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歴史の捨て駒にされる日本

ペルセポリス
 歴史の転換期。ペルセポリス。

   多極化への捨て駒にされる日本  5/10  田中宇

 安倍首相が連休中に訪米した。
 日本の首相として初めて米議会の両院合同会議で演説し、自衛隊が米軍のお供(家来)として世界中に出ていけるようにする日米安保の新ガイドライン(日米防衛協力の指針)が合意された。
 安倍訪米時に締結されるかと思われたTPPの日米合意は実現しなかったが、外交安保面では、安倍政権や自民党、外務省など日本の官僚機構が以前から切望していた日米同盟の強化が大きく進んだ。
 安倍自身と自民党、外務省は、訪米の成功に大喜びしている。

 外務省など日本政府は冷戦後、米国が日本との関係を重視しなくなること、米国が日本を飛び越えて巨大市場となった中国と結束してしまうこと(クリントン政権はそれを試みた)を、一貫して懸念してきた。
 日本が米国に見捨てられないようにするには、米国が外交軍事戦略の面で中国敵視を強め、日本が外交軍事的に米国と一体化する(外交軍事面で米国のいうことを何でも聞く)のが良いと日本外務省などは考えてきた。
 日本政府にとって、今回の安倍訪米で実現した日米同盟の強化は早ければ早いほど良かった。
 (日本の官僚機構は、誰が首相になっても官僚のいうことを聞かざるを得ないという独裁的な権力を維持するため、対米従属を必要としている
 (※ 北風の補足:対米従属による日米合同委員会が事実上国会や憲法を超越している。官僚はそこに権力の根拠を持っているので、例えば鳩山氏には従わなかった。)

 冷戦後一貫して日米同盟の強化を望んできた日本側と対照的に、米国側は、日本の対米従属を容認しつつも賞賛せず「もっとカネ(防衛費、思いやり予算)を出せ」「後方支援だけでなく地上軍派兵しないとダメだ」「その前に農産物などの市場を開放しろ」「韓国と喧嘩しないで軍事協調を強めろ。靖国参拝するな」「海兵隊はグアムに撤退するが、それでも辺野古に基地を作れ」などなど、いつも不満げだった。
 米国側は、対米従属強化を切望する日本側を延々とじらしてきた。
 オバマは昨年4月の訪日時、安倍を好きでないことがにじみ出ていた。
 日本は米国を熱愛し、米国はそれを受け入れていたが日本を愛していなかった。

 今回の安倍の訪米が実現したのは、米国が不満げな姿勢を引っ込め、対米従属の日本を賞賛する姿勢に転じたからだ。
 これまで「A級戦犯合祀の靖国神社に参拝するようなやつはお断りだ」と不機嫌だった米議会は今回、安倍に両院合同会議での演説という大きな栄誉を与えた。
 米議会は、翻心の理由を何も説明していない。
 安倍は、かねてから追いつきたいと思っていた小泉純一郎(訪米時に議会演説を断られた)どころか、祖父の岸信介(日米安保条約を改訂したご褒美に1960年に米議会上院で演説させてもらった)を超えてしまった。
 昨春の女性セブンの調査で日本女性に嫌われる男の第1位に輝いた、あの貧相な安倍晋三が、だ。

 貧相な男が、お店で「さすがシャチョー」とか「お兄さんイケメンね」などと賞賛されてうかつに喜んでいると、大体あとから法外な代金を請求される
 安倍さんはすでに嬉々としてお店に入り、オバマや米議会のもてなしを受けてしまった。
 その対価は何なのか、これから何が起きそうか考える必要がある。

 今回の画期的な安倍訪米がなぜ実現したか、その理由は、日本側でなく米国側に起因するはずだ。
 日本政府が最近やったことのうちの何かが、米国側の態度を変えさせたのではない。
 最近の日本側による最大の対米貢献は日本銀行のQE(円と日本国債を犠牲にしてドルと米国債を延命さす量的緩和策)だが、QEは今回の安倍訪米の議題でない
 (日銀QEは表向き米国と無関係な日本経済自身のための策だから)。
 日本がTPPで農産物などの市場を開放する見返りに安倍が賞賛されるのかと私は前に考えたが、TPPは締結まで至らず、それでも米国側から安倍を非難する声が発せられていない。TPPは脇役のようだ。
 (※ TPPについては既に合意ができており、交渉している「ふり」をしているとの観測もある。)

