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もうすぐ北風が強くなる

3/16朝:原発被害の現状と専門家意見

  (河北新報)

福島第1放射能漏れ 専門家の意見

<奈良林直北大大学院工学研究院教授/全力挙げ注水継続を> 
 福島第1原発2号機の爆発音は、内部の圧力が高まったことによるものだろう。格納容器の設計圧力は3気圧程度で、7気圧になると破損が生じる。格納容器の配管の接続部など弱い部位が、内圧が高まったため、破損したのではないかと推定できる。
 その割れ目から、格納容器内の蒸気に含まれる放射性物質が漏れ出して周辺の放射線量が上がっていると思う。爆発による破損で、格納容器下部の気密性は保たれていない状態だといえる。
 極めて重大な事態だが、破損部は地下にあり、いきなり大量の放射性物質が噴き出す可能性はまだ低い。注水を続けて、核燃料をこれ以上露出させないことが今、最も重要だ。そうしないと、炉心の溶融が進んで、圧力容器の底抜けが起きかねない
 全力を挙げて注水を継続して、最悪事態になるのを抑えてほしい。線量が上がったのは、漏れ出る量が増加したからだ。作業員に防護服を着用させ、短時間で交代させて被ばく線量を抑え、注水継続に取り組めるか微妙な段階だ。また、電源の復旧を急ぐことも重要だ。
 現在の状況では、住民はパニックにならず、屋内退避するなど、冷静な対応が必要だ。政府も国を挙げて終息に向けて支援すべきだ。

[ならばやし・ただし氏]52年東京生まれ。78年東工大大学院修士課程修了。東芝に入社、原子炉の安全性研究に従事。07年から現職。専門は原子炉工学。


◎専門家12人こう見る   

 「より深刻な事態だ」「首都圏でも退避を検討すべきだ」。福島第1原発2号機で15日、広範囲に放射性物質が漏れた可能性が高まり、専門家から早急な対策が必要との認識や、懸念が相次いだ。不安が広がる中、「健康に直ちに影響が出る可能性は低い」「数値に踊らされてはいけない」と冷静な行動を求める声も出ている。


<再臨界危険性高まる/飯田哲也環境エネルギー政策研究所所長の話>
 東日本大震災が発生して以降、一番恐れていたのは制御されない状態で核分裂が連続的に起きる「再臨界」だった。核爆発と同じリスクがあり、その危険性が高まっている今は、最悪の事態に向けて突っ走っていると言える。東京電力や政府の対策もすべて後手後手に回っている。事態収拾に全力を挙げると同時に、かなり広範囲の避難計画が必要ではないか。

<大津波への対策急務/大谷圭一元防災科学技術研究所部長(耐震工学)の話>
 震源に近い女川原発と違い、福島第1原発のトラブルは想定外の津波が地中にある電源部分に入り込み、非常用電源も使えなくなったことが原因。このため外部から電力を取る必要があり、対応が後手に回っている。今回のような大津波が将来、どこで起きるか分からないが、大量の水から電源部分を保護する対策が急務だ。

<封じ込めはまだ可能/原子力安全研究協会研究参与の前川和彦東大名誉教授(救急医学)の話>
 燃料が溶ける「炉心溶融」が起きても液体状なので、格納容器が完全に破壊されていなければ封じ込めることができる。チェルノブイリ事故の場合は爆発によって放射性物質を含んだ死の灰がまき散らされ、多くの人が汚染されたが、今回は爆発が起きているわけではない。溶融した燃料が外に漏れないようにすれば、大規模な放射能汚染が起きる可能性は低い。住民はパニックを起こさず、冷静に対応してほしい。

<外部拡散極めて深刻/原子力資料情報室の伴英幸共同代表の話>
 放射性物質が外部に拡散する極めて深刻な事態だ。原子炉格納容器の損傷によって水素が漏れる抜け道が広がり、新たな水素爆発の危険性も高まっている。施設内の放射線量が急激に上がる可能性が出てくるなど環境が刻一刻と悪化し、水の注入作業を含めた作業効率がどんどん低下しているのも心配だ。東京電力はこれ以上状況を悪化させないよう、万全な対応を心掛けてほしい。

