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復興国債は日銀引受けとせよ、嘘だらけの「復興増税」

復興増税」論の隠された意図を暴く、「通貨」の信認と「国債」の信認の正体   高橋洋一 4/21ダイヤモンド・オンライン

 東日本大震災の復興に巨額な資金が必要なのは誰にも異論がないだろう。直接的な損害でも20兆円前後になるし、それに関連する経済損失を合わせれば、30兆円以上の公的支出が必要だろう。

  o 復興構想会議は増税構想会議か

 政府は4兆円程度の第1次補正を決めたが、これでは少なすぎるので、第2次補正にすぐ取りかかるべきだ。第2次補正では、つなぎ国債を発行して、その担保に増税という話が出てきている。

 政府の復興構想会議は、14日にスタートした。1923年9月1日に発生した関東大震災後、2日から帝都復興院が検討され、9月27日にはすでに設立されていたのに比べると、何ともスピード感がないが、「増税」論だけは素早かった。

 復興構想会議の事務局を財務官僚が牛耳っているので、五百旗頭真(いおきべまこと)議長の挨拶に、増税を入れ込むことくらい簡単なのだが、非経済系の有識者がまんまと財務省に丸め込まれているのは情けない。

 復活構想会議に声かけられたが参加を断ったある知識人は、五百旗頭議長の挨拶について、まだ議論していないのに増税はないと吐き捨てていた。

 財務省からみれば、復興構想会議そのものも、増税のためのワン・ステップでしかなく、世論つくりさえすればお役ご免だろう。

 財務省の復興構想会議のメンバーに対する「レク」は、「復興増税、日銀引受禁じ手」のようだった。「日銀引受は禁じ手です。そんなことをしたら、通貨の信認が失われます」と財務省官僚がいえば、ほとんどの人はそれを信じてしまう。

  o 毎年行われていることがどうして「禁じ手」なのか

 ところが、前回このコラムに書いたことだが、日銀引受は毎年行われている。毎年行われていることが禁じ手のはずがない。毎年行われていて、激しいインフレにもなったことない。むしろ最近はズーとデフレのままだ。

 マスコミだけでなく、経済学者も、この事実を知らないで、日銀引受は禁じ手といってきたわけだ。ちなみに、野田佳彦財務相も知らなかったのは、財務相としては恥ずかしい。

 今年度の予算書の一般総則でも、「第5条 国債整理基金特別会計において、「財政法」第5条ただし書の規定により政府が平成23年度において発行する公債を日本銀行に引き受けさせることができる金額は、同行の保有する公債の借換えのために必要な金額とする」と書かれている。

 この事実は新聞などではほとんど書かれていないが、ネット社会のいいところで、本コラムなどを通じて多くの人が知るようになった。

 そこで、財務省や日銀は、ここでいう直接引受は「日銀が保有している国債の満期償還に伴う引受であり、すでに保有している国債の借り換えなので通貨膨張にはならない」と、火消しにやっきだ。

 これで、これまで日銀引受は禁じ手であるといってきた有識者もほっとする。やはり官僚のいうことは正しいと。

  o 説明にウソはないが、肝心なこともいわない官僚の説明術

 たしかに説明にはウソはないが、肝心なこともいわない。これが巧妙な官僚の説明術だ。数字をいわないのである。

 具体的に今年度の話をしよう。予算書でも、今年度の日銀引受額の数字が書かれていない。数字は財務省の国債発行計画に、12兆円と書かれている。国債発行計画というと、立派に聞こえるが、その性格は国会の議決などの重いものでなく、政府内で適当に変更できるものだ。

 さらに、財務省・日銀はもう一つの数字もいわない。それは、今年度日銀が保有している国債の償還額がいくらかである。これは、30兆円だ。

 これでわかるだろう。今年度12兆円の日銀引受を行っても、30兆円の償還があるので、それだけを見ると、今年度末には18兆円日銀の保有国債残高が減少し、通貨膨張というより通貨減少してしまうのだ。

 ということは、財務省・日銀の言い分をそのまま鵜呑みにしても、あと18兆円の日銀引受は可能だ。日銀引受は禁じ手という財務省・日銀の「ご説明」を受けているだけの御用学者、御用マスコミは、こうした数字の議論はできない。

 前回のこのコラムで書いたように、復興は新たな公共投資になるので、赤字公債ではなく建設公債の発行で行うのが、財政論の基本である。それを無視してまで、増税による財源調達をいうのは、おかしい。

 今年度の国債発行計画は新規債、借換債などで170兆円の国債発行になるが、その市中消化はは158兆円、日銀引受が12兆円。18兆円の建設国債を発行すると、発行額は188兆円になるが、日銀引受を30兆円とすれば、市中消化額は158兆円のままだ。

