ウクライナ東部住民に包囲殲滅の危険
2014-07-07

ウクライナのスラビャンスクから反キエフ軍や住民の多くが脱出、石油会社の天然ガス開発は容易に 7/6 櫻井ジャーナル
ウクライナ東部にあるドネツクの中心都市、スラビャンスクをキエフ政権が派遣した1万5000名以上の部隊は都市の周囲を包囲、戦闘機や軍用ヘリで住宅街を含む地域を攻撃してきた。
住宅が破壊されるだけでなく、子どもや女性を含む非戦闘員が犠牲になっている。
このスラビャンスクから住民側で編成した自衛軍が脱出、クラマトルスクへ移動したという。
ウクライナで合法政権が倒された背景やクーデター派による破壊と虐殺をアメリカや日本などの「有力メディア」は知らぬ振りをしてきたが、ここにきて「西側」でも取り上げるようになってきた。
例えばイギリスのデイリー・メール。キエフのペトロ・ポロシェンコ政権が東部地域で行っている攻撃をナチスの焦土戦術に準えている。
第2次世界大戦中、アメリカ空軍のカーチス・ルメイも焦土作戦を展開した。広島や長崎に原爆を投下、東京など都市に大量の焼夷弾を落として住民を焼き殺している。
「中小企業が集中している」という弁明もあるが、東京の場合、攻撃はターゲット地域の周囲に焼夷弾を落とすことから始まった虐殺目的の作戦。
まず火の壁をつくって逃げ道をなくし、そのうえで人々の頭上へ焼夷弾を投下したのである。
その結果、10万人、あるいはそれ以上とも言われる住民を焼き殺した。
その一方で重要な工場や交通手段は破壊されず、朝鮮戦争を「後方支援」することになる。
その朝鮮戦争でもルメイは大規模な空爆を実施、朝鮮の78都市と数千の村が破壊されている。ルメイ自身の話では、3年間に人口の20%にあたる人を殺したという。
ルメイはそれだけでは飽き足らず、ソ連への先制核攻撃を夢想していた。
当初、核攻撃は爆撃機を使うしかなく、SAC(戦略空軍総司令部)が実行することになるが、1948年から57年までSACの司令官だったのがルメイ。
後に空軍参謀長になるが、この時期に起こったのがキューバ危機。
このとき、ルメイはジョン・F・ケネディ大統領に対し、すぐにソ連を核攻撃するべきだと詰め寄っている。
ソ連との平和共存を訴えたケネディ大統領は1963年11月に暗殺され、副大統領から昇格したリンドン・ジョンソンはベトナムへの本格的な軍事介入を始める。
ベトナム戦争で反米色が濃いと判断された地域の住民を虐殺する「フェニックス・プログラム」をCIAと特殊部隊が展開、
またラテン・アメリカでは軍事傀儡政権が「死の部隊」で住民を虐殺するのを支援している。
現在も北アフリカや中東で住民を殺し続け、ウクライナでも同じことを繰り返しているわけだ。
ところで、ドネツクの地下にはシェイル・ガスが眠っているようで、昨年1月にはシェルがウクライナ政府(ビクトル・ヤヌコビッチ政権)と天然ガス掘削に関する契約を結んでいる。
ただ、シェイル・ガスの開発は環境破壊をともない、住民との摩擦は避けられないので、住民は少ない方が会社にとって良い。
キエフ軍による住民への攻撃によって、十数万人いたスラビャンスクの住民のうち約4分の3は避難、その多くがロシアで難民生活を送っているようだ。
少なくとも結果として制圧作戦はシェルなどエネルギー資本にとっては歓迎すべき出来事だった。
アメリカがウクライナの体制を転覆させようとした理由にはネオコンの世界制覇プランのほか、ドル防衛やエネルギー利権がある。
昨年12月13日にビクトリア・ヌランド国務次官補は米国ウクライナ基金の大会で演説、1991年からウクライナを支援するために50億ドルを投資したと発言している。
その際、彼女の背後にはシェブロンのマークが飾られていた。
そのシェブロンは昨年11月5日、ウクライナ西部で石油と天然ガスを50年にわたって開発することでウクライナ政府と合意している。同社の総投資額は100億ドルになるとウクライナ政府は語っていた。
クーデター後、IMFは融資の条件に東部や南部の制圧を挙げていたが、そうした要求をする背景にはエネルギー資本の利権が存在しているわけだ。当然、エネルギー資本が儲かれば金融機関の利益にもつながる。
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軍事犯罪をおかすウクライナ、シロビキ 7/5 ロシアの声
(※ シロビキとは軍、警察、税関、入管、情報諜報機関などの武装実力機関のこと。ここではウクライナ政権側のネオナチ国家親衛隊、傭兵部隊も含む。)
ウクライナのシロビキらは南・東部での軍事作戦を活発化させた。
作戦では空爆が行われ、一斉射撃用重機「スメルチ」(※ 自走型多連装ロケット砲のこと。)が火を噴いている。
このスメルチはクラスター爆弾を用いるもので、ウクライナ軍は、以前はその使用を控えてきたものだった。
こうした攻撃の結果、一般市民の中にはこどもの犠牲者が出てきている。
空爆対象は義勇兵の陣営に限定されておらず、居住区でも展開されている。
これまでは住民らは自宅の地下に潜って空爆やそれによる破片から身を守ってきた。
だが現在ウクライナ軍が用いている武器からは、身を守る術はない。
ルガンスク州のスタニツァ・ルガンスカヤでは2日、ひとつの通りが全滅させられた。瓦礫の下からは数十人の一般市民が(※ 遺体で)見つかっている。
