どもであるならば、リスクは3倍も4倍もある。
つまり、大人の被ばく量に換算すると、300mとか400mSvも浴びたのと同じと言うことだ。
いくら住民追い出しのために、半ば意図的に垂れ流しにされている放射能だからと言って、やはり放射能は放射能だ。
危険なことには変わりがない。
変な言い方になるが、その場で決着が着く銃弾よりも、もっと始末が悪い。
まして、子どもには何の責任もない。
ざっとした見方で言うと、子どもの場合、毎時の○○μSvというガイガーカウンターの数字を、10万~20万倍した数字が年間の被ばく量相当ということになる。
○○ x 24時間 x 5倍(内部被曝) x 5(感受性) x 365 x 減衰率
減衰を50%くらいにすれば10万倍、ほとんど見なければ20万倍。
仮に10万倍としても、単位を一つあげて(マイクロをミリ)、数字を100倍することになる。
たとえば、毎時3μSv → 年間300mSv(相当)
放射線をぶっ放して住民追い出しを謀る東電と菅内閣(とその背後にいるアメリカ)の、言いなりになるようなことは、確かに悔しいけれども、そうは言っても危ないものは危ない。
50代以上は、ある程度の危険を覚悟で戻ろうというのならば、分からないでもないが、子どもたちは何とかして助けなくてはならない。
■■ いま求められているのは
いま、緊急に求められているのは、何よりも子どもたちの保護だ。
事故の収束事態は、現実の問題として、何年かは今のような状態が続くだろう。
緊急に放射能を止めろと言っても、できるわけがない。
だからこそ、子どもたちを保護しないと、チェルノブイリの子どもたちの悲劇が繰り返される。
20mSvという基準ももちろんだが、基準だけを変えても、行き場のなくなる子どもが生まれるだけだ。
子どもとその親を、緊急に避難させる手立てを、当面の収入補償という面も含めて取らなくてはならない。
福島県の20歳以下は40万人。
福島全域でないとしても、茨木北部や宮城南部も含めて、約40万。
どの範囲かは、肥田舜太郎先生など、御用学者ではない被曝の専門家によって検討が必要だろう。
少なくとも、県の中心である福島氏や郡山市などは、1.4μSv/時であるから、あきらかにリスクが高い
親も含めて80万人の避難なんて、非現実的だと思えるかもしれない。
が、今起きているのは、そのくらい非現実的と思えるくらいの、とんでもない事態だ。
爆発こそしないけれども、なにせ3つの原子炉に穴があいて、放射能がダダ漏れなのだ。
希望的観測で、現実を歪めて見てはいけない。
■■ 政治の力が必要
そして、今、どうしても必要なことをやろうと思ったら、菅直人ではダメだ。
アメリカに魂を抜かれた男に任せていては、悲劇はどんどん広がっていく。
分かっている情報ですら隠されたまま、大本営発表で子どもたちが殺されていく。
情報の隠蔽と証拠の隠滅だけに勢力を傾けながら、着々と処分場へと計画を進めていくだろう。
その過程で、どれだけの子どもが犠牲になろうと、お構いなしだ。
「自費で」逃げないのがわるいんだ と開き直るつもりだ。
いくら危険だと分かっても、経済的な補償がなくては、そう簡単に逃げられるものではない。
絶対に政治の力がなくては、子どもたちを救うことはできない。
それも、相当の額が必要。
仮に1組に月10万としても、年に5000億円必要だ。
最低限2年間は避難したとして、1兆円。
この程度の金額は、官僚が貯め込んでいる特別会計のがま口を開けば、出てくる。
特に、永続的なオカネではないだけに、充分に賄える。
それができるのは、政治の力しかない。
私は小沢一郎万能論者ではないが、政治の力で子どもたちを守るためには、小沢氏に決断してもらうしかないと思っている。
菅直人に対しては、裏で脅迫して、表で花道を用意してやるくらいのワザを使ってでも、内閣不信任に対して解散をさせないように持ち込まなくてはならない。
