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もうすぐ北風が強くなる

小出:福島第一と浜岡原発他

小出裕章 (京大助教) 非公式まとめから
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章氏による情報

5月7日 子供に年間20mSvは許されるのか 小出裕章
2011年5月7日、ビデオニュース・ドットコムの神保哲生氏のニュース・コメンタリーに小出裕章氏が出演されています。

子供に年間20mSvは許されるのか (ビデオニュース・ドットコム)

ニュース・コメンタリー (2011年05月07日)
子供に年間20mSvは許されるのか
解説:小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)

 政府の原子力災害対策本部は4月19日、福島県内の学校や校庭利用の際の年間被曝線量の上限を20ミリシーベルトに定めたことが問題となっている。

 もともと20ミリシーベルトは、原子力の施設で働く作業員を対象とする年間被曝量の上限値だったが、これを子供に適用する決定については、依然として多くの抗議や反対が表明されているほか、この決定をめぐり、小佐古敏荘内閣官房参与が辞意を表明したり、原子力安全委員会が正式な委員会を開かずにこの基準を決定していることが明らかになるなど、決定の過程にも多くの疑問が生じている。

 京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は、もともと一般の日本人の年間の被爆上限は元々1ミリシーベルトまでと定められているにもかかわらず、ぞれを現状に合わせるかのように20ミリシーベルトまで場当たり的に引き上げ、しかも子供にまでそれを適用するというのは到底許せないと述べる。

 小出氏によると、子どもの放射線への感受性は大人よりも5倍高いため、年間20ミリシーベルトの放射線というのは、これをを浴びた子どもの25人に1人が癌にかかる可能性がある、あり得ないような数値だと小出氏は言う。

 政府が引き上げた子供の被爆上限値の年間20ミリシーベルトをどう評価するべきかを、神保哲生と福島で現地取材を続けている医療ジャーナリストの藍原寛子が小出氏に聞いた。

プロフィール
小出 裕章こいで ひろあき
(京都大学原子炉実験所助教)
1949年東京都生まれ。72年東北大学工学部原子核工学科卒業。74年東北大学大学院工学研究科原子核工学修了。74年から現職。伊方原発訴訟住民側証人。著書に『放射能汚染の現実を超えて』、『隠される原子力 核の真実』、共著に『原子力と共存できるか』など。

藍原 寛子あいはら ひろこ
(医療ジャーナリスト)
1967年福島県生まれ。1990年千葉大学文学部行動科学科卒業。同年福島民友新聞社入社。マイアミ大学医学部移植外科、フィリピン大学哲学科などの客員研究員、国会議員公設秘書を経て、2011年よりフリー。

小出先生部分の要約

・(20mSvを子供に適用することについての意見は?)私はやってはいけないと思う。日本では普通の人は年間1mSvという基準があるのに、突然20mSvにするのは、20倍まで危険を我慢しろという意味。しかもこどもは大人の5倍くらい放射線の感受性が高い。到底許しがたい。

・(長崎大の山下氏が、放射線防護基準は発がんリスクと生活崩壊リスクを勘案して決めると言っていたが?)その通り。避難をすると生活が崩壊する。チェルノブイリで被曝を避けて避難して生活が崩壊するのを見た。どちらも選べないから私は原発をやめることを目指している。

・(20msVというは現状に合わせて上げた?)それ以外にないだろう。被曝はあらゆる意味ですべきでない。

・(住民から科学的根拠を示してほしいという声があるが、その問いと、それへの答えがかみ合っていない感覚があるが?)被曝で発がんの可能性は増える。1mSvは2,500人に1人が癌で死ぬという数字。20mSvなら125人に1人。こどもは5倍だから25人に1人が癌で死ぬ数字。20mSvという基準は、それを我慢しろという意味。

・(浜岡の停止要請をどう評価するか?)私は日本中の原発を即刻止めろと言ってきた人間。だから、浜岡停止は歓迎するものの、それほど嬉しいとは思わない。が、菅さんの決断は評価しなければいけないだろう。

 ーーーーーーーーーーーーーーー
『世界』2011年6月号の原子力特集に小出裕章氏
2011年5月7日
岩波書店の『世界』2011年6月号に、小出裕章氏の文章が掲載されています。5月7日発売の号です。まだ読んでいませんが、取り急ぎご紹介します。

