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もうすぐ北風が強くなる

財政ファイナンスと金融抑圧、遂に作文で誤魔化す消費税10%

   日銀政策決定会合と展望レポート  5/1 闇株新聞

 日銀は本日(4月30日)の政策決定会合で、現状の金融政策の維持を全員一致で決めました。
 日銀の発表文では当面の金融政策運営については従来通り「マネタリーベースが年間約60~70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う」としています。

 現在の「異次元」量的緩和は昨年4月4日に導入されたものですが、季節要因を省くために昨年4月20日から直近の本年4月20日までの1年間を検証してみましょう。

 マネタリーベースとは銀行券発行残高プラス日銀当座預金残高プラス貨幣残高ですが、日銀の負債ではない貨幣残高は増減がないとします。
 銀行券発行残高は82.9兆円から85.7兆円まで2.8兆円の増加、日銀当座預金残高は67.7兆円から132.5兆円まで64.8兆円の増加、つまりマネタリーベースはこの1年間で確かに67.6兆円増加しており目標通りですが、そのうち経済活動に関係のある銀行券発行残高は2.8兆円(増加分の4.1%)しか増えていません

 ここからも日銀の「異次元」量的緩和の真の目的は、市中に資金を供給するためではなく、財政赤字ファイナンスの役割を日銀に負わせるためであることがわかります。
 黒田総裁は旧大蔵官僚だったことを忘れないでください。

 その日銀の保有国債(短期国債を含む)はこの1年間で134.6兆円から203.1兆円まで68.5兆円も増えており、年間50兆円を目途に保有残高を増加させるという当初の目標を「はるかに上回る増加」となっています。
 これはその間に日銀本来の金融調節である銀行への貸出残高が26.6兆円から24.8兆円まで1.8兆円減少しており、その中には「貸出支援基金」として12.6兆円の貸出増加が含まれているので、日銀本来の銀行への貸出が大幅(※12.6兆増加しても1.8兆円減ったわけですから、本来14.4兆円貸出が減っていた。)に減少していることになり、それを補うために保有国債(短期国債を含む)の残高を積み上げたからです。

 つまり日銀は保有国債の増額という意味ではとっくに「追加量的緩和」を行っていたことになります。
 もっと重要なことは、ほぼ期間が一致する2013年度の国債純増額は49兆円程度と推測されるため(2013年度末の残高が5月10日頃に発表されるので正確にわかります)、日銀は何とこの1年間の国債純増額の1.4倍も「吸い上げていた」ことになります。

 これがこの1年間の金融市場調節で、それが当面継続されることになったのですが、これで経済が本当に回復するかどうかは考え直してみなければなりません。
 繰り返しですが財政赤字ファイナンスと国債利回りを低下させて財政負担(国債利払い)を軽減することが真の目的なのです。

 本日はこれに加えて、2016年度までの「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」が発表されました。

 それによりますと、「見通し期間の中盤頃(つまり2015年度半ば頃)には2%の物価上昇目標を達成できる」としており、2015年度の消費者物価上昇率(生鮮食品と消費増税分を除く)の見通しを1.9%に据え置き、新たに2016年度の見通しを2.1%としました。

 つまり物価は2%の目標に向かって「大変順調に上昇する」となっていますが、実際には円安による「悪い物価上昇」と便乗値上げによる「とんでもない物価上昇」と負担しなければならないことは間違いない「消費増税分」を入れると、間もなく3~4%の物価上昇となってしまい、経済活動の活発化や賃金の引き上げに結びつく「良い物価上昇」がほとんど期待できないことを心配すべきところであり、大変な違和感があります。

 それよりも驚くべきことは実質経済見通しを、輸出の回復の遅れを理由に2013年度を2.2%(1月時点の2.7%から下方修正)、2014年度を1.1%(1月時点の1.4%から下方修正)としておきながら、「来年10月の消費増税の影響を考慮しても(いつの間にか10%への再増税は既成事実化しています)成長基調は維持される」として2015年度を1.5%に据え置き、新たに2016年度を1.3%としているところです。

 つまり来年10月の消費税を10%に引き上げたあとの2015年度と2016年度の実質経済見通しは「全くの作文」で、すでに始まっている2014年度の実質成長率を1.1%まで下方修正したところが「日銀の本音」でしょう。

 つまり今回の展望レポートは、物価上昇目標はまもなく簡単に達成できて、すぐに(消費増税分を入れて)上昇しすぎることを心配しなければならなくなり、一方で経済成長はどんどん下方修正が必要となるものの、消費税の10%への再引き上げはもう既成事実であると「大変正直に物語っている」のです。
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