国民の生活はおろか、被災者の生活さえも自分のクビのためには犠牲にする菅直人は、内閣不信任を突きつけたら、本当に解散総選挙をやりかねない。
それだけは避けないと、全ての犠牲をかぶるのは、被災者だ。
おそらく、そこで倒閣の動きも足踏みしているのだろう。
それを側面からプッシュするためにも、自分の選挙区の国会議員にも、FAXなどで要望を送ろうと思う。
衆議院議員
参議院議員
菅直人らについていく議員が少なくなればなるほど、当然ながら対菅工作はやりやすくなるはずだ。
そして、残念だけれども、表向きは菅を打倒するのではなく、花道をつけてやって退場させるようにすることだ。
そうしないと、まるで敗戦直前の日本のように、狂気の沙汰で足掻きまくる恐れがある。
今重要なことは、被災者、なかでも放射能を日々浴び続けている福島の子どもたちを、財政的に支えながら避難させることだ。
そのための、政治の力を実現することだ。
それでももし、絶望的に菅直人が政権にしがみつくとしたら、それはやはり、フクシマを核廃棄物処分場にしようという、ものすごく巨大な力が働いているということ。
それをはね返すには、脱原発のうねりのような国民運動が必要だ。
資本は利益の拡大と際限なき富の膨張を求めて、経済合理性を追求する。
ところがなんとも、この経済合理性を外れている原子力発電の推進は何故なのだろう。
火山と地震の国に山のように原発を作れば、いつかは取り返しのつかない大事故になるのは目にみえている。
ババをどこがひくか、あるいはロシアン・ルーレットか。
アメリカの動きなのだろうが、原発「推進」の動機はそれだけか。疑問が残る。
「核の墓場計画」は頷けるのである。
被曝区域からの意図的な住民避難と土地接収、核の墓場にする思惑は長周新聞の記者座談会にも現れた。「ショック・ドクトリンと言う火事場泥棒」
アメリカを主導する新自由主義の政策ショック・ドクトリンについては、三橋貴明氏から引用した「ショック・ドクトリン」を御覧ください。
原子炉停止、廃炉、反原発、脱原発の声を。
みんなが声を挙げて行かなければならない。
「反戦な家づくり」明月氏から
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2011-05-21(Sat)
「フクシマを核処分場にする計画」を改めて検証してみる
福島第一原発から半径20kmは、実質的に国に召し上げられてしまった。
おそらく、こういうシナリオになるだろうと、4月1日の時点で予想し、「原発推進の正体は『日本列島を核の墓場にする計画』だったのではないか」を書いた。
多くの人から 「なるほど」とか「怖い」という感想をいただいた。
その一方で、「いくらなんでも それはないだろう」という意見も多い。
多いと言うより、多数派だ。
あの岩上安身さんと孫崎享さんにも、大阪ディープナイトの懇親会でぶつけてみたが、まったく否定的だった。
■■ 最終処分場探しは、本気の本気で進められている
しかし国の方針として、最終処分場は2020年には候補地を確定して、2035年ごろには操業開始 ということになっている。

(原子力研究開発機構)
2020年に候補地を確定させるとなると、もう今頃はいくつかに候補を絞って、技術的な検討と地元説明に全力をあげなくてはならない時期だ。
しかし、これまで、高知県東洋町をはじめ、多くの町が手を上げたが、ほとんどは地元の反対でつぶれている。
詳しくは、「環境と原子力の話 」というホームページの中の、こちらに詳しくまとめられている。
こんなに多くの動きがあったのかと、驚くばかりだ。
処分場誘致の動き http://homepage3.nifty.com/ksueda/waste0305.html
なかなか表沙汰にならない動きを、丹念にまとめられており、とても貴重な資料。
この中で、注目すべきは、福島県楢葉町と、青森県東通村だ。
楢葉町は言うまでもなく福島第2原発のある場所。東通村は東通り原発のある場所。