<解決策見当たらない/住田健二大阪大名誉教授(原子力工学)の話>
 既に相当量の放射性物質が広範囲に漏れているのではないか。非常事態に発展しそうだが、一体どうなるかわたしにも分からない。解決策があるなら教えてほしいぐらい。とにかく海水を注入し続け、原子炉を冷却するしか方法がないのでは。

<圧力容器を絶対守れ/近藤達男・元東北大教授(燃料材料工学)の話>
 原子炉は大きく言うと3重構造で、放射能が外部に漏れるかどうかの最後のとりでが格納容器だが、多少の放射性物質の漏れは仕方がなく、(大量の放射性物質の漏れにつながる)圧力容器損傷はあらゆる手段で絶対に避けなければならない。水を入れるなど綱渡りの状態だが、燃料が冷えるまで努力を続けるべきだ。

<作業員サポート重要/山下俊一長崎大教授(被ばく医療)の話>
 大気中の放射線レベルは心配するほどではないが、こうした事態が続いていることは問題。被ばくしながら決死の覚悟で作業している自衛隊員らがいなければ事故は止められず、サポート態勢を整えるのが何より重要だ。避難住民の放射能汚染のモニタリングも大切で、放置や洗浄で済む人もいれば、病院搬送する人もいるかもしれない。政府からの信頼できる情報に従い、ネットなどのデマに踊らされてはいけない。近くの人は、外で汚染されたものを絶対に口にしてはいけない。パニックにならないようにすることが大事だ。

<原子力開発の最期か/安斎育郎立命館大名誉教授(放射線防護学)の話>
 今回の事態で、日本の原子力開発は最期を迎えるかもしれないとまで思っている。極めて由々しい事態。放射性物質がどれだけ出るかは分からないが、政府は「隠すな」「うそをつくな」「過小評価するな」の原則を徹底すべきだ。(半径30キロで屋内退避の指示が出たが)「同心円の範囲で一律避難せよ」は非現実的で、風向きなど状況に即して具体的に指示する必要がある。

<設計超えた大量蒸気/原発に詳しい技術評論家桜井淳氏の話>
 福島第1原発2号機は、高温の原子炉内に大量の蒸気がたまって設計圧を超え、最も壁の薄い圧力抑制プールが損傷してしまったのではないか。原発の専門家であれば、こうした事態は予測できた。政府、東京電力も内部の状況が分かっておらず、既に燃料の大半が溶けるメルトダウン(全炉心溶融)が起きている可能性もある。大爆発を起こす危険性があり、大量の放射性物質が飛散すれば、最低でも半径50キロ圏内の住民を避難させる必要が出てくる。避難には時間がかかる。政府は早く判断するべきだ。

<100キロ圏退避検討必要/吉岡斉九州大大学院教授(科学技術史)の話>
 今後、事態がさらに悪化して炉心の一番中心にある原子炉圧力容器が破損すると、炉心燃料が溶け出して圧力容器を突き破る「メルトスルー」が起きる可能性もある。今、外へ放出されているのは揮発性の放射性物質だが、溶け出した燃料が水と接触すると蒸気爆発が起き、大量の放射性物質が放出されてしまう。チェルノブイリ、またはそれに準ずる対策が必要だ。30キロの屋内退避ということだが、100キロ圏、首都圏でも退避を検討すべきではないか。

<住民冷静に対応して/木村浩東大大学院准教授(原子力社会工学)の話>
 福島第1原発2号機の爆発は、建屋が爆発した1、3号機より深刻な事態だ。原子炉格納容器の損傷が事実なら、高圧力状態で閉じ込められていた放射性物質が一気に噴き出した可能性がある。しかし、風向きなどから考えて健康状態に直ちに影響が出る可能性は低く、住人は冷静に対応してほしい。