ついこの間まで住居が立ち並んでいた場所には2メートルもの深さの漏斗状の穴があき、弾丸によるガラスの破片が無数に散乱している。
なかにはカメラやビデオにつけられていたマーキングまで残っていた。
ロシア空軍のセルゲイ・レズニチェンコ大佐は次のように語っている。
「この金属性の破片を見ればわかる。
この穴のあけられ方は、重量型の非制御航空ミサイルS25によるものであることは間違いない。
このミサイルは建物を貫通してしまう。
地下室を貫き、さらに深くその奥まで達して炸裂する。
フガス作用がとてつもなく強力で建物は跡形もなく破壊されてしまう。」
ルガンスク郊外の一般市民の居住区を空爆した事実は、ウクライナの軍事指導部も隠すことはできなかった。
ただし当初はこの地区へは飛行機は飛ばなかった、砲撃が行われたのは別の方角で、居住区ではなかったという声明が出されていた。
だがその後、住民への空爆があったことを認めた。「パイロットのミスがあった」とシロビキのイーゴリ・モシーチュク報道官の声明が表された。
原則的にはこうした間違いは戦争ではままあることだ。米軍にもパキスタン、アフガニスタン、イラクにおける武装戦闘員空爆作戦で一般住民を銃撃してしまった例は無数にある。
だが、ウクライナの場合、ウクライナ人を殺し、子どもの遊ぶ中庭を空爆しているのはウクライナ人なのだ。
しかも発射ボタンを押す軍人自身が、その弾がどこに飛ぶかがわからない点は見逃してはならない。
雑誌「アルセナル(兵器庫)」のヴィクトル・ムラホフスキー編集長はこの点を指摘し、次のように語っている。
「砲撃、一斉射撃作戦に加わっている軍人らのレベルは非常に低い。
これに加えてウクライナ軍の偵察力、その手段もあまりに低い。
このため銃撃は明確に定められた標的にではなく、出任せに行われることが多い。しかもウクライナ軍の用いる弾薬のほぼ大半が使用期限を超えており、ソ連時代の80年代に作られたものだ。
このために弾薬の性格もそれが飛ぶ方向も全く予測がつかない。」
にもかかわらずウクライナのシロビキらはこうした武器を使い、居住区への攻撃をやめようとしていない。
しかも国際条約では使用が禁止されているクラスター爆弾、焼夷弾が用いられている。
だが西側はこの事実から目を背けている。
目撃者らの撮影した写真、ビデオでは証拠不十分だというのだ。
キエフ当局に自身の軍事犯罪を認める気がなく、大量破壊兵器が用いられている現場への独立した専門家らの立ち入りを許可しない。
ロシア外務省はウクライナ当局に対し、民間施設への攻撃を停止し、市民の命を守るよう再三に渡って要求している。
ロシアは今年4月からウクライナ南・東部で行われた軍事犯罪を調査するよう主張するととともに、紛争当事者サイドに対し、休戦体制をしき、正常化にむけた交渉を開始するよう呼びかけている。
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ウクライナ スラヴャンスクから義勇軍が撤退 7/5 ロシアの声
独立を宣言したドネツク人民共和国の義勇軍が5日にかけての深夜、スラヴャンスクから撤退した。スラヴャンスクに残った住民が伝えた。
ウクライナのマスコミ(テレビ番組TSNとテレビチャンネル112)も、義勇軍が深夜、ウクライナの検問所を突破して軍事機器と一緒にクラマトルスクへ入ったと伝えた。
これより先、スラヴャンスク義勇軍のストレルコフ指揮官は、スラヴャンスクには約3万人(戦闘が起こる前の人口は10万人以上)の一般市民が残ったと発表した。
一般市民の目撃情報によると、最近ウクライナの砲兵隊が町を無差別に砲撃し、町は大きく破壊されたという。
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義勇軍 一般市民を救うためにスラヴャンスクを明け渡す 7/5 ロシアの声
独立を宣言したドネツク人民共和国の第一副首相アンドレイ・プルギン氏は、一般市民の安全を確保するために、義勇軍がスラヴャンスクから撤退したと伝えた。
なおプルギン氏は、義勇軍の部隊は屈伏していないと指摘した。
プルギン氏は、ウクライナの軍・治安部隊の行動は「スラヴャンスクを徹底的に破壊する」ことを目的としており、防衛者たちは一般市民を非業の死から守り、『スラヴャンスク義勇軍の中核』を維持したと述べた。
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ウクライナ軍 スラヴャンスク郊外への砲撃再開 7/6 ロシアの声
ウクライナ軍は、5日朝、義勇軍の主要部隊が撤退したスラヴァンスク市の郊外への砲撃を再び開始した。現地の住民達が伝えた。
またクラスヌイ・リマン市の郊外に対する砲撃も再開された。
義勇軍スポークスマンが先に伝えたところでは、スラヴャンスクとクラマトルスクには「反テロ作戦」を展開するウクライナ軍に抵抗するため、少数の義勇兵守備隊が残っている。
5日、ウクライナ軍と治安部隊は、ポロシェンコ大統領に「義勇兵が基地を置いていたスラヴャンスクを自らのコントロール下に置いた」と報告した。
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