岩波書店『世界』特 集 原子力からの脱出

【レベル7の危機】
ブラックアウトは何故起きたか
小出裕章 (京都大学原子炉実験所)

 3.11以降、「問題はない」「大事故ではない」と言いつづけた「原子力村」に属する「専門家」への信頼が失われるなかで、アカデミズムの立場から批判的に原子力とかかわりつづけてきた筆者の発言が注目されている。いったい福島原発で何が起きたのか。これからどうなるのか、どうすればいいのか──。批判的知性による検証。

こいで・ひろあき 京都大学原子炉実験所助教。著書に『隠される原子力・核の真実──原子力の専門家が原発に反対するわけ』(創史社) 『原子力と共存できるか』(かもがわ出版) など。

本記事についての小出氏のメッセージ(転載)

 原子力発電とは、ウランの核分裂反応を利用した蒸気機関である。今日標準的になった100万kWといわれる原発では1年間に1トンのウランを核分裂させる。広島原爆で核分裂したウランは800gであったから、優に1000倍を超える。
 原発は機械であり、事故を起こさない機械はない。原発を動かしているのは人間で、間違いを犯さない人間はいない。電気を多量に消費するのは都会だが、万一の事故のことを考えれば、原発を都会に立てることはできなかった。
 そこで、原発は過疎地に押し付けられ、厖大な電気を使う豊かな生活のためには「必要悪」と言われてきた。私は40年間、いつか破局的な事故が起きると警告してきた。何とか破局的な事故が起きる前に原発を止めたいと願って来た。
 しかし、福島原発事故は起きてしまった。現在進行中の事故を収束に向かわせるため、今後、多くの作業員が被曝する。周辺の多くの人々も、歴史を刻んできた土地を捨てて避難するか、被曝を覚悟で住み続けるか選択するしかない。それを思うと、言葉にできない無念さがある。

 これほどの悲劇を前にまだ原発が運転され続けていることを、信じがたい気持ちで私は眺める。世論調査では、停電すると困るので原発は必要とする人が多数いると言う。
 もし、享楽的生活を続けるために電気が必要と言うのであれば、原発は是非都会に作って欲しい。それができないのであれば、電気が足りようと足りまいと原発は即刻全廃すべきものと私は思う。
小出裕章 (京都大学原子炉実験所)

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
5月7日 「原子力村」という巨大な構造 小出裕章
2011年5月7日
2011年5月7日(土)、朝日ニュースターの愛川欽也パックインジャーナルに、京都大学原子炉実験所助教小出裕章氏が電話出演されました。

小出先生出演部分の要約

・(1~20ミリシーベルトの間ならまあまあいいということか?)1ミリシーベルトであっても危険はある。どんなに微量でも実際は危険はあるが、年間1ミリシーベルトくらいは我慢せざるを得ないということで決まっている数字。
 私のような放射線業務従事者には年間50ミリ、5年間100ミリという法律上の上限がある。これは従事者だから我慢しろという意味。普通の人に対し20ミリまで我慢しろというのはとてつもない話。

・(小佐古氏が20ミリシーベルトはとんでもないとして辞任したが、どう考えるか?)彼がなぜそのようなことを言い出したのか分からないが、彼は正しいと思うし、支持したい。

・(大人と子供は身長が違うため基準を同じにするのはおかしいと思うが?)その通り。

・(東京では18メートル地点で測っているというが、なぜか?地面で測るのと違うか?)私たちの常識では1メートルで測る。上空と地面では測定値は違うだろう。本来はどこでも1メートルで測るべき。

・(20ミリシーベルトは推進派の小佐古氏ですらヤバいと言う数字だが、子供は大人の3倍くらい影響するというのは本当か?)私は5倍というが、3~5倍くらい危険があるというのは明白。

