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ヨーロッパ幻想、シオニズムとネオリベに乗っ取られたフランス

 自由、平等、博愛がスローガンだったはずのフランスだが、社会党政権になってからもさらに新自由主義とグローバリズム、シオニズムが強くなっている。
 EU自体の傾向が反映している。
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   認知の歪み ヨーロッパ幻想  ネオリベに乗っ取られたEU(フランス)の劣化  4/7  「街の弁護士日記」から

現代思想3月臨時増刊「総特集:シャルリ・エブド襲撃/イスラム国人質事件の衝撃」は、シャルリーエブド事件について論じられた中で、最も、フランスの実態に迫ったものではないかと思われる。
フランス社会の内部から、さまざまにこの事件を受け止めた人々の論考に、教えられることが多かった。
フランス社会は、想像以上に劣化している。
ヨーロッパ諸国に広がる極右勢力の台頭を見れば、多かれ少なかれ、ヨーロッパ諸国も劣化しているに違いない。

事件後まもなく16才の少年が逮捕された。
問題になったのは、ネットに流したこの画像。

0001.jpg

罪名は、テロ扇動罪
法定刑は、10年以下の拘禁及び15万ユーロ以下の罰金。

この画像は、シャルリーエブドのパロディである。
シャルリーエブドは、コーランを抱えたムハンマドが銃弾に撃たれる風刺画を掲載していた。
一方はイスラム憎悪扇動でもなくイスラム侮辱でもなく、単に風刺であり、,他方はテロ扇動の重罪である。
フランスの表現空間のダブルスタンダードな歪み
を示してあまりある。

確実にいえるのは、フランス社会を劣化させた元凶がグローバリズムであることだ。
EUの実験は、その経済政策の実権がグローバルな新自由主義に握られた結果、無残な失敗に終わりつつあるようにみえる。

現代思想3月臨時増刊号で、知ったことや確認したことをいくつか紹介したい。

・フランスにおいてイスラム嫌悪は、一般化している。
エマニュエル・トッドは、「デモクラシー以後」で繰り返し、イスラム恐怖症を、批判的検討の対象にしている

・シャルリーは、イスラム嫌悪のヘイトである。
フランス内でも、いろいろな意見があるが、僕は、イスラム嫌悪を煽っていたとする意見に共感する。
日本でたとえていえば、嫌韓言説をまきちらす「チャンネルなんちゃら」である。
「チャンネルなんちゃら」が襲撃されれば、犯人は犯罪行為として裁かれなければならない(但し、射殺刑は野蛮である)。
しかし、「私はチャンネルなんちゃら」を合い言葉とするデモは、おかしい。
シャルリー紙が、700万部も売れたことは異常である。
人口比で言えば、日本で嫌韓本が千数百万部売れたのと同じ
である。
ちなみに事件後のシャルリー紙の発行には、政府の支援があった。

・日本では、リベラルの高級紙として名高い、ルモンド紙は変質した。
今年1月1号の社説で同紙は「よりよい世界。その前提になるのは、まず第一にイスラム国とその盲目的野蛮との戦いの強化である」と論じた。
また、ルモンドは、シャルリー紙のイスラム嫌悪に対する批判の反論に熱心である。
さらに、さかのぼれば、2006年、自由貿易至上主義に対して保護主義の必要性を主張するエマニュエル・トッドが、当時のシラク政権に影響力を及ぼす恰好の機会に恵まれたとき、ルモンド紙はいち早く「選挙がらみの保護主義の嵐」として、3人の経済学者の論文を掲載して、トッドの影響を封じる動きを見せている(藤原書店「デモクラシー以後」)。
つまり、ルモンドの基調は、イスラム嫌悪のグローバルネオリベラリズムとなっている。

・2007年にサルコジは大統領就任直後に、「移民・統合・国民アイデンティティ省」を設置,イスラム嫌悪を制度化した。
家族移民の抑制と労働移民の促進を打ち出した。
家族移民には親子であることのDNA検査を義務づける等、人権侵害的色彩の強い法律である(李秀香「サルコジ政権下における『選択的』移民政策をめぐる論考」ただし、斜め読み)。

・オランド政権はネオリベラリズムを推進している。
新自由主義政策によって生じた格差、貧困、社会的な分裂を緩和することが期待された左派連立政権は、いっそう、ネオリベラル政策を推進し、社会の分裂を深刻化させている。
フランス社会党は、ネオリベ政党である。
2000年代半ばから、社会党の幹部がWTOやIMFの要職に就くようになった。

