ユーロの量的緩和はユーロの減価と米国流出へ
2015-01-30
意味のない量的緩和で日本を追う欧州中銀 ユーロ安・円高が進む可能性が高い 1/29 野口悠紀雄 ダイヤモンド・オンライン
1月22日、欧州中央銀行(ECB)が初の量的金融緩和を決定した。
これを受けて、日米欧の株価が上昇した。ユーロ圏の経済状況が好転するとの期待による。果たしてそうした効果が生じるのだろうか?
以下では、量的金融緩和によって、(1)ユーロの対ドル相場を下落させる効果があること。(2)ユーロの対円相場も下落させる(円高になる)可能性もあることを指摘しよう。
ECBの資産残高を12年水準まで戻す
今回の決定の内容は、つぎのとおりだ。
国債を含めて少なくとも1兆1000億ユーロ(約148兆円)の資産を購入する。
ドラギ総裁によると、月600億ユーロ(約8兆円)の資産購入を行なう。これは、事前に市場で予想されていた500億ユーロを上回るものだ。
追加購入分の80%は域内の各国中央銀行の責任で行なわれ、損失の発生に対しては各国中銀が負担する。
緩和の実施期間は当面2016年9月までとしたが、物価上昇率目標2%の達成が見通せるまでは期間以降も緩和を続けるとした。
この決定を受けて、日米欧の株価が上昇した。日本では、日経平均株価が1万7500円を回復し、今年初めて昨年末終値(1万7450円)を上回った。
ECBの資産残高のこれまでの推移は、図表1のとおりだ。12年には3兆ユーロ程度あったが、その後減少し、14年には2兆ユーロ程度になっていた。ECBの今回の決定は、これを12年頃の水準まで戻すことが目的だ。

なお、この間の日銀総資産とFRB総資産の推移は、図表2と図表3に示すとおりだ。
13年の初めに比べると、最近時点の日銀の総資産は約1.8倍に、FRB総資産は約1.3倍に増加している。
このように、これまでの数年間、日米の中央銀行とECBとでは、総資産が対称的な動きを示していたわけである。


物価下落が引き金
今回の決定は、2014年12月に、ユーロ圏の消費者物価指数が、前年同月比0.2%下落とマイナスに転じたことに促されたと言われる。
図表4に見るように、インフレ率は12年頃は2%程度だったが、その後ユーロの増価に伴い、低下していた。

ECBは今回の緩和措置によって、つぎの3つの経路を通じて消費者物価指数の引き上げを狙っていると言われる。
(1)実体経済活動の活発化
(2)株価の値上がり
(3)ユーロの減価
これらのうち、(1)や(2)が実現するかどうかは疑問である。
しかし、(3)が生じることは、ほぼ間違いないと思われる。
実際、スイス中央銀行が15日、スイスフランの対ユーロ増価を抑える無制限介入政策を放棄したのも、ECBの量的緩和実施が確実と予測されたためだ。そうなれば無制限介入に無理があると判断されたのである。
ただし、原油価格が下落しているため、原油以外の輸入価格が上昇したとしても、消費物価上昇率がプラスに転じるかどうかは分からない。この点は、日本と同じ状況だ。
また、仮に物価上昇率がプラスになったとしても、それによってユーロ圏が抱えている実体経済の問題が解決されるわけではない。
ECBは、日本銀行が犯したのと同じ道を歩もうとしているわけだ。
以下では、為替レートの問題に絞って検討を行なおう。
ドルに対するユーロ安が今後も進行する可能性は高い
金融緩和が通貨を減価させるメカニズムとして教科書に書いてあるのは、「マネーストックが増加してマネーに対する需給が緩和し、金利が低下して資本流出を招き、通貨が減価する」というものだ。
しかし、ここ数年の量的緩和は、日本でもアメリカでも、マネーストックを顕著には増加させていない。
それにもかかわらず金利は低下している。
これは、教科書的なメカニズムではなく、中央銀行が国債市場で大量の国債を購入することの直接的な結果と考えられる。
それが金利を低下させて通貨の減価を引き起しているのだ。
このことから、「中央銀行のバランスシートが拡大すれば通貨が減価する」という考えが為替市場で支配的になってきた。
実際、図表1、図表2、図表3に示す中央銀行資産の推移と、図表5に示す為替レートの推移を見ると、中央銀行の資産の変化と為替レートの変動が強く相関していることが分かる。

