円安の危機、基軸通貨ドルの長期減価:ひょう吉の疑問
2014-11-23

鋭く的を得た論評である「ひょう吉の疑問」氏から、通貨について二題引用します。
日本に迫る円安の危機。
基軸通貨ドルの長期減価、担保なき不換紙幣とビットコインの比較。
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『悪い円安』の危機 11/23 「ひょう吉の疑問」氏から
1ドル115円を超えたあたりから、株価が伸びなくなった。
ここ20年間のドル円レートの平均は110円前後だろう。
115円あたりが限界か。
それ以上になると悪い円安になる。
円安だけが続くなかで、株価が下落し、やがて国債価格も下落する。そして国債価格の下落に合わせて長期金利が高騰する。
景気が低迷するなかで金利が高騰すれば、日本経済は目も当てられない状況になる。
首相の安倍は今回の衆議院解散を『アベノミクス解散』などと自画自賛。
この首相多少おつむが弱い。
臆面もなく、自分の政策をアベノミクスなどと自分の名前で呼んでいる。
自己愛陶酔型。自分を見つめる厳しさはない。
日本では円安だけが目立っているが、世界的に見ればこれは米ドルの独歩高である。
そのドル高に一番貢献しているのがアベノミクスである。
まずはドル買いをやめるべきだろう。
政府や金融機関筋のドル買いをまったく日本のマスコミは報道しないが、裏でこっそりこういうことをやっていなければこれほどのドル高にはならない。
首相はまずこれをやめるべきだろう。
バカの一つ覚えのように円安だけを続けて、それで経済対策として良しとするのは、あまりにも芸がない。
それでいて2017.4月には消費税を10%に引き上げるなど、バカも休み休み言って欲しい。
この首相は『日本財布論』を地で行く首相だ。
日本はアメリカの財布。
アメリカの貿易赤字・経常赤字は日本の資金によってファイナンス(損失補填)されている。
政府による米国債の購入、または日本の金融機関による海外投機筋への融資、それによるドル高・円安。
その見返りの株高。
こういうのはすべて雲の上の出来事。実体経済に根づかない、金融上の操作に過ぎない。
消費税の引き上げも、こういう資金に使われるだけ。
政府は社会保障に使うと行っているが、それはウソ。
社会保障の抜本改革など何も手をつけていない。
議員定数の削減などさらさらやる気もない。
国民にだけ身を切らせて、自分たちは左うちわだ。
そんな政治家たちが横行する日本で、株の高騰だけで国民の支持を取り付けられようとしている。
株は海外勢が買っている。
国債は国内金融機関が保有している。
この差はあるが、日銀が国債を買い上げて国債価格を維持させ、金利の上昇を抑えるという政策はやがて限界が来る。
(※ 11月始めの追加緩和で短期債にマイナス金利が出ており、既に限界。年明け来春以降は円と国債の暴落リスク。そのための解散、年内選挙。)
そのときが危ない。海外勢は不安定要因が少しでもあれば、容易く日本株を売り払ってしまう。
海外勢は短期筋なのだ。
そのときは日銀が株を買うのだろうか。
まるで、たこの足食い。
そうなれば、日本売りが加速する。海外勢が円を売り払うだけでなく、日本人のなかにも外貨預金をして資金を海外にシフトする人が増えるだろう。
今でさえ、ドル預金をしている人はかなり儲かっているのだから。
増税でこれ以上日本の実体経済を痛めつけるな。
これでは日本はもたない。
(アベノミクスはもともと何の根拠もない詭弁のマネタリズムに裏打ちされている。竹中平蔵などの害悪が及んでいる。)
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基軸通貨、ドルの次は何か。金の高騰と、ビットコインの広まり 11/23 「ひょう吉の疑問」氏から
長期的にはアメリカ経済は下降線をたどっている。
現在のドル高・米国株高がアメリカ経済の実力に根ざしたものかどうかは疑問である。
かつて1ドル360円の時代にはドルを手に入れることは非常に難しかった。利益を生み出す中心商品が『ドル箱』と言われるほど、ドルは手に入れることが難しかった。ところがいまはその1/3の120円前後の値段で手に入れることができる。
ほんの2年前には1/4以下の80円前後で手に入れることができた。
今のドル高は1/4に値下がりしたものが、1/3程度に値を戻したに過ぎない。ここ20年の平均レートは110円といったところだろう。
