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もうすぐ北風が強くなる

SWISS LEAKS 国際金融資本と米国

 HSBCチューリッヒ
 チューリッヒ HSBC

   SWISS LEAKS(スイスリークス)とは?  2/20  闇株新聞

 本日(2月19日)は、日経平均が終値ベースで今世紀最高値となりましたが、もっと興味が持てそうなこの話題にしました。

 スイス当局は昨日(2月18日)、マネーロンダリングの疑いで英国金融大手HSBCのスイス子会社・HSBC Private Bankのジュネーブ本社を家宅捜索しました。

 この背景は「やや複雑」なので経緯を説明します。

 モナコのカジノで働いていたエルベ・ファルチアニという「あんちゃん」が、どういう風に売り込んだのかは不明ですが2000年頃からHSBCにIT担当として働き始めました。
 そして2006年にはHSBC Private Bankのジュネーブ本社に異動となり、暗号化された膨大な顧客データベースにアクセスする権限まで得てしまいました。

 もともと職業に対する倫理観など持ち合わせていないファルチアニ「あんちゃん」は、大金が稼げると思いこれらのデータベースをせっせと盗みだし、2008年に何と12万人分のデータを抱えて(愛人を連れて)レバノンに出国しました。

 ところが出所の怪しい顧客データなど簡単に現金化できるはずがなく、逆にスイス当局に通報されそうになると、ファルチアニ「あんちゃん」は何と欧州各国当局にデータ提供と引き換えに自身の保護を求めました。

 それに「乗った」のがフランスとスペイン当局で、ここにファルチアニ「あんちゃん」はコソ泥から国際的な脱税やマネーロンダリングと戦う正義の味方に「大出世」してしまいました。
 ファルチアニ「あんちゃん」は昨年の欧州議会選挙に出馬までしています。

 ファルチアニ「あんちゃん」が盗みだした顧客データは、これを入手した仏ルモンド紙・国際調査報道ジャーナリスト連合を通じ、世界中の45をこえるメディア機関に提供されています。
 またSWISS LEAKSなる暴露サイトにも掲載されています。

 そして2月9日には、HSBC Private Bankは世界200ヶ国以上の顧客の脱税を幇助しており、それらの顧客の口座残高を合計すると1190億ドル(14兆円)に上るとの文書が公開され、昨日のスイス当局の家宅捜索となったわけです。

 ところで世界中の金融機関の中で、自行のネットワークだけで世界中のドル決済ができる金融機関はシティとHSBCしかありません。
 米国政府は自国通貨で基軸通貨でもあるドルが不正に使用され、米国にとって好ましくない国や輩(やから)が富を増加させていることには耐えられず、徹底的に摘発します。

 ここでシティにはリーマンショック時に450億ドルもの公的資金(TARP)を注入しており、すべて回収済みですが今も経営に介入しています。
 そうなると米国政府にとってHSBCさえ潰してしまえば、ドル資金の決済は必ず米銀を経由するため監視や摘発が容易になります

 昨日のスイス当局の家宅捜索は米国政府の意向なのかどうかは不明ですが、金融立国のスイスがロシアのようにドル決済を制限されると死活問題となるため、米国政府の何かしらの意向を受け入れたと考える方が自然です。

 また今回の家宅捜索のターゲットであるかどうかも不明ですが、SWISS LEAKSには「興味ある名前」が多数出てきます。

 中東では、最近日本政府がお世話になったヨルダン国王のアブドラ2世、イスラム教の開祖・ムハンマドの子孫といわれるモロッコ国王のムハンマド6世、UAEのビン・アル・カリファ王子、そしてアル・カイーダ最大の支援者(そして米国への最大の情報提供者)といわれたサウジアラビアのバンダル王子など、多数でてきます。

 欧州では、F1のルノー・チーム元代表で(日産自動車からの潤沢な資金で)2005~6年にチャンピオンとなり巨額資金を得たフラビオ・ブリアトーレら、F1関係者が目立ちます。

 中国では李鵬・元首相の娘の李小琳、豪州ではカジノ王の故ケリー・パッカー(息子のジェームズ・パッカーが大阪と沖縄のカジノ利権に食い込んでいます)、ロシアではプーチンの盟友で石油・ガス利権に近いゲンナジー・ティムチェンコなどがいます。

 そして最も興味を引いた名前がエドモンド・サフラです。
 レバノン人のバンカーだったサフラは、所有していた米リパブリック・ナショナル・バンク・オブ・ニューヨークを1999年にHSBCに103億ドルで売却し、HSBCの米国進出の足掛かりとなりました。
 このリパブリック・ナショナル・バンク・オブ・ニューヨークはプリンストン事件でも名前がでてきました。