ユーロの対ドルレートを見ると、2012年8月頃には1ユーロ=1.2ドル程度であったが、ECBの資産減少とFRBの資産増加に伴ってユーロが増価し、14年4月頃には、1ユーロ=1.38ドル程度になった。
ECBが今後資産を拡大していくことで、この関係が大きく変わる。FRBが金融緩和を終了したので、今後はFRBの資産は増えない。
したがって、ドルに対してユーロが下落することになる。
ユーロの下落は、すでに生じている。すなわち、14年5月頃には1ユーロ=1.4ドル程度にまでなっていたユーロの対ドル相場は、最近では1.15ドル台にまで下落している。
これは、13年以来の安値圏だ。
こうしたことから、16年末までに、02年以来の「パリティ」(1ユーロ=1ドル)が実現するとの見通しもある。
この半年間の動きからしても、また米欧金融政策の動きからしても、それはありうる事態だと思われる。
ただし、ここでつぎの点に注意する必要がある。
それは、マーケットはすでに以上で述べた条件変化を読み込み、為替レートに反映させてしまっている可能性が強いことだ。
為替市場においては、現時点で利用可能な情報は、すべて価格に反映されていると考えるのが自然だ。
そうだとすれば、今後のユーロレートは、現時点では得られない情報(例えば、ギリシャの情勢)などによってしか動かないということになる。
なお、ユーロ圏での物価上昇率が低下したのは、これまでドルに対してユーロが増価したためだ(日本における10~12年頃の状況と同じである)。
すでに述べたように、今後ユーロがドルに対して減価すれば、その状態は変わるだろう。
円高ユーロ安になる可能性が強い
ユーロ・円相場については、どうであろうか?
図表6に示すこれまでの推移を見ると、つぎのとおりだ。
リーマンショック前には1ユーロ=160円を超えていたユーロ相場は、リーマンショック以後継続的に低下し、12年夏には1ユーロ=100円を割り込む水準まで円高・ユーロ安になっていた。
しかし、そこをボトムとしてユーロは増価し、2013年12月には1ユーロ=140円を超える水準まで円安・ユーロ高が進んだ。これは、最初はECBの資産の減少と、13年以降は日銀の資産増加とも相関している。
しかし、14年12月に1ユーロ=150円近くまでになっていたユーロの対円相場は、その後急激に下がった。1月15日のスイス中銀の決定の影響と言われることがあるのだが、下落は12月初めから生じていたことに注意が必要である。