今のドル高がいつまで続くかは分からないが、そういつまでも続くものではないだろう。
ドルは1971年のドル・ショック以来低下傾向を続けているという、その大きな流れは今も変わっていない。
その根底にある理由は、アメリカが今も貿易赤字を続けていることである。今やアメリカの産業といえば、軍事と情報だけである。しかもその多くは外注に頼っている。スマートフォンなどは外注どころか台湾企業に丸投げである。
この国の製造業が復活することはかなり難しい。
アメリカは今や物づくりを忘れた国にもかかわらず、外国製品を大量に消費する国である。
このいびつな構造が永続的に続くかどうかは、かなり疑問である。
ドルの基軸通貨としての役割は、今や外貨と外貨を交換する際の仲介機能だけである。
例えば日本の円を外貨と交換する場合、一度米ドルに交換することを通じて、外貨と交換することができる。
日本円と中国人民元のように、直接取り引きできる通貨どうしのパイプづくりも近年つくられ始めたが、それはまだ十分な量の取り引きができていない。
米ドルはこの仲介機能により莫大な手数料収入を上げることができる。それはおもにシティバンクなどのアメリカ大手銀行の仲介手数料として莫大な収入をもたらしている。
もはや米ドルはその力をもたないにもかかわらず、戦後、米ドルを世界の基軸通貨と定めたブレトン・ウッズ体制だけが続いているのである。
外貨どうしの交換機能からいえば、外貨と外貨を交換する際の仲介通貨はドルでなくても何でも良い。何かを仲介役として設定し、それを多くの国が仲介役として認めれば、基軸通貨として存続できる。
(※ つまり、米国という軍事力、金融力の覇権によって、諸国がいわば強制されることによってドルが基軸通貨の地位を保っている。)
長期的には価値を減らしている米ドルを外貨準備としてもつことは各国にとって今や重荷になっている。
その代わりになるものがあれば、いつでも米ドルを売りたいというのが各国の本音である。
いくつかの国の中央銀行が金(きん)の備蓄を増やしているのもそういったところからである。
(ちなみに日本はそういう動きから最も遠いところにあり、国民は意識しずらくなっている。)
金は実物資産であり、どんなにインフレになっても商品としての価値がなくなることはないという利点があるが、外国決済に使うには重たいという難点がある。
現在の国際決済が、ネットを利用して瞬時にできることを考えれば、その実態資産はなるべく軽くて持ち運びのいいものが良い。
ネットというシステムが今後なくなることはないという前提に立てば、ビットコインという仮想通貨は、理想的な通貨になる可能性がある。
当然そこには暗号を守るセキュリティが担保されてのことであるが、瞬時に世界中を駆けめぐることのできるビットコインは魅力的である。
ネット上にしか存在しない仮想通貨は信用できないという人があるが、仮想通貨という点では紙幣も電子マネーも本質的な差はない。
紙幣にマネーとしての価値の実態はない(1万円札の原価は20円にも満たない)。
信用だけが紙幣の命である。
それと同じようにビットコインも信用が担保されるならば、十分紙幣として通用する。
通貨とはもともとそうしたものである。
ビットコインの通貨としての機能は、そのネット貨幣としての機能を考えた場合、瞬時性や決済性の点で、紙幣以上になるだろう。
特に現在の銀行機能を各個人が自分で簡単に行えることの利便性は、今後の金融システムとネット取り引きを大きく変える可能性がある。
増刷され、ばらまかれすぎた米ドルがなぜ今高騰するかは不思議なことであるが、これには金融緩和に向かう他国通貨と、ヘッジファンドなどの投機筋の動きが絡んだ問題であって、そのこととの関係はこれまで書いてきたが、基本的にはこれは、減価していく米ドルの一時的な揺り戻しに過ぎないであろう。
長期的には米ドルの減価は止まらないであろう。
米ドルが価値を失ったとき、グローバル化のなかで、そしてネット社会が進展するなかで、何が次の基軸通貨になるか、それがうまくいかなければ、世界がまた20世紀のように混乱する危険がある。
現在は基軸通貨の移行期にある非常に不安定な時期である。そのこともドルが下落する大きな要因である。
多くの人が大国アメリカの弊害、ドルの弊害を自覚し、アメリカがもたらす次のバブルを警戒している。
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