・(外部被曝の積算だけ言われているが、食物や水などの内部被曝の影響もある?)外部被曝だけ考慮ではだめ。

・(放射性物質が土に落ちると何十年、あるいは半永久的に生き続ける?)そう。事故から約二ヶ月たった今日の時点までで被曝を起こした主要な核種はヨウ素131だったと思う。
 半減期が短いヨウ素131はほとんどなくなっている。
 今後はセシウム134とセシウム137が問題になってくる。セシウム134は半減期が2年だが、セシウム137の半減期は30年で寿命が長い。

・(シーベルトは確率論的に障害が生じる可能性を示していて、1ミリだと10万人に5人に障害が起きたり死亡したりして、20ミリだとその20倍ということでいいか?)私はその8倍だと思っているが、最も低めの数字で10万人に5人。
 私は10万人に40人だと思うし、20倍なら800人。こどもは3~5倍危険が高いので、数千人という単位になる話。

・(福島の事故が起こる前の状態だと大気中はどのくらいのシーベルトだったか?)毎時0.05マイクロシーベルトが普通だが、地質構造によって異なり、関東は低く、関西は高い。花崗岩地帯はもっと高い。自然の放射性物質の分布により幅がある。

・(文科省はICRPの基準の1~20ミリシーベルトから、20ミリという上限を決めたというが、先生は適切な値はどのくらいと思うか?)その答えは示せない。チェルノブイリ事故のとき、どの汚染レベルで避難させるべきか考え、ソ連政府は40万人を避難させた。日本の法律の基準だと、565万人の人を避難させないといけないレベル。
 ただ、避難は生活の崩壊を意味する。いま福島で実際に避難している人たちは大変な苦労を負わされているが、法律の年間1ミリという基準を厳密に適用するなら福島県には住めなくなる。
 どのようにこの問題を乗り越えられるか、答えは私にはない。だからこそこれまで原発廃止を訴えてきたが、この事態を迎えた。どうしたらいいかは一人ひとりに考えてほしい。

・(自然界の放射線、チェルノブイリ由来の放射性物質に囲まれて我々は生きてきたが、これはやむを得ないとしても、今回基準が上げられたことについて皆何故もっと怖がらないのか?)私もそう思う。政府が勝手にどんどん変えるのに対し、問題にせずに受け入れるのは不思議。小佐古さんのような人が問題だというのだから、もっと真剣に考えてほしい。

・(事故以降、野菜の汚染値、水道の汚染値について、後出しジャンケンのように後でルールを変えているがどう考えるか?)もちろんいけないこと。政府は原発事故は決して起こらないと言ってきたから、基準値さえ存在しなかった。

・(政府の緩めたいという立場は当然だろうが、それに対し学者はそれは違う、危ないと声をあげるのが使命。なのに、原爆より低いとか、低い放射線なら温泉でも出ているとか、あるレベルなら身体にいいとか、そういうことを言う学者がメディアに出てくる。学問的な姿勢の問題?)学者は聖人君子ではない。普通にお金も出世もポストもほしい人たち。

・(菅首相が浜岡原発を停止させる要請をしたが、どうか?)日本に54基ある原発すべてを即刻止めるべきというのが私の主張。
 浜岡のエリアはプレートの境界がひしめきあっており、まず止めてほしいと願ってきた。だから今回の決断はありがたいと思う。ただし、防潮堤が完成したら再開するかもしれないし、今後原発について日本の人が考えるとっかかりになるといいと思う。

・(防潮堤ができたら安心という神話、大津波だから福島はだめだったという神話にだまされてはいけない。老朽化した原発は我々の国に合わないものだと考えないといけないと思うが)ありがとうございます。

・(今回の事故が起きたとき「未曾有」、「想定外の事故」、「1000年に1度の地震」という言い方で責任の所在をごまかそうとしたりしている。日本のような地震国に原発が沢山あったらいけないという考えの人はいると思う。この番組は13年以上続けていて、政権交替と原発反対にはこだわってきた。が、原発をなくすと電力が足りないという指摘に対してはどう答えるか?)全原発をすぐに止めても電力はまったく不足にならず、全く困らない。そのためには老朽化した火力発電所を動かさないといけないかもしれないが、原発が不要なのははっきりしている。

