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御嶽山の危険は予知できた:岡田弘

 岡田弘

   御嶽山と大違い 犠牲者ゼロだった有珠山噴火の「対応」 10/4 日刊ゲンダイ

 御嶽山の噴火による犠牲者は戦後最悪の47人。1991年に行方不明者も含め43人が犠牲となった雲仙普賢岳を上回る規模になった。

 問題は“異変”があったのに対処しなかったことだ。御嶽山噴火の2週間前には、群発地震が増加していたが、気象庁の噴火警戒レベルは1。関係自治体も策を講じなかった。

 そんな中、00年に噴火した北海道の有珠山は「観光地」でありながら、自治体が学者の予知を優先し、犠牲者を出さなかった。火山噴火史上の“奇跡”として再注目されている。

 当時、周辺自治体は、2日前に近隣住民ら約1万人を避難させた。おかげで、噴火の際には噴煙は約3000メートル、国道が寸断される被害に見舞われたが、人的被害はなかった。

■反対の声押し切りハザードマップ作成

 背景には、自治体と北大教授ら学者陣との連携がある。
 周辺自治体のひとつ壮瞥町によると、1910年の噴火の際には東京帝国大の大森房吉教授が壮瞥町に地震計を設置、観測を行った。
 以後、噴火時には学者が地元と協力してきた。77年の前回噴火直前には、北大有珠火山観測所を設置した歴史がある。

 00年の“奇跡”を導いたのは、NPO法人環境防災総合政策研究機構理事で、北大名誉教授の岡田弘氏だ。
 岡田氏は81年から21年間、北大有珠火山観測所に勤務。83年からは小学生を対象にした火山教室や、住民に向けた登山会を開くなどして、地域の“信頼”を得てきた。
 観光地ゆえ「ハザードマップなんてとんでもない」という声もあったが、ハザードマップを作り、防災体制を整える重要性を訴え続けてきたのである。
 改めて、岡田弘氏は「御嶽山は予知できた」とこう言う。

御嶽山のマグマのシグナルは、典型的な水蒸気爆発の予兆と捉えることができます。
 06年3月に噴火した北海道の雌阿寒岳の噴火直前の群発地震と同じ性質の群発地震が、今回、御嶽山で起きていました。
 水蒸気爆発は予知が難しいともいわれますが、それは50年以上前から分かっていたことです。
 また御嶽山は、1979年以来、小噴火が2回起きています。
 気象台には、記録の集積があった。過去、水蒸気爆発も経験している。
 本来なら、もっと担当職員に火山の勉強をさせて対策をとらせるべきでした


 岡田氏は「活火山を抱える自治体には『専門チーム』が必要」と言う。歴史を学び、自然と共存していることを再認識する時期に来ている。
 ーーーーーーーーーーーーーー
   北大名誉教授が気象庁の対応を批判「明らかな前兆があった」 御嶽山噴火  1/3  

 死者が47人に達し、戦後最悪の火山災害になった御嶽山(3067メートル)の噴火。小規模な水蒸気噴火だったために予知は困難だったとされるが、何の対策も打てなかった気象庁に批判の声が上がっている。
 2000年の北海道・有珠山(733メートル)の噴火を的中させた火山学の権威は「初動の遅れが惨事を招いた」と厳しく指弾。「防災体制の見直しが急務だ」と警告を発している。

 「すべてが裏目に出てしまった。もっとできることがあったはずだ」

 御嶽山の噴火をめぐる気象庁の対応について、こう話すのは、北海道大学名誉教授(火山学)で、「環境防災研究機構北海道」の理事を務める岡田弘(ひろむ)氏(70)だ。

 岡田氏は、北大大学院理学研究院附属地震火山研究観測センターの教授だった2000年3月、洞爺湖町と伊達市にまたがる有珠山の噴火を予知。
 早期に住民を避難させ、被害を最小限に食い止めた実績を持つ。

 今回、人的被害が大きくなった背景として、マグマで熱せられた地下水が沸騰し、爆発する「水蒸気噴火」だった点が挙げられている。

 噴火には水蒸気噴火のほか、マグマが上昇して吹き出す「マグマ噴火」、高温のマグマが直接、地下水に接して爆発する「マグマ水蒸気噴火」がある。
 この中で水蒸気噴火は最も予知しにくいとされるが、岡田氏は「それは半世紀以上も前からいわれていることで、今回は明らかな前兆があった。
 十分対策は打てた

 と指摘する。

 御嶽山では9月に入り山頂付近で、火山性地震が増加。地下でのマグマの活動を示すとされる低周波地震も発生、噴火の前触れは何度もあった

 「噴火リスクを示す火山性地震の増加は、山側にも自治体にも情報は送られていたが、警戒レベルは平常時と同じ1のままだった。
 観光シーズンだった地元への影響も考慮したのだろうが、火口周辺への立ち入りが規制される2に上げておけばこれほどの被害は出なかった
」(岡田氏)

 危険シグナルを見落とした格好の気象庁。
 同庁の担当者は、会見で「噴火警戒レベルの変更について検討をしたが、地殻変動を伴っていないためしなかった」と言い訳に終始している。
 この姿勢を岡田氏は「日本全国の火山にはそれぞれ固有のリスクがある。
 現在の警戒レベルのレベル分けの仕組みでは、火山ごとの実態に即した柔軟な対応ができない。
 リスクに応じた対策を講じるべきだった
」と断じる。

 日本には、気象庁が常時観測する47の活火山が点在し、どの山も御嶽山のような噴火を起こす危険がある。悲劇を繰り返さないためにはどうすればいいのか。

 岡田氏は「現地に常駐し、火山を定点観測する研究者が必要。いまの日本にはそういう体制が整備されていない。
 緊急時に、救援体制も含めて全体を統括する人の顔が見えないのも問題だ。
 火山への対策を抜本的に見直さなくてはならない
」と話している。
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