凶暴な先制攻撃国家と「集団的自衛権」
2014-06-06

米国の支配層の中には、軍産複合体を中心とする好戦派が根強く力を持っている。
建国以来、常に攻撃と侵略支配を続けてきたのが米国であり、現代世界ではこれほどに好戦的でしかも巨大な国はない。
第一次大戦の結果生まれたソ連は軍事力である程度とはいえ対立均衡していたが、90年のソ連崩壊後は米国の単独覇権が続き、相対的に圧倒的な軍備と経済力、核兵器を後ろ盾として世界支配を維持しようとしている。
他に類を見ないほどの凶暴さと好戦的な米国。
米国は唯一、核による先制攻撃の計画さえ何度も作った国である。
この米国と軍事同盟を組むなどということは、どれほど危険なことか。
「集団的自衛権」なるものは、いくら米国に強要されても断らなければならないものだ。
再び、国が破滅するなら、それは地上からの消滅になるだろう。
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集団的自衛権のパートナーになる米国は第2次世界大戦後に何度か先制核攻撃を目論んだ危険な国 6/5 櫻井ジャーナル
安倍晋三首相は「集団的自衛権」に執着している。その「集団」を形成する相手は、言うまでもなくアメリカ。
そのアメリカの好戦派に安倍首相は命令され、従っているということだ。そのアメリカの戦略を知らなければ、「集団的自衛権」の目的もわからない。
先住民を虐殺して土地を奪うことからアメリカという国は始まり、「西部開拓」が一段落すると矛先を南へ向けてラテン・アメリカを侵略する。
スペインを追い出し、新たな支配者になったわけだ。
そしてアジア、中東、アフリカへと支配地を広げ、今はウクライナを制圧しようとしている。
支配地を広げ、利権の拡大しようというわけだ。
支配地を拡大するために戦争は行われる。
だからこそ、スメドリー・バトラー海兵隊少将は戦争を不正なカネ儲け、要する押し込み強盗に準えた。
そうした侵略を好戦派は「防衛」と呼ぶ。
彼らにとって、戦争に反対する人たちは「テロリスト」だ。
1950年代にFBIが始めた国民監視プロジェクト「COINTELPRO」や1967年にCIAが始めた「MHケイアス」、そして「愛国者法」は平和を望む人びとを敵視している。
利権だけでなく世界制覇の欲望もアメリカを動かしてきた。その欲望を核兵器が暴走させている。
ドイツが降伏して2カ月後、1945年7月にアメリカはニューメキシコ州でプルトニウム原爆の爆発実験(トリニティ実験)を成功させ、「唯一の核兵器保有国」になった。
日本の降伏は時間の問題。
1945年2月にウクライナ南部のヤルタで開かれた会議で、ドイツが降伏してから3カ月後にソ連は日本との戦いに加わることが決められていたので、8月にはソ連が日本を攻める。
そうなると日本の降伏は「秒読み」になる。
そこで、アメリカはソ連の参戦に合わせて原爆を広島と長崎へ投下した。
実はドイツが降伏する頃、すでにウィンストン・チャーチル英首相はJPS(合同作戦本部)に対し、ソ連を奇襲攻撃する作戦の立案を命じていた。
ドイツ降伏の2週間後には、数十万人の米英軍が再武装したドイツ軍約10万人を引き連れて奇襲攻撃するという「アンシンカブル作戦」が提出されている。
5月末に参謀本部はこの作戦を拒否、実行されなかったのだが、連合国の内部にはそうした動きがあったことを忘れてはならない。
1945年7月にチャーチルは首相の座を降りるが、翌年にはハリー・トルーマン大統領と会い、そこで「鉄のカーテン」を引いた。
核兵器の基本原理は広く知られている事実であり、ソ連が原爆を開発するのは時間の問題だと科学者は認識していたのだが、トルーマン大統領は1945年10月の段階でソ連は原爆を開発できないと物理学者のロバート・オッペンハイマーに対して言い放っている。
アメリカの核戦略については別のブログで書いたことがあるのだが、当初からアメリカは「先制攻撃」を想定している。
「核の傘」、あるいは「抑止力」という表現はナンセンスなのである。
ところで、1949年に出された統合参謀本部の研究報告では70個の原爆をソ連へ落とすことになっていた。
1955年に2280発の核兵器を持つに至ったと言われているので、「机上の空論」とは言えない。(クリストファー・シンプソン著、松尾弌訳『冷戦に憑かれた亡者たち』時事通信社、1994年)
1957年になるとアメリカ軍はソ連に対する先制核攻撃計画をスタートさせる。
1963年の後半にソ連を核攻撃することになっていたという。
その頃には先制攻撃に必要なICBMを準備でき、ソ連に完勝できると信じていたようだ。
ソ連はアメリカが極秘に進めていた核兵器開発プロジェクト「マンハッタン計画」に関する情報を入手していた。
アメリカの先制攻撃計画も知っていて、対応策を講じた可能性が高い。
それがキューバへのミサイル持ち込みだ。
当然、アメリカもそれを予想、キューバへアメリカ軍を侵攻させようとしている。
亡命キューバ人を使ったピッグス湾への侵攻作戦が失敗することは明らかで、それを引き金にしてアメリカ軍が直接、攻撃するつもりだったようだ。
これをジョン・F・ケネディ大統領は拒否している。
その一方、アメリカの軍や情報機関の好戦派はキューバ人を装ってアメリカで「テロ」を実行、無線操縦の旅客機をキューバ近くで自爆させ、キューバ軍に撃墜されたと非難して「報復」するという「ノースウッズ作戦」も明らかになっている。
この作戦もケネディ大統領に阻止された。そのケネディは1963年11月に暗殺されている。
その後、1983年の秋にもアメリカとソ連は核戦争の一歩手前まで行った。
その年の春にアメリカ軍はカムチャツカ沖で大艦隊演習を実施してソ連を挑発、8月31日から9月1日にかけて大韓航空007便が航路を大幅に逸脱、アメリカ軍が設定した飛行禁止空域を横断してソ連の重要軍事施設の上空を飛行、サハリン上空で撃墜されたと言われている。
その直後、NATO軍は「エイブル・アーチャー83」という軍事演習を計画、ソ連は先制攻撃に備える動きを見せた。
アメリカがソ連を攻撃する姿勢を強めた背景には、ネオコン(親イスラエル派)の台頭がある。
核戦争で人類を死滅させ、救世主の「再降臨」を望むというキリスト教系カルト(聖書根本主義派、福音派、あるいは原理主義者とも呼ばれる)とネオコンは手を組んで勢力を拡大、その影響はイスラエルにもおよび、主導権を労働党からリクードが奪っている。
ソ連消滅後、アメリカはNATOを拡大、ロシアや中国の周辺にミサイル網を築いて締め上げようとしている。
また、ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、ネオコンの大物として有名なポール・ウォルフォウィッツ国防次官は1991年の時点で、シリア、イラン、イラクを攻撃する計画をたてている。
そして現在、アメリカ政府はロシアとの核戦争に向かって進んでいる。ロシアがアメリカの挑発に乗っていたならば、今ごろ「第3次世界大戦」になっていても不思議ではない。
集団的自衛権とは、そういうアメリカと行動を共にするということ。
東電福島第一原発が「過酷事故」を起こす3日前、2011年3月8日付けのインディペンデント紙が掲載した石原慎太郎のインタビュー記事によると、外交力とは核兵器なのであり、核兵器を日本が持っていれば中国は尖閣諸島に手を出さないだろうと石原は発言したというが、日本も核兵器の撃ち合いに参加するとも聞こえる。
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