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岸:政府の東電支援策は国民へのツケ回し!

国民への安易なツケ回しとなる大甘な東電支援策  岸 博幸 4/22ダイヤモンド・オンライン

 原発事故により今後巨額の賠償負担を負う東電に対する政府の支援策が、ほぼまとまりつつあるようです。そのポイントは被害者への補償金支払いを支援するための新機構の設立で、来週後半にも閣議決定されるようですが、現時点で判明している概要からは、東電と金融機関に甘く、国民に安易にツケ回ししようとしているとしか考えられません。

  支援策の概要

 4月21日段階で判明した情報からは、支援の枠組みは概要以下のとおりと思われます。

・基本的には東電が自己資金で補償金の支払いを行なう
・東電による補償金支払いを支援するための新機構を設立する
・新機構には、原発を持つ電力会社が負担金を拠出する他、政府が交付国債を発行し、また金融機関の融資に政府保証をつける
・東電が賠償で債務超過に陥りそうな場合、政府に特別援助を求め、政府が援助を決定すると、新機構が東電に資金支援を行なう他、必要に応じて資本注入(優先株引き受け)を行なう
・東電は、将来の利益から長期間にわたり新機構に返済を行なう

 もし実際の支援策がこの通りの内容となった場合、東電や金融機関に非常に甘いと言わざるを得ないのではないでしょうか。東電をなんとか延命させ、税金負担も最小化し、金融機関への影響も最小限にとどめようとして、その一方で電力料金値上げという形で国民にツケ回ししようとしているからです。

  企業再生の基本を逸脱したやり方

 東電は株式公開企業です。通常、株式公開企業が事業に失敗した場合、まず企業が厳しいリストラなどを通じて債務を返済し、それでも足りない場合は、減資という形で株主が、そして金融債権カットという形で債権者が責任を負うというのが、市場のルールのはずです。

 それなのに、今回の支援策をみると、これらのまず最初に責任を負うべき者の責任負担があまりに不十分です。

  不十分な東電のリストラ

 まず、東電のリストラが不十分です。社員の年収は2割カットと報道されていますが、被害の規模と東電の待遇の良さを考えれば甘いのではないでしょうか。役員報酬も削減と報道されていますが、全額返上が当然です。

 また、東電の人員削減については採用抑制など自然減のみのようです。年金や社会保障についても今のところ削減の予定はないようです。不動産の売却についても、膨大な不動産の一部を売却する程度で、例えば本社ビルを売却してリースバックするといったことは検討もされてないようです。

 つまり、東電の“身の切り方”はあまりにいい加減かつ不十分なのです。

 更に問題なのは、株式上場を維持することが前提となっており、株式の減資は検討されてないようです。また、社債などの金融債権のカットも検討されていないようです。

 減資については「お年寄りなどの個人株主に影響が及ぶ」、社債カットについては「社債市場に悪影響が生じる」と言われていますが、これらは言い訳に過ぎません。減資や金融債権カットを実行すると、金融機関に悪影響が及ぶので、それを避けたいだけとしか思えません。

 要は、補償は十分に行なうべきだけど、一方で株式公開企業である東電については通常の会社更生に近いアプローチで処理を行ない、それで補償に影響が生じる場合には国民負担(電力料金上げか税金負担)を求めるべきなのに、実に安易に電力料金上げによる国民負担が前提にされているのです。

 このように文句をつけると、二つの反論が予想されます。

  東電が破綻したら電力供給が途絶すると言う嘘

 一つは、「東電が破綻したら電力供給が途絶する」という反論です。しかし、本当にそうでしょうか。例えば日本航空(JAL)については、会社更生法が適用され、社員の大幅なリストラはもちろん、株式の減資や債券カットが行なわれましたが、JALが飛ばなかった日はありませんでした。

 今回の新機構は、不良債権処理で活躍した預金保険機構をイメージしており、東電への対応についてはりそな銀行への公的資金注入がイメージされているように思えます。小泉政権でその不良債権処理に実際に携わった私としては、この点も非常に違和感があります。

 それは、りそなは過小資本だったから公的資金を注入したのであり、債務超過ではなかったからです。債務超過だった足利銀行には、一時国有化というより厳しい措置で対応をしています。

 せっかく新機構を設立するならば、りそな方式と足利方式の双方の政策対応を可能なようにして、東電についても債務超過となるならば足利方式をとるべきなのではないでしょうか。不良債権処理の際によく言われた”too big to fail”のような主張はおかしいと言わざるを得ません。

 次に、予想されるもう一つの反論は、会社更生法を適用しようにも、賠償の範囲がどこまで拡大するか分からないので債務の範囲を確定できない、また万一適用して債権カットをしたら、被害者への補償金もカットされる、というものです。

 この点が非常に難しいのは事実ですが、特別立法で、被害者の補償金はカットしないなどの特例を設けることで対応できるはずであり、この理由をもって東電に会社更生法や足利方式を適用できないとはならないはずです。

  関係省庁の思惑が最優先されたスキーム
  ボトムラインは守るべき

 そう考えると、この支援策はとても評価できません。経産省は東電を延命したいし賠償が不十分と責任を追及されたくない、財務省は国の負担を最小化したい、金融庁は金融機関への影響を最小化したい、という関係省庁の思惑が最優先されたスキームで、そのツケはすべて国民に来るからです。

 ちなみに、どうやらこの支援策は官僚によって作成され、官邸の政治家はほぼノータッチだったようです。被災地への支援策が遅い(阪神淡路大震災では地震から40日で補正予算と法律11本が成立しているのに、今回はどちらもまだ)という点もさることながら、このように安易に国民負担を求めるスキームの策定を野放しにしているというのは、官邸の無責任も甚だしいのではないでしょうか。

 それでも、おそらくこのスキームのまま支援策が決定されるのでしょう。だとしたら、せめて東電の抜本的なリストラ、かなりの規模の減資と金融債権カットだけは、機構設立の前提として是非行なってほしいものです。特に東電のリストラについては、東電の言い値など絶対に信じてはいけません。監査法人についても同様です。会社更生に近い形で、ちゃんと選任された管財人が行なうべきです。
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