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もうすぐ北風が強くなる

反原発の闘いを、同時に体内被曝の防止を

 一応の大気中への爆発防止は峠を越したようだ。
 このまま、順調に推移すると仮定しても、膨大な作業量にはなるだろうが、少なくとも、大気中への爆発飛散を抑えられれば、最悪の事態は免れるだろう。

 反原発の運動を闘わねばならない。
 小泉政権以来、まともなエコノミストはテレビ・新聞から排除され、新自由主義・市場原理主義が国民の視界を覆い尽くしてきたが、原子力についてはそれどころではない。
 1960年代以来、50年にわたって、原発批判を封じ込めてきたのだ。

 原発反対の立場をとってきた社会党はなくなり、労働組合は解体され、大衆的な反対派は現地住民と共産、社民のみになってしまっている。
 今回の原発報道でもテレビと全国紙はすべて「原発積極推進派」で埋め尽くされている。
 50年にわたって、原発反対行動を暴力で封殺し、地元を金まみれで買収し、反対する知事は冤罪で落としてきた。

 政府と保安院、電力会社、大学研究機関などは、「原発積極推進派」の小さなムラとなり、彼らの雇用と利権の場と化している。まともな研究者は武田邦彦氏のような反対派ならぬ「安全派」までも排除されている。
 こんな現状の構造を、完全に変えなければならない。

 今回の震災・津波と原発の事件で、日本の勤労国民は、冷静沈着な行動、勤勉、極めて高い能力を世界に知らしめた。
 世界が驚いたのは、勤労国民の優秀さに比べて、日本の支配権力層、幹部が官僚的思考しかなく、隠蔽、誤魔化し、無責任と無能をさらけ出したことである。

 国民に対して、責任と決断をできない支配層。
 まさしく傀儡国家の支配層であることを露呈してしまった。
 こんな支配構造も、根本から変えなければならないことが示されている。

 日本はこれから30年、50年にわたり、放射能汚染問題が日常生活となる。
 シーベルトとかベクレルとかは日常語にならざるを得ない。
 東北の太平洋側と関東は、風評被害ならぬ「現実被害」として環境と人体の放射能を常に注意して生活することとなる。

 外部被ばくより、はるかに人の人生ほどに長い期間を体内の内部被曝を避けていくこと。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
生活と原子力01 健康と放射線量のもともとの関係 武田邦彦

福島原発が今後どう状態になるにせよ、漏れ出したセシウムやストロンチュームの半減期が30年ですから、残念ながら関東・東北に住む人にとって、これから長い間、生活の中に放射線というやっかいなものが入ってきます。

またその他の地方でも今後、地震もありますし、原発は運転されているので、「原子力と放射線」について今までのように「遠いところのもの」ではなく、自分のものとしてとらえ、あるいは家族を守り、あるいは自分を守っていかなければならない時代になりました。
それは福島原発の事故とともに、私たちの宿命ともいうべきものと思います。
・・・・・・・・・
どのくらいの放射線なら安心なのかというのは多くの人の関心事だと思います。国際的にまた国内の法律でも「普通の人が安全だと言える放射線の量」は、1年間に1ミリシーベルトです。

?今までは「シーベルト」というものは生活にまったく関係ありませんでしたが、これからは、「シーベルト」という言葉を覚えておかなければならないものの一つになりました。
・・・・・・・・・
国際的に決められたルールは非常にはっきりしています。国内法はそれに従っています.
人間は全く危険のない状態で生活するということはできません。しかし、「まあ、このくらいなら大丈夫だ」というレベルはあるのです。

それを次の3段階に分けています。
1) 受け入れることができる放射線量
2) このくらいなら仕方がないという放射線量
3) 我慢ができない放射線量

この三つに分けておけば、いろいろなことを決めることができます。
例えば、受け入れることができる放射線量をはっきりしておくと、それ以下は全く無視してよいということです。
これを専門用語では「免除レベル」と言いますが、あまり使われないので忘れてしまっていいと思います。

普通の人が覚えておきたいのは「我慢ができない放射線量」の数値で、これを「限度」と言います。基準値とか規制値と言われるのはこの限度のことです。
icrp.gif

図を見たら理解しやすいという人は、この図を見てください(ダブルクリックすると綺麗に見えます)。この図は国際放射線防護委員会、略称して ICRP と言いますが、その委員会が出している図で日本ではアイソトープ協会が翻訳しています。
・・・・・・・・・
この放射線の限度が一般人では1年間に1ミリシーベルトということになります。
すぐ疑問を感じる人がいます。それは日本で生活していると、自然から1.5mmシーベルトの放射線を受けるので、「自然より低いの?」というのは疑問です。