いわば、毒を食らわば皿まで、ということ。なにせ、原発の地元は、極端に反対をしにくい場所だ。
どんなことであれ、原発に歯向かうことは村八分になる。少なくとも、3月11日までは。
だから、多くの場所は何やかんや言いつつ、とりあえずは撤回や拒否という結論が出ているのに、この2箇所は拒否という結論になっていない。つまり、現役の候補地なのである。
この点を見ても、原発直下が最終処分場という考えは、荒唐無稽でも陰謀論でもなく、もっとも確率の高い候補地として進められてきたことがわかる。
そうは言っても、やはり簡単にOKとはならない。
原発は大賛成の福島県知事や青森県知事も、さすがに高レベルの最終処分場に、ホイホイと諸手を挙げて賛成というわけには行かず、難航してきた。
しかし、そう言っている間にも、各原発の敷地内と、六ヶ所村に使用済み核燃料はたまり続けている。
もし3月11日以前のペースで原発を運転し続けると、候補地を決めるという2020年には、使用済み燃料が8000立米、廃液などが26300立米 たまることになるという。
特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律の改正について
50mプールで20杯近い高レベルの放射性廃棄物が、行き場をなくして日本中をさまようことになる。
なんとしても、どうしても処分場を確保しなければならない、というのが原発鬼たちの至上命題なのだ。
核廃棄物の最終処分場を探すのは、原子力発電環境整備機構(NUMO)という、候補地探しの専門組織で、電力会社からの拠出金で、年間1000億近い予算を持っている。
そのほとんどは候補が決まったときのための積立金で、なんと1兆円近い資金をプールしている。
年間の原子力関係の国家予算が全部で5000億円と言われているから、処分場にかける金額が、いかに巨額かが分かる。
と、こうやって核廃棄物の最終処分場さがしの実情を見てくると、福島第一原発の惨状の裏で、あの場所を処分場にしようとする動きがあっても、全然おかしくないということが、分かっていただけるだろう。
「原発推進の正体は『日本列島を核の墓場にする計画』だったのではないか」で書いたように、そもそも日本の原発というのが、事故→処分場 というシナリオを想定して作られていたかどうかはともかく、実質的に国に奪われてしまった福島第一原発の半径20キロが、高レベル核廃棄物の処分場にされようとしている、ということには、非常にリアリティがある。
「いくら何でも」 なんて優しいことを考えるのは普通の人の側であって、原発鬼どもにそんな優しい心根はない。
断じてない。一片もない。
■■ アメリカは自国で核廃棄物を処分する気はない
アメリカにももちろん、多くの原発がある。というか、世界で一番多い。104基もある。
これらを、どこかで処分しなくちゃいけないので、2009年まではネバダ州のユッカマウンテンサイトという場所に処分場を作ろうと、強引に進めてきた。
州の反対を押し切って、ブッシュ政権は作ろうとしていた。
それが、オバマになって一転。
計画を白紙にして、予算もゼロ。世界一の核のゴミを抱えながら、自国で処分する気は、まったくない。
米国における高レベル放射性廃棄物処分
ちなみに、アメリカには原発だけじゃなくて、核弾頭もある。核軍縮で、あまってしまった大量の核弾頭。
ソ連崩壊後から、急速に進んだ核軍縮で、現在兵器級のプルトニウムが250トンくらい在庫されているらしい。
兵器級のプルトニウムは、プルサーマルと称して原発のMOX燃料に加工されている。
兵器級のウランとプルトニウムをMOXに加工すると、100万kWの軽水炉50基を100年運転できるらしい。
((財)高度情報科学技術研究機構)
ところが、MOX燃料は、アメリカ国内では使用禁止。
じゃあどうするのかというと、国内では危険すぎるので、日本に売り込んで燃やしている というわけ。
