労働搾取どころかボッタクリ収奪の日本
2014-07-12

2001年の9.11以来、アメリカの労働者は13年間にGDPの4%を失い、企業利益はGDPの4%を増やした。
日本はどうか。
消費増税でデフレ循環に突入する前の1993年からの20年間に、労働者の平均賃金は10%減少、企業の新規利益はなんと6倍に増えている。
(日米ともに非金融企業。)
日本の場合はその20年間にGDPは2%減少の中の実態である。
アメリカは、ほぼ労働者からの搾取率を高めた分だけ企業(資本家)が収益を上げ、少なくともその分相対的に労働者が貧しくなった。
日本はひどい。
これは労働搾取率を上げたなどというレベルをはるかに超えている。
文字通りのボッタクリ収奪とでもいうほかない。
こんな現実がまかり通っているのは、通常の資本主義経済体制ではなく、封建農奴制の階級社会のようである。
要は近代的な雇用、労使関係が成立していないことの結果だろう。
その原因は、日本には労働者の利害を主張する制度的な機関も組織もないことにあるだろう。
法的制度としての政労使決定機関もなく、同時に横断的職業、産業労組もない。
企業内労組などというものは、腐るだけの役目しか果たせないのだ。
日本の勤労者、サラリーマンは、ボッタクリ収奪されているという自覚がまずは必要だ。
利害を主張することから、現在の不十分な制度(地域労組、基準監督、地労委、政労使)を強化してゆくべきだ。
移民労働者など拒否すべきだが、政府財界が導入してきたら、日本人と同等の労働条件が守られなければならない。
そうでなければ、最悪の被害を被るのは日本の勤労者である。
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外国人労働力確保で 7/9 「耕助のブログ」(ビル・トッテン)から
1980年代、アメリカでは経費削減のために製造業が人件費の安い海外に生産拠点を移転するという動きが出始め、それから、コールセンターなどのサービス業務やITの開発作業なども次々と海外へ移っていった。
多国籍企業にとって、海外移転は人件費が安くなり失業保険も健康保険も不要になるため、これほど経済的に正当な選択肢はない。
しかし、経営者や株主に良いことでも一般の労働者にとっては悪夢である。仕事が減る上に海外の労働者と仕事を取り合うことは、より低賃金で働くことを意味するからだ。
こうしてアメリカでは、60年代には全雇用の30%以上を占めていた製造業が、今では10%以下に縮小し、中産階級が激減して貧困層が増えていったのである。
ここにきて、労働者が別の形でも資本家に支配されていることを示す数字が出ている。
2001年、アメリカ人の賃金合計はGDPの約47%であったが、2013年には42.7%に減少し、一方で、企業(金融分野を除く)の利益は2001年にはGDPの2%であったのが、13年には6%に増加していたのである。
労働者はGDPの4.3%を失い、企業は4%多く手にしたということだ。
アメリカでは2001年から2008年にかけて住宅バブルによって企業の利益率は急騰したが、その間も賃金は徐々に減少を続けた。
08年のバブル崩壊で企業利益も一時的に減少したが、その後再び上昇し始め、今ではまたバブル崩壊前と同じレベルに戻っている。
一方、日本の状況を調べたところ、1993年から2013年の20年間に労働者の平均賃金は10%減少したが、企業の新規利益(銀行・保険を除く)は、なんと6倍以上に増えていた。
同時期、GDPは2%減少しており、パイが拡大どころか減る中で日本企業もアメリカと同じく、人件費を減らすことで資本家を富ませてきたということだろう。
安倍政権は、「国家戦略特区」で外国人労働者を介護や家事サービスの分野でこの秋から受け入れる方針を固めている。
少子高齢化で労働人口が減少し、社会の活力を維持するために労働力の確保は大きな課題だというが、建設分野やこのような介護や家事サービス分野における労働者はそれほど特別な技能ではない。
そこに外国人労働力をどんどん入れることは、企業のコスト削減以外のなにものでもない。
また、残業代を払わないというホワイトカラー・エクゼンプションも人件費コストの削減に結びつく政策である。
アメリカのシンクタンクEPIが6月に発表した報告によれば、2013年にアメリカ企業CEOの報酬は一般労働者の296倍であったといい、アメリカ最大の雇用主であるウォルマートにいたっては、CEOは従業員の1000倍の報酬を得ている。
日本企業はまだこれほどの格差はないが、このままアメリカの経営手法を取り入れていけば、似たような状況になる日は遠くないかもしれない。
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