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もうすぐ北風が強くなる

京大小出氏4/10岩上インタビュー(2)

 (京大小出氏4/10岩上インタビュー(1)からの続きです。)


(「再臨界」の可能性について)

岩上:最悪のシナリオの一歩手前のシナリオです、(圧力容器や格納容器に)穴が開いているというのは。
ところがもっと最悪のシナリオがあります。
再臨界です。先生は再臨界の可能性についてこれまでも度々言及をされてきましたが、ここへ来てにわかに緊張が高まっております。
というのは、クロル38、塩素38という物質が検出されたと。これは再臨界の確たる証拠であるというご発言をされている。
そして(中略)アメリカの学者が、全く文脈が違う所で、おそらく先生とは全然コンタクトも取っていない所で、やっぱり自然科学の学者というのは普遍性を持っていますから同じエビデンスからやはり同じような分析を引き出すんだなと思ったんですけれども、ヨウ素の量、それが減らないということ、クロル38という物質が検出されたというこの点を以て再臨界が起こっていると分析しています。
この点について、もう再臨界が起こってしまったらば破局なんだ、我々も「ああおしまいだ」というイメージを持っておりますが、それが正しいのかどうか、ということも含め、その再臨界とは何か、そして本当に起こっているのかどうか、ご見解をお聞きしたいと思います。

(再臨界とは何か)

小出:はい。初めに聞いて頂いたけれども、原子力発電というのはウランの核分裂を起こさせてエネルギーを取り出すシステムですが、地震に襲われるというようなことになったら、まずは核分裂反応を止めなければいけないんですね。
そのために制御棒という棒を原子炉の中に挿入しまして、核分裂反応はとにかく止める、ということをまず何よりも先にやるのです。

今回はどうもそれは成功したのではないかと私は期待もしていますし、多分そうだろうと思っているのです。
ただし、すでに溜まってしまっていた核分裂生成物という、その放射能自身が崩壊熱という熱を出すためにここまで追い込まれてしまったわけですね。

なんとかその崩壊熱の分は冷やさなければいけないということなのですが、もし、一度止めたつもりのウランの核分裂反応がもう一度起きてしまうというようなことになると、またそこから熱が出てきてしまうということになって、それをどうやって冷やすかというまた困難が伴ってしまうわけですね。
ですから何とかそのウランの核分裂反応だけは、もう二度と起こさないようにしなければいけないと、皆思ってきたわけですけれども、一度は止めたと思っているウランの核分裂反応がまた起きてしまう、ということを私達は「再臨界」という言葉で呼んでいるわけです。

(なぜ再臨界を疑うか…クロル38とは)

その可能性は私は実は少ないだろうとずっと思ってきまして、とにかくその崩壊熱を冷やすことができるなら、この破局を乗り越えられると思ってきたわけですが、最近になって、東京電力が公表しているデータを見る限り、再臨界を疑う以外説明がつかないというふうに思うようになってきているわけです。

それは今、岩上さんがおっしゃってくれたけれども、クロルの38という放射性核種があるのですが、それが東京電力によって検出されたと、言われているわけです。
そのクロル38、塩素の38という放射性核種ですけれども、それは、天然にある塩素が中性子を受けて生成されるものです。
ただ寿命が37分で短いので、運転中にはもちろんあったとしても、核分裂反応が止まって、もう中性子が出なくなるとすれば、クロルの38というのはすぐになくなってしまって、今になって検出されるなんてことはないのです。

ところが、3月の末でまだクロルの38が検出されるということを東京電力が公表したわけです。
もしそうであるとすると、継続的にクロル38が生まれている、ということになるわけで、そうなるとじゃあ中性子はどこから来ているのか
、ということになります。

(クロル38…再臨界「以外」の可能性について)

そしてその中性子の出る源は核分裂反応以外にももう一つあってですね、原子炉の中に超ウラン元素と私達が呼ぶ一群の放射性核種が運転中に溜まってくるのですが、その超ウラン元素の中のキュウリウム242とか244とかいう、ちょっと特殊な放射性核種ができるんですが、そういうものは自分で、自発的に核分裂する、自発核分裂と私達が呼ぶような現象があって、中性子を出すのです。

ですから今、原子炉は止まっていると言いますけれども、中性子がゼロではないのです。
しかし東京電力が公表したクロルの量というのは、ものすごい量、濃度になっています。
多分、自発核分裂だけでは説明できませんし、今のデータを見る限りは臨界、再臨界ということが、起きた
のではないかというふうに私はますます疑いを深めているという、そういう状態です。