 米国の外交戦略を立案する奥の院であるニューヨークのCFR(外交問題評議会)は、安倍訪米と同時期に、安倍招待の意味を解説するかのような報告書を出した。
 キーワードは「中国包囲網の強化」だ。
 「対中戦略の見直し」(Revising U.S. Grand Strategy Toward China)と題するこの報告書は、中国の台頭によって米国がアジアから追い出されかねないので、中国の台頭を経済的、外交的、軍事的に抑止せねばならないと説いている。
 経済面の中国包囲網としてTPPを創設し、外交軍事面の中国包囲網として日米安保体制の強化を筆頭に、米国と韓国、オーストラリア、インド、ASEAN、台湾との軍事協調を進めるべきと主張している。
 経済や外交で中国の台頭を抑止できないなら軍事(戦争)でやるしかないという趣旨だ。 
 論文は、米国自身を覇権国とみなさず、逆に覇権(他国への隠然とした介入)を悪いこととみなし、他国の覇権拡大を阻止するのが米国の役目だと主張し、この理論をもとに、中国がアジアの覇権国になるのを阻止せねばならないと書いている。
 実のところ今の世界で、民主化支援などの口実を作って他国に介入する覇権行動を最も多発しているのは、米国自身だ。
 中国が台頭をめざすのは、中国と周辺国(日本や東南アジア、インドなど)との領土紛争で、米国が周辺国側に肩入れする覇権的行動をとっていることへの対抗だ。
 この点で、この論文は偽善でウソつきなのだが、国際政治は古今東西、偽善ばかりなのだから、偽善性を非難するだけでは意味がない。 (CFR Says China Must Be Defeated And TPP Is Essential To That)

 米国が日本との安保関係を強化したい理由が「中国包囲網」だというのは目新しい話でない。
 しかも、中国包囲網は限界のある戦略だという点も、以前からよく指摘されている。
 米国(米欧日)は、世界最大の消費市場になった中国、世界経済の牽引役となった中国と、本気で戦争することなどできない
 米国が「中国包囲網を強化する」「対中戦争も辞さず」と喧伝するのは、日本や東南アジアやインドに兵器を売りつけて儲ける策にすぎない、というのも良く言われることだ。
 日本は、米国が安倍を招待・賞賛しなくても、米国に冷たくされても、米国の兵器を喜んで買い続ける。
 兵器売り込みは、安倍招待の意図として弱い。

 私が以前から注目してきたのは、包囲網を強化するほど中国の台頭が誘発される点、米国が中国を潰すと言って実は台頭させている隠れ多極主義的な傾向だ。
 オバマ政権が2011年から始めた中国包囲網策(アジア重視策)は、09年に米国防総省が出した軍事戦略案「エアシーバトル」に依拠している。
 この策は、中国とイランを仮想敵として、敵国が米国に軍事的な脅威を与える場合だけでなく、敵国が米国の侵攻を阻止する軍事力(接近拒否・領域拒否、A2/AD)を持つこと自体を妨害し、米軍がいつでも中国とイランを侵攻・破壊できる状態にしておくことを目標にしている。

 中国やイランの軍事力は米国よりかなり弱いから、米軍の侵攻を受けると破壊される。
 核戦争を除外して考えると、米軍の侵攻を抑止しうる国は世界でも少ない(ロシアぐらいだ)。
 米国が黙っていれば、中国やイランは、米国より弱い状態でかまわないと思い続けるが、いったん米国がエアシーバトルの策を宣言し「いつでも中国やイランを侵攻・破壊できるようにする」と言ってしまうと、逆に中国やイランは、迎撃ミサイルや戦闘機、軍艦などの兵器を強化し、米軍が自国の影響圏内に入ってこれないようにするA2/ADの策を強めてしまう。

 昨春以来のウクライナ危機で、この流れにロシアが加わった。
 ロシアは米国との関係改善を模索していたが、自国の影響圏であるウクライナで米国が画策した政権転覆で反露政権が作られ、ロシアは米国との関係改善をあきらめた。
 ロシアと経済関係が強かった欧州が米国に引っ張られて対露制裁を開始し、欧州との経済関係をあきらめざるを得なくなったロシアは中国に接近した。
 米国はロシア敵視を強め、ウクライナ危機が長引くほど、ロシアは中国との戦略関係を強化し、石油ガスの主な売り先が中国になり、中国からロシアへの投資が増えただけでなく、ロシアは中国に積極的に軍事支援するようになった。

 ロシアは、ウクライナ危機で親米策を捨てざるを得なくなったことで、逆に米国に気兼ねせず独自の非米的な国際戦略ができるようになった。
 4月に米欧がイランに対する核問題での姿勢をゆるめると、そのすきにロシアは棚上げしていた迎撃ミサイルS300のイランへの売却を実施することを決め、その結果、イランの防衛力(A2/AD)が強まり、米イスラエルはイランを空爆しにくくなった。
 米国は、ウクライナ危機を起こしてロシアとの敵対関係を強めた結果、イランに対するエアシーバトル策を自ら破綻させてしまった。