・オランドの支持率は、海外で武力行使をすると上がる
オランドの支持率は史上最低であるが、2013年旧植民地マリへの内戦介入、2014年9月にIS空爆に参加することを決定したとき、支持率が上がった。
原子力空母のペルシャ湾派遣でも、支持率が上がった。
イスラム武装勢力に対する戦争政策によって最低限の民衆の支持を取り付けているのが現在のフランス左派政権である。

オランド政権はシオニズム派である。
2014年7月のイスラエルのガザ侵攻のとき、フランス政府は、いち早く(7月9日)、イスラエルのガザ攻撃を支持した。
フランス社会党がシオニズムに親和的であることは初めて知った。

・デモの禁止が、50年振りに復活し、パレスチナ支援運動や環境保護運動のデモが禁止された。
2014年7月13日、ガザ攻撃に抗議するデモが数万人規模で行われたが、フレームアップにより、警察の介入を招き、7月19日計画された二回目のデモは、内務省通達によって禁止された。
7月26日、デモは再び禁止された。その後も、さまざまにデモが禁止されることが繰り返されるようになった。
デモの不自由な、表現の自由大国とは、なんだろう。

・2012年、テロ対策法制定。

・2014年11月14日、反テロリズム法(テロ対策強化法)が成立した。
中東の内戦に参加するために出国するフランス人を主要な対象とし、身分証明書、パスポートの没収、一定期間の出国禁止措置を可能にした。
したがって、ジャーナリストに対する旅券返納命令は先進国では例をみないかのように論じる我が国の議論はナイーブに過ぎる。
テロ対策法強化で、テロリズムを擁護すると判断されたサイトの閉鎖も可能になった。

・反テロリズム法は、フランスだけでなく欧州委員会の意思が反映したものである。

・反テロ法は、移民だけではなく、グローバリズムに抗して、高まりを見せているエコロジー系運動もテロとして射程に入れている。

完全な悪循環に陥っている。
ネオリベラリズムによって、使い捨ての安価な労働力として移民を受け入れ、その結果、賃金の低下を招き、社会が階層化し、社会統合が失われる
その責任を移民になすりつけて、「教化」や攻撃の対象とする。
移民対策と称して、弾圧立法が強化され、反ネオリベ・反グローバル運動の弾圧にも活用さあれる。
弾圧立法が、ネオリベ政策の推進の道具とされる。
イタリアでは、トリノの高速鉄道に反対して信号を損壊した青年に懲役20年の判決が出されたとも書かれている。
かくして、トッドが嘆く、アトム化された(バラバラにされた)個人と、ナルシシズムの蔓延、恥じらいのない欲の支配する社会へとどんどん傾斜していく。
こうした社会矛盾に対する対抗勢力として極右が台頭する。

閉塞感と、極右の台頭は、フランスだけでなく、他のEU諸国にも共通しているように見える。

ネオリベに乗っ取られた、EUは失敗しつつある。

日本における報道の自由が極端にゆがめられ、政権与党が極右政党でクーデター的な独裁政治を行っている点では、日本の事態はヨーロッパ以上に深刻なのかも知れない。
しかし、少なくともテロを名目として、表現の自由を拘束する法制度や運用では、フランスやEUの方が日本のはるかに先を行っている。

株価至上主義で、年金資産まで株式市場に放り込む、むちゃくちゃな経済政策を進める安倍政権が、排外的ナショナリズムを高揚させ、共謀罪を含む弾圧法規を必要とし、海外での武力行使に執拗にこだわる様子は、フランスと重なる
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コメント

『新モスクワの長女ルペン女史』が野党の星☆な訳

『確かな反体制派』は『国民戦線』だけのフランスでは親プーチン路線のルペン女史しかリベラルにも選択無い状況ですが『親プーチン』でも鳩山みたいに叩かれないだけマシなのでしょう!