(再臨界が起きると「破局」なのか…原爆の「臨界」と今起きている「再臨界」の違い)

ただ、再臨界ということが起きてしまうと、何かもう破局なのか、というふうに皆さん思われているかもしれませんが、そうではありません。

例えば、広島の原爆ってどうやってできていたかというと、一方にウランの塊をまず置きました、何も起きません。
ただウランという金属がここにある。もう一つの方にウランの塊を置きます、何も起きません。それを火薬で一か所に集める、一つの場所にある一定量以上のウランが集まるという、そういう状態を作り出すと初めて「臨界」という状態になって、ウランの核分裂が始まるという、そういうのが私達が知っている物理現象なのです。
そういう物理現象に基づいて原爆というのも作られているわけです。

今起きている再臨界というのは、原子炉の中にウランがあったわけですね。
で、その中に制御棒が差し込まれて、ようやくそのウランの核分裂反応を止めたと思っているわけですが、すでにもう1号機で言えば、東京電力の説明でも70%は損傷しているというふうに言っていて、その燃料の損傷というのはですね、どういうことかというと、炉心の中の燃料というのは直径1センチで長さが4メートルという、燃料棒被覆管という細長いパイプが林立しているのですね。

で、その細長いパイプの中にウランの燃料ペレットという、直径約1センチ、高さが1センチぐらいの、小指の先くらいのちいちゃな瀬戸物がその被覆管の中にいっぱい詰まっているという状態でできているのです。
この被覆管というのがジルコニウムという金属でできているのですが、このジルコニウム金属は温度が850度位になると周りの水と反応を始めます。

それで水素を発生します。発生した水素は、水素爆発を起こして建屋を吹き飛ばしたわけですが、その反応は発熱反応なので、一度反応が始まってしまうと次々と熱を出して、周りのジルコニウムをまた反応させるという悪循環に陥るのです。
水から露出した部分でそういう反応が起きたわけですけれども、今、燃料棒のある部分は水から露出しているということは東京電力も認めていて、そのために被覆管が反応して壊れてしまっているわけですね。それが7割、70パーセントと言っているのはそのこと(被覆管の損傷)だと私は思います。

(被覆管の損傷→燃料ペレットが崩れる→崩れたものが一か所に集まる→再臨界)

そうすると、この被覆管が無くなってしまうわけですね。
そうするとじゃあどうなるかというと、小指の先くらいの大きさのウランのペレットと言っているものが、もう支えてくれるものがありませんから、ぐずぐずと崩れてくる、という、そういう状態になるのです。それが原子炉のある部分に溜まってしまって、一つの大きな塊になってしまうと、一度収めた臨界ということがそこでまた起きてしまう
ということを私達は恐れてきたわけですね。

(再臨界すると→発熱→膨張→ウランの密度が減少→臨界状態が止まる→温度が下がる→またウランが集まる→再臨界、の繰り返し)

でも、じゃあ臨界が起きたらどうなるかというと、そこで熱が出るわけですから、熱が出ると必ずその場所は膨張します。
膨張すると、要するに、一か所に集まっているウランの量というのが全体的にはその密度が減るわけですから、臨界という状態が今度はなくなります。
でも、それで熱が出なくなると、その所にまたウランが集まってくるということになるでしょうから、また臨界になって熱が出る、そういうことを繰り返している
のではないか、ということを私は今疑っているわけです。

岩上:なるほど。臨界を起こすけれども熱を帯びると(膨張した結果、ウランの密度が下がり)また一旦臨界でなくなる、それで再臨界がまた始ったり、再々臨界が始ったりと。

小出:そう。そういう、ウランがぶすぶす、ぶすぶすと燃えるという状況が私の呼ぶ再臨界なんですね。
爆発をする、というようなこととは違うと思います。

岩上:一定程度(ウランが)集まった所で、いわゆるこれはメルトダウンで、そして水蒸気爆発が起こり、再臨界というものすごい高熱を発してですね、水蒸気爆発をすぐに呼び込んで吹っ飛ばす、という、こういうイメージを持っているんですがそうではない、と。

小出:ではない。ただ私が恐れている水蒸気爆発とはどういう現象で起きるかというと、炉心というところで、今は燃料ペレットですけれども、被覆管は7割も壊れているわけですね、じゃあ燃料ペレットがどこまで溶けているかというと、私はまだ少ないだろうと思います。発電所の敷地の中でプルトニウムがすでに見つかっていますので、燃料ペレットが溶けていることは確実です。

