食の裏側、野菜サラダ
2015-03-30
某ファミレス「人気サラダ」の裏側 2014/6/10 河岸 宏和 東洋経済オンライン
N君:あっ、サラダが来ました! 健康のために、外食ではサラダをよく頼むようにしているんです。
河岸:でも、このサラダ、工場で切って運んできた「カット野菜」だよ。「次亜塩素酸ソーダ」(消毒液)で何度も洗浄しているから、味も栄養もかなり抜け落ちているよ。
N君:えっ!? マジですか!?
前回に引き続き、ここは都内某所にある大手ファミレス・チェーン店です。新刊『「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。』執筆のための“市場調査”で、編集者のN君(34歳)と一緒に足を運びました。
前回は、この店の「人気ハンバーグの裏側」を紹介しました。自他共に認める「肉のプロ」として、「植物性タンパク」でカサ増ししたハンバーグに激怒したという話をしましたが、今回、取り上げるのは「人気サラダの裏側」です。
N君のように、健康に気遣って、外食でよくサラダを頼む人は多いものです。ファミレスでもイタリアンでも居酒屋でも、サラダは人気メニューのひとつです。
でも、そのサラダ、本当に「おいしい」と思って食べているでしょうか? 野菜本来の味がきちんとするでしょうか? ドレッシングの味が「不自然」に濃かったりしませんか?
結論から言うと、ハンバーグ同様、このファミレスのサラダも「ひどい」の一言でした。とりわけ「レタスは論外」とさえ思いました。
しかしそれもある意味、当然です。「儲けのため」「利益のため」に、肉の割合を減らして「植物性タンパク」でカサ増ししたハンバーグを出すような店です。そういう店が、サラダだけは、こだわった「いいもの」を出すでしょうか?
税込み500円以上するので、決して安いサラダではありません。にもかかわらず、何がそれほどよくないのか? なぜ「レタスは論外」なのか?
今回は、某ファミレスの「人気サラダの裏側」を公開します。
サラダのレタスは2~3日前に切ったもの
N君:このサラダ、「カット野菜」ということですが、この店の厨房で野菜をカットしていないんですか?
河岸:やってないね。工場でカットして「次亜塩素酸ソーダ」(消毒液)で洗浄したものが袋詰めされて入ってくるの。それを店で小分けして、お皿に盛り付けて出しているだけ。
N君:それを「見抜くスキル」ってあるんですか?
河岸:サラダがカット野菜かどうかは「レタスの形と色」を見るのがいちばんわかりやすいと思う。
このレタス、形が「真四角」でしょう。
レタスは金気を嫌うから、本当は手でちぎらなくてはいけない。
包丁で切ると、変色しちゃうから。でも、手でちぎったら、こんなに真四角にならない。
N君:ホントだ……。
河岸:もうひとつ「レタスの端の色」を見るの。このレタスは2~3日前に切ったものだね。
N君:なぜ2~3日前に切ったレタスだとわかるんですか?
河岸:レタスの端が茶色く変色しているでしょう。
1日ではここまで茶色くならない。2日以上は経っていると思う。
そんなに時間の経ったレタスを出すなんて、飲食店として論外だよ。
N君:なるほど、サラダの良し悪しは「レタスの形と色」を見ると素人でもわかりやすい、ということですね。
河岸:そう。「形が真四角」で「端が茶色」のレタスは、工場で切って時間の経った「カット野菜」の確率大。
ただ、サラダの上にかかっていたチーズは、注文が入ってから、かけたと思う。チーズは生きていたから。

工場でカットして運んできたレタスは「形が真四角」(機械でカット)で「端が茶色」(時間が経過)のことが多い。
ドレッシングが濃すぎるサラダは「カット野菜」の確率大。「厨房」と「段ボール」も貴重な情報源
健康のために外食ではサラダをよく頼むものの、「ファミレスで食べるサラダは特においしくない……」と感じたことはないでしょうか。
普段、何気なく食べている人も、今度食べるときには、ドレッシングがかかっていない、野菜だけのところをじっくり味わって食べてみてください。
野菜本来の味がきちんとするでしょうか?
ファミレスのサラダに野菜本来の味が感じられないのは、冒頭でも述べたように、「次亜塩素酸ソーダ」(消毒液)で何度も洗浄し、おいしさも栄養も抜けてしまったカット野菜を使っているからです。
だから、濃い味のドレッシングをかけてごまかしているのです。
もちろんそのドレッシングも、添加物がたくさん入った業務用です。
「カット野菜」かどうかを見極めるポイントは、先ほど述べた「レタスの形と色」に着目することですが、もうひとつの簡単なコツは「野菜の味」と「ドレッシングの味」に注目することです。
外食店では、味が抜け落ちた野菜を食べさせるために、ドレッシングの味を妙に濃くしている店が少なくありません。
「野菜の味がしないな……。そのわりにドレッシングの味が濃いな……」
そういうサラダに当たったとすれば、ファミレスに限らずとも、その店は「カット野菜」を仕入れている確率が高いといえます。

