米国抜きの停戦合意で米国の正体が現れる、また偽旗作戦か?
2015-02-14
ミンスクの合意でウクライナが平和になる可能性は小さいだろうが、米国の正体を知らせる意味も 2/13 櫻井ジャーナル
アメリカ/NATOを後ろ盾とする勢力のクーデターで合法政権が倒されて以来、ウクライナでは戦闘が続き、ドイツの情報機関によると、東/南部で約5万人が犠牲になったという。
このクーデターで暴力面の主力になったのはネオ・ナチ(ステファン・バンデラの信奉者)で、その背後にはシオニストの富豪が存在している。
このクーデターに巻き込まれたEUはロシアに対する「制裁」を強制され、経済的に大きなダメージを受けている。
しかも戦争のリスクが高まり、万一、開戦になればEUは破滅する。その危機感がドイツとフランスの首脳をミンスクへ向かわせた。
2月11日からベラルーシの首都ミンスクではドイツ、フランス、ウクライナ、そしてロシアの首脳が会談、15日から停戦に入ること決めたという。平和への第一歩と言えるだろうが、問題は多い。
例えばドイツの場合、アメリカの好戦的で親ナチズム的な政策への反発は閣内でも出ていて、ロシア嫌いの嫌露派として知られているアンゲラ・メルケル首相としてもロシアと話をせざるをえない状況だろう。経済界の圧力もあるはずだ。
フランスの場合、ドイツよりもアメリカに批判的。昨年10月にモスクワの空港で事故死したフランスの大手石油会社、トタルのクリストフ・ド・マルジェリ会長兼CEOは、その3カ月前、石油取引をドルで決済する必要はないと言い切っていた。
また、IMF専務理事だったフランス人のドミニク・ストロス-カーンは2011年4月、米英が推進してきた新自由主義経済を批判する発言をしている。失業や不平等は不安定の種をまき、市場経済を蝕むことになりかねないとし、その不平等を弱め、より公正な機会や資源の分配を保証するべきだとブルッキングス研究所で演説したのだ。
その際、進歩的な税制と結びついた強い社会的なセーフティ・ネットは市場が主導する不平等を和らげることができ、健康や教育への投資は決定的だと語っただけでなく、停滞する実質賃金などに関する団体交渉権も重要だとも語っていた。
ストロス-カーンがレイプ容疑で逮捕されたのは演説の翌月だ。
キエフ政権のペトロ・ポロシェンコ大統領の場合、ウクライナの東/南部で展開してきた民族浄化作戦が失敗、キエフが送り込んだ部隊は劣勢で、崩壊の可能性もある。
こうした状況の中、戦略を変更する必要に迫られてきた可能性がある。
当初からキエフ側の正規軍は士気が低く、ネオ・ナチや外国から雇い入れた傭兵が戦っている状態。そのネオ・ナチは停戦の合意に反発している。
この勢力を無視することはポロシェンコ大統領には無理で、停戦の合意はこの辺から崩れていきそうだ。
それに対して地元の人民共和国側はウクライナの軍隊や治安機関などから離脱して参加している人が少なくないほか、1980年代にソ連軍の兵士としてアフガニスタンで戦った経験のある人もいて、戦闘能力は高い。
ロシアは「祖国防衛」が最大の目標だろう。
ソ連消滅後、アメリカの傀儡、ボリス・エリツィンが大統領になり、国民の資産を略奪した連中が「オリガルヒ」と呼ばれる富豪になる一方、庶民は貧困化して悲惨なことになった。
そのオリガルヒを押さえ込み、独立を回復させたのがウラジミル・プーチン。今でも支持者が多い理由はそこにある。
逆に、追い出された富豪たち、あるいは富豪の背後にいる西側の支配層はロシアの再属国化を目論んでいる。
会合に参加しなかったアメリカの場合、巨大資本は昔から宣伝戦を重視、第2次世界大戦後にはモッキンバードと呼ばれるプロジェクトを展開した。
これは本ブログでも何度か書いたこと。宣伝の主な道具は言うまでもなくメディアだが、1990年頃からは広告会社の存在感が高まっている。
そのプロパガンダ機関を使って幻影を作りだし、ロシアを悪魔化してきたわけだ。