岩上:これは関わりがあるんですね。
プルトニウムの検出というのは、猛毒が現れたという、人体への直接的な被害を心配して大騒ぎになっていますが、そのことよりも、プルトニウムの検出は実は被覆管の損傷だけではなく、その中にあるペレットの溶融とか、

小出:そうです。ペレットが溶けているということの証拠として重要だと思います。

岩上:これは東電にもぶつけて、私は質問しました、しつこくここの所も。
(東電は)被覆管の70パーセント損傷は認めてます。ただペレットがかなり溶けてしまっている、それを理由としてプルトニウムが見つかっているんだと、(プルトニウム検出は燃料ペレットが溶けていることの)その証左である、ここの関係については、色々な言葉を変えながら、何というか、「丸めこもう」的な態度なんですね。
でも全く否定をしませんでした。どういうことなんでしょうか。それを教えて下さい。

小出:はい。東京電力としてはウランの燃料ペレットが溶けるということはできれば認めたくないのですね。
ジルコニウムという金属自身は、さっきも聞いて頂いたけど、850度を過ぎれば反応してしまって崩れる、という、そういうものなんですけれども、ウランの燃料ペレット自身は2800度くらいにならないと溶けないのです。
ですから、そんな高い温度にすでに原子炉の中がなってしまっていると、いうことは、やはり東電としては認めたくないのですね。

でも私は一部の燃料ペレットが溶けてしまっていることは確実だと思いますけれども、炉心全体の中のほぼ100トンはあるようなウランの燃料ペレットの全体が溶けているとは思わない。

岩上:100トンあるんですか?

小出:はい。

岩上:一個の原子炉の中に?

小出:そうです。まあ福島の1号炉は46万キロワットですから、数十トンしかないと思いますけれども、そういう単位であるわけですよ。それが、全体が溶けているとは私は思わないのです。全体を溶かしてしまわないように、水をかけ続けて冷却しなければいけない、ということが今やっている作業なわけです。

で、もしかなりの部分が溶けてしまう、というようなことになると、それは溶けて落ちる、炉心部から溶けて落ちる=メルトダウン、という現象に私はなると思うのですが、その溶けて落ちた下に、…炉心というのは圧力容器という鋼鉄の容器の真ん中からちょっと下の部分にあるのですが、その部分でウランの燃料ペレットのかなりの部分が溶けて、それが下に落っこって行った時に、圧力容器の底にもし水が残っていたとすると、その水に落下した時に水蒸気爆発が起きるのです。

それは、どうしても私は避けてほしいと思っていて。
そういうことになると、そこで水蒸気爆発が起きて圧力容器が壊れるだろうと思っているわけです。壊れてしまうと、圧力容器のすぐ外側に格納容器という比較的ペラペラの容器があるわけで、その格納容器が放射能を閉じ込める最後の防壁ですけれども、それも壊れるだろうと思って、それをとにかく避けなければいけないいるわけです。

そのためには炉心部にあるウランペレットの大部分、というか、かなりのものが溶けるというような状態を、避けなければいけない。
でも崩壊熱だけでも、放っておいたら溶けてしまうわけで、今、水を入れているわけです。
でもそこでまた再臨界というような状態になると、ウランの核分裂反応が熱を出します、ぶすぶすと燃える、と私はさっき表現したけれども、要するに熱がまた出てくるわけです。
ですからその分も冷やしてやらなければ、余計またメルトという方向に向かってしまうことになりますので、とっても綱渡りの冷却、というのを今、やってきたし、これからもやらなければいけない。

 (揮発性でないプルトニウムが敷地内で検出=「燃料ペレット溶融の証拠」)

岩上:プルトニウムの検出がウランペレットの溶融の証拠というのはどういうことなんですか。

小出:プルトニウムは揮発性でも何でもありませんし、(ウラン燃料ペレットが)溶けない限りはほとんど出てくることはないだろうと、思っているわけです。
要するにペレットというのは瀬戸物なんですよね。ウランで作った瀬戸物ですけれども、その瀬戸物の中にウランという物質も溜まってくるわけです。
核分裂生成物であるヨウ素とかセシウムも溜まってくるわけですけれども、揮発性のものであれば瀬戸物の中から飛び出してくる、ということはあり得るわけですけれども、プルトニウムは揮発性でも何でもありませんので、瀬戸物の中からまずは出てこないと思うわけです。

その瀬戸物が溶けてしまった時に初めて外部に、多分蒸気にさらされているんだと思いますが、そういう蒸気の流れに乗って、外に出てくる、というのが私の推測です。

(再臨界が起きるとどうなるか→「熱」と「核分裂生成物」が発生)