工場でカットして袋詰めされた野菜が店に運ばれてくる。厨房では袋をあけて、皿に盛り付け、ドレッシングをかけるだけ。
もうひとつ、もし可能なら、店の「厨房」と食材の入った「段ボール」をのぞき見ることです。
その2つを見ることで、その店が隠しておきたい「全貌」がわかります。チェーン店はどこも厨房が客席から見えにくい造りになっていますが、通路から垣間見える店も少なくありません。
厨房の中をのぞき見ることができれば、素材(野菜、肉、魚)があるかどうかを見てください。
素材が見当たらない店では、「カット野菜」に限らず、仕入れ品を使っている確率は高いでしょう。

「厨房」と「段ボール」は貴重な情報源。店が隠しておきたい「裏側」を垣間見ることができる。
また段ボールも貴重な情報源です。段ボールを見ることで、その中に何が入っていたかがわかります。
「群馬産キャベツ」とあればキャベツを丸ごと仕入れたことになりますし、段ボールに「カット野菜」とあれば、カットしたキャベツを仕入れたことになります。「ひじき煮」などとあれば、ひじきの煮物の仕入れ品です。
こういった段ボールやコンテナは、店の裏口に積まれていることもよくあるので、裏手に回ってみると、その店の「全貌」がわかることもあります。
河岸:そもそも、日本に入ってくる輸入野菜のうち、95%は外食・中食に回されるの。スーパーでは輸入野菜は売れないからね。
N君:確かに、スーパーの売り場を見ると、国産の野菜が圧倒的に多いですね。
河岸:じゃあ、輸入野菜はどこに行くと思う?
N君:……外食ですか?
河岸:そのとおり。外食・中食に回されるの。そのうえ輸入野菜の半分以上は中国野菜なの。ということは……。
N君:僕たちは知らず知らずのうちに「中国野菜」を外食でたくさん食べているということですか!? 知らなかった!
下記の図表1と図表2は、日本における輸入野菜の推移を表したものです。出典は農林水産省が発表している「加工・業務用野菜をめぐる現状」(リンク先PDF)になります。

