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もうすぐ北風が強くなる

武田:汚染の責任から逃げまわる東電と政府

科学者の日記110510  日々、変わっていくこと

福島原発からでた放射線物質は、最初に大気中に出て風で流れました。そのすべてが太平洋の方に行けば被害は少なかったのですが、不運にも福島市の方向に流れました。

やがて、その放射性物質は福島と山形の間の山にぶつかって南下し、郡山の方に向かいました。その様子は次の図にハッキリと示されています.
300kms.jpg

余談ですが、放射性物質が比較的低いところを流れて山の方に行かないということもわかります。
これは山登りの好きな人にはとてもいい話でもありますし、またこの地図を見て、福島県の方で時々、お子さんを山の方に遊びに連れて行くこともできるのではないかと思います。

これから長い間のことですから、楽しみながら放射線を避けるということも必要だと思います。
・・・・・・・・・
ところで約1ヶ月後、放射性物質は大地の上に降り、道路や校庭を汚し、ホウレンソウを痛めました。そして、私たちがあびる放射線も、大気からのものが減って、次第に地面からの放射線に代わっていきました。

今、その放射性物質は、溝に流れ、さらには汚泥等に入っていっています。だから、この時期に「汚泥が汚染された」のは理屈通りです.

大変に不幸なことでしたが、放射性物質を「火山の灰」のように考えれば、目には見えませんがおおよそどこに飛び、どこに潜んでいるかわかると思います。

これは身を守る上でとても大切なことです。お母さんは「こんなところが吹きだまりになるな」とか、「葉っぱの上に乗るとこびりつくから」などと経験を活かしていただけれと思います.
・・・・・・・・・
ところで、やっかいな問題があります。
放射性物質で汚染されたものは、地方自治体が処理するのではなく、すべて国が責任を持つのですが、その国が今まで全く原発事故の準備をしていなかったので、一つ一つ、今後決めていかなければなりません。

何のために税金を払っているのだ!と叫びたくなる心境です.
汚染された汚泥の処理についても、福島県が現在、国の方にその処理を依頼しているところです。

これと同じことが、小学校の校庭等でも行われています。
郡山市は先んじて小学校の校庭の表土をとりましたが、その結果、お子さんの被曝は随分減りました。

ところが、表土を取った後は汚染された土が出ます。常識的にはこの土は東京電力が引き取るのが当然ですが、法律的には国に責任があります。

しかし、国はこの土をどうやったらいいかわからないので、土の出ない方法を提案しています。それは小学校の校庭の表土を削りとって深い土と入れ替えるということです。

もちろん表面に火山灰のような放射性物質があるのですから、このことで子供さんの被ばく量は減少します。
その代わり、その校庭には、セシウムが残りますから、今後30年の間、放射性物質が潜んでいるところでお子さんが運動をすることになるのです。

現実には今、被爆しているお子さんを助けなければなりませんし、そうかといって小学校の校庭が長い間汚染されているのも気が滅入る話です.
現在の文科省はこのような難しい問題を東京電力と折衝して、土地を確保し、小学校の校庭の土を持っていくという力がないと思います。

その背景には、多くの政治家が東京電力から資金の提供を受けているということもありますし、利権と子供という関係では、残念ながら利権の方を優先する政治家が多いことも一つの原因になっているでしょう。
・・・・・・・・・
小学生の被曝の基準を1年20ミリシーベルトにしたり、汚染された野菜を地産地消という名前で給食に出したりするのは、この延長線上と考えられます。
教育の専門家に詳しくお伺いいたしましたが、小学校の給食を全員に強制する必要は、教育上も全くないというお話でした。

むしろわたくしが考えるには、給食の業者等との深い癒着があると考えられます。
およそ教育に関係する人は、貧乏でもいいから子供たちのためにと思って働いてくれなければいけません。仮にも、給食を子供達に強制する理由が、給食の業者との関係であるというなことがあり、それで子供たちを被曝させるということは到底、わたくしには理解できないことです。
・・・・・・・・・
少し話がずれてしまいましたが、誠意のない社会というのは悲しいものです。

昨日、わたくしは、「1年1ミリシーベルトという基準は間違っている.1年100ミリシーベルトまで大丈夫」と言っておられる複数のお医者さんの論説やテレビでの発言を調べてみました。

わたくしが、このことでどのように考えたかは、また次回にお話をしたいと思いますが、ここでは、「科学者としてのわたくし」がいつもどのようにものを考えているかということをお話したいと思います。
・・・
科学というのは難しいもので、常に事実を見つめ真実を追求するのですが、人間なので間違いだらけでもあります。
わたくしが学生に話する例は次のようなものです。
「ニュートンが生まれる前、物が落ちるのは地下の悪魔が引っ張ってると言っていた。
ニュートンが生まれた後は質量によって決まり、万有引力と説明した。
アインシュタインが質量を持たない光が重力によって曲がるということ明らかにすると、そこでまた空間のゆがみが登場した。

最近では、それらをすべて否定して引力はエントロピー増大で説明するのが適切だという学説が有力である。
だから、現在、正しいと信じていることは間違っている」
と言います。

なかなか難しい議論ですが、科学者は常にできるだけ厳密な方法で正しい結論を導き出そうとしますが、同時にその「正しい結論」というのは、100年もたてば全く別のものになってしまうことも承知の上です。
「正しいけれども間違っている」という相矛盾した二つのことを科学者は同時に頭の中にいれられます。
・・・
その意味で放射線による被爆と人体への影響ということを考えるときに、現在の知見(正しいこと)は、1年に1ミリシーベルトを浴びるとかなりのがん患者が出るということであり、また将来はそれが「さらに厳しくなるか、または緩和されるか」は判らないということです。

もう一つは、たとえ自分の考えと違っても、常に自分の考えを否定し、反省し、自分とは反対の結果を勉強するということも科学者としてはなくてはならないことです。

その点で日常の生活と科学的な考え方というのは、少し離れています。今度の福島原発のことは科学的な内容が多かったので、多くの人が「日常と科学」という点で混乱し苦しんだ原因にもなっているのではないかとわたくしは思います.

科学は十分に咀嚼して発信する責任があるのでしょう。

(平成23年5月10日 午前10時 執筆)
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