 同様のことが、中国についても言える。
 ロシアはS300よりさらに最新鋭の迎撃ミサイルS400を中国に売ることを最近決めた。
 S400は、米国のパトリオットより迎撃力が強いと言われる。
 安倍訪米直前の4月中旬、中国がロシアから4-6機のS400を買うことを昨年末に調印していたことが、ロシア側の発表で明らかになった。17年に配備完了予定だという。

 ロシアは冷戦後、何度か新型の兵器を中国に売ったが、そのたびに中国がロシアの兵器をコピーして自国で生産し、ロシアから買わなくなるので、ロシアは中国に新型兵器を売りたがらなくなっていた。
 ウクライナ危機後の中露接近は、そんな状況を大転換した。
 ロシアは、戦闘機などの新型兵器を積極的に中国に売り、中国との戦略関係を強めている。
 これにより、米軍に対する中国の防衛力(A2/AD)が急速に強化され、イランだけでなく中国に対しても、この数年間で、米国のエアシーバトル策が無効になりつつある。 (Russia Could Make China King of the South China Sea)

 米国は、エアシーバトル策とウクライナ危機の両方を同時に進めたことで、中国、ロシア、イランというユーラシア大陸の内側にある3カ国が結束して、軍事的に、米国(米欧日)に対抗できる状態を誘発してしまった。
 今年4月にイラン核問題の濡れ衣が暫定的に解かれ初め、中露イランの結束は今後さらに強まるだろう。
 NATO(米軍)はすでに、これまでのロシア敵視戦略を拡大し、中露イランを一体のものとして見る新戦略を検討している。
 中露イランは、NATOや米国から、一体のものと見られて敵視されるほど、結束を強め、相互の弱点を補完し、全体として強くなっていく

 米国が中国を敵視せず、南沙群島や尖閣諸島の国際紛争で中国の敵方(日本やフィリピンなど)に加勢して中国を刺激することを控えていたなら、中国はこれほど急いで軍事台頭や外交力の拡大を希求しなかっただろう。
 中国は、内政や国内経済に問題点が多いので、中国自身は、もともと時間をかけた国際台頭を望んでいた。
 米国の対中戦略は、中国の台頭を煽っている

 同じことは、軍事と外交だけでなく、経済の分野でも言える。
 米国は2011年にいったんIMF世界銀行における中国(などBRICS諸国全体)の発言権(出資比率)を、中国(BRICS)の経済規模拡大に見合う形で拡大することを了承したが、その後中国を敵視する米議会がこの決定の批准を拒否したため、中国(BRICS)は、仕方なくIMF世銀体制に対抗しうる独自の国際金融機関を作った
 その一つがAIIBだ。

 また、米国がTPPを中国包囲網だと強調するほど、中国は対抗してASEAN+5の自由貿易圏(RCEP)の創設を急ぐ
 RCEPは年内の創設をめざしている。
 米国がアジア諸国を中国敵視の方に引っ張ろうとするほど、中国が脅威を感じ、対抗的に好条件を出してアジア諸国を米国でなく自国の側に引っぱり込もうとする。
 米国が敵対を煽らなければ、中国中心のアジア経済圏の出現は20年がかりでゆっくり進んだだろう。
 米国が敵対を煽るので、中国が急いで台頭する必要に迫られている
 米国勢は2012年に訪米中の石原慎太郎元都知事をけしかけ、日本政府を尖閣諸島の土地の国有化へと踏み切らせて以来、日本を中国敵視の道具に使う傾向を強めている
 米国では財界が中国との投資や貿易で儲けており、米国の議会や政府が直接に中国敵視策をやるのは限度がある。
 だから米国は日本を経由する間接的な中国敵視を加速して、それにより中国に脅威を感じさせ、中国の台頭を急かしている。
 この流れの中に今回の安倍訪米を置くと、米国が、日本を使った中国敵視の強化で、中国を台頭へと急かせる策を加速しようとしていると考えられる。

 米国が安倍を訪米に招待した理由が、中国敵視を強化して中国を台頭へと急かす戦略であるとしたら、米国はなぜ今のタイミングで、中国を台頭へと急かせたいのか。

 私が考えたことは、リーマン危機の再来として米国中心の債券金融システムの大きな危機が予測されていることとの関係だ。
 今年に入って米国で、金融危機の再来を懸念する声が関係者の間で強まっている。
 大口投資家の何人かが最近、金融危機の発生を警告したり、1980年代以来の債券市場の長い上昇期が終わりそうだと指摘したりしている。