出典:「加工・業務用野菜をめぐる現状」(農林水産省)、リンク先でpdfを見ることができます。
このグラフを見てもわかるのは、日本に入ってくる野菜の半分以上は中国産であり、輸入野菜のうち95%は外食・中食で使われているという「事実」です。
第1回目「『680円激安ステーキ定食』の裏側」で、「スーパーで売れない2年前の米が外食に回される」という話をしましたが、それと同じ理屈です。
言うまでもなく、スーパーでは中国野菜は売れないのです。
だからスーパーでは売れない中国野菜が、必然的に外食に回ってくるのです。
スーパーでは避けられているはずの中国野菜の輸入が伸びているのは、ほかならぬ、この理由によります。
生協の宅配をとっていたり自然食品を日頃から買っているような食の意識の高い人は、「うちは中国野菜は買いません!」とよく口にします。
しかしそういう人も、外食するときに、野菜を口にすることは多いと思います。
私は何も「輸入野菜が悪い」「中国野菜が悪い」と言っているわけではありません。
ただ、中国野菜を避けているつもりでも、知らず知らずのうちに、中国野菜をたくさん食べてしまっている「現状」があることを、お伝えしたいのです。
ただ、第1回目の「ニセモノステーキの見抜き方」、今回の「カット野菜の見抜き方」のように、食べ物の「見た目」だけでも、いいもの、おいしいものを見分けることは十分可能です。新刊の中では、そういう誰でもできるスキルを中心に解説しました。
なぜなら、「一口食べて添加物を言い当てる」というようなプロにしかできない高等テクニック(?)を披露しても、マネできないからです。
N君:あっ、サラダが来ました! 健康のために、外食ではサラダをよく頼むようにしているんです。
河岸:でも、このサラダ、工場で切って運んできた「カット野菜」だよ。「次亜塩素酸ソーダ」(消毒液)で何度も洗浄しているから、味も栄養もかなり抜け落ちているよ。
N君:えっ!? マジですか!?
前回に引き続き、ここは都内某所にある大手ファミレス・チェーン店です。新刊『「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。』執筆のための“市場調査”で、編集者のN君(34歳)と一緒に足を運びました。
前回は、この店の「人気ハンバーグの裏側」を紹介しました。自他共に認める「肉のプロ」として、「植物性タンパク」でカサ増ししたハンバーグに激怒したという話をしましたが、今回、取り上げるのは「人気サラダの裏側」です。
N君のように、健康に気遣って、外食でよくサラダを頼む人は多いものです。ファミレスでもイタリアンでも居酒屋でも、サラダは人気メニューのひとつです。
でも、そのサラダ、本当に「おいしい」と思って食べているでしょうか? 野菜本来の味がきちんとするでしょうか? ドレッシングの味が「不自然」に濃かったりしませんか?
結論から言うと、ハンバーグ同様、このファミレスのサラダも「ひどい」の一言でした。とりわけ「レタスは論外」とさえ思いました。
しかしそれもある意味、当然です。「儲けのため」「利益のため」に、肉の割合を減らして「植物性タンパク」でカサ増ししたハンバーグを出すような店です。そういう店が、サラダだけは、こだわった「いいもの」を出すでしょうか?
税込み500円以上するので、決して安いサラダではありません。にもかかわらず、何がそれほどよくないのか? なぜ「レタスは論外」なのか?
今回は、某ファミレスの「人気サラダの裏側」を公開します。
サラダのレタスは2~3日前に切ったもの
N君:このサラダ、「カット野菜」ということですが、この店の厨房で野菜をカットしていないんですか?
河岸:やってないね。工場でカットして「次亜塩素酸ソーダ」(消毒液)で洗浄したものが袋詰めされて入ってくるの。それを店で小分けして、お皿に盛り付けて出しているだけ。
N君:それを「見抜くスキル」ってあるんですか?
河岸:サラダがカット野菜かどうかは「レタスの形と色」を見るのがいちばんわかりやすいと思う。
このレタス、形が「真四角」でしょう。
レタスは金気を嫌うから、本当は手でちぎらなくてはいけない。
包丁で切ると、変色しちゃうから。でも、手でちぎったら、こんなに真四角にならない。
N君:ホントだ……。
河岸:もうひとつ「レタスの端の色」を見るの。このレタスは2~3日前に切ったものだね。
N君:なぜ2~3日前に切ったレタスだとわかるんですか?
河岸:レタスの端が茶色く変色しているでしょう。
1日ではここまで茶色くならない。2日以上は経っていると思う。
そんなに時間の経ったレタスを出すなんて、飲食店として論外だよ。
N君:なるほど、サラダの良し悪しは「レタスの形と色」を見ると素人でもわかりやすい、ということですね。
河岸:そう。「形が真四角」で「端が茶色」のレタスは、工場で切って時間の経った「カット野菜」の確率大。
ただ、サラダの上にかかっていたチーズは、注文が入ってから、かけたと思う。チーズは生きていたから。

工場でカットして運んできたレタスは「形が真四角」(機械でカット)で「端が茶色」(時間が経過)のことが多い。
ドレッシングが濃すぎるサラダは「カット野菜」の確率大。「厨房」と「段ボール」も貴重な情報源
健康のために外食ではサラダをよく頼むものの、「ファミレスで食べるサラダは特においしくない……」と感じたことはないでしょうか。
普段、何気なく食べている人も、今度食べるときには、ドレッシングがかかっていない、野菜だけのところをじっくり味わって食べてみてください。
野菜本来の味がきちんとするでしょうか?
ファミレスのサラダに野菜本来の味が感じられないのは、冒頭でも述べたように、「次亜塩素酸ソーダ」(消毒液)で何度も洗浄し、おいしさも栄養も抜けてしまったカット野菜を使っているからです。
だから、濃い味のドレッシングをかけてごまかしているのです。
もちろんそのドレッシングも、添加物がたくさん入った業務用です。
「カット野菜」かどうかを見極めるポイントは、先ほど述べた「レタスの形と色」に着目することですが、もうひとつの簡単なコツは「野菜の味」と「ドレッシングの味」に注目することです。
外食店では、味が抜け落ちた野菜を食べさせるために、ドレッシングの味を妙に濃くしている店が少なくありません。
「野菜の味がしないな……。そのわりにドレッシングの味が濃いな……」
そういうサラダに当たったとすれば、ファミレスに限らずとも、その店は「カット野菜」を仕入れている確率が高いといえます。

