弱肉強食政策のオンパレードと「ベイル・イン」
2015-02-10

弱肉強食政策のオンパレード 2/6 「耕助のブログ」(ビル・トッテン)氏から
消費税率を8%に引き上げる時、増収分を含む消費税収の全てを社会保障の財源とするとアピールした政府だが、今年に入って福祉の切り捨てを開始した。
介護サービス提供事業者に支払われる介護報酬は今年度から2.27%引き下げられる。
介護に携わる人の待遇は加算制度の拡充で対処するというが、報酬全体が下がれば小規模の介護事業所や施設で労働条件の悪化は避けられないだろう。
子育て世帯への1万円の給付金は中止、低所得者世帯への最高1万5千円の給付金も6千円に減額、
年金受給額が少ない人への月5千円の給付金も、導入時期が当初予定だった今年10月から2017年4月に先送りされた。
生活保護費は2013年から段階的に既に引き下げられ、消費税率引き上げを考慮して圧縮されたものの、昨年の支給実績は2012年より減額している。
2013年の国民生活基礎調査では、18歳未満の子どもの貧困率は16.3%と過去最悪で、6人に1人の子どもが貧困状態にある。
生活保護受給者の自立には賃金の底上げや正規雇用が欠かせないが、その面での具体的な政策はとられていない。
社会保障費削減の一方で、増額しているのは防衛関係費である。
2015年度予算案では、過去最高の4兆9800億円と3年連続増加した。これにはオスプレイやステルス戦闘機、無人偵察機などの購入費も含まれる。
オスプレイは1機100億円とも言われ、アメリカの軍需産業には大盤振る舞いの安倍政権なのだ。
アメリカにだけでなく日本の企業にも寛大で、2016年度までの2年間で3.3%の法人税減税が決まっている。
しかしロイターの調査によれば、法人税減税の効果は限定的で、減税分が企業の内部留保に向かえば経済活動は上向かず、減税により税収が減るだけで日本経済はさらに停滞する可能性もあるとみている企業も少なくないという。
アメリカでも2015年は金融崩壊が起きるという厳しい予測もある。
2008年のサブプライム危機からさかのぼること7年、2001年にはドットコムバブル崩壊があり、7年周期で経済危機が起きていると指摘するアナリストもいる。
それに備えて先進諸国の政府が対策として導入したのが「ベイル・イン」である。
1990年代、日本では相次いで銀行が破綻し多額の税金がつぎ込まれ、リーマン・ブラザーズの破綻の際もアメリカ政府が公的資金を投じて救済した。
これは「ベイル・アウト強調文」と呼ばれる方法で、
「ベイル・イン」は政府ではなく、破綻に直面した銀行が、預金者の預金を銀行の資産であるとして、そのお金で損失を埋め合わせるもので、2013年にキプロスの金融危機でとられた方法である。
消費税を増税して法人税の穴埋めをし、福祉は削減しても軍事費は増額する。
そして金融破綻が起きた時のために法を改定して預金者のお金で銀行を救済できるようにしておくという、2015年は弱肉強食政策がオンパレードの年になりそうである。
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※ トッテン氏の「ベイル・イン」については、
「通貨戦争(64)キプロスにみる金融緩和という火薬庫」
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