 数日前には、米連銀(FRB)のイエレン総裁自身が、米国の株価が非常に高い(高すぎる)ことと、米国の債券市場で金利高騰(価格暴落)の懸念があることを指摘した。
 ちょっとした発言が株や債券のバブルを破裂させかねない中央銀行のトップ自らがこんな発言をするのは異例だ。

 米国の債券金融システムの崩壊、米国債の金利高騰は、世界の基軸通貨としてのドルの地位を喪失させ、米国の覇権崩壊につながる
 中国など新興市場諸国も、きたるべきドルや米国債の崩壊の悪影響を受けるが、中国やBRICSは、リーマン危機直後からドル崩壊を予測し、中央銀行がドルや米国債による外貨準備を減らす代わりに金地金を買い貯めたり、IMF世銀体制の代用になるBRICSの緊急用基金を創設するなど、数年かけてドル崩壊後への準備を行ってきた。
 巨大な金融危機の再来によってドルや米国覇権が崩壊するなら、その後の世界は中国主導のBRICSやイランなどによる多極型の覇権体制に転換していく。

 この場合、BRICSやイランが、米国に頼らない世界体制を早く準備するほど、多極型への転換が円滑に進み、転換が人類に与える悪影響が少なくなる。
 オバマ政権や前ブッシュ政権、米議会の好戦派は、911以来、過激な単独覇権戦略をやりすぎることで、戦略を失敗させて米国覇権を自滅させ、中露イランを結束させて多極化を進めようとする隠れ多極主義をやっている。
 彼らは意図的に、世界の覇権体制を多極型に転換しようとしている

 転換するなら、世界に与える悪影響が少ない方が良いはずだ。
 きたるべき米国の金融大崩壊で覇権体制が多極化する前に、日本をけしかけて中国敵視策を強め、ウクライナ危機を扇動してロシアを反米の方に押しやって中露を結束させ、米国に頼らない新しい世界秩序、つまり多極型の覇権体制を一足先に作る動きを中露に急がせる、それが米国中枢の隠れ多極主義者たちの意図でないかと考えられる。  (※ というより、欧米を牛耳る、国際金融寡頭勢力の意思と考えられる。)

 米国は、ドル崩壊でいったん無茶苦茶になる。
 米国ではリーマン後、中産階級が貧困層に転落し、ファーグソンやボルチモアなど全米各地で暴動がしだいに増えている。
 米国は、しばらく混乱がひどくなるが、何年かかけて多極化がある程度進んだら、多極型の新世界秩序になじむ形に国是を転換し、その後は再び安定や経済成長を獲得するだろう。
 米国はいったん自滅した後に蘇生する。
 米国の中枢は、世界の覇権体制をリセットし、長期的に見た場合の世界の経済成長を確保しようとしているのだろう。
 多極化は、資本家による、長期的、世界的な経済戦略と考えられる。
 資本と帝国の相克の歴史が、その背景にある。

 すでに述べたように、今回の安倍訪米に合わせて、米国の世界戦略を練る最高権威のシンクタンクであるニューヨークのCFR(外交問題評議会)が、中国敵視策の報告書を出した。
 CFRは、ロックフェラー家を筆頭とする資本家が運営しており、以前から隠れ多極主義的な動きを繰り返してきた。
 1972年のニクソン訪中によって中国を米国の敵から味方へと劇的に転換させたキッシンジャーは、ニクソンの大統領補佐官になる前、CFRの研究者として、対中和解策を練っていた。
 米国は、中国包囲網として、北方からの包囲網である朝鮮戦争に続いて、南方からの包囲網としてベトナム戦争をやって失敗した挙げ句、キッシンジャー補佐官がニクソン大統領の対中和解策を打ち出し、米国を親中国に大転換させた。
 ニクソン政権は、米単独覇権(米ソ2極の冷戦体制)を解体し「米欧露中日」の5極体制に転換する多極化を構想していた。

 CFRは冷戦期、一方で軍産複合体による対中、対ソ敵視策を賞賛しつつも、いずれ転覆してやろうと考え、ベトナム戦争を泥沼化させた後、キッシンジャーとニクソンを政権に送り込み、電撃的な対中和解を実現し、冷戦構造に風穴を開けた。
 CFRは共和党で、ロックフェラー家から大統領を出そうとしたがケネディ暗殺への同情で民主党が優勢になったため、キッシンジャーはCFRで4年待った。