<付着物質洗い流せる/宮健三・東京大名誉教授(原子力工学)の話>
 毎時400ミリシーベルトなどの数値に踊らされてはいけない。付近住民は避難時、放射性物質を含む粉じんを浴びる事になるが、傘を差して防護服を着れば被ばくの可能性は低い。雨で濃縮された物質が付着しても洗い流せばいいので冷静な行動を。福島第1原発1~3号機には既に水が入れられており、最悪のケースを想定してもチェルノブイリの時のように多量の放射能が出るとは考えられない。

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 (共同)
4号機建屋でまた火災=放射線量多く、消火作業難航-ヘリ注水も検討・福島第1原発

 東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発4号機(福島県大熊町)で16日午前5時45分ごろ、原子炉建屋から火が出ているのを同社社員が発見、通報した。
 東電によると、火が出ているのは15日朝の火災と同じ原子炉建屋4階の北西部分。地元消防の消防車4台と消防隊員13人が向かっているが、付近は放射線量が多いため近づけない状態。近くの高台にいる同社社員からは同6時15分、15日の火災で開いた穴からは「炎は見えなくなった」と連絡があった。
 4号機は高温になった使用済み燃料プールから水が蒸発。プール内にある核燃料が露出し、損傷することが懸念されており、東電は16日にも、海水を注水する方針だ。同社は自衛隊や在日米軍に協力を求め、ヘリコプターによる注水も視野に入れている。
 4号機原子炉建屋(5階建て)では、15日午前6時ごろ爆発音が聞こえ、4階で火災が発生。5階側壁では、8メートル四方の穴が2カ所開いた。沸騰した可能性もあるプール水から発生した水素による爆発の可能性も指摘されており、付近では毎時400ミリシーベルト(40万マイクロシーベルト)の非常に高い放射線量も観測された。
 5階の燃料プールは約10メートル四方、深さ約8メートルで783本の核燃料棒が入っている。定期点検で原子炉機器の交換作業があったため、炉内の燃料棒が全て移されており、通常よりもプール内の核燃料棒の数が多い。水温は通常約40度だが、14日午前4時8分時点では84度に上昇。事故後の水温や水位は不明だが、水温がさらに上がり蒸発が進むと、燃料損傷の危険が増す。東電によると、5・6号機のプール水温は、15日午後9時段階でそれぞれ58.7度、57.0度だった。同社は「通常よりは高温だが、安定している。ただ、4号機同様に水の蒸発から燃料損傷の危険もあるので、こちらも早い段階で水温を下げたい」としている。(2011/03/16-08:22) 
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 (共同)
福島第1、第2原発の現状(16日未明) 

 16日現在の東京電力福島第1、第2原発の現状は次の通り。

 【第1原発1号機】地震後に冷却機能が失われ、燃料の一部が溶ける「炉心溶融」が発生。原子炉格納容器の蒸気を外部に放出した。12日に水素爆発で原子炉建屋を損傷、海水を注入し炉心を冷却する作業を実施。

 【同2号機】冷却機能が失われ燃料が一時、全て露出した。14日に同3号機の爆発で原子炉建屋を損傷。15日午前、格納容器の圧力抑制プール付近で爆発音。メルトダウン(全炉心溶融)発生の恐れを否定できず。炉心への海水の注入作業で水位は一部回復。

 【同3号機】13日に冷却機能が失われ、炉心溶融の可能性。蒸気を外部に放出し、炉心に海水を注入。14日に水素爆発が起き、原子炉建屋を損傷。15日に付近で毎時400ミリシーベルトの高い放射線量を観測。

 【同4号機】定期検査中。15日午前に原子炉建屋で火災。使用済み燃料が反応した水素爆発の可能性。水位は未確認で注水作業はできていない。16日、再び火災を確認。

 【同5・6号機】定期検査中。プールの水温が若干上昇。

 【第2原発】1・2・4号機は地震後に自動停止。冷却機能が失われていたが、蒸気を外部に放出する作業などの結果、15日までに安定的な「冷温停止」状態となり緊急事態を脱した。3号機は地震後に自動停止し冷温停止状態になった。
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