すっきりしない

 フランスのジャーナリストがムスリムの過激派(とされている連中)に殺されると、数百万の抗議デモがおき、なおかつ、その中になぜかイスラエルの首相が参加している(かのような捏造説もあるが)。
 パレスチナ、アフガン、シリア、イラク、イエメン、パキスタンその他諸々の国ではフランス製や、アメリカ製の兵器で毎日のように子どもたちが殺されているというのに、何の抗議デモもない。(本当はやっている人たちもいるんだが、マスコミは無視している)
 すっきりしない、すっきりしない、すっきりしないことばかり・・・
 大国のダブルスタンダードにはもう辟易している。
 

IMFストロスカーン前理事のフランス

 ストロスカーンが痴漢容疑で逮捕された事件があったような気がする。なぜこの逮捕劇があったのか。彼がフランス大統領選に出馬すれば,サルコジに勝つ見込みが高かったから,誰かが謀略を巡らしたという説がある。また彼が,反ネオリベラル的な発言をしたから,引きづり降ろされたという説もある。
 いずれ手にしても,ストロスカーン氏はピケティの経済理論に近いことを主張していたから,ネオリベラル派からは嫌われていたことも確かであろう。ちなみに後任のラガルド氏はネオリベラルである。

 ところでサルコジ内務相が大統領選に出馬する前,移民の青年達の暴動を鎮圧したことがある。それから5年後であったろうか。やはり同じような事件があったが,支持率は上がらず,オーランドに敗れた。

 またフランスがNATOに加盟したのは,サルコジ大統領時代であったと思う。ソ連邦やワルシャワ条約機構(COMECON)が消滅した後,NATOはその役割が終わったはずだが,今ではウクライナまで触手を伸ばしている。
 これに対してル・モンドを含む西側マスコミは黙りを決め込んでいる。日本のマスゴミと変わらないようであるが,基本的には,アメリカ合衆国とCIAあるいはネオコンに買収されたのであろう。未だにマレーシア機17便墜落の真相が明らかにされていない。ゆえに英独の新聞社でさえ「売女マスコミ」と呼ばれているようだ。ル・モンドだけではない。
 
 私の記憶にあるフランスは,云十年前に行ったきりの印象。哲学者サルトルとか,欧州経済諮問委員長(?)のドロール氏とか。新しいところではイラク攻撃反対のド・ヴィルバン外相の国連演説。大統領選で思い出すのは,ドロール氏の娘さんであるオーブリー氏。彼女は,ロワヤルを破って社会党の党首になった方であるが,社会党左派である,と聞いている。しかしオーランド出馬をロワヤルが支持したためか,彼女が出馬する気持ちがなかったのかどうか分からないが,なぜ出なかったのかと疑問をいだいたことがある。

 他方,ロワヤルはサルコジとの大統領選で敗れた。サルコジ側の移民青年暴動鎮圧が奏を功し,支持率を上げたため,彼女が敗れたという説もある。
 ロワヤルは社会党中道であると言われているが,オ-ブリー氏より右であるに過ぎず,やはり左派である。そこでオーランドを考えたとき,オーランド政権はネオリベラルかもしれないが,社会党がネオリベラルとは限らない。ストロスカーンを忘れてはいけない。

 最後にルペン党首について。彼女の写真を初めて見たのは,『論座』であった気がする。しかし彼女の話を読めば,世間で言われているほど,極右ではない。
 フランス植民地がアルジェリアやマリやベトナムなどにあったことを考えれば,移民を受け入れることはやむを得ない政策でもあった。しかし受け入れを続ければ,いずれは破綻する政策であった。鄧小平が尖閣問題で「後世の知恵に任せる」と言ったが,後世は「知恵」を出せずに苦しんでいる。ルペン党の躍進はやむを得ない面がある。それを「劣化」とは必ずしも言えないだろう。


 『認知の歪み ヨーロッパ幻想  ネオリベに乗っ取られたEU(フランス)の劣化』「街の弁護士日記」から を読んで,以上のような記憶が甦った。
 

欧州でペギータが台頭している。
やっている事は在特会と何ら変わりない。
そして世界レベルで危ない事が同じ方向で進んでいる事は知っていた。
やはりロシアとイランだけがアメリカの負の側面を報じて、経済的な反米を築いていると感じている。
移民は危険だが、変に追い払う(特にムスリム系)とテロ組織ISIS(アメリカの自作自演組織だが。)に向かう可能性も十分にあり得る。

中国もAIIBのあたりからやけにイスラエルやサウジアラビア(どちらもAIIBの加盟国です。)に戦争の金が流れている話もある。

やはりロシアとイランの新銀行の創設し、その銀行には米ドル、ユーロ、英ポンドの決済停止が必要だと考えられます。

欧州の極右や極左はどれもムスリムヘイトを助長させ、ISISのリクルートの補完勢力になるのは誰が見ても明白であろう。

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