日本でも、最初に使用したのは、東電でも関電でもなく、四国電力の伊方原発。
巨大な東電や関電は逃げをうった。
アメリカの中では、先住民族が住むネバダ州。それでも危険ならば、属国の日本。日本の中でも、大都市は田舎に押しつける。
核の問題は、かように差別に貫かれている。
その観点から考えたときに、アメリカの104基の使用済み核燃料を、どこへ捨てようとしているか、自ずと見えてくるのではないだろうか。
フクシマのあの事故を目の当たりにしながら、巨万のデモが起きない国。
遠く離れたドイツですら、何十万というデモが起きているのに、日本国内ではおとなし~く耐えている国。
首相官邸に謎のアメリカ人が居座っても、だれも追究しない国。
それどころか、各官庁に網の目のようにアメリカの手下が配置されて忠誠を誓っている国。
しかも、万が一のことがあっても、アメリカ本土には影響ないくらい遠くにある国。
さらに加えて、経済的にはアメリカに負担をかけずに自前で処分場を作る国。
こんな国が目の前にあるのに、なんで捨てに行かないのか そっちのほうが不思議。
外の目で見れば、そう見える。
見えざるを得ない。
■■ 技術的な問題
ただ、岩上さんも言っていた疑問は、原発の敷地では、津波の心配もあって無理ではないか、ということだった。
なにせ、最低でも10万年、本当に無害化するには100万年は核物質を保管し続けなくてはならない。
いくらデタラメな原発鬼たちといえども、津波のくる海岸線では説明がつかないだろう という疑問だ。
しかし、20キロというのは海岸線だけではない。
半径20kmというのが、どういう地域なのか、観念的にはよく分からないので、3D風に見るとこんな感じだ。

平地と山の境に南北に走っている県道35号線と、ちょど西へ20キロのあたりにある南北の谷は、活断層(赤い点線)。
地図の下の方に見える楢葉町が、2009年に「高ベル核廃棄物処分場」に立候補した町。
今でもその時の町長が現役のはず。
ところで、高レベル放射性廃棄物の最終処分というのは、どのようにするつもりなのか。
簡単に言うと、廃棄物をガラスで固めて、地下300mくらいの岩盤の隙間に埋める らしい。
津波と地震と火山の国で、どうやって地層処分などするのか、誰でも不安に思う。
これについて、(独)日本原子力研究開発機構 という研究の元締め組織は、こんな絵を示している。

ザックリ言うと、津波が来ない程度の内陸部で、火山から離れていて、活断層と活断層の中間部に、埋めるということらしい。
なにせ、活断層でも活断層じゃないと言い切り、活断層どころか、もっと親玉のプレート境界の上に原発を建ててしまう連中のやることだから、ちょっとやそっとのことでは「安全」ということになってしまう。
300mも埋めておけば、もし漏れても東京までは来ないだろう てなもんなのだろう。
それに、100万年先のことなんて、誰にもわかりはしない。
せいぜい、何十年か保ってくれれば、自分の責任は問われない ということだ。
ちなみに、他国ではもう少し深く埋める計画が多い。
フィンランドのオルキルオトに建設されているオンカロでも420mだ。
おそらくは、日本の場合あまり深く埋めると、斜めに走っている活断層にぶつかりやすくなり、なおさら地域が限定されるのだろう。
それと、日本人はおとなしい と見透かされていることもあるだろう。
まあ、とにかくこんな感じで、日本はヨーロッパのような安定した地盤じゃないと言うことを認めながら、それでも、可能な場所は広い、と前出の(独)原子力機構は言い切っているので、本気でやる気なのは間違いない。
「技術的な基準」など、候補地が決まってからその場所にあわせて決める くらいのことは、原発鬼どもは平気でやる。
そういう目で見ると、福島第一原発から20km圏内で、2本の活断層の間の山地は、原発鬼の目には、涎が出るほどオイシイ場所に見えるはずだ。
白河以北一山百文 とかつて差別された東北・福島が、いままた原発鬼どもの差別と利権と苦し紛れの妄動によって、恐るべき運命を強制されようとしている。