・(原発はクリーンだと言われていたが、クリーンではないことが今回分かった。安いと言われていたが、とんでもなく高くつくということも今回分かった。油や天然ガスには環境面での弊害もあるし、石油には政治的なリスクによる供給不安もあるから、原子力のほうがリスクは少ないという意見にはどう反論するか?)原子力がクリーンという宣伝については、二酸化炭素を出さないからクリーンだということだろうが、私は二酸化炭素が温暖化の原因だと思わない。
 二酸化炭素は地球の生命に必要なもの。
 必ずしも悪者ではない。
 原子力が発生させる核分裂生成物には口をつぐんで、二酸化炭素のことだけを言うのは異様だ。
 今回放射性物質が環境に放出されて、どれほど大変か今回理解しようとしている。
 仮に漏れないとしても100万年間おもりをしなければいけない毒物。そんなものを出しておいて何がクリーンかと言いたい。

・(太陽光、風力、地熱、潮流を使ったような代替発電や家庭での蓄電などに国が力を入れず、政財官学が逆に妨害してきたように思うが?)もちろんそうだ。国が核(原子力)を推進するとしてきて、その周辺に三菱、日立、東芝などの巨大産業が群がって、土建屋も学者もそこにぶらさがって、巨大な構造=原子力村ができ、ここまでつっぱしってきた。
 解体するのは大変。
 私が何を言っても聞いてもらえないまま今回の事故にいたった。
 大変悔しいし、何とかしたい。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 
5月6日 水棺は失敗するだろう 小出裕章
2011年5月7日
ウェブサイト『現代ビジネス』の記事で小出裕章氏のコメントがとりあげられています。

[経済の死角]2011.05.06 週刊現代
「レベル7」ニッポンの選択 これでも原発ですか
40人の原子力専門家が明かす「フクシマの真実」

小出氏のコメント部分のみ転載させていただきます。全体は上記ページにてご覧ください。
ーーーーー
京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏は、原子炉格納容器を水で満たして、圧力容器ごと燃料棒を水没させる「水棺」という方法は失敗するだろうと話す。

「2号機だけでなく、1号機と3号機も格納容器が壊れていますから、水を入れても漏れてしまいます」
ーーーーー
「水蒸気爆発を起こすと大変です。冷却に失敗して大量の燃料ペレットが溶けると、炉心部から下に落ちる。これがいわゆるメルトダウンです。このとき圧力容器の底に水があると水蒸気爆発が起きる可能性があります。
 少なくともこれが『起きない』と断言はできません。
 どのくらいの規模の爆発になるかわかりませんが、圧力容器を破壊する程度のものになるかもしれません。
 そうなれば外側にある格納容器も壊れ、建屋も吹き飛ぶでしょう。

 もしこの最悪のシナリオが現実になると、いままで出てきた放射性物質の量とは桁違いの量のそれが外へ出ることになりますから、大きな被害となります」(京都大学・小出氏)
ーーーーー
京都大学の小出氏も人体への影響があるという立場だ。

「枝野さんは『ただちに影響はない』という言葉を繰り返しているわけですが、その意味は『急性障害がない』ということなんです。でも、それを言い換えれば『晩発性の障害はある』ということ。人体への影響は必ずあると私は思います。それは長い年月のなかで、だんだんじわじわと出てくることになるでしょう」

 ーーーーーーーーーーーーーーーーー

5月6日MBSラジオ小出裕章氏「浜岡原発停止要請、核分裂生成物冷却に100万年必要な事等について」
ーーーーー
メインキャスター(以下「MC」):水野晶子
コメンテーター:近藤勝重・毎日新聞専門編集委員

( )は補足

MC:では、京都大学実験所助教の小出裕章先生に伺います。
  小出さん、こんばんは。

小出氏:こんばんは。

MC:よろしくお願いします。

小出氏:よろしく。

MC:東京には近藤さんがいらっしゃいます。
  小出さん、午後7時過ぎに、菅総理が記者会見をしまして、
  静岡県御前崎市にあります浜岡原発全ての原子炉の運転を
  停止する事を、中部電力に要請したという事なのです。
  これをお聞きになってご感想はいかがですがか。