最近のレートは1ユーロ=136円程度だ。13年11月頃の水準にまで戻ったことになる。ただし、現在のところは、対ドルのような大幅なユーロ安にはなっていない。
(※ 現在はさらに130円に下落した。)
しかし、ユーロが対ドルで大きく下落すると、円に対しても下落する可能性がある。
仮に1ユーロ=1ドルが実現すれば、1ドル=130円なら1ユーロ=130円になるし、1ドル=120円なら1ユーロ=120円になる。1ユーロ=120円というのは、13年1月月頃の水準だ。
(※ 現在120円になっていることは、ユーロ自体として円に対しての下落が始まっている。)
つまり、円がドルに対して今後大幅に円安にならないかぎり、円ユーロレートはかなりの円高にならざるをえないのである。
では、どちらが実現するか? 為替レートの将来を予測するのは原理的に不可能なのだが、仮に「中央銀行のバランスシートが拡大すれば通貨が減価する」という考えに従えば、つぎのようになる。
前述のように、ECBの資産拡大ペースは、月600億ユーロだ。これは、年0.72兆ユーロに相当する。現在の資産総額は、2.19兆ユーロなので、これが、1年後には2.91兆ユーロと1.33倍になる。仮にその後も継続すれば、2年後には3.63兆ユーロと1.66倍になる。
他方で日銀は、14年10月31日に開いた金融政策決定会合において、マネタリーベースの年間増加額を約80兆円とし、中長期国債の買い入れペースを年約80兆円にするとした。仮にそれに等しいペースで総資産が増大するとすれば、現在300兆円である総資産残高は、1年後には380兆円と1.27倍になり、2年後には460兆円と1.53倍になる。
このように、ECBの拡大ペースは日銀のそれを上回る。したがって、円高ユーロ安になる。
ただし、対ドル相場について述べたように、こうした情報はすでに市場に織り込み済みかもしれない。
前述した12月初めからのユーロ安は、そうしたメカニズムで生じた可能性もある。
日銀が追加緩和をすればこの関係は変わる。しかし、国内の国債市場はすでに飽和状態なので、第2次追加緩和は難しいだろう。
スイス中銀の決定の際には、ユーロ安・円高が生じ、日本の株価下落をもたらした。同じことが今後起こる可能性がある。
ところが、日本の株式市場は、そうした事態を考えていないようである。
ECBの量的緩和のニュースを受けてソニーの株価は上昇した。同社は欧州事業の比率が高いため、ユーロ圏の景気回復期待が買いにつながったとされる。
しかし、そうなるかどうか、疑問だ。今回の措置は、欧州に対する輸出の採算を悪化させる効果のほうが大きいだろう。
そうなれば、欧州関連銘柄を中心に日本の株価を下げる要因になる可能性がある。
「現時点で利用可能な情報はすべて価格に正しく反映する」というのが、効率的市場の条件だ。
日本の株式市場を果たして効率的市場と見なしてよいかどうか、大いに疑問だと言わざるをえない。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
※ 前にも書いたが、同じことを書く。
日本同様に、ユーロ圏からの資金流出が激しくなることは疑いない。
ではその資金は何処へ?
これは野口氏のいうとおりだ。
もっぱら米国ドル市場、そしてスイスフラン、わずかに日本円市場ということになる。
米国の量的緩和終了の尻拭いにほかならない。
米国に最も都合の良いECBの量的緩和決定なわけだ。
ECBは日本同様に米国の圧力に負けたわけである。
1月22日、欧州中央銀行(ECB)が初の量的金融緩和を決定した。
これを受けて、日米欧の株価が上昇した。ユーロ圏の経済状況が好転するとの期待による。果たしてそうした効果が生じるのだろうか?
以下では、量的金融緩和によって、(1)ユーロの対ドル相場を下落させる効果があること。(2)ユーロの対円相場も下落させる(円高になる)可能性もあることを指摘しよう。
ECBの資産残高を12年水準まで戻す
今回の決定の内容は、つぎのとおりだ。
国債を含めて少なくとも1兆1000億ユーロ(約148兆円)の資産を購入する。
ドラギ総裁によると、月600億ユーロ(約8兆円)の資産購入を行なう。これは、事前に市場で予想されていた500億ユーロを上回るものだ。
追加購入分の80%は域内の各国中央銀行の責任で行なわれ、損失の発生に対しては各国中銀が負担する。
緩和の実施期間は当面2016年9月までとしたが、物価上昇率目標2%の達成が見通せるまでは期間以降も緩和を続けるとした。
この決定を受けて、日米欧の株価が上昇した。日本では、日経平均株価が1万7500円を回復し、今年初めて昨年末終値(1万7450円)を上回った。
ECBの資産残高のこれまでの推移は、図表1のとおりだ。12年には3兆ユーロ程度あったが、その後減少し、14年には2兆ユーロ程度になっていた。ECBの今回の決定は、これを12年頃の水準まで戻すことが目的だ。

なお、この間の日銀総資産とFRB総資産の推移は、図表2と図表3に示すとおりだ。
13年の初めに比べると、最近時点の日銀の総資産は約1.8倍に、FRB総資産は約1.3倍に増加している。
このように、これまでの数年間、日米の中央銀行とECBとでは、総資産が対称的な動きを示していたわけである。


物価下落が引き金
今回の決定は、2014年12月に、ユーロ圏の消費者物価指数が、前年同月比0.2%下落とマイナスに転じたことに促されたと言われる。
図表4に見るように、インフレ率は12年頃は2%程度だったが、その後ユーロの増価に伴い、低下していた。