しかし、幻影は事実によって消されようとしている。
今回、ミンスクで行われた会談と停戦の合意でウクライナに平和が訪れると期待している人は少ないだろうが、アメリカを排除した形で話し合われ、とにかく合意したという事実は重い。
戦争を望んでいるのはアメリカだということをアピールすることにもなった。
和平を嫌うアメリカとしては、状況を一気に戦争へと向かわせる出来事を演出する可能性がある。
いわゆる偽旗作戦。
ピッグス湾事件やイタリアで実行された連続爆破事件は広く知られている。
1960年代の前半にはキューバへアメリカ軍を侵攻させるため、ノースウッズ作戦も作られている。この背後にはソ連に対する先制核攻撃計画があった。
テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、アメリカ軍がソ連に対する先制核攻撃計画をスタートさせたのは1957年初頭。
先制核攻撃に必要なICBMを準備できるのは1963年の終わりだと好戦派は見通していた。
この当時から現在に至るまで、西側ではソ連/ロシアが攻撃、アメリカは防衛というシナリオで議論することが圧倒的に多いが、実際は逆だった。
イタリアの場合、戦争ではなく、治安を目的としていた。
「爆弾テロ」で社会を不安定化させ、治安強化、つまりファシズム化に賛成させようというわけだ。
イタリアの作戦は「緊張戦略」と呼ばれている。
1982年7月、この戦略で中心的な役割を果たした人物の娘が持っていた文書がローマの空港で発見された。
二重底になっていたスーツケースに隠されていたのだが、その文書には、友好国政府がコミュニストの脅威に対する警戒心をゆるめている場合、友好国の政府や国民を目覚めさせるために特殊作戦を実行しなければならないとも書かれていた。
ーーーーーーーーーーー
※ 参考
ヨーロッパの石油(赤)・ガス(青)パイプライン。

ウクライナの原発。
アメリカ/NATOを後ろ盾とする勢力のクーデターで合法政権が倒されて以来、ウクライナでは戦闘が続き、ドイツの情報機関によると、東/南部で約5万人が犠牲になったという。
このクーデターで暴力面の主力になったのはネオ・ナチ(ステファン・バンデラの信奉者)で、その背後にはシオニストの富豪が存在している。
このクーデターに巻き込まれたEUはロシアに対する「制裁」を強制され、経済的に大きなダメージを受けている。
しかも戦争のリスクが高まり、万一、開戦になればEUは破滅する。その危機感がドイツとフランスの首脳をミンスクへ向かわせた。
2月11日からベラルーシの首都ミンスクではドイツ、フランス、ウクライナ、そしてロシアの首脳が会談、15日から停戦に入ること決めたという。平和への第一歩と言えるだろうが、問題は多い。
例えばドイツの場合、アメリカの好戦的で親ナチズム的な政策への反発は閣内でも出ていて、ロシア嫌いの嫌露派として知られているアンゲラ・メルケル首相としてもロシアと話をせざるをえない状況だろう。経済界の圧力もあるはずだ。
フランスの場合、ドイツよりもアメリカに批判的。昨年10月にモスクワの空港で事故死したフランスの大手石油会社、トタルのクリストフ・ド・マルジェリ会長兼CEOは、その3カ月前、石油取引をドルで決済する必要はないと言い切っていた。
また、IMF専務理事だったフランス人のドミニク・ストロス-カーンは2011年4月、米英が推進してきた新自由主義経済を批判する発言をしている。失業や不平等は不安定の種をまき、市場経済を蝕むことになりかねないとし、その不平等を弱め、より公正な機会や資源の分配を保証するべきだとブルッキングス研究所で演説したのだ。
その際、進歩的な税制と結びついた強い社会的なセーフティ・ネットは市場が主導する不平等を和らげることができ、健康や教育への投資は決定的だと語っただけでなく、停滞する実質賃金などに関する団体交渉権も重要だとも語っていた。