小出氏:私自身は、現在日本に54機ある原子力発電所を
  即刻全て停止すべきた、と主張している人間ですので、
  そうならないで今まで来た事自身が、物凄い意外なのです。
  それは、何か夏場の電気が困るからだ、豊かな生活がしたいのだ、という
  どうもそういう人々が多いのだという世論調査の結果が出て来る訳ですけれども、
  それ自身が、私はとっても意外な事であって、
  電気が足りようと足りなかろうと、原発だけはもうやってはいけない、
  というふうに皆さんが気が付かなければいけない、と思って来ました。

  でも、そうならかった訳ですし、菅さんがこの時になって、
  浜岡だけはとにかく止めようと発言をされた訳で、
  もちろん歓迎します。

  ただ、それは先ほど(ニュースコーナー)で近藤さんが
  詳しく説明してくれましたけれども、
  政治的ないろいろな絡みの中でたぶんなって来たのだろうと思います。
  私は、政治は嫌いですし、あまり政治の事も解りませんけれども、
  科学的な事で言うなら、どこの原子力発電所も危険を抱えていますので、
  即刻全て止めて欲しい、と私は思います。

MC:菅さんは、想定される東海地震に十分耐えられるような、
  中長期の対策をやらなければいけない、と。
  この中長期の対策が完成するまで、運転を停止すべきだと判断した、と
  このようにおっしゃっております。
  中長期の対策とは、簡単に出来るものではないのでしょうが、
  それこそ専門家からご覧になると・・・

小出氏:それはもう沢山中部電力がやろうとしている事はある訳です。
  津波対策をするとか、ディーゼル発電機を高い所に上げるとか、
  まあそんな事をすれば、対策が出来たというふうに中部電力は言いたい訳ですし、
  菅さんとしては、それが出来るまでは止めろ、という事だと思います。
  私は、もうそうではなくて、どんな対策を取ってもそれが破られる時があるので、
  全ての原子力発電所は止めるべきだ、と私は言っている訳です。

MC:原子炉を停止するという事は、言葉で聴くと一言ですけれども、
  ボタンひとつをストップと押したらすぐ止まるものなのですか。
  どういうものなのですか、停止というのは。

小出氏:核分裂の連鎖反応自身は止まります。
  ただし、核分裂の連鎖反応が止まっても、
  原子炉の中には膨大な放射性物質が既に溜まってしまっていますので、
  それが発熱をずっと続ける訳ですね。
  そのために今、福島の原子力発電所は、炉心が溶けてしまうとか、
  何とか冷却回路を作らなければいけない、という事で苦闘している訳です。
  でも、計画的に止めるのであれば、
  対処の仕方はもちろん容易ないろいろの事が考えられますので、
  地震とか津波に襲われていきなりそういう状況に追い込まれるよりは、
  遥かに良いと思います。

MC:何日位かかるのですか、停止するまでに。

小出氏:核分裂の連鎖反応が停止するまでには、
  通常の操作であれば、たぶん1日2日、あるいは3日という、
  その位の長さだと思います。

MC:その発熱が収まるまでには、どの位かかるのですか。

小出氏:収まりません。

MC:収まらないの?(思わず言葉遣いが)

小出氏:要するに、ずーっと続くのです。

MC:え!ずーっとって、何年位ですか。

小出氏:例えば今、福島の原子力発電所の事故が起きてから
  もう既に2カ月経とうとしている訳ですが、
  私達が崩壊熱と呼んでいる熱の発生量というのは、
  たぶんまだ40分の1位にしか減っていないのです。

MC:2カ月で40分の1にしかなっていないのですか。

小出氏:これからは、これからは殆ど減りません。

MC:えー!こっからは減らないのですか、なかなか。

小出氏:はい。

MC:あらま!(素のリアクションが・・・)
  それって、どれ位・・・あの、すみません、
  何年単位じゃなかったら、何百年単位ですか。

小出氏:要するに、10年という単位では減りませんし、
  それからもずっと熱を出し続けるので、
  この原子力発電所が生み出したゴミというのを、
  どうやってお守りが出来るかという事で世界中が困っている訳です。

MC:発熱って、何度位の熱がずーっと続くのですか。

小出氏:温度というのは、発熱の量とそれを冷やす能力、
  除熱と私達が呼んでいる、とのバランスで決まるのです。
  ですから、温度がいくらというふうにはすぐに言えないのですが、
  例えば、核分裂生成物というものをガラスに固めるというふうに、
  今日本の政府とかが言っている訳ですけれども、
  そのガラスというのは、ガラスにした所でもう何百℃も温度があります。