私にはそのように思えてならない。
■■ 政治的な問題
なぜ、メルトダウンを分かっていて放置したのか。
なぜ、ここまで情報を隠蔽し続けるのか。
なぜ、子どもに外部被曝だけで20mSvという殺人行為を国家が公然と行うのか。
なぜ、放射線量ではなく、20kmという距離で立入禁止にしたのか。
なぜ、情報を隠すことで実被害と風評被害を区別できなくして、風評被害を煽るのか
なぜ、外国から送ってもらった大量の線量計を成田に放置するのか
それらの疑問は、処分場計画と合わせて考えると、一つの方向へ進んでいるのが見えてくる。
国も東電も何とか機構も御用学者も、ぜんぶひっくるめて原発鬼は、一つの方向へ向かっている。
事情の分からない下っ端はともかく、菅をふくめて上層部は、およそ以下のような方向に向いているように思える。
・ まず、東京方面が汚染される水蒸気爆発や、大規模の再臨界による核爆発だけは避ける。
・ 周囲20キロを、合理的な理由なく危険だとして強制収容して、国有地にする。
・ 20キロ圏外には、ある程度の汚染は許容する。
・ ただし、100mSv以下は無害というデマで誤魔化せる程度でおさまることが望ましい。
・ 海への汚染も、無害というデマで言い逃れができる程度まではOK
・ したがって、民間での勝手な線量測定は極力許さない。グリーンピースなんてもっての他。
当面はそんな方針で、事故の収束へむけて何年かはジャージャーと水をかけ続け、燃料が尽きるのを待つのだろう。
原子炉にも格納容器にもダダ漏れの穴があいている以上、ダダ漏れで冷やし続けるか、外側に一回り大きな格納容器を作るしかない。が、そんなものは、作れるわけがない。
本来なら完全に水につかっていなければならない燃料棒を、上からジャージャーかけるだけで冷やせるのかどうか、冷温停止にできるのかどうか、これまた心許ない。
おそらく、崩壊熱がなくなるまでで、1年か2年か、ほとんど垂れ流しで水をかけ続けるしかないだろう。
ある程度は、冷却水の循環はできるようになるみたいだが、そもそもどこに穴があいているか分からないのだから、基本的にはダダ漏れ。
こうして、空中にも海中にも放射能は垂れ流しつつ、崩壊熱がおさまってくれるのを待つ。
その間に、20キロ圏より外には、補償しなくてすむことを、なんとか考える。
放出量を減らすこともするけれども、出てしまったものを「安全」ということにする、ことに全力をあげる。
海の汚染は、普通の人には測定しようがないから、大本営発表で誤魔化す。
たまに、グリーンピースなんかが調査をしに来たら、ナンクセつけて追い返す。
外部被曝の4~5倍もあるはずの内部被曝については、2%くらいということにして、誤魔化す。
なにせこれも、ホールボディカウンターなんてあまりないから、証明のしようがない。
できるだけ、ホールボディカウンターは使わせずに証拠を残さなければ、あとで甲状腺癌になっても、「因果関係が証明できない」と言える。
こうやって、意図的に危険を放置し、耐えられなくなった住民が「自主的に」いなくなってくれれば、好都合。
人払いをしておけば、数年後に処分場計画を進めるときに、反対がない。
つまり、子どもに20mSvはOKというのは、「出て行け」という意味。
それを理解できない住民のために、小佐古氏は泣いて辞任会見した。
小佐古氏には気の毒だが、あの会見は菅にとっては「想定内」
とにかく今は、放射能という実弾をぶっ放して、住民の追い出しを図る。
それに気がつかずに、弾に当たって死んでしまうよりも、早いこと「自費で」逃げ出して欲しい。
農漁業の補償だけ見ても、今年や来年のぶんはともかく、この先何十年の被害を補償することなんて、東電も国もまったく考えていない。
福島県だけでも農業生産は年に900億円以上ある。10年間マイナス50%で、被害額は4500億円にもなる。
漁業も年に180億。
