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もうすぐ北風が強くなる

通貨戦争(29)動けなくなってきたユーロ

 EUとその通貨ユーロの持つ基本的で致命的な欠陥。
 この欠陥はユーロ通貨発行の最初から解っていたのだが、見切り発車してしまった。
 共通の通貨=共通の金融政策。対する各国個別財政政策の矛盾である。「ユーロは夢の終わりか」を参照。

 要は、単一通貨建ての各国債が、人と物の流通どおりに、格差のある国家間を自由に流通してしまうので、各国の財政策を無効にしてしまうのである。「ヨーロッパの危機」、「欧米経済は財政削減で奈落に落ちるか」を御覧ください。

 通常の通貨と国家の場合は、国債が国内債務である限りは、富が民間に移っているだけで、インフレさえ注意していれば、破綻はあり得ない。
 対外債務飲みが、対外債権との差引き額として国民経済の借金である。

 それがEUの場合は、東京都と沖縄県が別な国家で、競合しているようなことなので、沖縄県の巨額な対外債務となって現れる。
 米国は基軸通貨の強みで、過剰流動性を供給しているが、ユーロは単に域内通貨なので、域内インフレが危ない。
 国家間の債権債務について、何らかの統合的な仕組みを作らない限り、矛盾はEUの崩壊に向かわざるを得ない。

 しかもこの機に、日本の震災と放射能汚染が実体経済を下降に引っ張る。
 
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 ギリシャの「借金棒引き」見通しはEU崩壊の序曲?
欧州ソブリン・リスク再燃が物語る“重大な意味”       真壁昭夫 4/26ダイヤモンド・オンライン

  東日本大震災に関心が集中する傍ら、
  気づけば欧州で「ソブリン・リスク」が再燃

 わが国の大震災に心を奪われていた間、EU内部でもソブリン・リスクが再燃している。一部の経済専門家の間では、「ソブリン・リスクは、EUが抱える根本的な問題点が表面化したもので、今後問題はさらに拡大する可能性が高い」との指摘も出ている。

 足もとの金融市場で話題に上がっているのは、ギリシャの債務再編(ヘアーカット)=債務の一部減免に関する観測だ。EUの高官の1人は、「今まで、ギリシャなど特定国の債務再編はEU内部で取り上げられたことはなく、今後もその可能性はない」と債務再編の可能性を明確に否定する。

 一方別の高官は、「今後、ギリシャは債務再編をせざるを得ない。現在の状況では、今年の夏場を越すことができないだろう」と発言している。EU内部での議論の進展はわからないが、金融市場では「ギリシャが借金の棒引きを提言するのはほぼ時間の問題」との認識が大勢を占めている。

 EU内部のPIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)のソブリン・リスクを、それぞれの国の固有問題と見ることは適切ではない。何故なら、生産性や産業構造の異なるいくつもの国の経済を、単一の通貨と金融政策で運営しようとすること自体に問題があるからだ。

 つまり、経済の規模も文化も大きく異なる国を、1つの国の経済のように運営することには、そもそも大きな矛盾があるということだ。

 EU内のソブリン・リスクの高まりは、そうした問題が鮮明化したに過ぎないと捕らえるべきだ。これからEU内部のソブリン・リスクは、世界経済にとって大きな阻害要因になることが考えられる。

  加盟国が自由な金融政策をとれない?
  EU経済には本源的な問題が潜んでいる

 本来、特定の国の経済が低迷すると、当該国は財政政策と共に金融政策を動員して、景気の回復を図ることになる。その場合、金融政策は緩和され、政策金利は引き下げられる。それに伴って自国通貨が下落する。

 金利が低下することに加えて、通貨が弱含みの展開になるため輸出が増加し、経済は回復傾向に向かうことが想定される。そうした調整機能によって、当該国の経済は長期間の低迷を免れ、景気は活気を取り戻すことになる。

 ところが、EUのケースでは、そうした国ごとの調整機能が備わっていない。というのは、ユーロ加盟国は基本的に自国の状況に合わせた金融政策を採ることができないからだ。

 EU内の金融政策は、EU圏全体の経済状況によって決定される。つまり、1つの国の経済状況よりも、ユーロ圏全体の事情が優先されるのである。

 有体に言うと、ドイツなど経済規模の大きな国の事情が優先されることになり、マグニチュードの小さな国の状況は勘案されにくいことになる。また、通貨に関しても、EU圏全体の経済状況が優先されることになる。

