ISISとは何者か、誰の利害か
2015-01-24

バグダーディ
ISISとは何者か?
何故、豊富な資金と兵站、軍事力を備えるに至ったのか?そして彼らの行動によって誰が喜び、誰が被害を受けているのか?
彼らの系譜は米国が養成訓練したアルカイダである。資金はサウジ(バンダル王子)、カタール。
彼らはイスラムを名乗るにしては、まるでタブーであるようにイスラエル批判をしない、パレスチナ養護さえしない。
著名な調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは、サウジ、イスラエル、米国による作戦といっているが、そのとおりであろう。
狂気の過激宗派であるワハブ派が英国などの支援でアラビア半島を略奪占領したのが、サウジアラビアの建国である。
今、ISIS「イスラム国」を名乗る勢力が異常な拡大を見せているのは、サウジの建国と極めてよく似た形態をとっている。
米英仏は第一次大戦で巨大なオスマン帝国を二十数か国に分解した。中東に覇者を作らせず、欧米の支配下に置くためであることは言うまでもない。
冷戦崩壊後はアラブ復興社会主義(イラク、シリア)、イスラム革命(リビア)を破壊すること。中東をさらに混乱分断し弱体化を進めてきた。
彼らISISは残ったシリア、イラクを滅ぼし、イラン、ロシアを泥沼に引きこもうとする。
イスラエル、サウジ、フランス、米英の利害とまったく一致するわけである。
はっきりというなら、ISISという武装集団の背後には、米英の軍産複合体とイスラエルが立っている。
フランステロ攻撃の結果的な影響とECB量的緩和も利害は同様であることに注意すべきだ。
なぜ、このタイミングで安倍某は唐突に中東訪問をしたのか、なぜ、エジプトであのようなスピーチをしたのか。原稿はどこから来たのか。
日本については、自衛隊を米軍の属軍とする、集団自衛権の行使に向けて「仕組まれた計画」の可能性は高い。
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安倍首相がISと戦う国々を支援すると発言した直後に身代金が要求されたが、ISの黒幕は米国の疑い 1/21 櫻井ジャーナル
安倍晋三首相がエジプトで開かれた「日エジプト経済合同委員会」で「イスラム国」と戦う国々へ総額で2億ドルを提供すると発言した3日後、その武装集団(IS。ISIS、ISIL、IEILとも表記)が日本人ふたりを拘束しているとインターネット上で表明、2億ドルの身代金を要求しているという。
安倍首相は軍事的支援を否定しているようには思えず、アメリカ政府の言動を考えれば、「非軍事的な手法」も軍事と深く結びついていると言わざるをえない。
拘束されたふたりとは後藤健二と湯川遥菜だとされている。
湯川は昨年8月に、また後藤は昨年11月にそれぞれシリアでISに拘束されたようで、安倍首相は支援発言時に事情を承知していたはず。
状況から考えてふたりはトルコ経由でシリアへ密入国したのだろうが、そうなると、最初からISの管理下にあった可能性が高い。
ここにきてトルコはロシアとの関係を深めているが、言うまでもなく、NATO加盟国としての側面がある。
2011年3月にアメリカを中心とする西側諸国やペルシャ湾岸の産油国などがシリアのバシャール・アル・アサド体制を倒すプロジェクトを顕在化させた際、その拠点としてトルコが使われている。
この反シリア政府軍とISの背景は同じで、ふたつを区別することは間違いだ。
トルコにはアメリカ空軍のインシルリク基地があり、そこではアメリカの情報機関員や特殊部隊員、あるいはイギリスやフランスの特殊部隊員が反シリア政府軍の戦闘員を訓練している。
そうした戦闘員を雇っているのがサウジアラビアやカタールなどだ。
シリアと同じ時期にリビアでも体制打倒プロジェクトが始まり、2011年10月にムアンマル・アル・カダフィが惨殺されている。
このときにアメリカが地上軍として使った戦闘集団の中心、LIFGはアル・カイダ系。
実際、カダフィ体制が崩壊した後、反カダフィ派の拠点だったベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられた。
すぐに映像がインターネット上で流れ、イギリスのデイリー・メール紙など「西側」のメディアもその事実を伝えている。
アル・カイダの歴史をさかのぼると、1970年代にズビグネフ・ブレジンスキーがアフガニスタンで始めた秘密工作に行き着く。
パキスタンのバナジル・ブット首相の特別補佐官だったナシルラー・ババールによると、1973年からアメリカはアフガニスタンの反体制派へ資金援助を開始、79年にはブレジンスキーの戦略に基づいてCIAがイスラム武装勢力に対する支援を始めた。