1人の人が受ける放射線は次の足し算になります。
(自然から)+(限度(1ミリ))+ レントゲンなど医療被曝
医療関係は別に計算します. 1年に、胃のレントゲンを1回、胸のレントゲンを2回、健康診断で受けたとしますと、0.6+0.05+0.05=0.7の被曝を受けます。

「医療」は入れないことになっているのは、医療で被曝するときには医師が判断するからです。
一方、日常生活の中でも、飛行機に乗ると海外旅行では0.4ミリシーベルト(片道0.2)の被曝を受けますし、ラジウム温泉に行ったりして被曝することになります。

これらは限度の1.0に入りますから、海外旅行(0.4)とその他(0.1)を引くと、非常に厳密に言うと、「福島原発で被曝できる限度は0.5」とまります。
つまり、自然放射線(1.5), 医療など(1.0)の他, 旅行などで若干あびますので、福島原発で被曝する量を限度の1.0ミリシーベルトとすると、

1.5+0.9+1.0=3.4 から
1.5+0.9+1.5=3.9
となります。
約3.4から3.9ぐらいの値ですね。
・・・・・・・・・
一方、職業的に放射線を扱っている男性の場合、1年で20ミリシーベルトが限度です。特別な場合、1年で50ミリシーベルトが許されていますが、その場合は残りの4年で50ミリシーベルトしかダメなので、平均的には20ミリシーベルトと言うことになります。

男性と幼児、妊婦などでは放射線に対する感度が3倍から5倍程度違うとされており、3倍として「職業的に受けるとして20を3で割って約7ミリシーベルト」になります。
ただ、職業的に放射線を受ける場合には、どのぐらい放射線をあびたかを測定し、健康診断もするので、それが行われない一般人の場合、2分の1ぐらいの安全を見ています
.
つまり、職業的に放射線をあびる人を基準とすると、3.5ミリシーベルトになります.
・・・・・・・・
一般人が被曝する限度を足すと3.4から3.9、職業人から見ると3.5ですから、結局、医療用などを除けば、1年で余計な放射線の被曝は1.0ミリシーベルトぐらいにしておく必要があるのです。
これが「一般の人の受ける限度(我慢できる限界)」になるので、1ミリということです。
・・・・・・・・・
私の発言に対して「危険を煽るのは良くない」と言う人がいますが、ここで説明したのは、国際勧告と日本の法律(放射線障害防止の法律)を解説しているだけです。

繰り返す事になりますが、今回の事件で私は「自分の意見」を言わないことにしています。というのは、私は神様ではないので、これまで40年ほどにわたって議論されてきた最終的な結論(1ミリシーベルト)をそのまま伝えています.

これに対してテレビなどにでる人が法律に書かれた値の100倍でも大丈夫と発言していますが、私にはできません。なぜなら、もし法律の限度の100倍の被曝をして、その赤ちゃんが将来、ガンなどになっても私は専門家として責任をとれないからです。

つまり、「非常時だから」というのは判っていますが、国際勧告とか法律に定められた「限度」は、人の健康を考えているのですから、「パニックになるから、放射線に対する人への影響が変わる」とか、「福島市の人を全部、移住させることはできないから、まあまあ」ということとは関係がありません。
これまで「これが限度」と言われていた値を、原発の事故が起こったから、誰の許可もなく違う数字を言うことは科学者としての私の範囲ではありません。

政府が「直ちに健康に影響がない」と言っているのは私も同意します.なぜなら放射線をあびて直ちに健康に害がでることは、すぐ死ぬときぐらいしかないからです.
・・・・・・・・・
私も人間の体の防御から言って、1ミリシーベルトが少し安全サイドの値だとは思いますが、もし将来、子供にガンが出て、その子供が
「なぜ、ボクがガンになったの?」
と聞かれた時、親は、
「ごめんなさい。法律を考えないでテレビで言っている人や、ネットで解説している先生のことを信じたの」
と答えたら子供はなんと思うでしょうか。

「ここまでは安全だ」と法律で決まっている(長年、検討され、国際的にも認められている)範囲で病気になったのなら諦めもつきますが、根拠なく被曝したら悔いが残ります。
わたしはテレビで解説している人に、
「原発をやりたいから限度をゆるめる」というのは、原発のために人間が病気になってもよいということでもあります。原発は人間のためにあるのであって、人間が原発のためにあるのではありません。

私は、国家は国民を守るためにあると思っています. もし1ミリシーベルトが厳しすぎたとしても、 とりあえずはそれを知り、できるならその範囲にしておくのが大切と思います。
(平成23年4月1日 午後11時 執筆 一部修正)
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