 CFRを作ったロックフェラー家は、第二次大戦時、多極型の常任理事国体制を持った国連の創設に金を出したうえ、山奥に追い詰められたゲリラでしかなかった国民党の中国を常任理事国にしてやった。
 ロックフェラーは昔から親中国だ。
 超好戦的な政策立案集団「ネオコン」の多くもCFRのメンバーだ。
 ネオコンはブッシュ政権の中枢に入り、ニセの証拠でイラクの大量破壊兵器(WMD)保有をでっち上げて米軍にイラクを侵攻させ、あとからWMDのウソがばれて米国の国際信用が失墜する仕掛けを作りつつ、占領計画を何も作らず、占領を大失敗させて米国の軍事力を浪費させ、イランが漁夫の利でイラクを傘下に入れて台頭する構図を用意した。
 これはまさに隠れ多極主義の戦略だ。

 ベトナム戦争は、米国が、中国包囲網を強化すると言って稚拙で過激な策をやって失敗した挙げ句、ニクソン訪中で中国の台頭を容認する態度へと大転換した隠れ多極主義的な戦争だった。
 イラク戦争も、米国の軍事力を浪費してイランの台頭を誘発する隠れ多極主義だった。
 今回、安倍政権の日本を使って中国敵視を強める策も、隠れ多極主義的な展開になるだろう。 (日本をだしに中国の台頭を誘発する)

 今回の安倍訪米で、米国側が戦後初めて明確に示したメッセージの一つは「米国にとって、対米従属一本槍の日本は、模範的な同盟国だ」ということだ。
 これは、隠れ多極主義の文脈で考えると、アジア太平洋地域の他の親米諸国が迷惑に感じるメッセージになっている

 東南アジア諸国、豪州、韓国、インドなど、日本以外のアジア諸国は、まだしばらく覇権国であり続ける米国と、その後の多極型体制下でアジアの地域覇権国になりそうな中国の、両方とうまくつき合おうとしている
 日本以外のアジア諸国はここ数年、米国から中国包囲網を強化しようと誘われて「良いですね」と評価しつつ、その一方で中国との経済関係で儲けることも重視し、米国と中国のどちらを選ぶのかと米国から迫られても、どっちつかずな態度をとってきた (America and China are rivals with a common cause)

 そんな中で、米国が、対米従属・中国敵視の安倍を賞賛することは、米国があらためてアジア諸国に対して「米国と中国のどちらを選ぶのか」「日本のように対米従属一本槍になれ」と迫る意味がある。
 以前なら、このように迫られると、アジア諸国は中国よりも米国を選んでいた。
 しかし3月末、日本以外のアジア諸国のすべてが米国の反対を無視して雪崩を打ってAIIBに加盟したことで、アジア諸国が米国より中国を選ぶようになったことが明らかになった。
 その後になって、米国が安倍を米国に招待して賞賛し、アジア諸国に「日本のように反中国の対米従属になれ」と示唆してみせたところで、アジア諸国は、以前に増して迷惑に思うだけだ。

 この事態は、米国がウクライナ危機を起こして米露敵対を扇動し、ドイツやフランスに「米国と一緒にロシアを敵視しろ」と迫ったのと似ている。
 独仏は、仕方なく米国主導のロシア制裁につき合ったものの、欧露の経済関係を破壊しただけでなく欧露戦争まで起こしたがる米国に、独仏は愛想を尽かす傾向だ。
 ロシアと独仏は、米国を除外する形で、ミンスクでウクライナの停戦合意を締結し「ミンスク」が米国抜きの欧露協調の新たな形の基礎になりつつある。

 米国のロシア敵視策は、ウクライナをだしにして行われている。
 同様に、米国の中国敵視策は、日本をだしにして行われている。
 ウクライナも日本も、米国の隠れ多極主義の捨て駒として使われている。
 (※ ウクライナも日本も国土が放射能汚染されてしまった国である。まさしく捨て駒だろう。)

 米国が金融崩壊するなら、その前に日銀がQEでドルを支えてきた日本の国債金利が高騰し、財政破綻する
 安倍訪米で日米同盟が強化されたと喜んでいる場合ではない。
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コメント

そうなんですよ・・
株価2万円突破とか 浮かれている場合ではないと思うのです
自分は5年以内にはアメリカも日本もデフォルトになると思います
こんな国の財政で やっていけるとは思いません
アメリカ国債なんて買っていないで 地金でも買っていたほうがいいと思うのですが・・・
まあ所詮庶民の戯言ですけど 日本政府よりは国の事を考えています

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