工場でカットして袋詰めされた野菜が店に運ばれてくる。厨房では袋をあけて、皿に盛り付け、ドレッシングをかけるだけ。
もうひとつ、もし可能なら、店の「厨房」と食材の入った「段ボール」をのぞき見ることです。
その2つを見ることで、その店が隠しておきたい「全貌」がわかります。チェーン店はどこも厨房が客席から見えにくい造りになっていますが、通路から垣間見える店も少なくありません。
厨房の中をのぞき見ることができれば、素材(野菜、肉、魚)があるかどうかを見てください。
素材が見当たらない店では、「カット野菜」に限らず、仕入れ品を使っている確率は高いでしょう。

「厨房」と「段ボール」は貴重な情報源。店が隠しておきたい「裏側」を垣間見ることができる。
また段ボールも貴重な情報源です。段ボールを見ることで、その中に何が入っていたかがわかります。
「群馬産キャベツ」とあればキャベツを丸ごと仕入れたことになりますし、段ボールに「カット野菜」とあれば、カットしたキャベツを仕入れたことになります。「ひじき煮」などとあれば、ひじきの煮物の仕入れ品です。
こういった段ボールやコンテナは、店の裏口に積まれていることもよくあるので、裏手に回ってみると、その店の「全貌」がわかることもあります。
河岸:そもそも、日本に入ってくる輸入野菜のうち、95%は外食・中食に回されるの。スーパーでは輸入野菜は売れないからね。
N君:確かに、スーパーの売り場を見ると、国産の野菜が圧倒的に多いですね。
河岸:じゃあ、輸入野菜はどこに行くと思う?
N君:……外食ですか?
河岸:そのとおり。外食・中食に回されるの。そのうえ輸入野菜の半分以上は中国野菜なの。ということは……。
N君:僕たちは知らず知らずのうちに「中国野菜」を外食でたくさん食べているということですか!? 知らなかった!
下記の図表1と図表2は、日本における輸入野菜の推移を表したものです。出典は農林水産省が発表している「加工・業務用野菜をめぐる現状」(リンク先PDF)になります。

出典:「加工・業務用野菜をめぐる現状」(農林水産省)、リンク先でpdfを見ることができます。
このグラフを見てもわかるのは、日本に入ってくる野菜の半分以上は中国産であり、輸入野菜のうち95%は外食・中食で使われているという「事実」です。
第1回目「『680円激安ステーキ定食』の裏側」で、「スーパーで売れない2年前の米が外食に回される」という話をしましたが、それと同じ理屈です。
言うまでもなく、スーパーでは中国野菜は売れないのです。
だからスーパーでは売れない中国野菜が、必然的に外食に回ってくるのです。
スーパーでは避けられているはずの中国野菜の輸入が伸びているのは、ほかならぬ、この理由によります。
生協の宅配をとっていたり自然食品を日頃から買っているような食の意識の高い人は、「うちは中国野菜は買いません!」とよく口にします。
しかしそういう人も、外食するときに、野菜を口にすることは多いと思います。
私は何も「輸入野菜が悪い」「中国野菜が悪い」と言っているわけではありません。
ただ、中国野菜を避けているつもりでも、知らず知らずのうちに、中国野菜をたくさん食べてしまっている「現状」があることを、お伝えしたいのです。
ただ、第1回目の「ニセモノステーキの見抜き方」、今回の「カット野菜の見抜き方」のように、食べ物の「見た目」だけでも、いいもの、おいしいものを見分けることは十分可能です。新刊の中では、そういう誰でもできるスキルを中心に解説しました。
なぜなら、「一口食べて添加物を言い当てる」というようなプロにしかできない高等テクニック(?)を披露しても、マネできないからです。
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