ECBは今回の緩和措置によって、つぎの3つの経路を通じて消費者物価指数の引き上げを狙っていると言われる。
(1)実体経済活動の活発化
(2)株価の値上がり
(3)ユーロの減価
これらのうち、(1)や(2)が実現するかどうかは疑問である。
しかし、(3)が生じることは、ほぼ間違いないと思われる。
実際、スイス中央銀行が15日、スイスフランの対ユーロ増価を抑える無制限介入政策を放棄したのも、ECBの量的緩和実施が確実と予測されたためだ。そうなれば無制限介入に無理があると判断されたのである。
ただし、原油価格が下落しているため、原油以外の輸入価格が上昇したとしても、消費物価上昇率がプラスに転じるかどうかは分からない。この点は、日本と同じ状況だ。
また、仮に物価上昇率がプラスになったとしても、それによってユーロ圏が抱えている実体経済の問題が解決されるわけではない。
ECBは、日本銀行が犯したのと同じ道を歩もうとしているわけだ。
以下では、為替レートの問題に絞って検討を行なおう。
ドルに対するユーロ安が今後も進行する可能性は高い
金融緩和が通貨を減価させるメカニズムとして教科書に書いてあるのは、「マネーストックが増加してマネーに対する需給が緩和し、金利が低下して資本流出を招き、通貨が減価する」というものだ。
しかし、ここ数年の量的緩和は、日本でもアメリカでも、マネーストックを顕著には増加させていない。
それにもかかわらず金利は低下している。
これは、教科書的なメカニズムではなく、中央銀行が国債市場で大量の国債を購入することの直接的な結果と考えられる。
それが金利を低下させて通貨の減価を引き起しているのだ。
このことから、「中央銀行のバランスシートが拡大すれば通貨が減価する」という考えが為替市場で支配的になってきた。
実際、図表1、図表2、図表3に示す中央銀行資産の推移と、図表5に示す為替レートの推移を見ると、中央銀行の資産の変化と為替レートの変動が強く相関していることが分かる。

ユーロの対ドルレートを見ると、2012年8月頃には1ユーロ=1.2ドル程度であったが、ECBの資産減少とFRBの資産増加に伴ってユーロが増価し、14年4月頃には、1ユーロ=1.38ドル程度になった。
ECBが今後資産を拡大していくことで、この関係が大きく変わる。FRBが金融緩和を終了したので、今後はFRBの資産は増えない。
したがって、ドルに対してユーロが下落することになる。
ユーロの下落は、すでに生じている。すなわち、14年5月頃には1ユーロ=1.4ドル程度にまでなっていたユーロの対ドル相場は、最近では1.15ドル台にまで下落している。
これは、13年以来の安値圏だ。
こうしたことから、16年末までに、02年以来の「パリティ」(1ユーロ=1ドル)が実現するとの見通しもある。
この半年間の動きからしても、また米欧金融政策の動きからしても、それはありうる事態だと思われる。
ただし、ここでつぎの点に注意する必要がある。
それは、マーケットはすでに以上で述べた条件変化を読み込み、為替レートに反映させてしまっている可能性が強いことだ。
為替市場においては、現時点で利用可能な情報は、すべて価格に反映されていると考えるのが自然だ。
そうだとすれば、今後のユーロレートは、現時点では得られない情報(例えば、ギリシャの情勢)などによってしか動かないということになる。
なお、ユーロ圏での物価上昇率が低下したのは、これまでドルに対してユーロが増価したためだ(日本における10~12年頃の状況と同じである)。
すでに述べたように、今後ユーロがドルに対して減価すれば、その状態は変わるだろう。
円高ユーロ安になる可能性が強い
ユーロ・円相場については、どうであろうか?
図表6に示すこれまでの推移を見ると、つぎのとおりだ。
リーマンショック前には1ユーロ=160円を超えていたユーロ相場は、リーマンショック以後継続的に低下し、12年夏には1ユーロ=100円を割り込む水準まで円高・ユーロ安になっていた。
しかし、そこをボトムとしてユーロは増価し、2013年12月には1ユーロ=140円を超える水準まで円安・ユーロ高が進んだ。これは、最初はECBの資産の減少と、13年以降は日銀の資産増加とも相関している。
しかし、14年12月に1ユーロ=150円近くまでになっていたユーロの対円相場は、その後急激に下がった。1月15日のスイス中銀の決定の影響と言われることがあるのだが、下落は12月初めから生じていたことに注意が必要である。