ソ連をアフガニスタンへ引っ張り込むために挑発を繰り返し、その思惑通りに同年12月、ソ連軍の機甲部隊が軍事侵攻してくる。
このソ連軍と戦わせるために編成されたのがイスラム武装勢力。
アメリカを中心とする勢力は戦闘員を集めて訓練、資金や武器を提供した。
こうして訓練を受けた「ムジャヒディン」のデータベースがアル・カイダ(アラビア語で「ベース/基地」を意味)だとイギリスの外相を務めたロビン・クックはガーディアン紙で書いている。
この指摘は正しいと見られているが、この記事が掲載された翌月、クックは保養先のスコットランドで心臓発作に襲われて死亡してしまう。享年59歳。
リビアでのプロジェクトを終えたアル・カイダの戦闘員は武器を携えてシリアへ移動する。
その時にマークを消したNATOの輸送機が武器をリビアからトルコの基地まで運んだとも伝えられている。
リビアのカダフィやイラクのサダム・フセインはアル・カイダ系の戦闘集団を弾圧していたが、そうした体制をアメリカが破壊するとそうした集団は勢力を拡大させていく。
イラクではアメリカが先制攻撃した翌年、2004年にAQIが組織され、06年1月にはAQIを中心にしていくつかの集団が集まってISIが編成された。
ロシアの抵抗もあってアメリカ/NATOがシリアの体制転覆に手間取る中、ISIはシリアへ活動範囲を広めてISと呼ばれるようになる。
2012年にアメリカの情報機関や特殊部隊はヨルダンの北部に設置された秘密基地で数千人とも言われる戦闘員を訓練しているが、少なくともその一部がISに参加して戦うことになる。
ISの名前が知られるようになったのは昨年6月、イラク北部の都市、モスルを制圧してからのことだが、この軍事侵攻には疑惑がある。
ISの動きをアメリカはスパイ衛星、通信の傍受、あるいはスパイ網などで把握していたはずなのだが、全く反応していない。
首相だったノウリ・アル・マリキはモスルが陥落した後、メーディ・サビー・アル・ガラウィ中将、アブドゥル・ラーマン・ハンダル少将、ハッサン・アブドゥル・ラザク准将、ヒダヤト・アブドゥル・ラヒム准将を解任している。
このマリキは昨年3月、サウジアラビアやカタールを反政府勢力へ資金を提供していると批判しているが、アメリカとの関係も悪化していた。
反政府軍対策のため、イラク政府は2011年と12年、アメリカに対してF-16戦闘機を供給するように要請、契約もしていたのだが、2014年の段階で納入されていない。
そこでマリキはロシアへ接近。次の選挙でマリキは勝利し、首相続投になるのが普通だったが、辞めさせられている。
ところで、1月18日、シリアではISと戦っていたヒズボラの部隊がイスラエル軍に攻撃され、その際にイラン革命防衛隊のモハメド・アラーダディ将軍を含む幹部が殺されたという。リビアに対する攻撃におけるNATOと同じように、イスラエルがアル・カイダ/ISを支援しているように見える。
アサド体制よりアル・カイダの方がましだと駐米イスラエル大使のマイケル・オーレンが発言したのは2013年9月のこと。
調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは2007年3月5日付けのニューヨーカー誌でアメリカ、サウジアラビア、イスラエルの秘密工作が始まったと書いている。
シリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラを倒すことが目的。その後の展開を見ると、この三国同盟は手先としてアル・カイダ系武装集団を使っている。
ISが拘束している人物の処刑を誇示するようになったのは昨年8月。
アメリカがISに対する空爆を始めたことに対する報復だとしてジェームズ・フォーリーの首を切り落としたと宣伝されたのだが、首の前で6回ほどナイフは動いているものの、実際に切っていないうえ、血が噴き出していないことから、カメラの前で彼は殺されていない可能性が高いと言われている。
こうした場面を公表したのは、アメリカによるシリアに対する空爆を正当化することにあるのではないかという声もあった。
実際、9月23日に空爆を始めたが、当日、現地で取材していたCNNのアーワ・デイモンは翌日朝の放送で、ISの戦闘員は空爆の前に極秘情報を入手し、攻撃の15から20日前に戦闘員は避難して住民の中に紛れ込んでいたと伝えている。
ふたりの日本人が写った映像も合成されているように見え、何らかの反応をアメリカや日本から引き出すための演出なのかもしれない。
この問題を見る場合、忘れてならないことは、ISをアメリカ、イスラエル、サウジアラビアが動かしている可能性があるということだ。
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