ストロス-カーンがレイプ容疑で逮捕されたのは演説の翌月だ。
キエフ政権のペトロ・ポロシェンコ大統領の場合、ウクライナの東/南部で展開してきた民族浄化作戦が失敗、キエフが送り込んだ部隊は劣勢で、崩壊の可能性もある。
こうした状況の中、戦略を変更する必要に迫られてきた可能性がある。
当初からキエフ側の正規軍は士気が低く、ネオ・ナチや外国から雇い入れた傭兵が戦っている状態。そのネオ・ナチは停戦の合意に反発している。
この勢力を無視することはポロシェンコ大統領には無理で、停戦の合意はこの辺から崩れていきそうだ。
それに対して地元の人民共和国側はウクライナの軍隊や治安機関などから離脱して参加している人が少なくないほか、1980年代にソ連軍の兵士としてアフガニスタンで戦った経験のある人もいて、戦闘能力は高い。
ロシアは「祖国防衛」が最大の目標だろう。
ソ連消滅後、アメリカの傀儡、ボリス・エリツィンが大統領になり、国民の資産を略奪した連中が「オリガルヒ」と呼ばれる富豪になる一方、庶民は貧困化して悲惨なことになった。
そのオリガルヒを押さえ込み、独立を回復させたのがウラジミル・プーチン。今でも支持者が多い理由はそこにある。
逆に、追い出された富豪たち、あるいは富豪の背後にいる西側の支配層はロシアの再属国化を目論んでいる。
会合に参加しなかったアメリカの場合、巨大資本は昔から宣伝戦を重視、第2次世界大戦後にはモッキンバードと呼ばれるプロジェクトを展開した。
これは本ブログでも何度か書いたこと。宣伝の主な道具は言うまでもなくメディアだが、1990年頃からは広告会社の存在感が高まっている。
そのプロパガンダ機関を使って幻影を作りだし、ロシアを悪魔化してきたわけだ。
しかし、幻影は事実によって消されようとしている。
今回、ミンスクで行われた会談と停戦の合意でウクライナに平和が訪れると期待している人は少ないだろうが、アメリカを排除した形で話し合われ、とにかく合意したという事実は重い。
戦争を望んでいるのはアメリカだということをアピールすることにもなった。
和平を嫌うアメリカとしては、状況を一気に戦争へと向かわせる出来事を演出する可能性がある。
いわゆる偽旗作戦。
ピッグス湾事件やイタリアで実行された連続爆破事件は広く知られている。
1960年代の前半にはキューバへアメリカ軍を侵攻させるため、ノースウッズ作戦も作られている。この背後にはソ連に対する先制核攻撃計画があった。
テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、アメリカ軍がソ連に対する先制核攻撃計画をスタートさせたのは1957年初頭。
先制核攻撃に必要なICBMを準備できるのは1963年の終わりだと好戦派は見通していた。
この当時から現在に至るまで、西側ではソ連/ロシアが攻撃、アメリカは防衛というシナリオで議論することが圧倒的に多いが、実際は逆だった。
イタリアの場合、戦争ではなく、治安を目的としていた。
「爆弾テロ」で社会を不安定化させ、治安強化、つまりファシズム化に賛成させようというわけだ。
イタリアの作戦は「緊張戦略」と呼ばれている。
1982年7月、この戦略で中心的な役割を果たした人物の娘が持っていた文書がローマの空港で発見された。
二重底になっていたスーツケースに隠されていたのだが、その文書には、友好国政府がコミュニストの脅威に対する警戒心をゆるめている場合、友好国の政府や国民を目覚めさせるために特殊作戦を実行しなければならないとも書かれていた。
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※ 参考
ヨーロッパの石油(赤)・ガス(青)パイプライン。

ウクライナの原発。

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