 しかも、これはすでに国会で議決された今年度の予算の範囲内の話だ。

 日銀引受をすると国債金利が上昇するともいう。財務省・日銀が煽れば多少は金利も動くだろう。ただ、毎年行われてきた日銀引受である。多少の変動はたいした話でないし、市場のアヤだ。もし、財務省・日銀のいわばしもべであるマーケット関係者(債券関係者)が、この情報を使って商売しているとすれば、そのほうが金融商品取引法で禁止されている風説の流布にあたるかもしれず、そのほうが問題であろう。

 なお、金利のことをいうマーケット関係者は債券関係者が多い。日銀引受の裏側にある話は大型公共投資の実施である。その話に反応するのはマーケットでも株式関係者である。マスコミは債券だけでなく株式にも取材したらいい。

  o 国債整理基金の余りカネを使っても、国債の信認は低下しない

 これが通貨の信認の正体であるが、他にも増税路線へ追い込む話がある。国債の信認である。先日、テレビ番組で、江田憲司みんなの党幹事長が、国債整理基金の余りカネ10兆円を大震災復興のために充てよと発言したのに対して、岡田克也民主党幹事長は、国債整理基金への繰入があるから国債の信認が保たれているので、それはできないと言った。岡田幹事長の言い方は、財務省のそのものであり、まやかしである。

 まず国債整理基金の仕組みを整理しよう。国債整理基金(特別会計)は国債の償還や利払いを行うための区分整理会計である。この特別会計は、いろいろな特別会計からの繰入が多いが、国債の償還・利払いだけに絞ると、その歳入は、借換債発行による収入、一般会計からの繰入、前年度からの剰余金で、歳出は国債の償還、利払いとなる。

 一般に国債発行は今年度予算では44兆円といわれるが、これは新規債だ。このほかにも借換債110兆円、財投債14兆円があり、上で書いたように、今年度の国債発行は170兆円。新規債、借換債、財投債といっても、マーケットではまったく同じ条件なので、マーケットの人でもどの国債を扱っているかさえもわからない。

 国債整理基金の国債償還の部分は、借換債110兆円、一般会計から20兆円、前年度からの剰余金10兆円が収入となり、一方、償還120兆円、利払い10兆円が支出になって、次年度への剰余金が10兆円となる。したがって、国債整理基金の収入のうち10兆円を震災復興に回しても、次年度への剰余金がなくなるだけで、国債償還にはまったく支障ない。

 はたして、岡田幹事長(財務省)のいうように、10兆円を回したら国債の信認が失われるか。この手法を初めて聞く人は、財務省が「そんなことをしたら国債の信認が落ちて、国債市場が暴落しますよ」といえば、そう信じるだろう。

 ところが、この手法は過去、1982~89年度、93~95年度において、計11回も採用されたことがある。いずれも、国債の暴落など起こっていない

 国債の信認について、財務省の説明は海外ではあまり通用しない。日本のように国債整理基金を作り、一般会計から一定額を繰り入れる仕組みを減債制度というが、この仕組みは日本だけのもので、海外にはないからだ。

  o 財務省・日銀の説明こそ、日本の将来を危うくする

 国債の信認は、日本経済の実力やマクロ経済運営の巧拙などからでてくるのだ。このような奇妙な日本の仕組みを説明すると、日本はマクロ経済運営で重大なミスを犯しているにもかかわらず、それを隠蔽するために、変な口実をしていると勘ぐられるのがオチだ。

 通貨の信認や国債の信認を財務省・日銀が言い出すときには、相当の注意が必要である。それらの言葉は無定義語である。どうなったら通貨の信認や国債の信認が失われるのか、当局はいわない。はっきり言えば、そうならないことが誰の目にも明らかになるからだ。はっきり言わないで、数字に疎い有識者やマスコミの不安を煽っているだけだ。

 実は私はハイパーインフレになったときが、そういう状態であると思っている。ただ、ハイパーインフレとは経済学では年率13000%以上の物価上昇だ。国際会計では年率30%以上だ。

 はっきりいおう。今年度の日銀引受12兆円を30兆円に増額して18兆円の復興財源を捻出しても、今年度の予算の範囲内の話である。国債整理基金の10兆円を復興財源に回しても、過去に何度も行われてきた話だ。これらを実行しても、年率30%のインフレにはならないし、通貨の信認も国債の信認も失われない。

 このような当たり前の予算手法を隠してまで、増税を行うために通貨の信認や国債の信認を損なうという財務省・日銀の説明こそ、日本の将来を危うくする稚拙な政策だ
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