 またサフラ本人は、直後にモナコの自宅で怪死しています。
 その辺りの事情は本誌開始直後の2010年12月8日付け「あの事件はどうなった その4」に詳しく書いてあります。

 そんなこんなの名前が「山ほど」出てくるのがSWISS LEAKSです。リンクを張っておきますので、一度覗いてみてください。

 SWISS LEAKS
 
 ただ昨日の家宅捜索の行方は、米国政府が本気になってHSBCを潰すつもりかどうかがポイントです。
 ーーーーーーーーーーーーーー
※北風 日本にはあまり馴染みのないHSBCなので、なぜ馴染みが無いのかも含めてHSBCの紹介をします。
 
 オスマン帝国末期時代のバグダッドに現れた富豪の金融家サッスーン家は、ロスチャイルドと姻戚関係をつくり英領インドに進出する。
 なお、当時の英領インドは現在のアフガニスタン、パキスタン、インド、スリランカ、ビルマ(ミャンマー)を含む広大な領地である。
 サッスーンはこの英領インドでアヘン栽培を進め、中国に売りつけることとなる。
 (このため、アヘンは現在もアフガニスタン、ミャンマーからタイ中国国境地帯など旧英領インドの辺境で栽培されている。)

 アヘンは中毒となるため、必ず莫大な利益が見込める略奪業である。
 中国から欲しいものは山ほどありながら、売るものがなかった英国と国際金融資本にとっては願ってもない貿易品だったのである。
 中国の抵抗は英国がアヘン戦争、第二次アヘン戦争で制圧し、逆に中国を半植民地とする。
 この間にサッスーンが持ち株兼金融会社として作ったのが香港上海銀行。
 その子会社マセソン商会はグラバーを日本に派遣し、江戸幕府に対する倒幕派を糾合、支援して明治維新に至る。
 この間にマセソン商会は横浜正金銀行をつくり、これが後の日銀となる。
 明治政府は樹立されるや直ちに、琉球、台湾、朝鮮と矢継ぎ早に戦争に乗り出す。
 この戦争資金を誰が準備したかは、言うまでもない。国際金融資本による追貸し、さらなる追貸しである。

 第二次大戦後、日本は米国支配下となることで、国際金融資本の縄張りは米国系となり、サッスーン及びロスチャイルド系統は香港、シンガポールまでがエリアとなる。
 米中国交回復から中国が「社会主義の市場経済」路線に切り替わり、香港上海銀行及びそのグループは巨大な市場を再び手に入れる。
 ソ連崩壊後は本部をロンドンに移しHSBCと改称する。

 現在HSBCは米国ゴールドマンサックスと共に、国際金融資本の本流を押さえる欧州寡頭勢力の最大の金融資本である。
 ロンドンに本部を移したことは、これまでのロスチャイルド系金融資本の中東アジア部門ではなく、北イタリアからスイス、ライン地方、ネーデルラント、英国の金融寡頭勢力との合流と考えられます。
 従って、シティとは資金力以外に、表面にはでない信用保証力に格段の差があると見られます。

 「米国政府が本気になってHSBCを潰すつもりかどうか」
  Private BankはHSBCのあくまで一部門に過ぎないわけですから、既に妥協点があるとみるのが自然でしょう。
 また、余計なことかもしれませんが、
 李鵬の娘の名が現れたことは、習近平の汚職摘発が李鵬に手を下せるかどうか、焦点化せざるを得ないことになりましょう。
 強大な影響力を持つ人物を摘発するには、政治的な包囲、孤立のタイミングを誤ると非常に危険なことになります。
 この「SWISS LEAKS」が習近平の汚職摘発に資するか、逆に危険なものかはそのどちらかであり、中間はないでしょう。

 以下は資本主義と国際金融寡頭勢力に関連するページ。

世界通貨戦争(2)表向きの混乱
国際金融資本の成立
信用創造と言えば聞こえは良いが
信用創造とは
通貨、金利と信用創造の特殊な性質
信用創造(3)無政府的な過剰通貨
金(gold)のバブルは崩壊し始めた
動乱の2012年(3)通貨と国債、デ・レバレッジ:吉田
国際金融資本が仕掛けたヨーロッパの危機
通貨戦争(66)金の暴落…….! 
野村・モンテパスキ事件と国際金融寡頭勢力
9.11の謎、ユダヤ人と国際金融資本
軍産複合体とは?国際金融資本の凶暴な片割れ
軍産複合体とは?アシュケナディムとシオニスト
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