しかし、東電や国は、最初の1年くらいはともかく、それ以降は、放射能を測定して基準値を超えた分しか補償しないだろう。
あとは、測定しきれない分もふくめて風評被害だ、と言って消費者に責任を押しつける。
そのためにも、風評被害を広めることは、国家の重大事。
枝野を筆頭に、せっせと情報隠しをして、実害と風評の境界線を見えなくし、風評被害の拡大に努めてきた。
とくに畜産農家には、放射能の濃縮が明らかになる前に、「自費で」出て行ってもらいたい。
こうやって、いま政治は、福島から、原発周辺から、できるだけカネを使わずに住人を追い出すことに、全力をあげている。
■■ 副島隆彦氏の主張について
最近になって、副島氏もこうした国の動きに注目し、処分場計画があるのではないかと言っている。
福島を棄民することへの抵抗を呼びかけてきた副島氏であるから、当然気がつかれるだろうと思ってはいた。
権力というものが、どんなに酷いことをするか、希望的観測によらずに分析する副島氏には、これまで多くのことを教えられてきたし、今もまた、他の論者にはない貴重な視点を提供していると思う。
が、しかし、彼の「安全だから帰っておいで」という呼びかけには、断じて同意できない。
生きる術をなくすよりは、ある程度の放射能は我慢するしかない、という理屈は、視点を限定すればあり得ることだと考える。
どういう限定かというと、権力者、為政者、加害当事者から発せられる言葉ではないということ。
同時に、安全圏にいる私たちの言葉でもない ということ。
つまり、被害当事者の人たちから出た言葉であるならば、否定しきることはできない。
それを副島氏も分かっているから、自分で原発の門まで出かけ、21キロ地点に事務所を構えて常駐するつもりなのだろう。
しかしそれでも、副島氏は被害当事者ではないし、その上、放射線量が「ある程度」という範囲を超えている。
特に、子どもにとっては。

(小出裕章氏 講演資料より)
私たちのような年齢になれば、生きる術と放射能を天秤にかけて考えることもあり得るかもしれないが、これから子どもを産む世代を含めて、子どもたちには浴びて欲しくない。
しかも、文科省が言う被ばく量は、放射性物質を吸い込んだり食べたりする内部被曝は、考えられていない。無視されている。
特殊なマスクをして、食べ物をよほど気をつけない限り、外部被ばく量の4~5倍は内部被曝がある。
同じ文科省が出しているSPEEDIの試算で、そのような計算をしているのに、例の20mSvは大丈夫と言うときには、内部被曝は無視。
つまり、外部被曝で20mSvも浴びているときには、内部も含めると100mSvになる ということ。
それが子どもであるならば、リスクは3倍も4倍もある。
つまり、大人の被ばく量に換算すると、300mとか400mSvも浴びたのと同じと言うことだ。
いくら住民追い出しのために、半ば意図的に垂れ流しにされている放射能だからと言って、やはり放射能は放射能だ。
危険なことには変わりがない。
変な言い方になるが、その場で決着が着く銃弾よりも、もっと始末が悪い。
まして、子どもには何の責任もない。
ざっとした見方で言うと、子どもの場合、毎時の○○μSvというガイガーカウンターの数字を、10万~20万倍した数字が年間の被ばく量相当ということになる。
○○ x 24時間 x 5倍(内部被曝) x 5(感受性) x 365 x 減衰率
減衰を50%くらいにすれば10万倍、ほとんど見なければ20万倍。
仮に10万倍としても、単位を一つあげて(マイクロをミリ)、数字を100倍することになる。
たとえば、毎時3μSv → 年間300mSv(相当)
放射線をぶっ放して住民追い出しを謀る東電と菅内閣(とその背後にいるアメリカ)の、言いなりになるようなことは、確かに悔しいけれども、そうは言っても危ないものは危ない。
50代以上は、ある程度の危険を覚悟で戻ろうというのならば、分からないでもないが、子どもたちは何とかして助けなくてはならない。
