中村氏が見限った日本の国と社会
2014-10-10

「日本には自由はない」と中村教授
「国の誇り」と大騒ぎだが…中村教授はなぜ日本を棄てたのか 10/10 日刊ゲンダイ
「日本人が快挙達成」「同じ日本人として晴れがましい」――。
日本の研究者3人がノーベル物理学賞を受賞したことで、国内メディアは大騒ぎ。
個人の受賞を「国の栄誉」と解釈して、万歳ムードが広がっている。
だが、ちょっと待って欲しい。受賞者の一人の中村修二氏は世界的発明の対価である「報奨金2万円」を不服として勤務先を相手に裁判を起こし、日本の産業界に一石を投じた先駆者でもある。
その後はさらなる研究の場を求めてカリフォルニア大教授に転身。米国籍も取得した。
つまり日本を見限ったわけだ。
7日の会見でも中村氏は「怒りが私の研究の原動力」と語り、研究に冷ややかだった元勤務先から「無駄飯食い」と中傷されたエピソードを披露。
「会社の上司たちが私を見るたびに、まだ辞めてないのか、と聞いてきた。私は怒りに震えた」と話していた。
一方で「仕事はアメリカがやりやすい。スピードが速く、規則がない」と米国の研究システムを高く評価し、「米国の研究者にはたくさんの自由があるが、日本には本当の自由がない」とバッサリ。
過去には「超難関のウルトラクイズみたいな大学受験システムが、つまらない人間をつくりだす元凶」とまで言ってのけた。
偏狭な民族主義をあおる安倍政権以下、日本の自称「愛国者」たちは、この国に愛想を尽かした中村氏を「国家の誇り」と持ち上げているわけだ。
工学博士の秋元格氏が言う。
「中村氏は研究者にとって日本は劣悪な環境と痛感したのです。
理研みたいな研究機関や大学では文科省の役人が予算を取り仕切り、研究者はカヤの外。自由な研究はできません。
しかも画期的な発明をしても報酬はゼロに近い。
米国の大学はその対極にあります。中村氏のカリフォルニア大の年俸は2000万~3000万円でしょうが、米国では研究者が企業などから研究費を提供してもらい、自由に使うことができる。
研究に5億円出してもらい、契約によってはそのうちの1割を生活費に充てることも許されます。
企業側は余計な口出しをせず、自由なお金として使えるのです」
■ムードで飛びつく日本社会の未成熟
秋元氏によると、欧米では受賞はあくまでも個人の栄誉と受け止め、それほど騒がないそうだ。
「せいぜい大学の学生が“お祝いパーティーで酒が飲める”“就職に有利になるかも”と期待する程度」(秋元氏)というから、日本と大違いである。
「日本人がおかしいのです」とは社会学者で作家の岳真也氏だ。
「小保方さんがSTAP細胞を発表したときもそうでしたが、明るいニュースがあると一斉に飛びついてもてはやす。
個人の考えではなく、ムードで行動してしまう。まさに“国民が成熟していない大衆社会”です。
これから安倍首相は受賞者を呼んで政治パフォーマンスに利用するだろうし、国民は“日本は技術立国だ”と勘違いする。
集団催眠にかかり、安倍さんの支持率は上昇。その先に待っているのは消費税の引き上げや集団的自衛権でしょう」
中村氏は腹の底で苦笑いしているのではないか。
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