最近のレートは1ユーロ=136円程度だ。13年11月頃の水準にまで戻ったことになる。ただし、現在のところは、対ドルのような大幅なユーロ安にはなっていない。
(※ 現在はさらに130円に下落した。)
しかし、ユーロが対ドルで大きく下落すると、円に対しても下落する可能性がある。
仮に1ユーロ=1ドルが実現すれば、1ドル=130円なら1ユーロ=130円になるし、1ドル=120円なら1ユーロ=120円になる。1ユーロ=120円というのは、13年1月月頃の水準だ。
(※ 現在120円になっていることは、ユーロ自体として円に対しての下落が始まっている。)
つまり、円がドルに対して今後大幅に円安にならないかぎり、円ユーロレートはかなりの円高にならざるをえないのである。
では、どちらが実現するか? 為替レートの将来を予測するのは原理的に不可能なのだが、仮に「中央銀行のバランスシートが拡大すれば通貨が減価する」という考えに従えば、つぎのようになる。
前述のように、ECBの資産拡大ペースは、月600億ユーロだ。これは、年0.72兆ユーロに相当する。現在の資産総額は、2.19兆ユーロなので、これが、1年後には2.91兆ユーロと1.33倍になる。仮にその後も継続すれば、2年後には3.63兆ユーロと1.66倍になる。
他方で日銀は、14年10月31日に開いた金融政策決定会合において、マネタリーベースの年間増加額を約80兆円とし、中長期国債の買い入れペースを年約80兆円にするとした。仮にそれに等しいペースで総資産が増大するとすれば、現在300兆円である総資産残高は、1年後には380兆円と1.27倍になり、2年後には460兆円と1.53倍になる。
このように、ECBの拡大ペースは日銀のそれを上回る。したがって、円高ユーロ安になる。
ただし、対ドル相場について述べたように、こうした情報はすでに市場に織り込み済みかもしれない。
前述した12月初めからのユーロ安は、そうしたメカニズムで生じた可能性もある。
日銀が追加緩和をすればこの関係は変わる。しかし、国内の国債市場はすでに飽和状態なので、第2次追加緩和は難しいだろう。
スイス中銀の決定の際には、ユーロ安・円高が生じ、日本の株価下落をもたらした。同じことが今後起こる可能性がある。
ところが、日本の株式市場は、そうした事態を考えていないようである。
ECBの量的緩和のニュースを受けてソニーの株価は上昇した。同社は欧州事業の比率が高いため、ユーロ圏の景気回復期待が買いにつながったとされる。
しかし、そうなるかどうか、疑問だ。今回の措置は、欧州に対する輸出の採算を悪化させる効果のほうが大きいだろう。
そうなれば、欧州関連銘柄を中心に日本の株価を下げる要因になる可能性がある。
「現時点で利用可能な情報はすべて価格に正しく反映する」というのが、効率的市場の条件だ。
日本の株式市場を果たして効率的市場と見なしてよいかどうか、大いに疑問だと言わざるをえない。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
※ 前にも書いたが、同じことを書く。
日本同様に、ユーロ圏からの資金流出が激しくなることは疑いない。
ではその資金は何処へ?
これは野口氏のいうとおりだ。
もっぱら米国ドル市場、そしてスイスフラン、わずかに日本円市場ということになる。
米国の量的緩和終了の尻拭いにほかならない。
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GSの副会長。ギリシャ爆弾作ったのもGS。
GSって何でもできるのかな。
ヨーロッパロスちゃ系と本に書いてあった。
米財務長官はGS出身が多い?
ドイツもやっぱり、裏ではロスちゃに支配されてるのかなあ?
せかいのことは良くわからないが、とりあえずお金が無いと
生きていけない。
金をかうのが一番ですね。
年金しょぼい、年寄りにはこれしかないわ。