岩上:なるほど。(プルトニウムの)検出はそういう(燃料ペレット溶融の)証拠になるわけですね。
再臨界が起こったらぶすぶすと続く、ということですが、それはどんなことをもたらすのか、これまで以上の放射線量が表に出てくる、あるいは次の段階で大きな最悪を呼び起こすことを意味するのか…

小出:二つのことがあるわけですね。
再臨界というのはウランの核分裂反応が始まるということですから、核分裂反応で生み出されるものは二つです。熱と核分裂生成物という放射能です。

熱の方はメルトダウンという現象につながりますので、何とか冷やすという作業を増加するというか、(綱渡りの作業がこれまで以上に)難しい状態に追い込まれるということですね。それが失敗すればメルトダウンということになって最悪の事態に直行するとになるわけです。

もう一つの核分裂生成物の方は要するに放射能ですので、それがもともと核分裂反応を止めたということが本当であるならば、それぞれの寿命でどんどんどんどん減っていってくれる、放射性物質はそうなるんですけれども、新たにそれをまたどんどん生み出してしまうということになれば、外界に出てくる放射性物質の量も増えざるを得ないわけですし、一昨日(4月8日)、1号機の格納容器の中で放射線量率が3倍くらいに急激に増えました。

私はその急激に増えたということも、その時に再臨界ということで、核分裂生成物が新たに生み出されたものが格納容器の中に噴き出してきたのではないか、ということを疑っているわけです。
格納容器の中に噴き出してくれば、格納容器に損傷がありますので、それはまた外部に出てくるということにつながってしまうわけです。

(「最悪」はどこまであり得るか)

岩上:そうすると、「最悪の最悪」の破局がメルトダウンだとすると、

小出:メルトダウンと、水蒸気爆発です。

岩上:メルトダウンと水蒸気爆発ですね、メルトダウンによって水蒸気爆発が起こらないのであればまだ破局一歩手前なんですけども、水蒸気爆発が「最悪の最悪の最悪」だとすると、恐らく、これがもし起こってしまったらば、1号機でも2号機でも3号機でも、どれか一基起こってしまうと、もうその周りで作業とか修繕とか冷却とか、ということができなくなりますよね。

小出:そうです。

岩上:ということは、自動的に1,2,3,4が続けてメルトダウンを起こしていくという、

小出:最悪の場合はそうなるわけですね。

岩上:最悪の場合は。そうするとチェルノブイリは4号炉だけでした。
もし「最悪の最悪の最悪」を覚悟するとしたらば、再臨界からメルトダウン、そして水蒸気爆発、その連鎖となって、その時に起きる破局といいますか、我々が覚悟しなきゃいけない「最悪」はどんなことになりますか。
 (中断)
(「最悪の最悪の最悪」を考える…)

岩上:「最悪を覚悟して最善を尽くす」ということじゃなければいけないんだろうなと、思うんですけど、今、政府、東電、それからマスコミもそうです、「最悪の最悪の最悪」を考えて、語り、論じることをしていないんです。水蒸気爆発が連鎖した場合の「最悪」というのはどのくらいのダメージをお考えでしょうか。

小出:チェルノブイリの原子力発電所というのは、1から4号機あったんですが、4号機だけが爆発しました。
ちょうど100万キロワットという原子炉でした。

今、福島の1号機から4号機まで合わせると、約300万キロワットの出力がありますので、チェルノブイリ原子力発電所の約3倍の出力がある、ということですから、関係してくる放射能も3倍あるわけですね。
どこか1か所の原子炉が、本当に私が恐れているような破局的な事故になったとすると、恐らく今、岩上さんがおっしゃったように、発電所の中の作業ができなくなると思いますので、次々とやはり壊れていくだろうと思います。

そうなると原子炉の炉心の中にある燃料だけでもチェルノブイリ原子力発電所の3倍あるわけです。
おまけに困ったことには使用済み燃料プールというものの中に、炉心の中に入っていたのと匹敵する、あるいはそれよりも多いほどの使用済み燃料が溜まっているわけです。
それもこの間、東京の消防庁が行ったり、自衛隊が行ったりして放水を繰り返してきたわけですけれども、その作業もできなくなりますので、やはりそれも壊れてしまう、ということになりますので、チェルノブイリ原子力発電所の3倍どころではない、6倍、7倍、8倍、あるいは10倍というような放射能が、危機に瀕するということになると思います。

「最悪の最悪の最悪」というようなことを考えるなら、もちろんそれも考えなければいけないし、同じ敷地の中には5号炉、6号炉というのもあって、そこにも大量の放射能が入っているわけですから、大変だろうと思います。

岩上:途方もないことになってしまう。これは日本列島に人が住めなくなってしまうようなレベルですか?

