安倍政権の辺野古対応は民主政治の放棄
2015-03-21

「あまりにも子どもじみた」安倍政権の辺野古への対応(談話) 3/20 生活の党
代表 小沢一郎
沖縄県・米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向け、安倍政権は強引な手法で海底ボーリング調査を再開しました。
海上保安庁が相当乱暴なやり方で市民を排除したり、米軍キャンプ・シュワブの警備員に反対派の市民が拘束されたりするという事件も起きています。
重要な政策課題で強権的な政治手法を繰り返す安倍内閣は非常に危険だと思います。
民主主義の基本は民意を尊重し、その意向に沿って政治を行うことです。
もちろん全ての民意が必ずしも国民や国家にとって正しいとは限りません。
現実の政治の中で政治家は、多数意見に反してでも国民のため、国家のためにやらなければならないこともあります。
それが議会制民主主義です。
したがって、政治家は多数意見にすべからく従うべきだとは一概に言えません。
しかし、今回の強引な方法は決して国民のためを考えてのことではないと思います。
強引に辺野古へ移設することは沖縄県民にとっても、また国にとっても何のプラスにもなりません。
むしろ、こうしたやり方は、日本と国民のために大きな汚点を残すことになるだけです。
日本政府は、普天間飛行場の辺野古移設がうまくいかないと、日米関係がおかしくなるというようなことを言っています。
しかし、これは虚言だと思います。
もちろん、中国の軍事的な膨張に対する警戒心はアメリカだけでなく、日本や周辺の国々も共有しています。
そのため、沖縄にアメリカの軍事的プレゼンスが必要なことは言うまでもありません。
しかし、アメリカは現在、アジアだけではなくヨーロッパからも前線兵力を引き上げています。
これはアメリカが実戦部隊を数多く前線に置かずに、緊急時に素早く行動できる体制をつくっておけばいいという軍事戦略に転換したからです。
沖縄の海兵隊がグアム等に移転しつつあるのもその一環で、決して日本や沖縄のことを考えたからではありません。
実際、アメリカ国防総省が米議会に辺野古移設を断念する意向を伝達していたことが明らかになっています。
このようなアメリカの軍事戦略の転換も鑑みれば、辺野古に普天間飛行場の代替施設を建設し、滑走路を造る必要はないと思います。
しかし、それでも滑走路がどうしても必要だというのならば、他に代替する場所は沖縄にも本州にも十分あると思います。
今回の安倍首相による辺野古の埋め立て・造成の準備作業強行は、その政治手法においても、内容においても、私は賛成できません。
米軍専用施設・区域の74パーセントが集中する沖縄で県民の反対を押し切って、辺野古に滑走路を強引に造ることは決してアメリカにプラスになるとは思えません。
仮に軍事的にどうしても滑走路が必要だとしても、世界で一番北に棲む「北限のジュゴン」が生息する海、美しいサンゴの海、あんなきれいな海を埋め立てるなどもってのほかです。
沖縄の貴重な自然を、みんなで保護していくべきです。
それでも安倍首相はどうしても辺野古への移設を実施したいのなら、まず地元とよく話し合うべきです。
県民に選ばれた知事が面会を申し込んでいるのに、自分と主張が違うからといって、断るというのは、あまりにも子供じみています。
これは一国の首相としてあるまじき行為で、まともに議論する気にもなれないほど幼稚な行動です。
仲井眞前知事は移設を承認したかもしれませんが、その後の県知事選で「No」の意思を県民が示しました。
翁長知事はその民意に従って政府ともう一度話し合いをやり直そうとしているわけですから、それに応じないようでは政治になりません。
少なくとも、安倍首相は民主主義による政治を拒否しているとしか思えません。
今、政府がやるべきことは、まず沖縄県民の民意を聞き、次にアメリカ政府とその解決に向かって話し合うことです。
ただ、アメリカと交渉した結果、沖縄から米軍が撤退することとなった場合、その空白をどう埋めるのか、日本の防衛を日本自身で責任を持たなくてはなりません。
安倍政権はその議論をすることを避けたいので、アメリカの言うとおりにしておいた方がいいという考えなのかもしれません。
だとすれば、これはもう政治の放棄だと思います。
沖縄は、戦略的にも、地政学的にも非常に重要な地域であり、米軍の撤退の空白をどうしていくのか、そのために国民がどういう負担をしなければいけないのかを国民一人ひとりが真剣に考えるべきです。
アメリカに任せきりにするのではなく、分担して責任を持つという決意が必要です。
以上のような前提に立って、私は沖縄の米軍基地は最小限度に縮小すべきだと思います。
日本がバードンシェアリング(責任分担)を果たすという強い決意を表せば、アメリカも十分話し合いに応じると思います。
辺野古への滑走路移設が滞ったからといって、直ちに日米同盟に深刻な影響を与えるとは思えません。
辺野古移設問題は、政府が強行しようとすればするほど、対立と不信を生み反対派を増やすだけだと思います。
「急がば回れ」という諺もありますが、安倍首相は多少時間がかかっても話し合いをしっかりすべきです。
このまま強引に進めても結局は失敗するだけで、かえって日米関係に悪い影響を及ぼします。
安倍首相ならびに官邸サイドは良識ある対応を行うとともに、もっと大きな視野でこの問題を考えるべきだと思います。
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