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もうすぐ北風が強くなる

脱原発へ徹底的なリスクとコストの検証を

社説  原子力政策 方針転換へ徹底的検証を(5月1日)    北海道新聞

 原子力は制御不能になる恐れがあることを、東京電力福島第1原発の事故はまざまざと見せつけた。

 いったん原発で重大事故が起きれば、被害は想像を超える。だれでも頭の隅に不安はあったはずだ。

 しかも日本は地震国で、今後も大地震の発生が予想されている。「大事故は起きない」という政府と電力会社の言い分に明確な根拠はない。多くの国民が信じてきたものは「神話」にすぎなかった。

 菅直人首相は原発増設の計画を白紙に戻す方針を示したが、もはや増設は困難だろう。

 原子力政策の見直しは当然だ。コントロールに失敗すれば取り返しがつかないという認識を根本に置き、リスクとコストを徹底的に洗い直す必要がある。

 * 税金あてこむ補償策

 第一に安全対策だ。福島の事故の前から、今回のような大津波が起きる可能性を指摘する専門家はいた。

 それが少数意見として無視され、電力会社が繰り返す「想定外」の事態になってしまった背景を考えなければならない。

 事故後、原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は、原発の設計について「割り切り方が正しくなかったと反省している」と発言した。原発の建設を前提に、安全対策もどこかで割り切ったということだ。

 原子力関係者の安全に対する姿勢を象徴している。民間企業が運営するため、さまざまな想定に線引きをする基準の一つは採算性だ。この線の内側に収まらないものを、想定外として切り捨てたのではないか。

 電力各社は、震災対策の強化を迫られている。どこまで想定するのか、との悲鳴も聞こえるが、安全への投資を惜しむのは許されない。

 重大事故の損失は、最終的に国民が肩代わりせざるを得ないことが明白になったからだ。

 原子力損害賠償法により、電力会社は政府と原発1カ所当たり1200億円を上限とした補償契約を結んでいる。これを上回る部分は電力会社が負担するが、能力を超えれば政府が援助する。つまり税金だ。

 政府との補償契約にしても、保険と呼べるような代物ではない。これまで電力会社が納めた補償料は、積み立てて運用されたわけでもなく、一般会計に繰り入れられ使われてしまった。

 福島の事故の賠償額は数兆円単位に上るとみられる。東電を解体して資産を売却しても足りないかもしれない。徹頭徹尾、国民負担をあてにした仕組みと言うほかない。

 民間企業が事業のリスクを引き受ける意思も能力もないなら、手を引くのが筋だろう。

 民間企業として採算性を優先する一方、公益事業者として国策に協力してきたことを理由に、損失を国民に押しつけるのは虫がよすぎる

 * 核燃サイクルは破綻

 こうした無責任な姿勢の背景には、責任の所在も、費用の見通しもあいまいにしたまま、官民一体で推進してきた原子力政策がある。

 日本は、原発の使用済み燃料を再利用する「核燃料サイクル」路線を採ってきた。これが原発にかかわるコストを見えにくくしている。

 使用済み燃料を再処理し、取り出したプルトニウムを高速増殖炉で燃やすのがサイクルの最終目標だ。これまで巨額の国費が投じられ、電力会社も協力してきた。

 ところが、再処理工場と高速増殖炉原型炉「もんじゅ」という要の施設にトラブルが続き、循環の輪がつながる展望は一向に開けない。

 計画が大幅に狂っても、だれも責任を取らないばかりか、高速増殖炉に至っては、商業化目標は2050年まで延期された。

 貴重な財源を、夢物語に近い構想につぎ込むより、代替エネルギーの開発に回す方がはるかに建設的ではないか。今こそ方針転換を決断すべき時である。

 * 使用済み燃料も難題

 福島の事故は、これまで気付かなかった危険も明るみに出した。サイクルの資源と位置づけられてきた使用済み燃料である。

 忘れてならないのは、国内の原発から毎年千トンの使用済み燃料が排出され、原発敷地内に貯蔵されているという事実だ。

 再処理しようがしまいが、放射性廃棄物は出てくる。これを無害にするのは不可能で、安全な場所に万年単位で保管しなければならない

 原発のリスクを国民が背負わされる以上、政府は、コストの総体を明示すべきだ。立地交付金から事故補償金、再処理、廃棄物の最終処分、廃炉まで、すべてが含まれる

 電力会社が政府に払う補償料や、安全対策費も跳ね上がるだろう。

 償いようのないものもある。故郷を失いかねない避難住民の苦痛や、環境に与えるダメージなどだ。

 これほどの犠牲を払ってまで、維持すべき政策があるだろうか。原子力関係者が隠してきたあらゆる情報とデータをあぶり出し、「脱原発」の議論の出発点としたい
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