 自国の経済が下落していても、他の有力国の経済が上昇傾向を辿っていると、通貨はむしろ強含みの展開になる。本来、自国経済のことを考えると、通貨は下落して欲しいのだが、他国の事情が反映されて、通貨は強くなってしまう。

 そのぶんだけ、経済規模の小さな国は、より厳しい経済環境に追い込まれることになる。それは、ギリシャやポルトガルなどの国には不利な状況だ。


  EUに参加することは本当に必要か?
  国をまたぐと「支援の意識」はまちまちに

 リーマンショック以降、多くの国がバランスシート調整のために財政を総動員した。その結果、多くの国が財政に余裕のない状況に陥っている。

 EU全体をスムーズに運営するためには、ドイツなど経済的に余裕のある国から、窮地に陥っているギリシャやポルトガルなどに所得を移転するような、体制維持のシステムが必要になる。

 ところが現在のEUには、それを十分に満たすシステムが見当たらない。それでは、早晩構造問題が鮮明化することは避けられなかった。

 4月中旬、フィンランドでポルトガル救済プログラムに反対する政党が得票数を大幅に伸ばした。そのロジックは、「フィンランドの納税者の負担で、何故ポルトガルを救わなければならないか。ポルトガルは自国の納税者の負担で再生すべし」というものである。この論理こそ、EU圏の維持を難しくする根拠だ。

 EU圏諸国を単一の金融政策・通貨で運営するということは、他の国が窮地に陥った国を救済する必要がある。それは、わが国の地方経済が低迷しているとき、都市圏で集めた税金を原資として、公共投資等の格好で所得移転をしてきたことを見ても明らかだ。

 同一の国の中であれば、「困っている地方があれば、みんなで助けるのは当然」という発想になるのだが、国が違ってしまうと事情が違ってくる。救援資金を提供する国からすると、「大切な税金をよその国を助けることに使うのは言語道断」ということになりかねない。

 実際ドイツなどでは、従来からそうした論調が目立っていた。それに加えて、今回フィンランドでそうした世論が高まっている。それを突き詰めて考えると、「何のためにEUに参加しなければならないか」、さらに「それほどコストがかかるのであれば、EUから離脱したほうがよい」ということになるかもしれない。結果として、EU全体の求心力が低下することになる。

  投機筋の標的になりつつあるソブリン・リスク
  ギリシャの「借金棒引き」はEU崩壊の序曲?

 そうしたEUの求心力の低下を狙って、ヘッジファンドなどの投機筋が、すでにソブリン・リスクに陥っている諸国の国債を空売りしたり、ユーロを売り浴びせるオペレーションを行なっているという。

 あるヘッジファンドのマネジャーにヒアリングしてみた。彼は、「今年中に、EU内部のソブリン・リスクが火を噴く可能性は約70%」と指摘していた。

 彼の計算では、ギリシャは夏までに、現在の債務の3割から4割程度を引き下げる交渉を行なわざるを得ないという。つまり、ギリシャが負う借金の内、30%から40%を棒引きしてももらって、何とか残額を返済する計画を立て、それを債務者と交渉することになるというのである。

 それが現実のものになると、ポルトガルやアイルランド、スペインなどにも悪影響が及ぶことになる。ギリシャが借金の棒引きを言い出すと、それ以外の国もそうした交渉を始めることが懸念され、当該国の国債を購入する投資家が激減するからだ。

 その場合には、それらの国の国債は暴落し、新規の国債発行が難しくなる。その結果、資金繰りが逼迫し、最終的にはIMFなどの支援要請を行なうことになる。信用不安の増幅から、ユーロが売り込まれることも考えられる。最悪のケースでは、EUの崩壊が取り沙汰されるかもしれない。

 いずれにしてもEUは、本源的な問題を担保するようなシステムをつくらない限り、EU圏の脆弱性を克服することはできない。少なくとも、当面EUには茨の道が待っていることだろう。

 今年初め、ある経済専門家は「10年後、EUが今の格好で残っている可能性は5分の1」と主張した。その言葉が現実味を帯びてくることも考えられる。




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