MC:何百℃ですか。

小出氏:ですから、水を掛けたら、ジュっと言って蒸発してしまう、
  そういう温度になっていると、初めは。
  それをとにかく地面の底に埋めて、少しずつ冷やすようにして、
  100万年じっとしておいて欲しい、と言っているのです。

MC:何ですって?(訊き方が怖い)

小出氏:100万年。

MC:ひゃく・ま・ん・ね・ん!(声が大きい)

小出氏:はい。

MC:100年じゃないのですか?

小出氏:はい。

MC:100万年、地面の深い所にずっと眠らせておくのですか!

小出氏:そうです。
  というのが、日本政府の方針です。

MC:そうしているうちに、手で触れるような温度に、
  100万年経ったらなるのですか。

小出氏:そうです。

MC:は~~~(絶句中)

近藤氏:先生、僕は、浜岡の今日の停止の要請についてひとつ疑問に思っているのは、
  高さ15mの防波壁、そして非常用電源その他で300億円を投じると
  中部電力が言った訳です。
  よしんばそれが実現したとしても、安全安心という事を考えたら、
  中長期的な範囲で留める事自体ナンセンスでしょう。

小出氏:そうです。

近藤氏:そうすると、どこかで逃げ道を作っておきながらの言い方だと思うのですよ。
  その言い方というのは。

小出氏:ですから、近藤さんがおっしゃっているように、
  政治的な判断なのだろうと思います。

近藤氏:本当に、安全安心だという事になると、
  そういう技術でもって対応出来ないのが、
  今起きている事態から悟る限り、そうですよね。

小出氏:そうです。

近藤氏:だから、何となく今のお話も含めて考えた時に、
  それだけの膨大な日数が掛かるという事を前提で考えると、
  こんな事で安心していてもいいのかな、と思ったりするので。

MC:私達は、安心の本当の意味というのを、
  科学的にもこれから考えて行かなければいけないのでしょうけれども、
  100万年地中に埋めるという策は、小出先生、
  どこに埋めるとか決まっているのですか。

小出氏:決まっていないので、
  日本の国では今埋めさせてくれる自治体を探しているのです。
  埋めるための調査というのをやりたいので、
  調査をやる事に同意をしてくれたら、20億円やるよ、と言っている訳です。

MC:年に20億円。

小出氏:年に20億円というか、調査を認めた時に・・・

MC:調査を認めたらまず20億円、
  これが最終処分場と言われている所ですか。

小出氏:そうです、最終処分場です。

MC:まず、ボーリングのようにして、土の中の状態、岩盤とかを見る訳ですね。

小出氏:そうです。

MC:それを認めさせてくれたら、20億円・・・なるほど。

小出氏:と言って、地方の財政が破綻したような自治体に働きかけて行って、
  どこかにその処分場を確保したいと言って、
  何年も国が、策謀を続けて来ているのですね。
  私はそれを阻止したいので、あちこち行って、
  そんな事は認めてはいけません、と言って、
  住民の人に伝えるという事を何年もやって来ました。

MC:ただ、小出先生に、お言葉ですけれども、
  どこにもその処理場が見つからなかったら、
  結局最終地がないまま、走っているようなものではないですか、今。

小出氏:そうです。

MC:どこかに、見つけなければいけないのと違うのですか。

小出氏:もちろんです。
  私は、東京に埋めなさいと言っています。

MC:あ~~~(唸っている)
  なるほど。
  安全だったら、どこにその処理場を作ってもいいではないか、と。

小出氏:そうです。
  その辺を国は安全だと言っているのです。
  300mから1000mの深い穴を掘るので、
  どこでも安全だ、と国は言っている訳です。

MC:そうなのですか。
  300mから1000mの深い穴を掘れば、どこででも安全なものだ、
  というふうな説明なのですね、国は。

小出氏:そうです。
  基本的にはそう言っています。

MC:小出先生は、この安全性についてはどう考えていらっしゃるのですか。

小出氏:そんなものはあり得ないじゃないですか。
  100万年ですよ。(苦笑しつつ)
  100万年と言ったら、六甲山はまだ海面の下です。

MC:あ~そっか。
  地形が変わってしまう恐れだってある訳ですね、
  100万年って。

小出氏:そうです。
  六甲山は九百何十mある訳ですから、
  300mの地下に埋めたとしても、100万年経ったらもうそれは
  地表から600mの高さになってしまうのです。
  ですから、そんな事も考えたら、安全などと到底言えるようなものとは
  違うと思います。