■■ いま求められているのは
いま、緊急に求められているのは、何よりも子どもたちの保護だ。
事故の収束事態は、現実の問題として、何年かは今のような状態が続くだろう。
緊急に放射能を止めろと言っても、できるわけがない。
だからこそ、子どもたちを保護しないと、チェルノブイリの子どもたちの悲劇が繰り返される。
20mSvという基準ももちろんだが、基準だけを変えても、行き場のなくなる子どもが生まれるだけだ。
子どもとその親を、緊急に避難させる手立てを、当面の収入補償という面も含めて取らなくてはならない。
福島県の20歳以下は40万人。
福島全域でないとしても、茨木北部や宮城南部も含めて、約40万。
どの範囲かは、肥田舜太郎先生など、御用学者ではない被曝の専門家によって検討が必要だろう。
少なくとも、県の中心である福島氏や郡山市などは、1.4μSv/時であるから、あきらかにリスクが高い
親も含めて80万人の避難なんて、非現実的だと思えるかもしれない。
が、今起きているのは、そのくらい非現実的と思えるくらいの、とんでもない事態だ。
爆発こそしないけれども、なにせ3つの原子炉に穴があいて、放射能がダダ漏れなのだ。
希望的観測で、現実を歪めて見てはいけない。
■■ 政治の力が必要
そして、今、どうしても必要なことをやろうと思ったら、菅直人ではダメだ。
アメリカに魂を抜かれた男に任せていては、悲劇はどんどん広がっていく。
分かっている情報ですら隠されたまま、大本営発表で子どもたちが殺されていく。
情報の隠蔽と証拠の隠滅だけに勢力を傾けながら、着々と処分場へと計画を進めていくだろう。
その過程で、どれだけの子どもが犠牲になろうと、お構いなしだ。
「自費で」逃げないのがわるいんだ と開き直るつもりだ。
いくら危険だと分かっても、経済的な補償がなくては、そう簡単に逃げられるものではない。
絶対に政治の力がなくては、子どもたちを救うことはできない。
それも、相当の額が必要。
仮に1組に月10万としても、年に5000億円必要だ。
最低限2年間は避難したとして、1兆円。
この程度の金額は、官僚が貯め込んでいる特別会計のがま口を開けば、出てくる。
特に、永続的なオカネではないだけに、充分に賄える。
それができるのは、政治の力しかない。
私は小沢一郎万能論者ではないが、政治の力で子どもたちを守るためには、小沢氏に決断してもらうしかないと思っている。
菅直人に対しては、裏で脅迫して、表で花道を用意してやるくらいのワザを使ってでも、内閣不信任に対して解散をさせないように持ち込まなくてはならない。
国民の生活はおろか、被災者の生活さえも自分のクビのためには犠牲にする菅直人は、内閣不信任を突きつけたら、本当に解散総選挙をやりかねない。
それだけは避けないと、全ての犠牲をかぶるのは、被災者だ。
おそらく、そこで倒閣の動きも足踏みしているのだろう。
それを側面からプッシュするためにも、自分の選挙区の国会議員にも、FAXなどで要望を送ろうと思う。
衆議院議員
参議院議員
菅直人らについていく議員が少なくなればなるほど、当然ながら対菅工作はやりやすくなるはずだ。
そして、残念だけれども、表向きは菅を打倒するのではなく、花道をつけてやって退場させるようにすることだ。
そうしないと、まるで敗戦直前の日本のように、狂気の沙汰で足掻きまくる恐れがある。
今重要なことは、被災者、なかでも放射能を日々浴び続けている福島の子どもたちを、財政的に支えながら避難させることだ。
そのための、政治の力を実現することだ。
それでももし、絶望的に菅直人が政権にしがみつくとしたら、それはやはり、フクシマを核廃棄物処分場にしようという、ものすごく巨大な力が働いているということ。
それをはね返すには、脱原発のうねりのような国民運動が必要だ。
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