小出:チェルノブイリ原子力発電所の事故はどうだったかというと…、まず周辺30kmの人達は強制避難させられました。
それからしばらく経ってから、発電所の敷地から200あるいは300km離れた所までが高密度の汚染を受けているということで、そこもまた強制避難させられました。
そうこうするうちにソ連という国家自身が潰れてしまって、人々をその汚染地帯から救出することができなくなったわけですが、でもきちっと調べてみたら、発電所の敷地から700km離れた彼方まで、風下にあたった所は日本の法律に照らして「放射線管理区域」にしなければいけない、というほどの汚染を受けていたのですね。

それでもし福島の原発から700kmという距離を考えたら、ほとんど日本中安全な所がない、この関西にしても範囲に入ってしまうというぐらいの距離なわけですね。それのまた何倍というような放射能が関係してくるとすれば、もっと被害が拡がるわけですので、…まあ、大変なことになるでしょうね。

(「再臨界」を食い止めるには…ホウ素注入について)

岩上:「最悪の最悪の最悪」はそこだとして、その二歩ぐらい手前の再臨界を食い止めていくには手があると、ホウ素を注入すればいいという話でしたが、これは?

小出:ホウ素というのは中性子をものすごい吸収する物質でして、ホウ素をもし原子炉の中に、その再臨界している所にうまく送り込めるのであれば、ホウ素が中性子を吸収してしまいますので、ウランが吸収する分がなくなると。
そのために臨界反応が止まるという、そういうことになります。

岩上:それはどの程度効果があるんですか?

小出:ちゃんとその再臨界を起こしている場所にホウ素が届くのであれば、かなり効果的に再臨界を抑えることができます。

岩上:現時点でそれはうまく出来ているんでしょうか。

小出:私は、もともとは再臨界は起きていないというふうに思っていたわけです。制御棒はちゃんと入っていたろうし、燃料が崩れたとしてもホウ素を入れている限りは再臨界を抑えることができたはずだと思っているわけですけれども、どうもその、東京電力は途中からホウ素を原子炉に送る、ということをやらなくなったのではないか、と私は今疑っているのです。

それは多分色んな理由があるんでしょうけれども、初めから海水を入れだしたんですよね。原子炉をとにかく冷やさなければいけないということで。でも海水の中には塩がたくさん入っているわけです。
入れた海水はどんどんどんどん蒸発して蒸気が出ていくわけですけれども、塩は多分どんどん煮詰まって行って、あっちこっちに塩の塊が析出してくる、という状態になっていると思うんですね。
それが例えば原子炉を冷やす流路、水の流れを妨げるというようなことにもつながっているかもしれませんし、これからもしポンプを動かそうと思っても、ポンプが動かないとかですね、そういうことの障害にもなるだろうと思っているんです。

同じようにホウ素という物質も、大量に入れてしまうとそれがあちこちに析出することになりますので、東京電力としてはあまり入れたくなかった、ということもあるのかもしれません。
でも、もし再臨界という現象が起きているのだとすれば、もう何をおいても(ホウ素を)入れなければいけない、と思います。

岩上:正しく入れることができているか、届かせることができているか、という点はどうなんでしょう。

小出:それはよく分からないのです。今その東京電力は原子炉の中に水を送っているわけですけれども、圧力容器と言っている中にも結構複雑な構造をしていまして、どこの場所に外から水を入れているか、ということで、今再臨界になっている場所に本当にその、入れた水、これから入れるとすればホウ素が届くかどうかというのは、今私にはよく分からないです。

炉心という部分と、ダウンカバーという部分があるのですが、ダウンカバーにもし入れたとしてもダウンカバーの所でぐるっと回ってそのまま出ていってしまうという可能性もありますので、それは福島(原発)の人達がちゃんと考えて対処して欲しい、と思います。

--------------------------------
この後は、
(00:53:00~01:01:00)福島以外の原発や、もんじゅ、六ヶ所村再処理施設等の危険度について10分弱。
(01:01:00~01:18:00)「原子力がなくても電力はまかなえる」、「それどころかバカげた原子力のおかげで経済的にも損している」という内容。
元のインタビュー映像(USTREAM)「京都大学原子炉実験所 小出裕章氏に聞く」(2011/4/10 iwakamiyasumi)をご覧ください。
(2011.4.16)
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