MC:そういうスケールで考えなくてはいけないのが、
  この原発の処理なのですね。

小出氏:ゴミの問題ですね。

MC:近藤さん、100万年って知っていました?

近藤氏:いや、そこまでは到底想像も付かない数字なので。
  僕らが身近に考えるのは、せいぜい過去50年ですよね。

小出氏:せいぜいが。

近藤氏:その間に(過去50年)、マグニチュード9クラスが5回来ているのです。
  うち3回が、この7年の間に起きているのです。
  そういうふうな事で物事を考えた時に、
  科学がちゃんとすればという、
  この間住田先生(大阪大学住田健二名誉教授)がそんな事をおっしゃっていたけれども、
  (小出氏の笑い声)
  僕は、科学がちゃんとしていないから今の事態が起きている訳で、
  今の事態にM9の地震が来たらどうなるのだろう、と思うのですね。
  それが、要するに、科学が出せない答えだと思うのです。
  だから今の事態という事がどういう意味があって、
  そこから答えを出して頂ければいいのだけれど、
  なかなかそうは行かない。

小出氏:もともとが、皆さん、科学にかなりの期待を持たれているようですけれども、
  科学は、常に万能ではありません。
  常に欠陥を持ちながら、科学というのは進んでいる訳で、
  大きな危険を抱えれば抱えるだけ、
  要するに科学は進歩すれば大きな危険も抱える訳ですけれども、
  それが本当に人類の生存にとって、破局的な事にならないかどうかというのは、
  科学がどんなに進歩しても解らないという事です。

近藤氏:先生、それとこういった事は、穿った考えでしょうか。
  浜岡を止める事によって、多少とも東京周辺の電力事情が悪くなるとしますね、
  そうすると節電という事に対してアレルギーが起きると、
  必ずまた原発をやれ、という声が出て来る、
  その事を中長期的に睨んで考えているという事はあり得ないでしょうか。

小出氏:私自身は、54機の原子力発電所を即刻止めても、
  電力供給に何の支障も生じないと主張しています。

近藤氏:本来はね。

小出氏:はい。

MC:そうですか。

小出氏:ですから、今は福島が止まっている訳ですし、
  浜岡を全部止めたとしても、浜岡そして他の原子力発電所も全てを止めても、
  夏のピーク電力すら何の支障もありません。
  それは政府の統計データで立証できます。

近藤氏:そうですか。
  福島を止めるだけでもなかなか大変みたいに言いますが。

小出氏:それは、東京電力管内で言うと、火力発電所も止まってしまっているので、
  東京電力管内は何かの問題があるかもしれませんが、
  そういう意味で言うと、今度は産業が今崩壊していますので、
  夏場の電力需要もたぶん減ると思いますので、
  私はたぶん今年は何の事も起きないのではないかな、と思っています。

近藤氏:そうですか。

MC:このエネルギーの問題は、これから本当に私達はいろいろなデータを、
  それこそ科学に疎い我々も少しずつは勉強しながら、
  自分達の生きて行く方法を考えなければいけないな、と思うのです。

小出氏:考えて下さい。

MC:小出先生が今おっしゃったのが、
  国のデータからもいろいろな考えられるのだ、という可能性・・・
  また時期を見て、このお話をして下さい。
  原発なしでも私達の暮らしが成り立つのかどうかというのは、
  皆さんがお聞きになりたいテーマではないかと思いますし、
  そのデータを、是非また小出先生に紹介して頂きたいと思います。

小出氏:はい、解りました。

MC:どうもありがとうございました。

近藤氏:どうも。

小出氏:ありがとうございました。

MC:京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生でした。
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